小説掲示板冷たい月のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

夜遊びweb掲示板 関西夜遊びweb掲示板 関西
エリア選択

夜遊び掲示板を検索する

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。

掲示板リストメニュー

冷たい月

スレッド内検索:
  • 1:

    るみ

    (旧掲示板のコピペ)
    月は暗い空の上からいつもあたしを見ている。
    悲しい時、あたしは孤独に怯えながらいつもただ月を眺めていた。

    2005-08-02 16:22:00
  • 51:

    るみ

    「うん。シャワー浴びてくる。」
    熱いシャワーを頭から浴びた。あたしはこれから、どうなるんだろう。そんなことをぼんやりと考えた。
    あんなことをされたのに、あたしは慎吾のことを愛してる。

    2005-08-02 17:11:00
  • 52:

    るみ

    浴室からでてくると、テーブルにラーメンや中華丼や野菜炒めがならんでいた。
    「ちょうど今来たとこや!あったかいうちに食べよや。」
    慎吾は笑顔で言った。

    あたしは哀しげに笑い、ふたりで中華を食べた。

    2005-08-02 17:12:00
  • 53:

    るみ

    ふたりでご飯を食べていると、何もなかったかのような感じがして、あたしは悪い夢でも見てたのかなって思った。
    「瑠美、おまえ仕事したいんか?」
    慎吾が聞いてきた。

    2005-08-02 17:13:00
  • 54:

    るみ

    なにか、胸騒ぎがしたけど、夜の世界のことは慎吾のほうがよく知っている。
    「うん。わかった。紹介して面接行ってみるわ。」
    「おう。言うとくわ。」

    皿をかたずけると、ふたりで眠った。慎吾の腕の中で眠る時間。
    あたしにとってそれはなにより幸せな時間だった。

    2005-08-02 17:15:00
  • 55:

    るみ

    目を覚ますと、外は暗くなっていた。時計を見ると七時を過ぎていた。慎吾の出勤時間は九時。あたしは慎吾を起こした。
    「あー。体痛いー。支度せなあかんなぁー。おまえ面接行くんやろ?俺、心配やからついて行くわ。」
    「子供ちゃうねんから、いいって。恥ずかしいわ。」「そうしたいねん。俺、店遅刻することなるから、誰かと同伴の手配するわ。えーっと、早い時間でてくるんは、主婦の…。このばばあでええわ。」
    そう言いながら、慎吾は携帯の電話帳を検索して電話をかけている。電話の音声感知するところを手で押さえて、「はよ支度しろ」と口ぱくで、あたしに言った。

    2005-08-02 17:16:00
  • 56:

    るみ

    身仕度を整えふたりで家を出た。タクシーに乗り、宗右ヱ門の辺りで降りた。
    「何処の店いくん?」
    「ええから。」
    あたしは黙って、早歩きの慎吾の後ろを小走りに追いかけた。
    心斎橋筋を北に歩き、不二家を右に曲がり少し歩くと、きれいなビルが左手に見えてきた。

    2005-08-02 17:16:00
  • 57:

    るみ

    大理石のビルの中に入り、エレベーターで四階まで上がった。
    扉が開くと、目の前に大理石の置物の上に、紅い薔薇が豪勢に飾られ、[斬]と書かれた看板が目に飛び込んだ。

    2005-08-02 17:17:00
  • 58:

    るみ

    慎吾は店に入っていき、挨拶をした。
    「ちぃーっす。」
    「おぅ!春樹!元気か。」三十代ぐらいの、体の大きな男が出迎えた。黒いスーツのイカツイ男だった。
    「はい。なんとか…。急なんすけど、面接したってほしいんですよ。女つれてきたんで。」

    2005-08-02 17:18:00
  • 59:

    るみ

    あたしは、あまりに大きくて綺麗な店の雰囲気に圧倒されて、緊張していた。そして、あたしの慎吾は他の人にとっては春樹なんだーっと一人で思っていた。

    2005-08-02 17:19:00
  • 60:

    るみ

    店長らしいその男は、あたしを上から下まで、舐めるように見ると、なにやら慎吾に耳打ちした。慎吾は笑いながら、違いますって感じで、手を横に振りその男にまたなにやら耳打ちして、その男は前で腕組をしてなにやら考えていた。 「まぁ、とりあえず、そこの席座って。」男は言った。

    2005-08-02 17:20:00
  • 61:

    るみ

    あたしは、無言で頭をぺこりと下げ、言われるままに席に座った。
    紙とボールペンをとってくると「これ書いて。」と言った。
    あたしは、名前や住所や年令などを書き込んだ。
    「経験は…?」
    と聞かれ、とっさにあたしは「半年ぐらいです。」と嘘をついた。
    それから、細かいことを二、三質問され、「いつから来れる?」と聞かれた。

    2005-08-02 17:21:00
  • 62:

    るみ

    美容院に言って明日から出勤することをその男に約束した。
    挨拶をして店を出ると、店の前で待っていた慎吾が「ちょっと待ってて。」と言い残して、店に入っていき、数分して外にでてきた。「何してたん?」あたしが聞くと「おまえのことよろしく頼んできた。」と笑顔で答えた。

    2005-08-02 17:22:00
  • 63:

    るみ

    エレベーターを降りて、外に出た。夜風が少し肌寒く、あたしはトレンチコートのまえをあわせて紐で結ぼうとしていた。
    「俺、同伴やから行くわ。おまえまっすぐかえれよ。」
    紐を結び終えて「うん…。」と返事した。
    慎吾は「じゃあな。」と言い残すと、ブルガリの香りだけを残して、足早に振り向きもせず夜の街の雑踏に消えていった。

    2005-08-02 17:23:00
  • 64:

    るみ

    あたしはひとりで、ぼんやりと心斎橋筋を歩いた。初めて慎吾と出会った辺りを過ぎて、大丸のあたりまでたどりついた。

    2005-08-02 17:23:00
  • 65:

    るみ

    地下鉄の駅が目に入ったけど、まっすぐ帰る気になれなかった。
    慎吾と一緒に暮らしているのに、慎吾の気持ちがわからない。慎吾はいったい店長となんの話をしていたのだろう。胸の奥が騒めいた。

    2005-08-02 17:24:00
  • 66:

    るみ

    駅からUターンして、ひとり歩いた。アセンスまで辿り着き、ファッション雑誌を買って、スタバに入った。ラテを飲みながら、雑誌をめくっていると、隣の席に二人組の女の子が座った。

    2005-08-02 17:25:00
  • 67:

    るみ

    見るからに、キャバ嬢って感じにセットした髪のふたりは、ドサッと荷物を降ろすと大きな声で話始めた。「しかし、だるいなぁー。あのキモオタ。」
    「ほんまそれ!」
    どうやら、客の悪口のようだった。

    2005-08-02 17:26:00
  • 68:

    るみ

    聞かないようにしょうと思っていても、声が大きいせいで、勝手に耳に入ってくる。ウザイなぁーと思いながら、ページをめくった。
    「ところでさぁー、最近春樹とどうなん?」
    ギクッとした。春樹って慎吾の源治名やん…。
    あたしは頭を上げてふたりの顔をちらっと見た。

    2005-08-02 17:27:00
  • 69:

    るみ

    ピンク色のファーにジーンズをはいたお姉系の綺麗な子やった。
    「あー、あいつなぁー、マジむかつくねん。何人付き合ってるんかわからんで。ホスやし、しゃあないけど。この前、イベントん時、勝手にルイ持ってきて、伝票つけられてん。もぅ目ぇー覚めたわ。キャバの店かわるし、未収とんだる。あんな奴らの為に風とか行く奴あほやん。」

    2005-08-02 17:28:00
  • 70:

    るみ

    「そら、そうやろ。」
    ふたりは、大きな声で笑っている。
    たまたま同じ名前なんやろうと思ったけど、なんか気分が悪くて、あたしはスタバを出た。

    2005-08-02 17:29:00
  • 71:

    るみ

    家に着くと、静まりかえった部屋の中でテレビもつけずにボーっとしていた。

    携帯には慎吾からメールがきていた。
    【家ついたかぁー?おとなしぃ寝とけよぉ?】

    2005-08-02 17:30:00
  • 72:

    るみ

    返信する気になれなかった。携帯を閉じて、ベランダに出た。青白い月がこっちを見ている。
    慎吾は悪い男かもしれない。そんな気がした。
    あたしはどうなるんだろう…。心が痺れるくらいに幸せを感じることができるのなら、あたしは落ちていくのも恐れない。そう思った。

    2005-08-02 17:31:00
  • 73:

    るみ

    「おい、起きろって。」
    不機嫌な慎吾の声で目覚めた。
    「どうしたん?」
    そばにあった目覚まし時計を手にとって見た。まだ朝の八時過ぎたとこやった。「俺、客に飛ばれたわ。」

    2005-08-02 17:31:00
  • 74:

    るみ

    ぼぉーっとしていた頭が急に、ビッとした。
    「いくら飛ばれたん?連絡つけへんの?」
    「まだわからんけど、電話つながらんくなったし、メールも送られへんし。」
    スタバの女の子の顔が浮かんだ。

    2005-08-02 17:32:00
  • 75:

    るみ

    「なぁ、いくら飛ばれたん?」
    慎吾とスタバの女の子は関係ないと思いたかった。
    「60万…。」
    慎吾は肩を落として言った。

    2005-08-02 17:33:00
  • 76:

    るみ

    言わないほうがいい…。 そう思ったけど、黙っとくこともなんか違う気がした。
    「あたしな、慎吾と面接行った帰りにスタバでお茶してん。隣座ってた子、春樹がどうとか、ルイ持ってこられたから飛ぶとか、おっきぃ声で話してたの聞いた。」
    みるみるうちに慎吾の顔が怒っていくのがわかった。

    2005-08-02 17:34:00
  • 77:

    るみ

    「お前なぁー、なんでそん時連絡せぇへんねん。」
    慎吾はそう怒鳴ると、その場に座り込んだ。

    あたしは無言で慎吾をただ見つめていた。

    「あきれるわ。お前。」
    なんで、あたしがあきれられるのか、あたしには理解できなかった。

    2005-08-02 17:35:00
  • 78:

    るみ

    「それやったら言うけど、そのスタバの子、慎吾の彼女みたいなこと言ってたし、ルイ持ってこられたとか言ってたし、あたしかってそんなん慎吾がしてるって思いたくなかってん。」

    「あんなぁー、はっきり言うけど、俺はホストやねん。女に惚れてもらって金つかってもらうのが仕事や。お前みたいに、金持ちの家の子ちゃうんじゃ。なんでもせな金なんか掴めるかぁー。」
    大声で怒鳴りながら、机を蹴っ飛ばした。

    2005-08-02 17:36:00
  • 79:

    るみ

    「お前なぁー、彼女やねんから、クラブで客つかんでアフター連れてこいよ。」
    「なんなんそれ。なんで、そんなこと言うん?今まで店来いとかいわんかったやん。」
    慎吾は、お腹を蹴りあげた。みぞおちのあたりに激痛が走った。

    2005-08-02 17:37:00
  • 80:

    るみ

    「誰がお前に金使え言うてん。客つれてくるぐらいできるやろ。俺が大変な時期なんわかってるんやろがー。あー?」
    襟首を捕まれ、ぶんぶん振られた。

    2005-08-02 17:38:00
  • 81:

    るみ

    「脱げや。」

    あたしは苦い顔で無視した。
    「聞こえへんのか。脱げゆうてんねん。」
    あたしは殴られるのが嫌で服を脱いだ。

    2005-08-02 17:39:00
  • 82:

    るみ

    自分の上で動く慎吾の顔を見ていた。

    ただ、されるがままに何の抵抗もせずやられていた。
    気持ちが違うとこんなにも何も感じないものか…。自分でもびっくりするくらい冷めていた。

    2005-08-02 17:39:00
  • 83:

    るみ

    自分がイクとあっさりと隣で寝てしまった。

    慎吾に抱かれた後、慎吾の寝顔を見ながら涙がでてきた。
    もう疲れた…。ほんとにそう思った。

    2005-08-02 17:40:00
  • 84:

    るみ

    なんでこんな事になったんだろう…。
    慎吾の傍にいられたら、それだけで幸せと思っていたのに…。
    どうして慎吾はあたしを殴る?
    それは愛とは違うよね…?

    2005-08-02 17:41:00
  • 85:

    るみ

    こんなに近くにいるのに、近くに感じない。

    別れたほうがいいよね…?もう…、逃げ出そう。ここから逃げ出そう。
    そう思った。

    2005-08-02 17:42:00
  • 86:

    るみ

    今日の夜、慎吾が仕事に行っている間に出ていこう。
    だから…、今だけは慎吾の寝顔を忘れないようにじっと見ていよう…。

    あたしは、寝息をたてている慎吾の顔をじっと見つめていた。

    2005-08-02 17:43:00
  • 87:

    るみ

    初めて慎吾に出会った日のことを思い出す。

    あの時もこんなふうにずっと寝顔を見ていたっけ…。あの時も綺麗な寝顔だなって思った。今も変わらずにとっても綺麗な寝顔をしている。
    茶色のまっすぐな細い髪は手を伸ばせば、すっと日の光の中に消えてしまいそうだった。それが、恐くてあたしは何度も慎吾の頭を撫でた。

    2005-08-02 17:44:00
  • 88:

    るみ

    「う〜ん…。」
    と言いながら、寝返りを打った慎吾が手を伸ばして、あたしを強引に抱きしめてむりやり腕枕をしてふとんの中に引き入れた。

    その腕に逆らうこともできず、あたしは隣に寝ころんだ。
    愛する人の腕の中がこんなに幸せと感じるのに…。
    それなのに…、どうして慎吾はこんなにあたしを傷つけるんだろ…。

    2005-08-02 17:45:00
  • 89:

    るみ

    少し眠ろう…。
    最後に幸せを感じながら。起きたら、ここからでていこう。

    暖かい腕の中であたしは眠った。

    2005-08-02 17:46:00
  • 90:

    るみ

    「お前、今日、初出勤やろ?仕事がんばれよ。」
    スーツに着替えて、髪を整えながら、慎吾は言った。
    「うん。もうすぐしたら家でるよ。」
    ほんとはもうあの店に働くつもりはない。
    前のキャバで知り合った、彩が店をうつっていて、そこには寮があると聞いたので、そこにうつるつもりでいた。

    2005-08-02 17:47:00
  • 91:

    るみ

    「ほな、俺さきいくわ。客と飯いかなあかんし。」

    身仕度の出来上がった慎吾は両手で自分の頬をパンパンと叩いた。 「今日もがんばってくるわ。」
    「いってらっしゃい。」
    いつもの様に送り出す。

    バタンと玄関のドアが閉まった。

    2005-08-02 17:47:00
  • 92:

    るみ

    慎吾が出ていった後、念入りに部屋を掃除した。
    それからあたしはヴィトンのボストンに服、化粧品、携帯の充電器。
    忘れてはいけないコテ。それらを無造作に放りこんだ。
    部屋の中を見渡したら、少し泣けてきた。

    そして、あたしは慎吾の部屋を出ていった。

    2005-08-02 17:48:00
  • 93:

    るみ

    慎吾の部屋をでて、一週間が過ぎた。
    あたしは、ようやく今の生活に慣れてきた。

    「春菜、送り待ちの間に一緒に下でお寿司食べようやぁー。」
    「またぁー。ほんまデブなるってぇー。」
    あたしは慎吾の源治名の春樹から、一文字とって春菜として働いている。
    仕事あがりに、店の下の回転寿司を食べるのが、今のゆいつの楽しみだった。 まだ、一人になると泣いたりするけど、ほとんど彩が泊まりに来てくれている。

    2005-08-02 17:49:00
  • 94:

    るみ

    お寿司屋さんに入り、彩と二人で馬鹿話しながら、お寿司を食べていた。

    トイレに行こうと席を立ち、店の入り口に歩いていった。

    その時…。店の自動ドアが開き、そこには慎吾が立っていた。

    「探したで。ちょう来い!」
    むりやりあたしの手を引っ張る。
    あたしは恐くなって大声で叫んだ。
    「あやぁー、助けてぇー。」

    2005-08-02 17:50:00
  • 95:

    るみ

    彩は、飛んできて怒鳴った。
    「あんたが、春菜の元彼かぁー。さんざん暴力ふるってまた何しにのこのこでてきとんねん。」
    「お前なんやねん。こいつは俺の女なんじゃ。」
    そう言うと、あたしの腕を引っ張ってつれて行こうとする。
    送りが来たのを知らせに、そこに店長がきた。

    2005-08-02 17:51:00
  • 96:

    るみ

    あたしは、店長には色々相談していた。
    状況を把握した店長は顔色を変えて、
    「お前が、慎吾かぁー。表でろや。」
    慎吾のジャケットを引きずって、店の外まで連れ出した。

    2005-08-02 17:52:00
  • 97:

    るみ

    「俺はぁー、女食いモンにしたり女に手あげるやでけは許されへんねやぁー。」

    バキッ、ボコッ。
    「うっ…。すいません。」「痛いやろ!どつかれたら痛いんじゃあ。」
    最初は、いいきみやと思って見ていた。でも、慎吾の顔が切れて、血がでている。
    慎吾が死んでしまう…。

    2005-08-02 17:53:00
  • 98:

    るみ

    「やめてぇー。」
    あたしはたまらず慎吾を抱きしめた。

    「春菜、こんな奴かばうな。根性叩き直したる。」

    2005-08-02 17:54:00
  • 99:

    るみ

    その時、あたしを振りはらって、慎吾がその場に土下座した。

    「ほんまにすいませんでした。俺は、恐かったんです。瑠美に離れて行かれんのが。俺は…、俺には、何にもありません。こいつはお嬢やし、俺なんかよりなんぼでもええ男つく思うんです。そんなん考えたらおかしなりそうで、不安でこいつに辛くあたることでこいつの愛情を試してたんやと思います。すみませんでした。」

    2005-08-02 17:54:00
  • 100:

    るみ

    慎吾はアスファルトの地面に頭を下げたままだった。 あたしはただそれを泣きながら見ていた。

    店長は呆れたように言った。

    2005-08-02 17:55:00
新規レスの投稿
名前 (8文字まで)
E-mail
必須本文 (750文字まで)
冷たい月を見ている人におすすめの掲示板

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。
※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。