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冷たい月
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1:
るみ
(旧掲示板のコピペ)
月は暗い空の上からいつもあたしを見ている。
悲しい時、あたしは孤独に怯えながらいつもただ月を眺めていた。2005-08-02 16:22:00 -
2:
るみ
あたしが生まれた時には、家に父親の存在などなかった。母は会社を経営していた為、かなり裕福な家庭ではあったが、いつもあたしは一人ぼっちで、通いの家政婦が作る飯を一人で食べた。もっていないおもちゃなどなく、家にはなんでもあった。あったが、心の中はいつもからっぽだった。
2005-08-02 16:23:00 -
3:
るみ
私立のエスカレーター式のお嬢様学校に通い、ただお行儀よくしていれば、親は満足していた。
中学に上がる頃には、色んなことにとても冷めていた。
家を抜け出しては友達と、街に遊びに出掛けた。
クラブにいけば、みんなに会えた。友達なんて名ばかりの、単なる知り合い。2005-08-02 16:24:00 -
4:
るみ
初めての男はクラブで働いている奴だった。
あたしは、本気だったけど、向こうはただの遊びだった。
母親が起きる頃には、きちんと家に戻っていたあたしはバージンじゃなくなった日、さすがに母親の顔を見るのが恐かったけど、何も気付かない母親を見て、なんだこんなに簡単なモノかと思った。2005-08-02 16:24:00 -
5:
るみ
誰にも言えないことだって、里香にだけは話せた。昼ご飯は学校の中庭で、いつも笑い転げながら、時には牛乳を吹いたりしながら、とても楽しかった。
しかし、夜になるとあたしは街にでて遊び仲間と夜遊びをした。夜遊びの帰り、ひとりで見上げる空には、寂しげにあたしを見つめる月が浮かんでいた。2005-08-02 16:27:00 -
6:
るみ
卒業パーティーの帰り、みんなと別れたのは、夜の十一時をまわった頃だった。 ひとりで心斎橋筋を歩いた。 なんとなく帰りたくなくて、ただふらふらと…。
2005-08-02 16:30:00 -
7:
るみ
キャッチのホスがうっとおしかった。
電話で誰かを呼び出そうかと、携帯で名前を検索していた。
その時、目の前でいきなり男が倒れた。
黒いスーツに身を包んだ、どうみてもホスト。2005-08-02 16:31:00 -
8:
るみ
「大丈夫ですか…。」
あたしは、声をかけたけど、返事がない。まわりを見渡して、そいつの知り合いを探したけど、みんな知らん顔をする。あたしは、とにかく携帯で、救急車を呼んだ。 しばらくして、救急車がきた。なんか、訳がわからない間に、あたしはそいつに付き添って、救急車に乗り込んだ。2005-08-02 16:31:00 -
9:
るみ
救急車の中で、あたしは初めて男の顔を見た。
アッシュに染めたストレートのロン毛に、焼けた肌。閉じた瞳は切れ長で、すーっと通った鼻筋。
綺麗だなー。と思った。2005-08-02 16:32:00 -
10:
るみ
病院に着くと、男が目を覚ますのを待った。
病院の先生は、過労と栄養失調が原因だと言って、ぶどう糖を点滴した。
何も知らない名前も知らない男の綺麗な寝顔をただ見つめて、数時間過ごした。
目が開いた。
「うわっ!自分誰?」
驚いた男は、あたしに聞いた。2005-08-02 16:33:00 -
11:
るみ
「誰ってとおりすがりやけど、あんたいきなり心斎橋筋であたしの前で倒れてんやん。しゃあないから、病院つれてきてん。あんたこそ誰よ。」 「まじで?それはごめんやなぁー。ありがとう。俺は、あーえっと本名は慎吾やで」
慎吾は毎日、あまり寝てなかったのと、食べてなかったようだった。
夜中を過ぎていた為、病院で朝まで過ごした。2005-08-02 16:34:00 -
12:
るみ
よく寝たのがよかったのか、少し元気になった慎吾とたくさん話をした。
なんだか、お互い前からの知り合いみたいに話が弾んだ。
慎吾は21才で、ホストをして半年の奴だった。岡山からでてきて今はひとり暮しだった。2005-08-02 16:35:00 -
13:
るみ
慎吾はあたしの話をじっと聞いてくれた。
あたしは、もう帰りたくないけど行くところもないことを慎吾に話した。
「いいよ!俺の家にきても。めちゃ汚いし、狭いけど。」
こうして、あたしと慎吾の同棲生活が始まった。2005-08-02 16:36:00 -
14:
るみ
病院を出たのは、朝の10時を廻った頃だった。
朝の光に照らされた慎吾は髪も肌も目も茶色くて、なんだか笑えた。
「自分、かっこえーけど、何人やねん。」
「なんか、言われるわ。どこの国行っても外人いわれるんちゃう?とか。」
二人は笑いながら、慎吾の家に向かった。2005-08-02 16:37:00 -
15:
るみ
慎吾の家はタクシーに乗って、すぐに着いた。
ワンルームのロフトの付いた、八畳の狭い部屋だった。それまで、そんな狭い部屋を見たことがなかったあたしは、かなりびっくりした。
「すごいなー、めちゃせまいなぁー。」あたしは言った。
「あほか!これでもせいいっぱいやわ。」
男の部屋に入ったのは初めてやったあたしはかなりドキドキしてたけど、なんかここから始まる未来に、ワクワクしてた。2005-08-02 16:38:00 -
16:
るみ
慎吾との生活はすごく楽しいものだった。慎吾に渡されたお金で、ご飯を作って一緒に食べて、一緒に眠った。あたしが、生まれて初めて幸せやと感じられた。
気がつくと一週間が過ぎていた。家にもちろん連絡なんてしていない。
ある朝、突然知らない男が、家に訪ねてきた。
母に雇われた興信所の男だった。「お母さんに頼まれてきたんだ。一緒に帰るんだ。」
無理矢理、手をひっぱられた。2005-08-02 16:38:00 -
17:
るみ
あたしは焦って、大声で慎吾の名前を叫んだ。
驚いた慎吾はあわてて、ロフトから降りてきた。
「誰やねんお前。俺の女になにすんねん。」
捕まれたあたしの手を、慎吾が引き離してくれた。2005-08-02 16:39:00 -
18:
るみ
あわてて家の鍵をかけた。しばらくは、ドアを叩く音が鳴り響いていたが、あきらめたのか、男は帰って行った。
しかし、一時間もしないうちに母親が訪ねてきた。
最初は躊躇していたが、慎吾はドアを開けた。2005-08-02 16:40:00 -
19:
るみ
ドアが開くと、いきなり母親はあたしの頬をひっぱたき、慎吾を睨み付けた。
「あんたのしたことは、立派な犯罪よ。未成年を監禁して。訴えてやるわ。ホストをしてることも調べがついてる。うちの娘をどうするつもりよ。」
「お母さん、ここにいたのは、あたしの意志よ。慎吾は悪くない。」
「あんたは黙ってなさい。」
「こんなことになって、申し訳ありません。だけど、僕は…、瑠美をだますつもりなんかありません。」2005-08-02 16:41:00 -
20:
名無しさん
おもしろいっ?
2005-08-02 16:42:00 -
21:
るみ
それを聞いて、母親は激怒した。
「今までなにひとつ不自由せずに暮らしてきて、それがどんなに幸せなことか、今に気付くわ。ほんとにやれるか、その貧乏な男とくらしてみればいいわ。」そう言い残すと母親は帰って行った。
まだ子供だったあたしは、それからも幸せが続くと信じていた。そこからが、転落の始まりとも知らずに。2005-08-02 16:43:00 -
22:
るみ
慎吾が帰ってくるのは、いつも朝の九時過ぎてからだった。
あたしは、慎吾のいない長い夜がとっても嫌いだった。ひとりは嫌い。淋しい時は月を見上げた。幼い頃からいつもそうだった。
慎吾との幸せを壊したのはあたしだったのかもしれない…。2005-08-02 16:44:00 -
23:
るみ
慎吾は、あたしにもっといい暮らしをさせてやりたいと言って、仕事をがんばっていた。しかし、その裏で起きていることなど、あたしには想像もつかなかった。ただ、帰ってこない日が増えて、あたしはだんだん壊れそうになっていた。慎吾が帰ってきたら、泣いてわめいてあたりちらした。ただ、そばにいてほしかった。ただそれだけでよかった。
2005-08-02 16:45:00 -
24:
るみ
夜ひとりで家にいるのが嫌なのと、服も買えないことが嫌になり、あたしはキャバに勤めることにした。もちろん慎吾には内緒で始めた。キャバの仕事にはすぐに慣れた。しかし、キャバに勤めて十日目の夜、慎吾の働いているミナミはさけてキタにしていたのに、出勤前にお客さんと同伴の慎吾に出くわせてしまった。
2005-08-02 16:46:00 -
25:
るみ
慎吾はあたしの姿を見つけると、一瞬固まったように立ち止まり、あたしのほうへ、駆け寄ってきた。
「お前、こんなとこで何してんねん。」
横にいた二十代後半の派手な女の人は、大きな声で慎吾を読んでいる。
慎吾は一旦女の人のところに戻り、なにやら話をして女の人は怒ったように去って行った。2005-08-02 16:47:00 -
26:
るみ
「ちょっと来い。」
大きな声で言うとあたしの腕をぐいぐい引っ張って行く。
あたしは恐かった。それまで、慎吾のそんな恐い顔を見たことがなかった。
地下鉄の階段の踊り場まで連れていくと、慎吾は尋ねた。
「お前、どこ行こうとしてんねん。いったい、俺に隠して何してんねん。」2005-08-02 16:48:00 -
27:
るみ
あたしは、上手い嘘が見つからず、しどろもどろな口ぶりになった。
その時、いきなり慎吾の手があたしに飛んできた。
何かすごい激痛を、鼻のあたりに感じた。
慎吾はキレて止まらない。「男と会うんか?あー?なんやねん。言うてみぃや。」
今度はお腹のあたりに、拳が飛んできた。
あたしはあまりの恐怖に、「助けて!」と通りすがる人に叫んだが、みんな関わりたくないのか、足早に去っていく。2005-08-02 16:49:00 -
28:
るみ
「ごめんなさい。慎吾にばっかり迷惑かけられないと思って、キャバでバイトしてた。」泣きながら、あたしが言った。慎吾は恐ろしい顔で「俺は、キャバ嬢のお前とつきあったんちゃう。そんな奴どこでもおんねん。お前は俺の嫁しとったらええねん。」そういうと、あたしのヒールをとりあげて、踵の部分であたしの太ももを強く打ち付けた。あたしは悲鳴を上げて、その場にうずくまって泣いた。
2005-08-02 16:50:00 -
29:
るみ
しばらくその場で泣き続けていた。慎吾はあたしを抱き上げると、「ごめんな。俺、お前のことほんまに好きやねん。
2005-08-02 16:51:00 -
30:
るみ
そう言いながら、あたしの頬を撫でた。
あたしはその手にびくっと体が硬直した。慎吾はあたしのカバンを取り上げ中から、ティッシュを取出しあたしの顔を拭いた。
無言で、慎吾の顔を見つめていた。慎吾はあたしの手を引くと笑顔で「今日は俺仕事休むわ。お前と一緒に家帰るわ。」と言った。
あたしは慎吾がわからなかった。2005-08-02 16:51:00 -
31:
るみ
家に帰ると、慎吾は浴室にお湯を貯めた。
ぽつんと無言で座っているあたしのそばに近づいて、あたしの体を抱きしめた。
「ごめんな。痛かったやろ。」頭を撫でながら、あたしにキスしてきた。2005-08-02 16:52:00 -
32:
るみ
「あたし、さみしかってん。慎吾にそばにおってほしかってん。」泣きながらあたしは言った。慎吾は頷いて、傷だらけのあたしを抱いた。
2005-08-02 16:53:00 -
33:
るみ
眠ってる慎吾を起こさないように、ベットから起き上がり、浴室に向かった。
鏡に写る自分の顔を見て、びっくりした。
口は切れ、腫れ上がり、頬にも青あざができ、違う人の顔みたいになっている。2005-08-02 16:54:00 -
34:
るみ
その顔を見ていると、泣けてきた。
慎吾は悪い男かもしれへん。でも、もうあたし慎吾から離れられへん。
お湯に浸かり、自分の弱さを呪った。2005-08-02 16:55:00 -
35:
るみ
浴室から出ると、慎吾は目を覚ましていた。
「俺、仕事行ってくるわ。」そう言って、スーツに着替えた。
「瑠美、ちょっとこっち来て。」
「うん。」2005-08-02 16:56:00 -
36:
るみ
あたしがベットのほうに近づいて、慎吾のそばに寄ると慎吾はあたしの両手を掴みいきなり手錠をかけた。あたしはびっくりして手足をばたつかせて、わめいた。
「とってー。なんでこんなことするん?」
「お前が悪い。お前も他の女みたいに、逃げるんやろ。」2005-08-02 16:57:00 -
37:
るみ
慎吾は悲しそうな顔であたしの顔を見つめていた。
手錠をかけられた手首は、動かそうとするととても痛かった。
「逃げたりなんかしない。あたしは、絶対に!だから、お願い。これをとって。」2005-08-02 16:58:00 -
38:
るみ
慎吾は首を横に振ると家を出ていった。
手錠をかけられたままあたしはベットに仰向けに横たわった。悲しいのかなんなのか分からない。ぼんやりとしながら目をつぶった。2005-08-02 16:59:00 -
39:
るみ
目を閉じて、しんとした部屋にひとりぼっちでいると、ものすごい恐怖感が押し寄せてきた。
窓の外から入ってくる月の光だけがあたしを照らしてくれた。
手錠で繋がれた手はひっぱっても、びくともしない。2005-08-02 16:59:00 -
40:
るみ
あがいても、どうすることもできない。
あたしはどうなってしまうんだろう。
唾を飲み込むたびに切れた口の中が痛んだ。2005-08-02 17:01:00 -
41:
るみ
ブラインドの隙間からは、まぁるい月が見える。
『そっかぁー今日は満月なんだ。』あたしは思った。満月のおかげで部屋の中は少し明るい。 悲しい時、月はあたしを見ていてくれる。月はあたしのことをなんでも知ってる。2005-08-02 17:01:00 -
42:
るみ
あたしは突然、押さえ切れなくなって大声を上げて泣いた。体の中から込み上げる悲しみを吐き出すように…。
なんか、もうどうでもよかった。あたしにはどこにも、逃げ場なんてない。2005-08-02 17:02:00 -
43:
るみ
あたしはどうすることもできないまま、泣き疲れていつのまにか眠っていた。
2005-08-02 17:03:00 -
44:
るみ
目を覚ますと朝になり、酒に酔った慎吾が帰って来ていた。
不気味な笑みを浮かべあたしに近づいてくる。2005-08-02 17:04:00 -
45:
るみ
あたしは背筋が寒くなった。恐い…。
「やめて。こっちに来んといて。」
慎吾は無言のままあたしの首筋から顔を舐めた。
あたしは抵抗したかったけど、なんだか体が動かなかった。2005-08-02 17:05:00 -
46:
るみ
慎吾は興奮して、あたしの体の隅々まで舌を這わせた。
「お前は俺のおもちゃや。」そういうと、どこからかバイブを取ってきて、あたしのあそこにあてた。
あたしは長時間トイレに行ってなかった為、おもわずもらしそうになった。
「もうやめて!こんなんいややぁー。」あたしは涙声で叫んだ。2005-08-02 17:06:00 -
47:
るみ
「おしっこがもれるー。やめてぇー!」
大声で叫んだ次の瞬間、あたしは失禁しながら、絶頂に達した。
恥ずかしさのあまり、大声で泣いてしまった。
慎吾はあたしの頭を両手で、だきしめ「かわいかったでー。」と言ってキスをすると、あたしの手錠を外して、自分のものをあたしの中に、差し込んだ。2005-08-02 17:07:00 -
48:
るみ
慎吾はあたしの足を大きく広げて、ゆっくりと出し入れする。ぐっと突かれるとたまらずに悲鳴のような喘ぎ声が漏れた。
「見て、入ってんで。」あたしは、狂ったかのように乱れまくった。2005-08-02 17:08:00 -
49:
るみ
慎吾はあたしの体の向きを、返させ後ろから突いた。それからも、色んな体位であたしの体を突いたけど、あたしの意識は朦朧として、何も考えられずに声をあげることしかできなかった。何度も上ってくる快感に、あたしは何度も果てた。
2005-08-02 17:09:00 -
50:
るみ
いつのまにか、あたしは気を失っていた。目を覚ますと、汚してしまったシーツを慎吾が外してくれていた。
「起きたか?今、中華の出前頼んだから。」
いつもの優しい慎吾に戻っていた。2005-08-02 17:10:00