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**心**

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  • 1:

    haru

    見えそうで見えない心…。知りたくても分からない心の奥底。

    あなたは今何を思い誰を想ってるの?

    聞きたくても聞けない…言いたくても言えない…『今』の二人が壊れるのが怖くて。

    2006-08-17 22:00:00
  • 2:

    haru

    『今日も楽しかったわぁ。また遊んでな!舞ちゃん』

    『うん。舞も楽しかった。またねー』

    車をおりながら私はまたいつものように嘘の言葉を並べる。そう…いつものこと。私にはどうでもいいこと。

    2006-08-17 22:05:00
  • 3:

    haru

    『ただいま…』

    いつものように家に帰り鍵を開けると私は一人でそうつぶやいた。

    シーンとした廊下を歩いて暗い部屋の電気をつける。別に返事をしてくれる相手などいない。ただ…言いたいから言ってるだけ。

    2006-08-17 22:11:00
  • 4:

    haru

    今日もくだらない1日だった。欲しかった靴を買ってもらい、軽くドライブして食べたかったお寿司を食べた。

    したかったことはできたはずなのに心は満たされない。

    買ってもらったばかりの靴を見ながら私は深いため息をついた。

    2006-08-17 22:15:00
  • 5:

    haru

    ブーッブーッ…
    ボーっとしながら何度もため息をついていると、携帯の震える音が聞こえ、かばんに入れてあった携帯に急いで手を伸ばした。

    [期待]というつまらない感情が私の心を支配する。
    心が痛い…。苦しくて痛い…。

    2006-08-17 22:25:00
  • 6:

    haru

    私は無意識に携帯をベッドに投げつけていた。

    未読メール8件。まこと…裕二…ひろ…。新着着信履歴5件。裕二…つとむ…なお…。

    期待は期待でしかない。するだけムダだと何度思ったんだろう。つまらない[期待]が自分自身を苦しくさせるだけなのに。

    2006-08-17 22:33:00
  • 7:

    haru

    『おもんないねん…』

    誰もいない静かな部屋で私は独り言をつぶやく。寂しい…寂しい…心は叫びに似た声で痛む。

    涙は出さない。絶対に…出さない…。泣いたら止まらなくなりそうだから…。我慢という張り詰めた糸が切れた時、私は私でいられなくなる。でも、心の信号は…もう赤信号の目前だった。

    2006-08-17 22:47:00
  • 8:

    haru

    ブーッブーッ…

    また携帯が鳴る。着信-ひろ。あたしは静かに電話に出た。

    『もしもし』

    2006-08-17 22:49:00
  • 9:

    haru

    『舞ちゃん?寝てた?ごめんなー急にかけて…ちょっと声聞きたかったからかけてもーた』

    どうでもいい男がどうでもいい言葉を並べる。だから結局[どうでもいい]でしかない。

    『そっかぁ…。ひろ暇なんやろ?飲みにいこっか』

    2006-08-17 22:54:00
  • 10:

    haru

    どうでもいい相手を心の穴埋めに使う。その場しのぎの穴埋めに…。

    『めっちゃ嬉しいわぁ。舞ちゃんが誘ってくれて。ずっと会いたかったし。今日は何でも好きなだけ飲んでなっ』

    目の前で嬉しそうにはしゃぐ男。でも心はからっぽな私…。

    2006-08-17 22:58:00
  • 11:

    haru

    (そんな時は僕の所へ〜おいで歌を〜♪)

    ぼーっと頼んだ飲み物を待っていると携帯が鳴った。コブクロの[轍]。彼の…着信音。

    私は急いで携帯を握りしめて店の外へと走った。『彼』は…特別。私の心は一瞬で満たされていく。

    2006-08-17 23:06:00
  • 12:

    haru

    『もしもし?』
    『舞?何してるん』

    『なんもしてないよ。ぼーっとしてた(笑)よっ君は?』
    電話の声だけで嬉しくなる。私を笑顔にできるのは彼だけ。陽介は私の…元気のみなもとだった。

    2006-08-17 23:13:00
  • 13:

    haru

    『今仕事終わってん。舞が暇してたら会いたいなーって思って』

    陽介はいつもこう。急に会いたいと電話をしてきて私の心を揺らす…

    『暇やで』…。ばかな私は今日もこう言う。今お店に入って飲み始めるところだったことも忘れて。

    2006-08-17 23:20:00
  • 14:

    haru

    『じゃあ今からとりあえず迎えに行くわ。マンションの前着いたらまた電話するなー』

    明るく電話を切ると少し気が抜けた。陽介に会うのは10日ぶり…。やっと…会える…。

    私は急いでお店に戻ると来たばかりのお酒に手を伸ばし、グッと一気でのみほした。

    2006-08-17 23:25:00
  • 15:

    haru

    『帰るわ。ダッシュで送って』

    『えっ!?』

    驚くひろなんて目に映っていなかった。私の心はドキドキと加速度を増しながら上がっていく。目の前にいるどうでもいい男はもうどうでもいい。とにかく早く彼に会いたい…

    2006-08-17 23:30:00
  • 16:

    haru

    『また連絡してな…今日全然話されへんかったし』

    落ち込んでいるように見えるひろを、見て見ぬふりしながら私は車をおりる。[また]…か…

    『ありがとーごめんなー』私は笑ってドアを閉めた。どうでもいい相手にはどうでもいいことができる。だって…どうでもいい相手なんだから。

    2006-08-17 23:36:00
  • 17:

    haru

    いつからこんな自分になったのかは分からない。心には罪悪感さえなかった。

    自分がよければそれでいい。気付けば人の心を無視しても欲望のままに動いている自分が板についていた。

    追われたら逃げたくなる、逃げられたら追いたくなる…恋愛って結局単純なもので。

    2006-08-20 06:04:00
  • 18:

    haru

    車からおりると私は急いで家に帰った。

    鏡を見ながら髪を整え化粧を直す。適当だった服装を[彼]の好きな女の子らしい服装に着替える…。

    馬鹿らしいぐらい必死な自分がそこにいた。彼氏でもない男のために必死で努力をしてる私。

    2006-08-21 00:50:00
  • 19:

    haru

    好きだと言ってくる男は自慢じゃないけど何人もいた。

    私に尽くしてくれる都合のいい男が何人も。でも心は[彼]しか見えなかった。

    2006-08-21 00:54:00
  • 20:

    haru

    そんな時は僕のところへ〜♪

    携帯が鳴った。コブクロの轍…彼の…着信音。

    急いで電話に出てすぐに家を飛び出した。一秒でも早く…会いたかった…。馬鹿な女だと何度思っただろう。それでも…頭では分かっていても…心は止まらなかった。

    2006-08-21 00:59:00
  • 21:

    haru

    『ごめんなぁ急に。しんどくない?』

    車に乗り込んだ私に彼は優しく問いかける。彼の声がすごく…あったかくてなんだかとても切なかった。

    『しんどくないよ。全然元気』

    2006-08-21 01:10:00
  • 22:

    haru

    笑うことしかできなかった。いつもいつも…私は笑ってた。

    どんなに心が痛くなっても…彼の前では笑ってた。好きだから…笑ってたんだ。

    『どこ行く?』

    2006-08-21 01:13:00
  • 23:

    haru

    『どこでもいいよっ』

    本当は眠い。本当は体もしんどかった。でもそんなことを忘れさせてくれるぐらい彼は私にとってすごく大切だった。

    陽介は…[特別]だから。特別な人だから…。

    2006-08-21 01:17:00
  • 24:

    haru

    車はカラオケ屋の駐車場についた。ここは私と彼のいつもの場所。

    どこ行く?そう話ながらもいつもこうしてこの場所にたどり着く。カラオケが好きなわけじゃない。歌いたいわけでもない。

    ただ…ここに来てしまう。部屋に入ると狭い空間が私達を引き寄せてくれるから…

    2006-08-21 01:25:00
  • 25:

    haru

    『生ビールと酎ハイライムになります、ごゆっくりどうぞ』

    店員がドリンクを運んでくれる。私と彼は静かにグラス同士を軽くあてあった。

    隣から漏れてくる楽しそうな歌声の中、静かな空気が部屋をうめつくしていく。

    2006-08-21 01:28:00
  • 26:

    haru

    『あれからどうなん?彼女と』

    『え?あぁ…』

    彼には彼女がいた。二年付き合っている彼女が。私は知っていてこうして会っている。ほんっとに最低で最悪でバカな女。

    2006-08-21 01:31:00
  • 27:

    haru

    『もうほんまにあかんわ。無理やわ…。別れたいねん』

    彼はそう言ってタバコをふかす。それって本心?そう聞きたくても聞けなかった…。

    彼の迷いが伝わってくる。本当は彼女を好きなんだと…私にはそう感じられた。

    2006-08-21 01:36:00
  • 28:

    haru

    こうやって彼の話を聞くようになってからもう2ヶ月がたつ。

    出会いは3ヵ月前。あの時はまだ…彼女の存在なんて知る由もなかった。勝手に惹かれて彼を…好きになってしまった頃、私は彼女がいることを知った。

    彼女がいるなら先に言えよ!って思った。でも彼には責任はない。女がいるのか聞かないまま勝手に好きになったのは私だから。

    2006-08-21 01:43:00
  • 29:

    haru

    静かな空気が私の平常心を奪っていく。
    陽介といると苦しくなる。心がすごく…痛かった。

    いつもそう。それを分かってるのに…会いたくて会ってしまって…結局どんどん心が痛くなって。
    それなのに好きな気持ちばかりが先走ってふくらんでいく。会う度にまた惹かれてく…

    2006-08-21 01:50:00
  • 30:

    haru

    『舞…こっち来て』

    陽介の柔らかい声が私を呼ぶ。行ったらあかん…。これ以上好きになったら…引き返せなくなる…。

    分かってた…でも…分かっているのにそれができなかった。優しく手を伸ばす彼の腕の中に私は躊躇うことなく飛び込んだ。

    2006-08-21 01:55:00
  • 31:

    haru

    『好きやで…舞』

    陽介のあったかい声が私を包む。今は…今だけは…私だけのもの。頭によぎる[彼女]とゆう存在を私は必死で消し去ろうとしていた。

    抱きしめられる度、好きになっていく。だめだと分かっていて続ける逢瀬…。もう周りなんて見えない…。

    2006-08-21 02:00:00
  • 32:

    haru

    『舞も好き…』

    陽介の目を見て私はそう言った。陽介は強く抱きしめてくれた。自分の心を隠すかのように。

    なぁ…今何を考えてんの?誰を想ってる?私のこと…ちゃんと見てる?…言いたい…ちゃんと聞きたいよ…

    2006-08-21 02:06:00
  • 33:

    haru

    『ほんまに好き?』

    って聞いたことはなかった。目をそらされるのが怖くて…一度も聞けなかった。好きと言われる度に…怖かった。

    2006-08-21 02:11:00
  • 34:

    名無しさん

    切ない?

    2006-08-21 02:16:00
  • 35:

    haru

    『別れたらいいやん』

    って言葉も言えないまま。いつも今日こそは言う、今日は絶対にはっきりさせよう…って思っていても口には出せなかった。

    陽介の心が透けて見えたから…。私には…言えなかった。

    2006-08-21 02:17:00
  • 36:

    haru

    理解のある賢い利口な女を私はいつからか演じてしまうようになった。

    陽介を困らせたくない。『今』の私達を壊したくなかった。

    そうやって切ない時間を過ごしていくうち、私は自分の心を塞いでしまっていた。泣きたいくらい苦しい気持ちをごまかすように笑うくせが…いつの間にかついてしまってたんだ。

    2006-08-21 02:30:00
  • 37:

    haru

    『お前はほんまにいい女やわ…』

    私を抱きしめながら陽介は枯れそうな声でそう言った。

    陽介?じゃあ私を彼女にしてよ…私なら陽介のこと苦しめたり悲しませたりせえへん。絶対…いつも陽介を笑わせてあげるで?…心は叫びをあげていく。

    2006-08-21 02:35:00
  • 38:

    haru

    『あったりまえやん(笑)舞がいい女ちゃうかったら焦るわ』

    ちゃかすように笑って私はそう言った。

    いつもそう。言いたいことは言えない。どうでもいい言葉が次々に出てくる。心とは正反対に…ちゃかすことしかできない。

    2006-08-21 02:40:00
  • 39:

    haru

    陽介には二年付き合っている彼女がいる。

    名前は祐実。陽介と同い年の彼女。性格は…束縛が激しい自己中だと陽介は言っていた。

    どこまでか本当かは分からない。でも彼女はかなりの束縛屋で陽介が長年付き合ってきた男友達にも嫉妬するくらいの子なんだと聞いた。

    2006-08-21 02:46:00
  • 40:

    haru

    『自由がないねん』

    よく陽介はこう言ってため息をつく。私と会うのも彼女と喧嘩した時やうまくいっていない時ばかりだった。

    じゃあ別れたら?男のくせにはっきりしたらいいやん!…私は会う度にいつもそう思っていた。

    2006-08-21 02:49:00
  • 41:

    haru

    でも…言えない。
    好きだから…言えなかった。私まで陽介を苦しめたくない。

    でもそう思っているうちに苦しくなっていたのは私のほうだった。
    心が壊れそう…もう…あかんわ…。

    2006-08-21 02:55:00
  • 42:

    haru

    強い心がほしい。何があっても壊れない心が。

    そしたらずっと…陽介のこと好きでいられるのに…。

    ずっと…こうしていられるのに…

    2006-08-21 02:57:00
  • 43:

    haru

    もうやめよう…。こんなこと続けてたらあかん。陽介には彼女がいる。どうすることもできないんだから…。

    抱きしめられながらそう心に決めた。もう今日で最後にしよう。今日で…最後に。

    好きな気持ちを押し殺してそう決意するのは容易いものじゃなかった。心が…泣いてるような気がして少し震えた。

    2006-08-21 03:07:00
  • 44:

    名無しさん

    ?

    2006-08-21 03:48:00
  • 45:

    名無しさん

    ???

    2006-08-21 17:53:00
  • 46:

    haru

    『もう…やめよう。会うのはもう…』

    私は震える声で静かにそう言った。

    『舞…なんで?なんでなん?なんで…』必死で私にすがる顔をする。陽介の目は寂しがる子供のようだった。

    2006-08-21 21:54:00
  • 47:

    haru

    言えなかった言葉がある。ずっと…言いたくても言えなかった言葉が。最後だから…ちゃんと伝えよう。心を…見せるんだ。

    『好きやから…陽介が…好きやから…だから…もう会われへん』

    寂しい気持ちよりも愛しさが心を締め付けてた。苦しさは好きだから生まれる痛み。

    2006-08-21 22:00:00
  • 48:

    haru

    出会わなければよかった。こんな思いするくらいなら…会わなきゃよかった。好きにならなきゃ…よかったのに。

    好きな人から離れる道を選ぶことがこんなに苦しいなんて…思ってなかったから。

    どうして人は人を好きになったり嫌いになったりするんだろう。そんな気持ちがなかったら誰も傷ついたりしないはずなのに…

    2006-08-21 22:03:00
  • 49:

    haru

    『好きなんやったらもう会わんとか言わんとって…俺は舞のこと好きやねんで?』

    陽介は悲しい声で私を強く抱きしめてそう言った。

    なぁ…だったら教えてよ?私のことちゃんと見てる?そんな簡単に好きって言わんといてよ…

    2006-08-21 22:09:00
  • 50:

    haru

    『もう…あいつとは別れるから。ちゃんと話するから。だから…もう会わんなんか言わんといてや…』

    今にも泣きそうな顔で私を見る。せこいわ…そんな顔されたらまた心揺れるやんか…

    心はまっすぐあなただけを見てた。あなただけを…想って。

    2006-08-21 22:15:00
  • 51:

    名無しさん

    まじ切ない?頑張ってください?

    2006-08-21 22:18:00
  • 52:

    haru

    『もう!そんな顔しなや…もう言わんから。会わんとか言わへんから』

    心はまっすぐあなただけに向いていた。純粋に…ただほんとに好きだった。

    だから…私は今日もあなたから離れることができずにいる。笑ってごまかすんだ。心の寂しさや痛みなんて。笑って…

    2006-08-21 22:20:00
  • 53:

    haru

    どんどん惹かれていくのが自分でも分かっていた。

    初めて会ったあの日から、私はきっとあなただけを見てた。

    『駅まで送ってくわ』そう言ってくれたあの時から…心はあなただけに向いていた。

    2006-08-21 22:34:00
  • 54:

    haru

    『大丈夫?めっちゃ疲れたんちゃう?仕事覚えていけそう?』

    研修初日、駅までの帰り道を送ってくれながら、彼はそう言って私の隣を歩いてた。

    契約社員として雇用された私は、勤務店舗とは別の店舗に新人研修をうけに行った。その研修先にいたのが彼…陽介だった。

    2006-08-21 22:41:00
  • 55:

    haru

    陽介は早い話が上司だった。
    一歳しか違わないのに会社内の役職ポスト。それなのに明るすぎる位に明るくてやんちゃさが抜け切れていない。私みたいな契約社員にもすごく優しくて楽しい話をたくさんしてくれた。

    親近感をいだかせる笑顔で…笑ってくれてた。

    2006-08-21 22:48:00
  • 56:

    haru

    めったにいないタイプや…。私はすぐにそう思った。

    声を好きになり、話し方が好きになり、笑顔に…惹かれていく。

    陽介は裏表のない性格で誰からも好かれているようなそんな人だった。

    2006-08-21 22:51:00
  • 57:

    haru

    あと4日か…

    研修初日、家に帰るとため息がでた。新人研修は5日間。その1日目はもう終わった。

    研修が終わると会うことなんてないんだろうな…私はただの研修に来た契約社員なんだから。

    2006-08-21 23:54:00
  • 58:

    haru

    『マジで!?小原さん弁当持ってきたん?』

    お昼休憩の時、私のすぐ後ろから声がした。彼の声が…。後ろから私のお弁当箱をのぞきこみながら食べたそうな顔をしてた。

    可愛い顔…

    2006-08-22 00:35:00
  • 59:

    haru

    『陽さん見過ぎっすよ!小原さん困ってますやん』

    私のすぐ隣に座っていた同い年の小林くんという社員さんが彼を見ながら笑ってそう言った。

    『だってばーりうまそうやねんもん…俺卵焼きめっちゃ好きやねん』

    2006-08-22 00:39:00
  • 60:

    haru

    子供みたいに無邪気にそう言った彼を見てると、母性本能ってやつをくすぐられた気がした。

    『食べますか?』

    そう言うと、彼は私の顔を見ながら満面の笑顔で卵焼きを口にした。

    2006-08-22 00:42:00
  • 61:

    haru

    『…』

    『えっ!?もしかしてマズイですか!?ごめんなさい…吐き出してくれていいですよ!』

    食べてから何も言わない彼を見て私は焦ってそう言った。最悪…大失態やん…

    2006-08-22 00:45:00
  • 62:

    haru

    『ちゃうねん……つーかうますぎてなんもゆわれへんかったんやけど』

    『びっくりするじゃないすか(笑)マジっすか?僕も食べたいっすよ小原さん俺も食っていい?』

    彼と小林くんのやりとりを見ながら私は気がぬけてしまった。なんや…良かった…失敗じゃなくて。

    2006-08-22 00:49:00
  • 63:

    haru

    『お前にはまだ早いわー俺ぐらいビックにならな小原さんの卵焼きは食わされへんな』

    彼は笑って小林くんのおでこをピンとはねた。

    不思議な空気…心があったかくなっていく。彼がいるだけで明るくなる。夜道を照らす街灯みたいに…

    2006-08-22 00:53:00
  • 64:

    haru

    『陽さんのケチー。小原さん、こんな意地悪上司は無視しよなっ。てゆうか今度飲みにでも行かへん?同い年やしノリはそこそこ合うやろうし』

    小林くんはそう言うと携帯を取り出して私のほうを見た。

    あぁ…連絡先交換しよってことか…

    2006-08-22 00:58:00
  • 65:

    名無しさん

    読んでてすごく感動しました           もう終わりですかぁ?  もし続きがあれば書いてくださいねぇ??

    2006-08-22 00:59:00
  • 66:

    haru

    『あほか小林ーあかんぞ。うちに研修来てる子やのに悪い虫ついたら小原さんが働く店舗の主任に俺が怒られてまうわ』

    彼はそう言って小林くんの携帯を取り上げて折り畳んだ。

    あ…やっぱ研修来てるだけやもんな私。仕事で関わってるだけやもんな…

    2006-08-22 01:02:00
  • 67:

    haru

    『はいはい(笑)分かりました!陽さんのおらん時に聞こーっと』

    小林くんはそう言って食堂を出て行った。

    『あいつばりアホやろー?ほんまいつもあんなんやねん。でもあれがまた可愛いねんけどな』

    2006-08-22 01:05:00
  • 68:

    haru

    彼は優しい人。優しすぎるくらい…優しい人だった。

    心が揺れていく。ゆったりと…静かに揺れ始めていた。

    あなたの全てを知らなかったから…。彼女の存在を…知らなかったから。心は動き始めてしまったんだ…止まることもなくただまっすぐに。

    2006-08-22 01:12:00
  • 69:

    haru

    『卵焼き食わしてもらったお礼に今日飯でも行く?』

    突然の誘いだった。嬉しくてドキドキしていた。惹かれはじめている人から食事に誘われるなんて…私めちゃくちゃラッキーやん。

    『行きたいですーいいんですか?』

    2006-08-22 01:15:00
  • 70:

    haru

    『えーよ!仕事終わるまでに何食いたいか考えときな。とりあえず今からちょっと会議あるから行くわ』

    彼はにこっと笑いながら食堂を出ていった。

    心がうめつくされていく。彼の笑顔で…いっぱいになっていく。

    2006-08-22 01:19:00
  • 71:

    haru

    何も知らなかったあの時に戻りたい…。不安も不満も苦しさも…何もなかったあの頃に…帰りたい…。

    そしたらあんなにも涙を流すことなんてなかったよね?

    人を傷つけることも、傷つくこともなかったのに。心が壊れることも…なかったのに…

    2006-08-22 01:24:00
  • 72:

    haru

    『でな、こいつがそれでぶっ倒れてんやん』

    笑いながら彼は目の前でそう話している。二人で行くんだと思って喜んでいた食事の席には、小林くんもいた。

    彼は初めから二人で行くつもりじゃなかったみたいだった。当たり前か…

    2006-08-22 03:01:00
  • 73:

    haru

    『小原さんって下の名前なんてゆうんやったっけ?』

    盛り上がる空気の中、彼はふと私に聞いた。

    『あ、舞です』

    2006-08-22 03:04:00
  • 74:

    haru

    『可愛い名前やな』

    彼はそう言って私をじっと見ていた。私はどんどん顔が赤くなっていくような気がしてちゃんと目を見れなかった。

    言葉ひとつでこんなにドキドキする…。彼の言葉は私を恋とゆう魔法にかけていった。

    2006-08-22 03:08:00
  • 75:

    haru

    『じゃあ僕マイマイって呼んでいーっすかー』

    少し酔っ払った小林くんが舌っ足らずな話し方で私にそう言った。私は笑ってうなずいた。

    『ほんなら俺はちょっと偉いから舞って呼ぼ』彼は少し照れ笑いのようなものを浮かべながら私を見ていた。あかん…めーっちゃイイ!ほんまに…ドキドキしてくる。

    2006-08-22 03:14:00
  • 76:

    haru

    あなたの言葉は私の心を溶かしていった。

    凍ってしまってた私の心を…。あたたかく…優しく…溶かしてくれた。

    もう誰も好きにならない…そう思って塞いでいた冷たい心にあなたは光をさしてくれた。

    2006-08-22 03:19:00
  • 77:

    haru

    ずっと…暗く凍ってしまってた心だったのに。

    心を凍らせた出来事は彼と出会う前に起きていた。私には四年間付き合って二年半同棲していた彼氏がいた。

    すごく好きだったし私はきっとこの人と結婚するんだろう、自分でもそう思ってた。

    2006-08-22 03:25:00
  • 78:

    名無しさん

    ???

    2006-08-22 12:23:00
  • 79:

    名無しさん

    めっちゃきになる?

    2006-08-22 13:35:00
  • 80:

    haru

    長く付き合っていた分、お互いに分かりすぎるくらい分かり合えていたし、将来を見据えてちゃんと付き合ってた。

    …はずだった。

    信じてた。疑いもせずに心から…信じてた。

    2006-08-22 18:35:00
  • 81:

    haru

    『舞…大事な話あんねんやん』

    そう言われたあの時までは…。人は人を傷つけるために生まれたんじゃないよね?人は悲しい涙を流すために生きてるんじゃないよね?

    人は…人を幸せにするために…生まれてきたんだよ?

    2006-08-22 18:39:00
  • 82:

    haru

    『なにー?』

    私は夕食の後片付けをしながら光太郎に聞いた。同棲をしてから毎日のようにこうして光太郎の夕食を作り、私はお皿を洗う。当たり前な日常の普通の光景。

    大事な話がなんなのかも分からずに機嫌よく私はお皿を洗っていた。

    2006-08-22 18:45:00
  • 83:

    haru

    でも光太郎は黙り込んだまま続きを話す気配がない。変に思った私は洗い物をやめて光太郎の座るソファーに横並びに腰掛けた。

    『光太郎?なによ?』

    私は気になってせかした。聞きたくもなかった言葉のために…笑いながらせかしたんだ…。

    2006-08-22 18:49:00
  • 84:

    haru

    『舞…ごめん…』

    光太郎は初めて私の前で泣いた。四年も付き合っていたのに光太郎の涙を見たのは初めてだった。最初で最後の…涙だった。

    『光…ウソやろ?なぁ、冗談やんな?』

    2006-08-22 18:52:00
  • 85:

    haru

    『ごめ…な…』

    光太郎は泣きながら何度もそう言った。

    話を聞いても理解できない。現実を受け入れられない私は涙も出なかった。

    2006-08-22 18:55:00
  • 86:

    haru

    ずっと一緒だと約束してた。結婚するならお前しかおらんわって私にそう言ってた。光太郎…なんで…?

    信じていた心はボロボロになった。

    暗く…冷たく…凍っていく。裏切りという現実が…私の心を凍らせていった。

    2006-08-22 19:00:00
  • 87:

    haru

    『お前のこと好きやで。でも…別れてほしい…どうにもならんねん…』

    光太郎の言葉が何度も頭の中を駈けていく。

    『子供…できてん…浮気してた女に…でな、もうおろされへんぐらいでかいねんて…』

    2006-08-22 19:03:00
  • 88:

    haru

    頭の中で何度もリピートされる言葉。心は冷たくなっていく。

    光太郎は私と付き合っていながら、一年も前から由美子という女と遊んでいた。

    私がいながら他の女と…体の関係をもっていた。最低…

    2006-08-22 19:14:00
  • 89:

    haru

    一緒にいた四年間は一体なんだったのか。なんのためにこんなにも長い時間を過ごしていたのか。分からなくなっていく…光太郎の気持ちが…人の心が…

    由美子という女は私の存在を知っていた。分かっていて光太郎と会っていた。女も女で最低な奴だった。

    2006-08-22 19:18:00
  • 90:

    haru

    私という彼女がいるのを知りながら光太郎から離れることもせず、あげくの果てに中絶できなくなるまで妊娠の事実を光太郎に隠していた。

    『一人で産むから』

    光太郎は由美子にそう言われたと言っていた。ずるい女…光太郎がそんな言葉を聞いてほおっておけるような奴じゃないって分かっていて言ったんだ。

    2006-08-22 19:22:00
  • 91:

    haru

    今なら少しだけ分かるような気もする。あの女の気持ちも…分かるような気も。

    好きになった相手に彼女がいた。でも好きな気持ちは止められなかった。ただそれだけのこと。

    『最低…光太郎あんた舞のことなんやと思ってんのよ!四年も一緒におってんで…ずっと…一緒におっ…』

    2006-08-22 19:27:00
  • 92:

    haru

    涙で声が出なかった。裏切られた現実に言葉が見つからなくて。

    受け入れなければならない真実で濁っていく四年間の思い出…

    裏切りは楽しかった日々さえも汚していく。私の心を黒く暗く曇らせたんだ。

    2006-08-22 19:30:00
  • 93:

    haru

    光太郎との別れで私は人を信じることができなくなった。

    友達でさえ…心から信じることもできなかった。私は同棲をしていたマンションから引っ越し、すぐに仕事もやめた。

    心がからっぽで何も手につかない。半分ひきこもりのような日々を1ヶ月近く続けた。

    2006-08-22 19:41:00
  • 94:

    haru

    『あんたいつまで落ち込んでる気?はよ光太郎くんのこと忘れていいかげん前向きになりいや』

    彼女は私にそう言ってため息をつく。

    彼女は三日に一度くらいのペースで勝手にうちに来てこうやって私に説教じみたことを言う。

    2006-08-22 19:44:00
  • 95:

    haru

    彼女の名前は桜。私の幼稚園来の友達。

    桜はしっかりものでサバサバした性格。落ち込んでいる私にさえ優しい言葉はかけない。

    桜以外の友達はみんな優しかった。傷ついた私をなぐさめてくれた。でも桜はいつもこんな風に私を説教する。だけど何故かそれにいつもほっとできる自分かいた。

    2006-08-22 19:52:00
  • 96:

    haru

    『いつまでもこんなんしてても何も変わらんやろ?あんたの気持ちも分かるけどさ…気持ち切り替えへんかったらずっとこのまま変わらんねんで?それでいいん?』

    光太郎と別れて1ヶ月がたつ頃、私にそう言ったのは桜だった。

    相変わらずキツい言い方をする親友。慰めの言葉なんて全然ない。

    2006-08-22 20:14:00
  • 97:

    haru

    『関係ないやんあんたに。ほっといて』

    私は冷たく言い返した。光太郎と別れてからの私は、桜にさえも心を閉ざしていた。

    人間は簡単に裏切るねん。いくら長い時間一緒にいても…。光太郎みたいに…

    2006-08-22 20:17:00
  • 98:

    haru

    『関係ないって何なん?心配して来てんねんで?今日だって旦那に子供預けて来てんねんから』

    桜は怒った顔で私を見た。分かってた…分かってたけど…幸せそうな桜に私は知らぬうちに嫉妬してたんだ。

    『恩着せがましいねん。来たってる!みたいな言い方してさ。勝手に子供預けてんのは桜やし勝手に来てんのは桜やん。偉そうに説教せんといて』

    2006-08-22 20:22:00
  • 99:

    haru

    『なにそれ…もういい。勝手にして。あんたなんかもう知らんわ!』

    バタンと閉まるドアの音を聞きながら私は黙って泣いていた。

    結婚して子供を産んで、幸せそうに笑っている桜が羨ましかった。心に余裕がある桜が…羨ましかった。

    2006-08-22 20:27:00
  • 100:

    haru

    『なにやってんねやろ…わけ…わからん』

    静かな部屋で一人で泣いた。ほんとは桜の気持ちが嬉しかった。結婚してから家が少し遠くなったのに、私が光太郎と別れてからはこうやって3日に一度は必ず来てくれた。

    優しい言葉なんてかけてくれなかったけど、慰めより欲しい言葉を桜はくれてた。キツい言い方でも…嬉しかった。

    2006-08-22 20:33:00
  • 101:

    haru

    私が寂しい時、辛い時、いつも桜がいてくれた。小さい頃からずっと…

    そんな桜に私は甘えてしまってたんだ。

    ごめんな桜…。私もうやめる。こうやって立ち止まって悲劇のヒロインぶるのはやめる。前を向くわ。そしたらさ…いつか私も桜みたいに幸せになれるやんな?

    2006-08-22 20:37:00
  • 102:

    haru

    『舞ーお皿足りる?』

    『足りてるでーっ』

    三ヶ月後、私は桜の家にいた。鍋をするから来てくれと招待された。桜の家はマンションで、広くはない部屋だったけど、家族という暖かさが溢れているような部屋だった。

    2006-08-22 20:43:00
  • 103:

    名無しさん

    ??

    2006-08-22 22:46:00
  • 104:

    haru

    桜と喧嘩をしたあの次の日、私は桜に電話をかけた。

    一言…謝りたくて。

    大切な人を失うのが怖かった。桜は光太郎とは違う。桜は…絶対に私の心を傷つけるようなやつじゃない。だって…ずっとそばにいる。小さい頃からずっと…

    2006-08-22 22:58:00
  • 105:

    haru

    プルルルル…

    携帯から聞こえる音を聞きながら、私はそう思っていた。

    『はい』

    2006-08-22 23:01:00
  • 106:

    haru

    『桜?あんな…』

    『とりあえず鍵あけてといて。もうあんたんち着くから』

    プーップーッ…私が話そうとすると桜はそう言って電話を切った。

    2006-08-22 23:04:00
  • 107:

    haru

    着くからって…どうゆうこ…

    ピーンポーン…

    考える間もなくインターホンが鳴った。もしかして桜?

    2006-08-22 23:06:00
  • 108:

    haru

    急いで玄関にいき鍵を開けると勢いよくドアが開いた。

    『なんかようわからんけど…ほっとかれへんわあんたのこと』

    そこには子供を抱いた桜が立っていた。

    2006-08-22 23:14:00
  • 109:

    haru

    どんな想いで来たんだろう。こんなに小さい赤ちゃんを抱いて…。こんなにばかな私のために…

    『桜…舞な、謝りたくて…電話してん…そしたらあんたもう着くからとかわけわからんことゆ…』

    目頭があつくなっていく。涙で桜が見えなかった。

    2006-08-22 23:17:00
  • 110:

    haru

    『もう!舞泣きなやぁ…あんた泣いたらぶっさいくな顔なんのに』

    桜はいつものように私に言う。友達って…分かり合えているからこそ存在するものなんだ。

    親友は…何も言わなくても分かってくれる。心の痛みや苦しみを…。

    2006-08-22 23:22:00
  • 111:

    haru

    『これめっちゃおいしいで。食べた?』

    『食べたで。ほんっまにおいしかった』

    鍋を食べながら桜を見てあの日の出来事を思い出していた。やっぱり桜は桜。私の親友。きっとこの先どんなに気のあう友達ができたとしても、親友というポジションは、桜から変わることはないだろう。

    2006-08-22 23:25:00
  • 112:

    haru

    旦那さんと楽しそうに笑う顔を見ていると少し妬けてしまうくらい桜は幸せそうな顔をする。

    泣いている赤ちゃんを困った顔であやしながらも笑っている彼女を見ていると、ふと寂しくもなった。

    桜…私も絶対作るね。自分が幸せになれる場所を…

    2006-08-22 23:30:00
  • 113:

    haru

    光太郎と別れてから三ヶ月、仕事をやめた私は働くこともせずただ毎日をムダに過ごしていた。

    貯金もどんどん減っていく。このままじゃ…あかんやんな。

    ようやく一歩踏み出せそうな気がした。新しい自分を…見つけるんだ。幸せを…つかむために。

    2006-08-22 23:33:00
  • 114:

    haru

    ダラダラしていても始まらない。とりあえず私は派遣会社に登録をした。新しい人生のために。

    これがあなたとの出会いのきっかけを作ったんだ。

    偶然か必然かは分からない。でもきっと…なにか意味のある出会いだったんだよ。

    2006-08-22 23:37:00
  • 115:

    haru

    『どういった条件か具体的に教えていただけますか?』

    派遣会社のスタッフが私にそう聞いた。

    『完全週休二日で給与はだいたい20〜25は欲しいです。社員じゃなくても契約社員でもいいんである程度しっかりしてる職場を希望します』

    2006-08-22 23:41:00
  • 116:

    haru

    調子にのって条件をつけていく私。そんないい仕事ないやんな…

    『とりあえず…三社ほどリストをあげましたんで』

    えー?あんのかよ!って心の中で突っ込んだ。

    2006-08-22 23:52:00
  • 117:

    haru

    もしもあの時、提示されたうちの別の職場を選んでいたら…あなたと会うことはなかった。

    あなたを好きになることもなかった。

    こんなに心が苦しくなることも…なかったんだよね。

    2006-08-22 23:56:00
  • 118:

    haru

    『それでさっそくなんやけど小原さん。研修があって働くことになる店舗と別の店舗に5日間だけ研修に行ってもらわないとだめなんやけど。来週の月曜から金曜日大丈夫かな?』

    『はいっ。』

    刻々と…近づいていた。あなたに会う…あの時まで。

    2006-08-23 00:08:00
  • 119:

    haru

    いつか叶えたい夢があった。

    大好きな人と生まれ育った町の夕日を見たい。

    日置川の夕日を…一緒に見たい。赤く染まっていく綺麗な空を…静かな空気の中で…見たかった。

    2006-08-23 00:12:00
  • 120:

    haru

    もう光太郎のことは吹っ切れていた。桜のおかげで…私は前を向いて歩き出せた。

    いつかきっと見つかるから…。心から愛せる人が。私を心から愛してくれる人が。

    いつになるかは分からないけど…きっと…

    2006-08-23 00:17:00
  • 121:

    haru

    不思議だったんだ。

    あなたを初めて見た時…。見つけた…絶対にこの人だって…思った。

    ありふれた日常の中でのふとした出会いだったのに。普通の出会い…だったのに…

    2006-08-23 00:22:00
  • 122:

    haru

    『舞飲んでるかー?』

    『ほんまやぁマイマイ全然減ってないやーん』

    昔の色々な出来事をぼーっと考えていると彼と小林くんが私にそう言った。

    2006-08-23 00:25:00
  • 123:

    haru

    無邪気にはしゃぐ二人を見ながら私は現実へと引き戻された。

    今は…楽しい。こうしているだけで自然に笑える。

    凍っていた心はもう溶けはじめていた。あなたがいたから…私は心を取り戻せたんだ。

    2006-08-23 00:28:00
  • 124:

    haru

    『あ…時間…』

    『『えーっ!?』』

    彼の言葉に私と小林くんは声を揃えて驚いていた。時間はもうすでに一時前だった。電車が…なくなった…

    2006-08-23 00:34:00
  • 125:

    haru

    『俺はまぁ近いから大丈夫やけどなっ』

    焦っている私たちを尻目に彼はニヤっと笑っていた。

    やんちゃな顔をして笑う。その顔に吸い込まれそうになる。ううん違う…もう私は吸い込まれてた。

    2006-08-23 00:38:00
  • 126:

    名無しさん

    ドキドキ

    2006-08-23 01:16:00
  • 127:

    名無しさん

    ?

    2006-08-23 19:20:00
  • 128:

    名無しさん

    ??????

    2006-08-24 22:34:00
  • 129:

    haru

    あなたは私の心の隙間から静かに入ってきたよね。

    『コバ帰れるやろ?遅なってもうたし俺舞送ってくわ』

    気付かないくらい自然に…入ってきてた。

    2006-08-24 23:19:00
  • 130:

    haru

    『陽さん送りオオカミなっちゃダメっすよ(笑)マイマイばいばーい!お疲れーっす』

    お店を出ると小林くんはそう言って一人で帰って行った。

    私は急に二人になったせいかドキドキして黙りこんでしまった。彼も何も話さないまま時間だけが静かに流れていく。

    2006-08-24 23:25:00
  • 131:

    haru

    チワワ…?似てるか?

    『主任はあれに似てますよねー?あのあれ!海猿の…』

    肝心なところで名前が出てこない。記憶力のなさを痛感した。

    2006-08-24 23:40:00
  • 132:

    haru

    『あー。伊藤英明やろ?それたまに言われるわぁ』

    『そう!伊藤英明!』

    そう言いながらちょっとスッキリした。気にしだすととまらなくなるたちだから。

    2006-08-24 23:45:00
  • 133:

    haru

    『てゆうか遅なってごめんなぁ。ほんまコバ喋ると止まらんから』

    ぱっちりしてるのに笑うとなくなる目、優しい声、居心地のいい空気…

    自然に…自然に惹かれていく。心は知らないうちにあなたへと傾いていた。

    2006-08-25 23:31:00
  • 134:

    haru

    『ごめんなぁ大通り出たらタクシー拾えるからもうちょい歩くけど我慢してな』

    彼はそう言って私の背中をトンッと叩いた。

    ドキドキする…。若い頃に感じたような甘酸っぱい気持ちだった。

    2006-08-25 23:35:00
  • 135:

    haru

    『こんな時間まで舞遊ばしてもうたし彼氏に怒られへん?大丈夫?』

    ふと彼がそう言った。彼氏か…。…思い出したくない忘れたはずの光太郎の顔が浮かんだ。

    『大丈夫ですよ別にいないし…』

    2006-08-25 23:39:00
  • 136:

    haru

    忘れたい。過去のことは全て綺麗に忘れたい…。思い出したくない。癒えた傷を開くようなことはしたくないから…。

    『えっ?ほんまにおらんの?』

    でも、あなたはその傷口を開いていった。

    2006-08-25 23:43:00
  • 137:

    haru

    『ほんとですよ』

    忘れていたのに…前を向いて歩き出してたのに…あなたは何も知らずに私を過去へと引きずり戻した。

    『いつからおらんの?ってゆうか何で別れたん?』

    2006-08-25 23:46:00
  • 138:

    haru

    答えたくない質問ばかりが続いていく。

    言えると思う?四年付き合ってた彼氏に浮気相手がいて、その女に子供ができたって…。それで別れたんだって。言えるわけない…。

    『五ヶ月前くらいかな…色々あって。簡単に言えば浮気かな…』

    2006-08-25 23:49:00
  • 139:

    haru

    『ふーん…まぁ生きてたら色んなことあるよなぁ。でもそうゆう運命やったんちゃうか?』

    『え…?』

    『もっといい男に出会う運命やからそいつと別れたってこと。なんでもプラスに考えなあかんで』

    2006-08-25 23:56:00
  • 140:

    haru

    『あぁ…そうですね。プラスかぁ…』

    運命というものがもし本当にあるなら、どうして私は彼に出会ったんだろう。

    彼に…惹かれていったんだろう。神様、教えて?彼が私の…運命の人だよね?

    2006-08-26 00:00:00
  • 141:

    haru

    『あっタクシーや』

    大通りにでるとすぐにタクシーがつかまった。彼は手をあげて先に乗り込むと、私の荷物を持ってくれて中へと乗せてくれた。

    『舞どこらへん?運転手に場所言い』

    2006-08-26 00:03:00
  • 142:

    haru

    『中崎町まで…』

    タクシーは静かに走り出した。夜の景色が窓越しに目に映る。綺麗に光る色がいっぱいだった。

    会社の近くにある彼の地元からは中崎町は遠い。車を飛ばしても30分はかかる。

    2006-08-26 00:10:00
  • 143:

    haru

    『大丈夫か?しんどくない?』

    私をのぞきこんで彼は心配そうな顔をしてた。

    『大丈夫です。それより主任は大丈夫ですか?ってゆうかすいません。わざわざ送ってもらったりして…』

    2006-08-26 00:13:00
  • 144:

    haru

    『俺?俺は全然大丈夫やで(笑)なんてったってピチピチの25歳やもん』

    彼は子供のような無邪気な笑顔でそう言った。

    25…歳なんや…。若くないやん…って…私ももう24歳やん…。一歳しか違わない彼は、年齢より大人に見えた。

    2006-08-26 00:25:00
  • 145:

    名無しさん

    ?

    2006-08-26 09:07:00
  • 146:

    名無しさん

    age

    2006-09-04 03:06:00
  • 147:

    haru

    『あ…このへんで』

    家のすぐ近くにあるコンビニの前で私は運転手さんにそう言った。ドキドキだったタクシーでの会話ももう終わろうとしている。

    『ほんとありがとうございました』

    2006-09-06 01:23:00
  • 148:

    haru

    『いいよ全然。楽しかったし。遅くまでごめんな。じゃあまた明日!』

    彼は白い歯を見せて笑いながらそう言った。ドアが閉まり走り去っていくタクシーを見送ってると、なんとなく寂しくなる。

    もうちょっと…一緒にいたかったかも…

    2006-09-06 01:27:00
  • 149:

    haru

    でも家に着いてからも心の中でなにかがひっかかっていた。

    気づかなかった…。この時にはもう恋が始まってたんだ。

    心は動き出していた。自分でも分からないくらい…静かに恋は始まった。行くあてのない恋になることも知らずに。

    2006-09-06 01:39:00
  • 150:

    haru

    『おはようございます…』

    研修二日目。私はまた研修をうけるために朝から長く電車に揺られて仕事についた。

    『あっマイマイおはよー!ちゃんと寝れた?』小林くんがそう言って昨晩の話をふってきた。

    2006-09-06 01:43:00
  • 151:

    haru

    『全然寝れたよー』

    小林くんとは昨晩一緒に飲んだこともあって普通に話せた。いい奴ってゆうか性格がすごくいい人。

    『マッジーほんなーまた飲みにいこな』小林くんはそう言ってにこっと笑った。

    2006-09-06 01:49:00
  • 152:

    名無しさん

    頑張ってくださいね?

    2006-09-06 02:06:00
  • 153:

    名無しさん

    楽しみにみています??頑張って書いてくださいねぇ??

    2006-09-18 08:17:00
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