小説掲示板・∴夕桜∵・のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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・∴夕桜∵・

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  • 1:

    黄昏れ色に染まるは、桜。
    悔やむ想いのみ、
    薄紅の色に染まるは、春先。
    ひらりふわり、花弁は静かに舞い降りる。

    2006-02-28 21:30:00
  • 50:

    !!…ジリリリリリリ…‥!!
    ──けたたましいベルの音が6畳の部屋に響き渡る。
    『…ん…ふぁあ…』
    オフホワイトの布団からヒョロッと腕を出し、いきりたったベルの音源をたどる。
    …ジリリリリリリジリリリリリリ‥‥!!

    2006-03-02 13:04:00
  • 51:

    『…わかった‥うるさ‥いうるさい‥』
    ガバッと起き上がると、ベルを手で覆い隠した。
    --ジリリリ…‥。。。
    ピタリと音が消え、静まり返った部屋をひたひたと裸足で歩く。

    2006-03-02 13:07:00
  • 52:

    ----ガチャ…
    6畳の部屋よりも少し寒いダイニングキッチンへつくと機械的に冷蔵庫を開けると冷たい空気に目がしゃんとする。
    適当に取り出したペットボトルを唇に宛て、部屋にもどる。

    ♪♪♪♪♪♪♪♪♪

    2006-03-02 13:12:00
  • 53:

    ベットの方で鳴り出した携帯にため息をつく。
    *+*パカッ…‥
    かちかちとメールボックスを開く。
    画面には◆たける◆
    文章はハートが沢山散らばっている。

    2006-03-02 13:18:00
  • 54:

    画面にはもうひとつ沢山散らばっている言葉が。
    ◇ユナ◇
    それは無表情に携帯をいじる女の名前。
    ユナは返信ボタンを押すことなく携帯を閉じた。

    2006-03-02 13:21:00
  • 55:

    ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
    『また!?もー』
    閉じてまたすぐに携帯は色とりどりに光り、歌う。
    *+*パカッ…‥
    ピッ──!!『もしー。ヒナー?どしたのー…』

    2006-03-02 13:24:00
  • 56:

    『うん。アハハ!まじでー。わかったァァはいはーい』
    日常茶飯事の恋愛話をして、満悦したヒナはすぐに仕事に戻ると言って忙しそうに電話を切った。
    『ッはぁー。あッ!あたしも用意しなきゃー』
    重々しい腰をひょいっと持ち上げるとユナは洗面所へむかう。

    2006-03-02 13:29:00
  • 57:


    ━━彼氏、タケルは最近浮気している。
    Mailには無造作に配置されるハートが増えた。
    ユナの欝陶しい曇った気持ちは最近ずっと晴れない。

    2006-03-02 13:32:00
  • 58:

    『いらっしゃいませー』
    --いつも通りのレジの前。
    ユナは青い制服に身を包み、いつも通りにそこに立つ。
    タケルと付き合うきっかけだったのもここだった。
    お客さんだったタケルに告白されて付き合ったんだっけ。

    2006-03-02 13:36:00
  • 59:

    恥ずかしそうにホッペを染めて、ラブレターなんか渡してきたんだよね。
    まだ大学入りたてのタケル、素直で優しかったなぁ。
    あの頃は楽しかっ…
    『…‥ん!!!すいませーん!!店員さーん!!』

    2006-03-02 13:39:00
  • 60:

    『…は!!はい!!ごめんなさい!!えっと…147円が1点、480円が1点…』
    ピッピッピッ…‥
    『合計6ひゃく‥』
    『あ、タバコも。ラッキーストライク。ひとつ下さい。』

    2006-03-02 13:44:00
  • 61:

    ----目があった。
    レジを打つ手が一瞬戸惑いを窺わせる。
    『ユナ?まじ?ユナや!!』
    『たぁちゃん!!』
    そこには懐かしい笑顔。優しい優しいあの頃の笑顔が立っていた。

    2006-03-02 13:47:00
  • 62:

    たぁちゃんは地元の先輩。
    よく桜並木の道を一緒に通学した、
    ──初恋の人──
    ユナは久しぶりに笑顔を取り戻し、たぁちゃんと毎日毎日会ったり喋ったり。

    2006-03-02 13:50:00
  • 63:



    ?>>48-62?休憩します?

    .

    2006-03-02 13:53:00
  • 64:

    ──そんなある日。
    とある居酒屋でヒナと久しぶりに酒を飲んで笑っていた。
    『ヒナねぇ。』
    『ん?どしたの』
    『好きな人が居るの』

    2006-03-03 19:00:00
  • 65:

    『…うん。そっか☆』
    詳しく耳を澄ます事はなく、ヒナのピンク色のカクテルを持つシャンデリアのような指先を見つめ黙るユナ。
    『なぁんで突っ込んで聞いてくんないのぉ!?ブー!!』
    ハハッと笑って交わしてみるものの、ユナは向かいの硝子に写る自分を見る。

    2006-03-03 19:06:00
  • 66:

    ショップ店員のヒナと違い、規則に正しいコンビニ店員のユナの身なり…。
    輝く事なんて知らないかのような深爪。
    つけたはィィが、巻く暇のない色褪せたエクステ。
    春だってのに黒い恰好。
    目をキュッとつむり、ユナはヒナに目を戻した。

    2006-03-03 19:10:00
  • 67:

    甘いショートケーキの様に、真っ白なシフォンのワンピに身を包み、
    ほのかに明るい腰にかかるふわふわの巻き髪。
    ピンク色のカクテルも嬉しそうに傾く。
    自分の手には焼酎ロック。

    2006-03-03 19:13:00
  • 68:

    ──タケルが惚れるのもわかっていた。

    そう、ヒナの付き合ってる人はユナの彼氏。タケル。

    普通なら…わかってる。でもユナにはタケルを責める勇気も、ヒナにビンタくらわす苛立ちもなかった。

    2006-03-03 19:15:00
  • 69:

    ただ静かに…
    静かに『その恋』が終わるまで笑って待つ事しか、
    ユナには出来なかった。

    ─・・・・あの桜並木は、今年ももう咲き揃ってるのかな・・・

    2006-03-03 19:18:00
  • 70:

    目をつむれば、
    蘇る懐かしい香り。
    春風は桜を雪の様に振り撒いて綺麗な青空に映える。
    たぁちゃんや、友達と当たり前に見ていた景色。
    『色』のない街では、桜はもう何年もみていない。だからユナは今日も眠る。あの『色』のありふれた街へ、ユナは今日も眠りの列車で帰る。

    2006-03-03 19:22:00
  • 71:


    でも現実はやってくる。
    『ユナ‥ごめん…』
    色褪せた街に響くのはショートケーキのような友人の啜り泣く声と、部屋では笑い会った写真に写る、恋人の謝罪。
    『ヒナと付き合ってくって決めたから。ごめん。』

    2006-03-03 19:26:00
  • 72:

    数週間前の居酒屋ではキャラキャラと笑っていたヒナは泣きじゃくり俯いたまま。
    『あ…うん。』
    『ユナごめッッ…タケル君の事ッッ好きになっちゃ…て‥』
    うん。知ってるよ。タケルの他にも彼氏がいるって事も。タケルがお金持ちだから貢がせるって私達の共通の友達に話してた事も。知ってたよ。
    口はつむったまま、状況をまるで傍観者の様に黙って見ていた

    2006-03-03 19:32:00
  • 73:

    二人の出ていった喫茶店にユナは一人、
    したたるグラスの水滴を眺めていた。


    『まじで!!ユナよく怒らんかったなー!!俺ならぶっとばしてるわー。なんてねー』

    2006-03-03 19:35:00
  • 74:

    「はは。たぁちゃんは怒りっぽいもんねー」
    帰り道、ユナの足は鉛のように重くて淋しくて。
    たぁちゃんの声の聞こえる携帯電話は少し体をやわらげてくれた。
    『あ!!』
    「ん?たぁちゃ…」

    2006-03-03 19:38:00
  • 75:

    『桜!!桜がキレー!!』
    電話ごしにたぁちゃんの嬉しそうな声が聞こえる。
    「桜かー。随分みてないなー」
    『なんで?』
    「大阪の桜は…やっぱり地元の桜が綺麗だったし…」

    2006-03-03 19:40:00
  • 76:

    『ユナは!!』
    突如大きくなった受話器からの声にびっくりする。
    「え…」
    『ユナはなんでそんなにひとりぼっちな考え方なの?』
    「え、そんな事…」

    2006-03-03 19:43:00
  • 77:

    『ここにだって、綺麗な桜はいっぱいあるよ。お月さんだって花だって。見ようとしないで目をそらしてるのはユナでしょ?だいじな事忘れちゃって、この街に飲み込まれてんのは、ユナの方だよ。』
    核心はいつだって胸に痛く突き刺さる。
    たぁちゃんのゆったりとしたやは胸に突き刺さる。
    「そんなッッ!!たぁちゃんなんかなんもしらんくせにわかったような事ゆわんといて!!もうィィ!!ばいばいッッ!!」

    2006-03-03 19:48:00
  • 78:


    ───ジリリリリリリ…!!!

    そしてまた朝が来た。
    泣きはらした目は腫れぼったく熱を持ってじんじんと痛い。

    2006-03-03 19:50:00
  • 79:

    携帯はたぁちゃんに怒鳴ったまま電源を入れていない。
    持つ事すらなく、仕事だけする毎日が続いた。

    『藤田さん!!!藤田さん!!』
    何日かしたある日の仕事中。苦手なパートのおばさんが飛んで来た。

    2006-03-03 19:53:00
  • 80:

    「はい?」
    『親御さんから電話!!なんか携帯がつながらないとか言って。早く出ておいで!!』

    欝陶しそうに受話器を持ち上げ耳にあてる。
    「お母さん?何、今仕事中…」

    2006-03-03 19:55:00
  • 81:

    「は…‥?」
    『だから、田島さんとこの息子さん!!たぁちゃん?だったっけねぇ。一周忌よ!!去年亡くなったって。あら?ユナ知らなかったの…?』
    ----受話器からは一切の理解が出来ない母親の声。
    『もうあんた全然連絡つかないんだから!!去年も電話繋がらなかったからお葬式の時メールしたでしょ?』
    「あたし去年携帯なくして…番号かわった時言ったじゃない!!たぁちゃんが…死んだなんて‥そんな…」

    2006-03-03 20:02:00
  • 82:

    受話器はふらふらと机から垂れ落ちたまま、
    ユナは制服のまま、
    部屋の鍵だけにぎりしめて走り出す。
    ──何度も、何度も電話したじゃない。あれは…たぁちゃんだったじゃない!!死んでたなんて嘘!!何かの間違いよ…!!

    2006-03-03 20:06:00
  • 83:

    「ッッハァ…ハァッ‥ハァ…!!」
    カーテンを締め切ったままの部屋に入り、
    テーブルに置き去りにしていた携帯をひっつかむ。
    「早く!!」
    電源のボタンを力いっぱい押す手は震えている。

    2006-03-03 20:09:00
  • 84:

    画面が光り、待受画面がピカッと目に写った瞬間、
    着信履歴リストを開く。
    「は…‥!?」
    着信履歴には《たぁちゃん》の文字が
    ない。

    2006-03-03 20:12:00
  • 85:

    急いで電話帳を出す。
    ◇しょうこ◇
    ◇シンジ◇
    ◇タケル◇
    +*+*シンジとタケルの間に登録されていた名前は始めからそうだったかのように、ない。

    2006-03-03 20:16:00
  • 86:

    「なんで!?たぁちゃんは!?だって…あの時…たぁちゃんあたしに説教したじゃん!!!」
    ワケのわからない苛立ちは携帯に当たるかのように、壁に投げつける。

    ・・・・♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
    ユナは耳を疑った。

    2006-03-03 20:19:00
  • 87:

    壁に当てられ、部屋の隅で鳴り出したメロディにユナは耳を澄ます。
    それは、たぁちゃんの指定着信音。
    「なん…で!?登…録‥消えて‥‥のに…」
    ユナはゆっくりと立ち上がる。

    2006-03-03 20:23:00
  • 88:

    携帯は、何も知らずに鳴り続ける。
    「た…ぁちゃん‥?」
    手に持った携帯を開く。

    ●Mail受信●

    2006-03-03 20:25:00
  • 89:

    カチッッ…カチ‥カチ…

    ●本文●

    《ユナ?さっきはキツい事言ってごめんね。でも、俺はお前に笑ってて欲しいんね。お前が笑ってくれてたから、俺も頑張ろって毎日思えたから。俺はずーっとお前を見守ってるから。頑張れ。目一杯頑張りすぎなくてィィから、ゆっくりゆっくり頑張って。下を見てたら気付かないヶド、上を見たら、ちゃんとお前は生きてるんだから。花が季節を教えてくれて、風がお前の背中押してくれるでしょ?ちゃんとお前は生きてるんだよ。生きるんだよ。お前は、お前は絶対幸せになるから。》

    2006-03-03 20:36:00
  • 90:

    ユナの震える手には、
    一滴‥また一滴‥静かに頬を伝い涙が落ちて行く。
    「た…ちゃ…ズル…イよぉ‥!!じゃ‥横にいてよ…ぉ‥桜ッッ…桜が綺麗‥っ‥てッッ…笑っ‥笑っててよぉ‥ぉ…」
    ----にぎりしめた携帯はゆっくりと画面の色をまた黒く染めて行く。
    「やッッ‥消えないで!!‥…やだ…たぁ‥ちゃ…」

    2006-03-03 20:41:00
  • 91:

    ----数年前、体の弱いたぁちゃんを置いて夢を率先して大阪に出て来た。
    夢なんて忘れて、たぁちゃんも忘れて、この街に飲み込まれて今まで暮らしてきた。
    あの子や街のせいにして、見ないふりして逃げて来た。
    だから、たぁちゃんに再会した時本当は恥ずかしかったの。
    何一つ得てない自分が恥ずかしくて惨めだった。

    2006-03-03 20:45:00
  • 92:



    でも生きてる。
    あたしは生きてる。
    命はこんなあたしを見捨てないでくれた。

    2006-03-03 20:47:00
  • 93:


    カーテンから光がこぼれて部屋を明るく照らす。
    「‥ズッ…」
    ユナは窓辺に立ち、カーテンと一緒に窓を開けた。
    ──カラカラ…‥‥

    2006-03-03 20:50:00
  • 94:

    フワッ…
    春の風がユナの湿った頬に悪戯めいて吹きかける。
    「…?」
    何かが飛んで来てユナは頬に手を当てる。
    「…‥‥さく‥ら」

    2006-03-03 20:53:00
  • 95:

    少し恥ずかしそうに淡い桃色に染められた、
    柔らかいはなびら。
    涙を拭く綿のように頬に止まったそれはフワッと温かい。
    「きれー・・・」
    涙はスゥッと渇いて行く。

    2006-03-03 20:56:00
  • 96:

    一人じゃない。
    桜が咲けば、会いに行く。
    愛してやまない
    あなたの眠る所へ。
    いつか笑って「幸せ」を報告しに行くね。

    2006-03-03 21:00:00
  • 97:

    咲き誇るソメイヨシノ

    いつまでも、咲き誇れ

    ソメイヨシノ。

    2006-03-03 21:03:00
  • 98:



    ◆おしまい◆

    .

    2006-03-03 21:03:00
  • 99:


    ?>>48-98?

    .

    2006-03-03 21:05:00
  • 100:

    名無しさん

    リアルタイムで読みました?よかったです??

    2006-03-03 21:07:00
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