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■全力疾走。■
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1:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
走り続けたい。笑い続けたい。そうじゃなきゃ自分が壊れそうで。だけどいつまで走ればいい?いつまで笑っていればいい?ねぇ…もう走れないよ?もう…笑えない…
2005-07-04 07:28:00 -
2:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
桜井紅葉。?歳。クラブ嬢。なぜか生きている実感がない。しんどい。疲れた。痛い。苦しい。辛い。イライラする。なぜだろう?アタシはただ走り続ける。先の見えない未来のために。先の見えない幸せのために。
2005-07-04 07:35:00 -
3:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
アタシには彼氏がいる。翔太23歳。フリーター。俗にいう、元ヤン。アタシは今、翔太に恋している…のか?
2005-07-04 07:37:00 -
4:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『紅葉〜?ボケとん?ブリっとん?キマっとん?』翔太はアタシに聞く。そう…アタシは今だに薬物から抜けられない…。俗にいう薬物中毒者。
2005-07-04 07:40:00 -
5:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
「だからそんなんしてへんって!!いい加減にしてよ」アタシは認めたくない。薬物中毒って事。アタシにとってシンナーやマリファナや覚せい剤は、喘息の人が飲む発作止めの薬と同じ。アタシが生きるために必要な薬。アタシが壊れないために、アタシが走り続けるために、アタシが笑い続けるためにある薬。
2005-07-04 07:46:00 -
6:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『もうええって!ウザイって!草はええけどシャブとシンナーはすんなや。』翔太はこの言葉を繰り返す。何度言っただろう。だけどアタシは繰り返す。大好きなシンナーを。
2005-07-04 07:48:00 -
7:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
アタシは人じゃない。だんだん獣になって行く。翔太は人間。アタシは獣。昔、美女と野獣っていうディズニー映画を見た。鮮明に蘇る様々なシーン。アタシは人間に戻れるのだろうか。いつになれば、薬物から離れられるのだろうか。
2005-07-04 07:52:00 -
8:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
家に縛られていたアタシは男を知らない。生まれて初めて出来た彼氏。アタシは好きじゃなかったと思う。ただ、依存しただけ。
2005-07-04 08:03:00 -
9:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
束縛、SEX、暴力、薬物…この4つがあれば女は男から離れられない。
2005-07-04 08:08:00 -
10:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『…紅葉!?ボーっとして何考えとん?』翔太の声で現実に戻る。アタシは翔太を愛しているのだろうか?いいや、愛していない。ただ淋しいから翔太と付き合った。
2005-07-04 08:12:00 -
11:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
翔太はバツ1で子供も2人いる。だけど、奥さんに子供を取られて翔太は一人ぼっちだった。そんな翔太を紹介してくれたのは友達の真理子だった。真理子は翔太の元カノ。
2005-07-04 08:16:00 -
12:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『翔太いい奴やから。優しいし一途やし。紅葉の事大事にしてくれるわ。』真理子はそう言って翔太を紹介してくれた。アタシと翔太はすぐに付き合った。別にお互い両想いだったとかじゃない。お互いに淋しかっただけ。
2005-07-04 08:19:00 -
13:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
だけど好きじゃないって言ったら嘘になる。人相が悪く、無愛想な翔太がアタシは好き。甘えん坊で淋しがり屋な翔太が好き。
2005-07-04 08:22:00 -
14:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
翔太はアタシの事をどう想っているのだろう?アタシが聞けば彼は好きだと言ってくれる。アタシが聞けば…
2005-07-04 08:23:00 -
15:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『翔太〜なんでアタシと付き合ったん?』SEXを終え、煙草を吹かす翔太に聞いた。「女から付き合ってって言われたん初めてやったから。」『それだけ?』「前の嫁さんに逃げられて病んどったから助けて欲しかった。」『…それだけ?』「何て言うて欲しん?」『好きやから付き合ったんじゃないん?』「そんなんすぐに好きなれへんやろ?」
2005-07-04 08:28:00 -
16:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『アタシは好きやで?』「あっそー」『信用してないやろ?』「だからそんな簡単に信用なんか出来へんやん。口ではなんとでも言える。態度で示してや。」『どうしたらいいん?』「シンナー辞めて。って言うても無理やろぉ?結局は自分の意志やしなぁ。」『…』「好きやで…。嫌いじゃない。まだMAXちゃうけど紅葉の事は好きや。」
2005-07-04 08:33:00 -
17:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『翔太〜アタシにボケてよ〜』「お前が俺にボケたらなぁ〜。」翔太はアタシを好きじゃないだろう。翔太はいつも虚ろな目をして遠くを見つめている。その先には何があるの?アタシは知っている。翔太は前の奥さんを忘れていない。翔太…信じても戻ってこないよ?奥さんはアナタから離れたの。奥さんはアナタを捨てたの。。。
2005-07-04 08:39:00 -
18:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
翔太の淋しそうな目を見るたびにアタシは翔太に恋をする。だけど完全な人間じゃないアタシは完全に恋をしてはいけない。
2005-07-04 08:42:00 -
19:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
《お前から金を取ったら何が残る?醜い容姿と醜い性格。金以外でお前と付き合うメリットなんかない。》初めて出来た彼氏に別れる時に言われた言葉。
2005-07-04 08:45:00 -
20:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
男は皆信用出来ない。今まで何十人と付き合った。だけど全てが金で繋がる関係。金の切れ目が縁の切れ目。薬の切れ目が幸せの切れ目。
2005-07-04 08:48:00 -
21:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
アタシは幸せになるためにシンナーをする。幸せを見るためにシンナーをする。現実なんて見たくない。夢を見たい。
2005-07-04 08:51:00 -
22:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『翔太、こっち向いて?』「眠い…」『アタシが寝るまで起きといてよ。』「…うん。」『こっち向いてって…』「ダルイ…」『すぐ寝るから。こっち向いて寝て。』「俺はおかんの腹の中でこっち向いて寝てたの!だからそっち向いたら寝られへん!」『じゃぁ手…繋いで…』
2005-07-04 08:56:00 -
23:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
ベットの中での会話。別に愛してなんかいない。ただ淋しいだけ。アタシはいつになれば素直になれるのだろうか…。
2005-07-04 08:59:00 -
24:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
「これでいい?」『うん』「紅葉、なんで俺と付き合ったん?」『好きやから』アタシは嘘を付く。「じゃあマヂでシンナーやめろやぁ。」『うん』「俺も仕事捜すし…」『うん』「だから今月だけ助けてくれへん?」『はぁ?』「家賃、滞納してんねん。5ヵ月分。」
2005-07-04 09:04:00 -
25:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『意味分からんって。』「本間頼むわ。」『金ヅルなるんはもう勘弁やわ。』「なんなんそれ?別に金だけちゃうやんけ。」『知らん…』「ゴメンって。なんとかするわ。」『…寝る。』「おぅ。」アタシは翔太に背を向けて目を閉じた。涙は静かに零れ落ちた。
2005-07-04 09:09:00 -
26:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
「紅葉?寝たか…??」『起きとぉよ…』「トイレ行きたい…」『行ったらええやん。』「手離していい?」『うん』「寝れる?」『うん』「ちゃんと寝りよ?明日仕事やろ?」『トイレ行きたいんやろ?早く行きや。』「あぁ。」『戻って来てよ?』「俺、考える事あるからリビングで寝るわ」『なんで?一緒に寝たらええやん?』「一人にして」『わかった。おやすみ…』
2005-07-04 09:14:00 -
27:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
翔太はまた虚ろな目をしていた。ねぇ翔太。いつまでそんな目をするの?今、翔太の傍にいるのはアタシなのに。ねぇ翔太。アタシじゃ翔太を癒やせないの…?そんな目をしないで…。アタシを見て……
2005-07-04 09:18:00 -
28:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
アタシは走り続ける。アタシは微笑み続ける。本当はもうしんどくて、走れない。だけど走る。何かのためにただ走り続ける。走らないと一人ぼっちになりそうで。微笑まないと笑顔を忘れてしまいそうで。
2005-07-04 11:16:00 -
29:
まなか
?ぉレノ?
2005-07-04 12:56:00 -
30:
名無しさん
名作
2005-07-06 00:21:00 -
31:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
翔太とは2週間もしないうちに関係が切れた。現実に戻ったアタシはまたシンナーを繰り返す。
2005-08-07 21:12:00 -
32:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『別れよ。』「おう。」アタシ達が交わした最後の言葉。その言葉は翔太の部屋に静かに響いた。
2005-08-07 21:15:00 -
33:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
幻覚や幻聴に耐えられないアタシは苦しみ続ける。手が震える。そんなになってまでもシンナーを手放す事が出来ないアタシはただの薬中。そして現実から離れるために色んな男を食べる。
2005-08-07 21:19:00 -
34:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
ある朝、アタシは煙草を買いに行くためにローソンへ行った。早朝のローソンはさすがに人が少ない。『MaruboromentholLightワンカートンください』定員は「3000円になります」と機械口調で答える。煙草を買ったアタシは店を出ようとドアを空けた。
2005-08-07 21:24:00 -
35:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
『なぁ!100円貸してくれへん?』声をかけてきたのは見てからにヤンキーな男のコだった。「貸してって返してくれるん?」『うん!返すから!』アタシは財布を取り出し彼に100円玉を渡し「返さんでいいで。100円くらい。」と言った。
2005-08-13 16:37:00 -
36:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
ドアを出たアタシを彼は走って追い掛けてきた。『ちょっと待ってや!100円返すから番号教えて!』彼は大声で言った。めんどくさかったアタシは番号を教えて家路をたどった。
2005-08-13 16:42:00 -
37:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
その夜、知らない番号から着信があった。「もしもし…」『今日金借りた奴やけどわかる?!』「うん」『金返したいからローソン来てや!』暇なアタシは彼に会いにいった。
2005-08-13 16:44:00 -
38:
紅葉 ◆tr.t4dJfuU
アタシがローソンに着くと彼は駆け寄ってきて100円玉を返してくれた。『今時間ある?花火せーへん?』アタシはわけがわからずとりあえず「うん」と答えて近くの公園で花火をした。
2005-08-13 16:52:00 -
39:
名無しさん
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2007-06-20 08:43:00