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幸せの色。

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  • 1:

    ◆ObanGQEW7M

    10月―ミナミ
    寒い、昨日までとは打って変わって寒い。
    アキは自転車で店まで向かっていた。
    アキの家から、アキがレギュラーで勤めているキャバまでは自転車で10分くらいだった。

    2005-11-02 04:59:00
  • 51:

    ◆ObanGQEW7M

    「とりあえず中入ろうや。」
    マサキがアキとヒカリサンの間に入って2人の背中を押した。
    マサキはグロウの雇われ店長サン。アキと会うのは、これで2回目。
    まだ若いのに、落ち着いていて言う事はいつも力強い。

    2005-11-03 00:02:00
  • 52:

    ◆ObanGQEW7M

    グロウはヒカリサンの彼氏がオーナーで開店したばかりのバーだ。
    店内は広くないケド暗くてなんだか落ち着く。まるで何年も通っているバーみたいに、しっくりくる。
    店内に入ったらマサキはアキを見て爆笑した。

    2005-11-03 00:05:00
  • 53:

    ◆ObanGQEW7M

    「お前なんやねん!その顔!」
    アキのセットしていた頭はボサボサで、スッピンの上に涙で目が赤く腫れていた。
    「だぁってぇ〜」
    アキは顔をふくらましながらカウンターのヒカリサンの隣に座った。

    2005-11-03 00:08:00
  • 54:

    ◆ObanGQEW7M

    「ハイハイ、とりあえず、どぉしたん?」
    2人のやりとりを苦笑いしながら見ていたヒカリサンはアキの頭をなでながら優しく言った。
    「なんか…アキが悪いねんケド、なんていうか、もう2人はダメだったと思う」

    2005-11-03 00:10:00
  • 55:

    ◆ObanGQEW7M

    最近ウンザリするのが多かった事。金銭的に重荷になってた事。家の事。2人が冷めきってた事。
    アキは酔いに任せて思いつく事を片っ端から話した。
    「でもな、そんなんじゃなくて、アキが…嘘をついたから…あんかったんよ」

    2005-11-03 00:17:00
  • 56:

    ◆ObanGQEW7M

    「嘘…?」
    マサキはカウンター越しにアキをじっと見た。
    その時グロウの黒いドアーが開いた。
    「いらっしゃいませ〜」
    マサキの意識はアキから、入ってきた客に変わった。

    2005-11-03 00:19:00
  • 57:

    ◆ObanGQEW7M

    入ってきた客は、27歳くらいのスーツを着た男性と25歳くらいの新地っぽい女性だった。
    2人は新規ではないようで楽しそうにマサキと話している。
    アキはおもちゃをとられた子供みたいに、ふくれた。

    2005-11-03 00:22:00
  • 58:

    ◆ObanGQEW7M

    「マサキぃ〜!」
    これじゃまるでホストで酔って絡む痛客だ。
    マサキは優しく、ハイハイと言ってアキの方へ戻ってきた。
    「で、おまえがついた嘘って?」

    2005-11-03 00:24:00
  • 59:

    ◆ObanGQEW7M

    風邪をひいていたのと泣いていたのでアキの鼻はグズグズだった。
    何度も鼻をかんでいたせいで、さっきの2人もアキに何かあった事に気付いていた。
    「アキは心配かけたり、それで不安にさせるくらいなら、と思って……」

    2005-11-03 00:27:00
  • 60:

    ◆ObanGQEW7M

    「内緒で同伴したり…アフターって言ってクラブ行ったりした」
    話終えてアキが鼻をかもうとしたら、カウンターの3席隣にいた、さっきの女性が急に言った。
    「え〜!でもさぁ、彼女に嘘を言わせる状況を作った彼氏も彼氏じゃん!!」

    2005-11-03 00:31:00
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