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絆-Kizuna-
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1:
◎
頑張って書くので宜しくお願いしますm(__)m
2005-06-26 01:28:00 -
131:
◎
ドレスに着替えていると仲のいい久美ちゃんがビックリした顔で
「あれって矢口でしょ?すごいじゃん同伴」
と言った。やっぱりみんな同伴にビックリしてたんだ。
「たまたまだよ。すぐ帰ると思うし。」
着替え終わった私は何故か急いで矢口さんの席に戻った。ヘルプの女の子もいつもより積極的に見えた。名刺も置いてあったくらいだ。
「ごめんね。」
謝る私をじーっと見ながら矢口さんは腕組みをした。
「それ肌出しすぎじゃない?」
えっ?
「え?変・・・かな」2005-07-14 07:12:00 -
132:
◎
「いや、そうじゃなくて。可愛いけどそんなに肌出してたらオヤジに触られたりしないかなと思って」
オヤジ?
「大丈夫だよ。ちゃんとガードできるから」
「そうかなー。なんか羽織るようにしろよ。心配だし」
矢口さんの言う一つ一つの言葉で一喜一憂する私。バカみたいだけど嬉しくてあったかくなる。
お店が混みだし、指名が他の席でかかって移動してる時も矢口さんが見ているのが分かった。
だからいつもより変な緊張感が消えない。私もヘルプの女の子が気になってた。2005-07-14 07:19:00 -
133:
◎
ようやく矢口さんの席に戻れたのに矢口さんは不機嫌で何を言ってもウンしか言わない。私が黙ってると
「やっぱり俺だめだ。由里がオヤジといるの見てるといやんなる。今日もう一緒に帰ろ」
由・・・里?今由里って言ったよね?なんだか恥ずかしくなった。
気付けばもう三時間?4時間もいたんだ。他のお客さんも帰ったし帰っちゃおうかな。
「じゃあ待ってて」
私はマネージャーに矢口さんのアフターと言うと、上がれ上がれ、行ってこいと言われた。そのままロッカールームに着替えに行き、ロッカールームを出ると矢口さんが待っててくれた。2005-07-14 07:28:00 -
134:
◎
「もうチェック済んだから。行こっか」
そう言うとまた私の手を繋いだ。同じ帽子かぶって、夜の六本木を手を繋いで歩くなんて初めてだ。
英二とも六本木や夜の繁華街では繋いで歩いたことはない。お互いホステスとホストだったから。
矢口さんは有名人なのに堂々としてるなぁ。
「由里!もう帰りか」
すれ違った時に聞き慣れた声がした。黒木さんだ。私はビックリして手を離した。
「あっ帰りです。」
「そうかーお疲れ様」
黒木さんはそう言うとまた歩いて行った。2005-07-14 07:34:00 -
135:
◎
黒木さんは英二のこともよく知ってる。どう思ったかな?いつも言われてたのに。夜の世界で働く以上、夜の街では男の影さえも見せるなって。
なのに手を繋いで歩いてるとこ見られるなんて。
「お客さん?めちゃくちゃ恐そうだね」
矢口さんは何も知らないんだよね。だよね。
「んー。由里の六本木での守り神みたいな。夜の世界では裏のドンなんだ」
矢口さんは
「大丈夫なの?俺まずかったかな?」
「大丈夫だよ。気にしないでも」
私は駄目だと分かってたけど離した手をまた繋いだ。2005-07-14 07:40:00 -
136:
◎
タクシーに乗り、どこに行くかと思えば
「成城まで」
と矢口さんが言った。
「あ、由里ここからけっこう近いんです」
「分かってるよ六本木の近くって言ってたもんね。でも今日は一緒にいたいから。ちょっとだけいて。帰りは送るから」
私は拒めなかった。私も一緒にいたかったから。繋いだままの手を離したくなかった。
タクシーが止まり、大きなマンションの前でおりると、そこが矢口さんのマンションだった。2005-07-14 07:46:00 -
137:
◎
これがプロ野球選手の生活なんだー。すごいなぁ本当。感心しっぱなしだった。
「座りなよ」
矢口さんは着替えながら私に言った。
ソファーに座ったままキョロキョロしていると矢口さんが隣に座ってそのまま寝転んで膝まくらで私の顔を下からじっと見た。
またドキドキする。
矢口さんは私の顔を両手で持ち、自分の顔に寄せた。その時に初めてのキス。変な感じだったけど優しいキスだった。2005-07-14 07:59:00 -
138:
◎
それから矢口さんは小さい頃はパイロットになりたかったことや、野球漬けの毎日だった学生時代のこと、育った環境を私にたくさん話してくれた。
知れば知るほど惹かれていく。会ったばかりなのに。不思議な感覚が私を狂わせる。
「明日昼から球場行くけどそれまで一緒にいてくれる?」
私はうんと頷いた。
遊ばれてもいいやって感じかな。傷付いてもいい、今は一緒にいたいってそう思った。
寝室に入ると大きなTシャツを貸してくれて私はそれに着替えた。2005-07-14 08:04:00 -
139:
◎
本当に大きすぎて膝まで隠れるくらいだ。
「本当ちっちぇーな由里って」
ニコッと笑う矢口さんの顔が本当に好きになってく。前の彼女はモデルさんだっけ。矢口さんは私のことどう思って今日ここに連れてきたんだろ。
やっぱりやりたいのかな。うん多分そうだよね。
一人でそんなことばかり考えてると矢口さんが寝転びながらこっちおいでって手招きしてきた。
私がベッドに入るとギュッとしてきてしばらく静かな空気が流れた。私のドキドキ?違う矢口さんのドキドキだ。
聞こえてきた音は矢口さんの心臓の鼓動だった。2005-07-14 08:11:00 -
140:
◎
「俺ね、今日由里に会ってちゃんと言おうと思ってたの。まだ会ったばっかで信用できないかもしれないけど好きになったっぽいんだよね」
「もーいいよ。ありえないから」
私は何が何だか分からなくて話をはぐらかした。
「本当だって。今日思った。由里と一緒にいたいって。明日からもずっと。大事にするよ?俺」
何なの?これ夢?酔っ払ってるせい?2005-07-14 08:16:00