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お兄ちゃんが好き。 part ?

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  • 1:

    お兄ちゃんが好き。part ?
    http://bbs.yoasobiweb.com//test/read.cgi/yomimono/1117473268/1-5

    2005-06-13 03:45:00
  • 401:


    【皐月のやつ、学校辞めるらしい】

    ―――――え?
    『…や…やめる?』
    ―――皐月が?

    【ああ。さっき皐月から電話かかって来て…今の男と結婚するからって。もう俺と関わりたくないから、二度と電話してこないでくれってさ。何だったんだろーな?あいつ…】

    2005-06-19 01:31:00
  • 402:


    ……………そう……
    ……よかった………

    あたしがした事は……
    無駄じゃなかった……

    【ホッとしただろ?皐月の事、毛嫌いしてたもんな、お前】
    兄貴がからかうように、あたしに言葉を投げ掛けた。

    2005-06-19 01:33:00
  • 403:

    【男と結婚するのは決まってたらしいんだけど、結婚したらもう遊べなくなるから、俺にちょっかい出してたんだと】
    『兄貴、まんまと皐月に利用されてたんだね!』
    【うるせーよ。お前も、もうヤキモチ妬く事無くなって良かったな。ヤキモチ妬いてるお前可愛いかったから、俺としては残念だけど】
    ―――たわいもない会話。 幸せな会話。
    ………………でも………

    2005-06-19 01:34:00
  • 404:


    【俺も、大学やめようと思って】

    ……………え?!
    兄貴の突拍子の無い言葉に、あたしは耳を疑った。
    『は?な、何言ってるの兄貴?!』

    【いや…会ってから言おうと思ってたんだけど……お前が卒業したら、一緒に暮らすか】

    …………………………え……

    2005-06-19 01:37:00
  • 405:

    【俺が働くから、お前は進学して、学校には行けばいい】
    『だ…ダメだよ兄貴ッ?!大学辞めるなんて……ッ』
    【何が駄目なんだ?俺がそうしたいんだ。実家にいたら、お互い気使うだろ?家出れば、お前も少しは気が楽になると思うし…】
    『だ…ダメだよ兄貴…そんなの…』
    あたしの瞳から、涙が溢れた。

    2005-06-19 01:38:00
  • 406:

    【俺が、お前にしてやれるのはそれくらいしかない。ってゆーより、俺がそーしたいだけだって言ってるだろ?お前は嫌なのか?】
    『……………。』
    ………兄貴……あたしは……ッ

    『兄貴……』
    【何だ?】

    あたしは震える声で、言った―――
    『別れよう…』

    2005-06-19 01:41:00
  • 407:

     パパ―――

    車の音が、あたしの耳になり響く。
    【―――――。】
    兄貴の返事が、止まった。

    2005-06-19 01:42:00
  • 408:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 409:


    ――――携帯を切った。

    歩道橋の上に、ズルズルとしゃがみこんだあたしは、声にならない鳴咽を漏らし続けた。

    2005-06-19 01:45:00
  • 410:

    皐月から兄貴を守れた……
    もう、それだけで十分だった。
    真実を知られないまま、あたしは兄貴の「妹」に戻りたかったから。

    《 兄貴を、愛してる 》

    その気持ちすら、もうあたしの中で、曖昧になってしまっていた。

    2005-06-19 01:46:00
  • 411:

    ブブブ…ブブ…
    【着信:★兄貴★】

    それから何回も何回も、兄貴から着信がある。気付けば、着信履歴の半分が兄貴で埋まっていた。
    勝手に別れを切り出して、勝手に電話を切ったんだから、仕方ない。兄貴からしたら、訳がわからないだろう……。

    2005-06-19 01:48:00
  • 412:

    メール受信:兄貴
    【典子、電話に出ろ】

    『……………。』
    【ごめんなさい兄貴。あたし、もう疲れたの。もう兄貴の妹に戻りたい…】
    あたしはゆっくり、送信ボタンを押した。
    メール受信:兄貴
    【意味がわからない。理由をちゃんと説明しろ】
    理由……
    そんなの…自分でもわからない……!

    2005-06-19 01:49:00
  • 413:

    【急に、自分の気持ちがわからなくなったの】
    送信ボタンを押そうとすると―――
    ブブブ…ブブブ…
    【着信:秋吉】
    今は誰とも喋りたくなかったのにあたしは思わず電話に出てしまった。

    2005-06-19 01:50:00
  • 414:


    【あ!!典子先輩?俺でーッス!!】
    何も知らない秋吉の明るい声。
    『……………。』
    何故か、あたしは声が出せなかった。
    それどころか…秋吉の声を聞いた瞬間、ボロボロと涙が流れた。

    『……うッ』
    【……え?先輩?あれ?…な、泣いてんッスか?】

    2005-06-19 01:52:00
  • 415:

    『………ぅッ…ッ』
    【先輩?!何かあったんッスか?!】
    秋吉が慌てた様子であたしに問いかけた。
    『あ…あたし…もうどーしていいか…わからない………ッ』
    【いや、俺がどーしていーかわからないッスよ!とりあえず今から迎えにいきますから!今どこです?!】

    2005-06-19 01:53:00
  • 416:

    ―――その30分後。歩道橋の上でうずくまるあたしの前に、息を切らしながら走ってくる、制服姿の秋吉が現れた。
    『学校行かないで…こんなとこで何サボってんッスか…』
    『…あんたこそ…学校抜け出してきたんでしょ…?』
    あたしは、気力の無い声を振り絞った。
    『そりゃ…好きな女が泣いてたら飛んできますって』
    秋吉はゆっくりと、あたしの前にしゃがんだ。
    『何があったんッスか?』
    『……………。』
    『昨日、皐月さんから電話かかってきてたでしょ?それが原因ッスよね?』
    ………本当、こいつって鋭い……。

    2005-06-19 01:55:00
  • 417:

    それでも、あたしは黙ったまま、秋吉に一言も口を聞かなかった。

     フゥ……
    秋吉が、そんなあたしに溜め息を付き、呟いた。

    『今から、ウチ来ます?』

    『こんなとこでジッとしてても…周りに変な目で見られるだけだし。あ、下心とかは無いッスから!』
    ニカッと笑い、秋吉の手が、あたしの腕を引っ張った……。

    2005-06-19 01:57:00
  • 418:





    2005-06-19 01:58:00
  • 419:

    『あたし、あんたの彼女じゃないんだけど?!』
    『彼女になる予定だからいーんです♪あ、つっ立ってないでテキトーに座ってくださいよ』
    あたしは秋吉に言われた通り、テーブルの横に座った。

     シーン……

    部屋に、沈黙が流れた。
    『……あ、テレビでもつけます??』
    沈黙に耐えられなかったのか、緊張しているのか、秋吉がリモコンを手にした―――
    ――――瞬間。

    2005-06-19 02:02:00
  • 420:

    『あたし…兄貴に別れようって言ったんだ』
    『……え……?』
    リモコンを押そうとした秋吉の指が止まった―――。

    あたしは、カバンの中の携帯を開いた。
    …あれからも、兄貴からの着信は止んでいない。
    『…あたしね…あたし…もう自分の気持ちが解らなくなったの…兄貴を好きな自分の気持ちが、「女」としてなのか「妹」としてなのか…解らなくなった…』

    テーブルにふさぎ込んだあたしを、秋吉はジッと見つめていた。

    2005-06-19 02:04:00
  • 421:

    『…昨日…何があったんです?』
    ―――――………。

    あたしは皐月の事や…勝也の事全てを、秋吉に話していた。
    『――先輩…その勝也って奴と、ヤッたんッスか?』
     コクン…
    あたしは小さく頷いた。
    『………ッ!!』
    秋吉の顔が強張る。

    2005-06-19 02:05:00
  • 422:

    『ハァ―ッ…』
     グシャグシャ―――
    秋吉はイキナリ頭を掻き出し、あたしを怒鳴った。
    『バッカじゃねーの?!そこまでして…お兄さん守る必要あったんッスか?!…そんな事して、お兄さんが喜ぶとでもッ?!』
    『だから!!真実を知られないまま、「妹」に戻りたいのよ!!』
    『………?』
    『……あたしの兄貴への想いは、「男」としてじゃなく…「家族」としての行き過ぎた愛情だったんだよ…だから、他の男に抱かれてでも、兄貴を守れた…』
    ―――それが、あたしの出した答え。だから兄貴に別れを告げた……。
    『…そーかな…。先輩は、他の男に抱かれた罪悪感から、逃げてるだけな気がするけど……』
    ――――――――!!

    2005-06-19 02:08:00
  • 423:

     カッ―――
    秋吉の言葉に血が昇る。

    『知った風な口聞かないでよ!!』
    ……あたしの気持ちなんか…わからないクセに……。

    『そーッスよ!先輩ですら自分で自分の気持ち解ってないんでしょ?俺に解るわけないじゃないッスか!』
    ―――――ぐッ……
    秋吉に言い返す言葉が、思いつかない―――。

    2005-06-19 02:10:00
  • 424:

    名無しさん

    俺もそう思う

    2005-06-19 02:10:00
  • 425:


    『先輩…』

    秋吉の手が、あたしの髪に触れた。
    『俺、先輩の気持ちは…全部は解ってやれないけど、でも側にいる事はできるから。俺を頼って下さい…』
    『……ッ』

    秋吉の顔が、ゆっくりとあたしの顔に近づいた。
    素直に、あたしは秋吉の唇を受け止めていた。

    2005-06-19 02:11:00
  • 426:

    ……秋吉と、付き合えば…もう、何も考えなくて、いいかも……
    兄妹だとか…もう考えなくていいし…皐月だって、もう居ない。
    あたしはまた、兄貴の妹に戻れる。
    『秋吉…あたし…』

    ドンドンドンドン―――!!

    ―――――?!
    扉を激しく叩く音に、あたしと秋吉は玄関の方を振り向いた。

    2005-06-19 02:14:00
  • 427:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 428:

     バキィッ―――

    『―――?!』
    玄関の方で鈍い音がした。
     ガシャ―――ン

    《な…何―――?!!》
    あたしは慌てて立ち上がり、玄関の方へ駆け寄った。
    『……………!!』
    あたしは、驚愕した。

    2005-06-19 02:18:00
  • 429:

    『あ…兄貴…ッ……!!』

    あたしの目に、秋吉を殴り息を切らす兄貴と、床に倒れ込む秋吉の姿が飛び込んだ。
    『典子…』
    あたしの姿を確認し、ホッとする兄貴の顔がわかった。
    『あ、兄貴…何で?!』
    倒れる秋吉の横をズカズカと通り、兄貴はあたしの腕を掴んだ。
    『帰るぞ』
    『……………!!』
    兄貴が、冷たい瞳で、戸惑うあたしの顔を凝視する。

    2005-06-19 02:20:00
  • 430:

     グイッ―――
    あたしは兄貴に引っ張られるまま、玄関から出ようとした。
    『ちょっと待てよ…!!』
    その瞬間―――秋吉が立ち上がり、兄貴の肩を掴んだ。

    『―――きゃあッ』
     バキィ―――ッ
    再び鈍い音が、部屋の廊下に鳴り響き、今度は兄貴が床に倒れた。
    秋吉はそのまま兄貴にまたがり、二人は取っ組み合いになって殴り合いだした。

    2005-06-19 02:23:00
  • 431:

    『ちょ…やめてッ!!』
    あたしは二人に割って入り、殴り合いを止めようとした……が。

    バキィッ―――

    『きゃッ…ッ』
    どちらかの腕が、あたしの顔に当たり、あたしは壁目掛けて吹っ飛んでしまった。

    2005-06-19 02:26:00
  • 432:

    『あ゙ッ?!』

    それに驚いたのか、秋吉と兄貴は我に帰り、同時にあたしを見た。
    『い…いたぁ…』
     ジワァ・・・
    頬にあまりに激しい痛みを受け、あたしの目尻から涙が流れた。
    《さ…さすが男…理加子に殴られた痛さとはワケが違う……》

    『せ、先輩!大丈夫ッスか?!』
    秋吉が慌てて兄貴から離れ、頬を押さえるあたしに近づいた。

    2005-06-19 02:28:00
  • 433:

    『典子ッ!』
     ビクッ―――――
    兄貴のあたしを呼ぶ声に、あたしの心は震えた…。
    『やっぱりお前…こいつと何かあったんだな?』
    『え…』
    『昨日帰らなかったのも、こいつと一緒にいたんだろ?』
    『……………ッ!!』
    ―――だから兄貴…ここに?
    『話はここを出てから聞く。帰るぞ…』
    唇からながれる血を指で拭きとり、兄貴はあたしの腕を再び掴もうとした。

    2005-06-19 02:29:00
  • 434:

     バシ…ッ―――

    『典子?!』
    無意識に、あたしは兄貴の手を振り払っていた。

    『ご…ごめんなさい…兄貴…あたし、秋吉と付き合う事にしたから…』
    ドクン…ドクン…ドクン…
    『…お前……何、言ってる…?』
    ―――兄貴は、ひどく狼狽した瞳で、あたしを見た。
    あたしはそんな兄貴を見れないまま、小さく呟いた。

    2005-06-19 02:32:00
  • 435:

    『兄貴の事…もう、お兄ちゃんとしてしか見れない……ッ』

    シ・・・・・・・・・ン

    あたしと兄貴…そして秋吉の間に、長い沈黙が流れる―――。

    2005-06-19 02:33:00
  • 436:

     ガチャ…

    不意に、兄貴が扉を開いた。
    『……わかった』
    ―――その一言だけを残し、兄貴はあたしを置いて、去っていった……。

    2005-06-19 02:34:00
  • 437:

    『先輩…?』
    兄貴が去った後、秋吉が心配そうにあたしの肩を抱いた。
    『…良かったんですか…?お兄さん、典子先輩の事が…めちゃくちゃ、好きみたいッスよ?こんなトコまで来て…』

    ……いいの。こんなあたしじゃ、兄貴を幸せになんか…できない。

    2005-06-19 02:35:00
  • 438:


    ―――この時のあたしは……
    色んなものから、逃げ出そうとしていた。

    ……兄貴への今までの恋心すら否定して……兄貴への罪悪感を、全て、消してしまいたかった―――。
    ……本当に、ガキだったと思う。

    けど―――
    ……あたしの精神状態は、限界だった―――――

    2005-06-19 02:39:00
  • 439:










    2005-06-19 02:40:00
  • 440:

    30分休憩。

    2005-06-19 02:41:00
  • 441:


    『ただいま…』

    あれから…あたしは泣き疲れたまま、秋吉の家で眠ってしまい、家に帰ったのは調度、夕飯時だった。

    『あ!ねーちゃん帰ってきたの??』
    恭平がバタバタと階段から下りてきた。
    『典子!昨日、由美ちゃん家泊まってたんだって?それなら電話くらいしなさいよ!!』
    ママが食卓に人数分のカレーを用意しながら、あたしを軽く叱った。

    2005-06-19 03:11:00
  • 442:

    『あ、恭平!圭吾呼んできて!ご飯出来たって!』
    ……え………
    ママがテレビの前で寝転がる恭平に言い付けた。

    ――ドクン――

    兄貴…帰ってきてるんだ……。
     トントントン―――
    恭平に呼ばれ、兄貴が階段を下りてくる音がする。
    恭平とは違う、静かな音。

    2005-06-19 03:13:00
  • 443:

    階段から下りて来た兄貴は、あたしに目を合わせる事もなく、リビングのソファーに座った。

    ドキン…ドキン…ドキン…
    兄貴の姿を見て、妙に意識してしまう。別れを切り出したのは、あたしなのに……。

    『あれ?兄貴とねーちゃん、ケンカしてんの?』
    あたしと兄貴の態度の不自然さに気付いたのか、プチトマトをつまみ食いしながら、恭平があたしに問いかけてきた。
    『別に。…あたし服着替えてくる』
    あたしはそのまま階段を駆け上がった。

    2005-06-19 03:14:00
  • 444:

    『典子!ご飯出来たんだからすぐ下りて来なさいよー!』
    …ママの声は、よく響く。

     パタン―――
     ―――ドサッ
    部屋の扉を閉め、あたしはベッドに倒れ込んでしまった。
    『はぁ…』
    別れたところで毎日、家で兄貴と顔を合わす―――

    《兄妹なんだから当たり前か……》

    2005-06-19 03:17:00
  • 445:

    ブブブ…

    『……?』
    携帯が震えた。
    《……………!!》
    メール着信:兄貴
    【夕飯食べたら、俺の部屋で待ってる】
    同じ家に居て、兄貴からメールが来たのは初めてだった。
    【無理だよ。ごめん。】
    あたしは返信した。

    2005-06-19 03:18:00
  • 446:

    メール着信:兄貴
    【どうしても話がしたい。 お前が来るまで起きて待ってる】

    【話す事は無いよ。ごめんなさい。】
    送信―――。

    「送信しました」
    あたしは携帯をしまい、服を着替えて部屋を出た。
    ……そして………何事も無かったように、兄貴と、そして家族と夕飯を共にした……。

    2005-06-19 03:20:00
  • 447:

     カチャカチャ―――
    兄弟妹そろって食事するのは、久し振りかもしれない。
    あたしはいつものように、兄貴の向かい側の席に座った。
    今までは…兄貴と目が合う度に死ぬほど嬉しかったのに、今は、目を合わさないようにするのが精一杯…。

    《兄貴に対する想いは、本当にあたしの中から消えてしまったんだろうか……》

    『そーいや、ねーちゃん昨日友達ん家泊まったんだって??』
    恭平の言葉に、あたしは物凄く気まずい空気を感じた。

    2005-06-19 03:21:00
  • 448:

    《…こいつ…何も知らないとはいえ、そんな話題…ッ》
    『ほんとはさぁ、男ん家泊まってたんじゃねーの!?』
    《……!!クソ弟!!》
    『なぁ、兄貴、そー思わねぇ?』
    『ああ。そうだな』
    兄貴は軽く恭平に相槌を打つと、そのまま食器を持ち、席を立った。
    『あら?圭吾、もういいの??』
    『ごちそーさま』

    その一言を残し、兄貴は自分の部屋へ戻っていった…。

    2005-06-19 03:23:00
  • 449:

    『やっぱねーちゃん、兄貴とケンカしたんじゃねーの??』
     ゴンッ!!
    あたしは、恭平の頭を一発小突いた。
    『いてぇ?!』
    恭平はワケの解らない顔であたしを見た。まぁ当然だろう。

    『あら?典子も、もういいの??』
    『うん。ごちそーさま』
    食器を片付けた後、あたしは自分の部屋に戻った。

    2005-06-19 03:24:00
  • 450:

    ブブブ…ブブ…
    部屋に入るなり、携帯が鳴っているのに気付いた。
    【着信:★兄貴★】
    『……………!!』
    ―――…夕飯の後、部屋で待ってる…―――
    ドクン ドクン ドクン
    …話す事なんか…無い。…あたしは、もう秋吉と付き合ってるんだから……。
     ブチ―――
    「只今、電話に出る事が出来ません。ピーと鳴りましたら…」
    保留を押した。

    2005-06-19 03:27:00
  • 451:

    ブブブ…ブブ…
    それでも、兄貴からの着信は止まない。
    ……………。
    『はい……』
    【典子?】

    2005-06-19 03:28:00
  • 452:

    兄貴の声は、いつもより弱々しい気がした。
    【もう部屋か?】
    『うん。そーだけど…』
    【…俺の部屋が気まずいなら、今から俺は外に出る。だからお前も…】

    『兄貴…ッ!!』
    あたしは兄貴の言葉を遮った。
    『もう、話す事は無いって言ったじゃん…ッ!』
    あたしの目から、涙が流れた。
    【じゃあ、何で泣いてるんだ?!俺は…お前がわからない。どうして、急に…】

    2005-06-19 03:30:00
  • 453:

    『あ…秋吉の事が好きになったからだよ!』
    【それは嘘だ。お前は…俺の事が好きだった。俺も…。その気持ちが簡単に変わるハズないだろ?!】

    ズキン…ズキン…ズキン…ズキン…
    兄貴の言葉が耳に入る度、胸が張り裂けそうに痛い。

    2005-06-19 03:32:00
  • 454:

    『変わったの…!もうあたしは、兄貴の妹に戻りたいの!!…だから…これからは…兄妹として…この家で暮らそう?!』
    【…同じ家にいるのに…随分、典子が遠くに感じるな……】
     ハァ……
    兄貴の悲痛な溜め息が電話越しに響く。

    『…ごめんなさいッ……』

     …プツ―――
    あたしは静かに、電話を切った。

    2005-06-19 03:34:00
  • 455:

    ブブブ…ブブブ…
    『……!!』

    メール受信:秋吉
    【先輩、大丈夫っすか?正直同じ家に住んでるお兄さんにヤキモチ妬いてます??ガラにもなく不安でしょーがないッス?明日俺ん家きて下さいよ?】

    《…秋吉……》

    ……いつも不安な時、秋吉がいてくれた。
    だから……きっとあたしは秋吉を凄く好きになって、兄貴の妹に戻れる。兄貴にも…新しい彼女ができて…あたしのお兄ちゃんに、戻る……。

    2005-06-19 03:36:00
  • 456:


    ―――どんなに兄貴に引き止められても。
    今のあたしに、兄貴の気持ちを受け入れる余裕はなかった。

    それから3日―――。
    あたしは兄貴からの電話も取らず、メールも…
    …返信しなかった。

    家で兄貴に会うのが気まずくて、あたしは秋吉の家に3日とも入り浸ってしまっていた―――。

    2005-06-19 03:38:00
  • 457:










    2005-06-19 03:39:00
  • 458:


    『へぇ〜先輩、美大受けるんだぁ。』
    秋吉がベッドに寝転びながら、机の上に置かれた大学のパンフレットを眺めながら言った。
    あたしはと言うと、家に居させて貰ってるお礼(?)に秋吉の家のキッチンで手料理を作っていた。
    『うん。あたしが放課後美術室でデッサンの練習してるの知ってたでしょ?』

    2005-06-19 03:40:00
  • 459:

    『………?』
    秋吉がやたら、あたしを見てニヤニヤしている。
    『な…何?』
    『いやぁ〜先輩のエプロン姿せくすぃ〜だなぁと思って♪あ、裸エプロンとかもいぃなぁ〜料理してる最中、後ろからガバーッと襲ったりして♪』
    『……………アホ?オヤジか?お前は?包丁で刺すわよ間違いなく』
    『しかも、その髪を一つに束ねてるのが何かエロイッスもん!うなじフェチッスから俺』
    ……………知るかそんな事!!

    ―――そういえば。あたしが秋吉の家に来るのはこれで4日目。
    秋吉は、この4日、あたしにキス以上の事はしてこない。

    2005-06-19 03:43:00
  • 460:

    『……………。』

    あたしは、コンロの火を止めて、ベッドの上でコーヒーをすする秋吉の前に座った。
    『……?どーしたんッスか?先輩?』
    『…あんたさぁ。』
    『はい?』
    『あたしとエッチしたいとか思わないわけ?』
     ブッ―――
    あたしの言葉に秋吉がコーヒーを噴いた。

    2005-06-19 03:43:00
  • 461:

    『―――は?!』
    秋吉はあたしの顔を見てキョトンとしている。
    『…いや。普通は…手ェ出してくるのになぁ〜って』
    これでも、あたしは真面目に聞いてるつもりなんだけど。
    『……え゙。何かして欲しいんッスか…?』
    『そーじゃなくて!!』
    『…いや…俺は……』
    何か言いたげに、秋吉がグシャグシャと頭を掻き出した。

    『…俺は?』

    2005-06-19 03:45:00
  • 462:

    『…そりゃ…先輩とヤりたいッスよ。この4日俺、めちゃくちゃ我慢してるし』
    言いにくそうに秋吉はあたしから目をそらす。
    『けど…先輩、まだ完璧にお兄さんの事、吹っ切れてないっしょ?』
    ……………え?
    『俺、先輩が吹っ切れるまで待つし…。我慢しますよ♪』
    そう言って、秋吉はあたしにゆっくりキスをした。

    《………秋吉…………》

    ……………ん?

    2005-06-19 03:47:00
  • 463:

    『…ッて言ってるそばから勃ってるぢゃん!?』
    『あ゙?!イヤ、これは生理現象ッスよ!!』
    ……アホ。
     ぎゅぅ―――
    あたしは、秋吉を抱きしめていた。
    『先輩……?』
    『いいよ。あたし…あんただったら……』
    『え…』
    ドクン ドクン ドクン
    ―――秋吉の心臓が、段々早くなるのがわかった。

    2005-06-19 03:48:00
  • 464:

    『…そんな風に言われたら…知らないッスよ?』
    秋吉の声が、低くなった―――…瞬間―――。

    『……ッ』
    秋吉の舌が、あたしの首筋を這った―――。

    2005-06-19 03:50:00
  • 465:

    そのままあたしの唇を奪い、秋吉の手があたしの胸を掴んだ。
    『………ッあ…』
    秋吉の荒くなった息が、あたしの睫毛をかすった―――。
    《年下とあんまりヤッたことないけど…》
    荒々しい愛撫が、逆に愛おしく思えた。
    『先輩…ッ』
    『典子って言ってよ…』
    あたしのその言葉に、より興奮したのか、秋吉はあたしの服を、無理矢理にぬがそうとする……―――。

    2005-06-19 03:51:00
  • 466:

     フワ・・・

    『―――――……!!』

    瞬間、あたしの胸に戸惑いが走った―――。
    《…この、香り……》
    秋吉の服から、微かに……兄貴と同じ、香水の匂いがした―――。
    ドクン ドクン ドクン

    ―――あ……………

    2005-06-19 03:54:00
  • 467:

    ………兄貴………

    ―――どうしてだろう。
    あたしは、秋吉の腕の中にいながら……兄貴に初めて、抱かれた時の事を思い出していた…。
    秋吉の舌が、剥き出しになったあたしの胸へ伝おうとした。

    『あ…ちょっと待……ッ』

    2005-06-19 03:56:00
  • 468:

     ドンドンドンドン

    ―――――ビクッ
    ……扉を叩く音に、あたしと秋吉の動きは止まった。

    『あーけーて!携碁!あ・た・し!開けて!』
    ……女の声??!
    『あいつ…ッ』
    その声の主が誰か解ったのか、秋吉が舌打ちをして、あたしから離れ、ベッドを立ち上がった。

    2005-06-19 03:57:00
  • 469:

    『先輩…すんません』
    秋吉がハァァと溜め息をつき、あたしに謝った。
    『元カノッス…』
    『……は?!』
    『別れてから、あいつの電話ブチってたんッスよね…』
    ―――で、家まで押しかけて来たわけ?!

    ドンドンドンドン
    『携碁――――!!開けろ――!!』
    ……し、しつこい。

    2005-06-19 03:59:00
  • 470:

    『あ…開けてあげたら?』
    あたしは急いで服を着た。
    『え…でも…。いーんッスか?』
     コクコク・・・
    あたしは首を縦に振った。
     ガチャ―――
    『携碁!!何でスグ開けてくれないのよ?!』
    扉が開いたのと同時に、やたらイキのいい女が部屋に乱入してきた。
    『あ……』
    あたしの姿を見るなり、元カノの表情が止まった。

    2005-06-19 04:00:00
  • 471:

    『あ…やだ。彼女来てたんだ?!ごめんなさいッ』
    ―――……あら?
    てっきり、修羅場を迎えると思ったあたしは、元カノの意外なセリフに拍子抜けした。

    『…何の用だよ?』
    秋吉が呆れかえった様子で元カノを見ている。
    『あ、いゃぁ〜はは。携碁に部屋の合い鍵返そうと思って…いゃあ、お邪魔しました…』
    それだけ言葉を残すと、机の上に鍵を起き、元カノはさっさと部屋を出て行ってしまった…………。

    2005-06-19 04:01:00
  • 472:

     シ―――――ン
    ……嵐が去ったかのような静けさが、部屋に残った。

    『…な…なんか、おもしろい元カノだね…』
    『…何か…すみません。もう二度と来ないよーにクギさしときますから!!』
    秋吉が申し訳なさそうに、あたしを見つめる。
    『いや、いーよ。気にしてないから!』

    ………本当は…
    元カノ来てくれて………良かったかも……。

    2005-06-19 04:03:00
  • 473:

    ―――そう、思ってるあたしがいた。

    『……じゃあさっきの続きを…』
    そう言ってあたしの肩を掴もうとした秋吉をかわし、
    『ごめん!今日は帰るわ!!また明日!!』
    『え゙?!』

    ……唖然とする秋吉を残して、あたしはすぐさま部屋を出た。

    2005-06-19 04:05:00
  • 474:

    ―――ドクン ドクン
    どうして……ッ?!
    兄貴の香りがした瞬間……秋吉に抱かれる事が、恐くなった……!!
    わからないわからない
    わからない!!!
    自分の気持ちが、わからない!!!

    ブブブ…ブブブ…
    『………あ……』
    【着信:★兄貴★】

    2005-06-19 04:07:00
  • 475:

    ………兄貴………
    『も…もしもし…?』
    【典子?】
    久し振りに…兄貴の声を聞いた気がした。
    【今から、会ってくれないか?いつもお前が座ってる公園で待ってる】
    『え…兄貴、ちょ…ッ』
    ブチ―――……ツー ツー ツー……。

    ―――なぜだろう。
    あれだけ兄貴を拒否しといて……あたしは兄貴に言われた通り、公園に足を向けていた―――。

    2005-06-19 04:10:00
  • 476:

    この公園―――

    あたしがカズキにレイプされた時……ここに兄貴があたしを迎えに来てくれて……その後、二人で初めてホテルに泊まったんだっけ。

    『兄貴……』
    ベンチに座り、タバコの煙を吐く、兄貴の姿が見えた。
    ドクン…ドクン…ドクン…

    ―――どうしてこの時、兄貴の姿を見た瞬間、涙が出そうになったんだろう―――?

    2005-06-19 04:11:00
  • 477:

    『来てくれたんだな…』

    そうあたしに言った時の兄貴の瞳は、凄く…優しく見えた気がした。
    『…な…何?話って…』
    『隣座れよ』
    ―――あたしは、兄貴から一人分の隙間を作り、ベンチに座った。

     シ……………ン

    どちらも話題を出さず、ハトの鳴き声と飛び立つ音だけが、聞こえる……。

    2005-06-19 04:13:00
  • 478:

    『お前、家帰ってこいよ』
    『…………!』
    不意に兄貴が言葉を漏らした。
    『徹夜の弟ん家、居るんだろ…?』

     ……………コクン

    あたしが小さく頷くと……兄貴は無言で立ち上がり、あたしにゆっくり、振り向いた。

    2005-06-19 04:15:00
  • 479:


    『俺、家出るから』


    ―――――え?
    ―――ドクン―――
    ……兄貴…今、何て?
    『名古屋の大学に、編入する事にした』

    ………な…ご…や…?

    2005-06-19 04:17:00
  • 480:

    ドクンドクンドクンドクン
    《……な…に……?何言ってんの………?》
    ………兄貴?!………

    息が詰まる気がした。

    『あ…あたしが…家に…帰らないから……?だから……?!』
    『違うよ。前からあっちの大学に編入希望はしてたんだ。…で。推薦が受かったから』

    ……は?何それ……?!

    2005-06-19 04:19:00
  • 481:

    『な…何それ…?!じゃあ兄貴…前に大学辞めてあたしと…一緒に暮らそうとか言ってたの…嘘なんじゃん?!』
    ―――なんて、自分勝手な事言ってるんだろう、あたし…断ったのはあたしなのに……!!
    ―――けど…ッ
    《―――兄貴が、いなくなる》
    その事実に、あたしは焦りを感じるしかなかった―――。

    『…あの時、お前に言った事は、本当だ。俺は大学辞めて…お前の為に生きていきたいって思った。…けど……』
    兄貴のあたしを見つめる瞳が、揺れている。
    『俺はお前の側にいちゃいけない事に、やっと気付いた…』
    ―――――?!

    2005-06-19 04:21:00
  • 482:

    『どーゆー…意味?』
    『……皐月から、聞いたよ。全部』

      ――ドクン――

    ………え……………?!……………聞いた?……
    『皐月が大学を辞めた日に、お前の態度が変わった。…皐月絡みだとは思ってたけど…まさか…お前がそんな……』

    ドクンドクンドクンドクン
    ………兄貴に……皐月にした事がバレた?!

    2005-06-19 04:24:00
  • 483:

    『悪かった』

    兄貴の両手が、あたしの両肩に触れた――――

    『お前に、つらい思いばかりさせたな……』
    『―――――!!』

    《違う―――!!》
    違うよ…兄貴…謝るのは…あたしの方だ―――。

    2005-06-19 04:27:00
  • 484:


    『兄貴は何も…悪くない……だって……あたしは…兄貴を守る為に……他の男と……ッ!!』

    その瞬間―――。
    あたしの体は、兄貴の腕に引き寄せられていた―――

    『ごめんな、典子ッ――!』

    ―――…兄貴の悲痛な叫びが、あたしの耳を貫いた…―――

    2005-06-19 04:29:00
  • 485:


    ―――…兄貴は、あたしの全てを、悟っていたんだろうか…―――

     ボロ・・・
    あたしの瞳から、熱い雫が頬を伝った。

    『お前は、普通の男と、普通に恋愛して…結婚して、幸せになる。血の繋がった兄の俺が、お前を想いながらいつまでも側にいる事は…もうできない』
    『あ…にき…』
    《…言葉が、出ない……》
    兄貴の言葉が、あたしの息を止める。

    2005-06-19 04:30:00
  • 486:

    『愛してる典子。たとえ血が繋がっていても、俺は……後にも先にも、心から好きになった女は、お前だけだ―――』

    いやだ…行かないで、兄貴………
    あたしから……離れていかないで
    ………イヤ………

    …この時のあたしに、その言葉を吐く資格が
    あっただろうか―――?

    2005-06-19 04:33:00
  • 487:


    『じゃあな。典子―――』


    兄貴の温もりを感じたのは………
    この日が、最後になった―――――


    2005-06-19 04:34:00
  • 488:


    意地も何もかも全部捨てて、『行かないで』
    そう、兄貴に泣き付けなかったのは……

    兄貴に愛されたって言う、あたしのプライドだったのかもしれない―――

    あたしは、自分から
    愛しい人を
    遠ざけてしまった

    2005-06-19 04:36:00
  • 489:










    2005-06-19 04:37:00
  • 490:



    ―――半年後。

    『先輩――!!卒業おめでとうございま〜っす!!』

    2005-06-19 04:38:00
  • 491:

     パンパーン!!
    『きゃあッ』

    秋吉が、あたし目掛けてクラッカーを飛ばした。
    『あ〜!!何よあっき〜!!典子だけ?!』
    『あ、由美先輩、向こうにラグビー部の先輩方が集まってたッスよッ!元カレにでも会ってきたらどーッスか??』
    『え?!マジ?!』
    秋吉に言われるがまま、由美は中庭の方へ走っていってしまった。

    2005-06-19 04:40:00
  • 492:


    卒業式が終わり、3年の生徒達ほとんどが、涙ながらに、友達と校舎をバックに記念撮影を楽しんでいる。

    後輩との別れに涙ぐむ生徒。
    クラスの仲間や、恩師との別れを惜しむ生徒―――。
    ―――そして、あたしは……。

    『あ〜あぁ〜。典子先輩がいない学校なんてマジつまんねー…』
    秋吉が気力無さげに、あたしの横に座り込む。
    『……別に…今生の別れでもあるまいし』

    2005-06-19 04:42:00
  • 493:

    あたしは卒業証書で、ポコッと秋吉の頭を叩いた。
    『だって!先輩、専門学校行っちゃったら、他に男作っちまうかもしんねーじゃん!!』
    『ん〜そーだなぁ。あんたよりイイ男は、わんさかいるだろーし』
    『あ゙!ひで!!ってか先輩、今日何人の男に告白されたんッスか?!』
    秋吉がふくれっ面であたしを睨んできた。
    『……つーか…告ってきた男全員、あんたがことごとく追い払ったんでしょーが!!』
    『あ、そーでしたっけ?』
    『そーゆーあんたも…3年の女にやたら、一緒に写真撮ってくれって追っ掛けられてたじゃん。で、あたしんトコ逃げて来たんでしょ?』
    『あーそーでしたっけ??』

    2005-06-19 04:45:00
  • 494:


    『後悔してます?俺を、フッた事』

    …不意に、秋吉が言葉を放った。

    『……………。』
    あたしは、小さく微笑んだ。
    『…ってゆーか、俺、全っぜん諦めてないッスからね!』
    『はいはい…』

    2005-06-19 04:48:00
  • 495:


    あれから、半年。

    あたしは、必死になって、デッサンを描き続けた。
    ……第一志望の美大に落ちたあたしは、専門学校に通いながら一年、その大学へ編入するための勉強をする事にした。

    2005-06-19 04:49:00
  • 496:




     シュー……

    『着いた――!!』

    新幹線で2時間。
    あたしは駅を下りると、外の空気を思い切り吸い込んだ。

    2005-06-19 04:50:00
  • 497:

    そしてあたしは、着いた駅名を見上げた。

    【 名古屋 】

    住所が走り書きされた、小さな紙切れを握りしめ、あたしは……あの時止まった時間を、取り戻しにいく……。

    2005-06-19 04:51:00
  • 498:


     ピンポーン・・・

    ……一年後、
    あたしは名古屋の美大を受ける。

     ガチャ―――

    あたしは、兄貴が好き。

    2005-06-19 04:52:00
  • 499:


    兄貴にキスされたい。

    兄貴に抱かれたい。

    兄貴に愛されたい―――。

    2005-06-19 04:53:00
  • 500:


    『……典子?!』


    『兄貴ーッ!!』


    たとえ、同じ血が
    流れていても―――……

    2005-06-19 04:54:00
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