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お兄ちゃんが好き。 part ?
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1:
お兄ちゃんが好き。part ?
http://bbs.yoasobiweb.com//test/read.cgi/yomimono/1117473268/1-52005-06-13 03:45:00 -
101:
『先輩!どーしたんッスか?!』
階段を下りた所で、秋吉があたしを引き止めた。
『だから…タコ焼き買いに行くんだってば』
『うそだぁ。先輩、明らか、テンション低くなりましたよね?皐月さんって人が来てから』
………こいつ……いらん所で鋭いな………
『皐月さん美人ッスよね〜。大人のエロさっつーか♪』
『………………。』
秋吉の言葉に、あたしが堪えていたものが溢れだした。2005-06-16 05:57:00 -
102:
『せ…先輩…?!』
ポロポロポロ……
あたしの目から涙が流れ出した。
『え?!先輩?!』
秋吉が、あたしのあられもない姿に焦っている。
《くそー…こいつの前でだけでは、泣きたくなかった……》
けど、限界だった。
皐月が憎くて、兄貴に腹立って、自分が情けなくて。2005-06-16 05:58:00 -
103:
『あ…先輩…!さっきのウソ!!俺、典子先輩の方がタイプだし!…その…ちょっと典子先輩に意地悪言ってみたくて……。な…泣かないでくださいよ………』
自分の所為で、あたしが泣いたと思ったのか、秋吉は焦ってあたしをなだめようとしてきた。
『…ほっといて…一人にしてくれないかな…悪いけど……』
《あたしが秋吉を引っ張ってきたんだけど…》
…けど…涙は止まりそうになかった。
『一人にしてくれって…泣いてる女を一人には…』
…………………………。
しばらく、あたしが泣いてる横で、秋吉は座っていた。
――――が。2005-06-16 05:59:00 -
104:
『あ〜〜〜っもう!!』
秋吉が急に叫んだ、と思いきや、
『きゃッ―――』
あたしは、秋吉に腕を引っ張られ、気付けば秋吉に抱きしめられた。
――――――はぁ??!
2005-06-16 06:00:00 -
105:
『さぁッ思う存分、俺の胸で泣いてください!!何で泣いてるのかよくわからんけど!!』
そう言うと、秋吉は、ぎゅぅぅと腕に力を込めた。
『ちょっと待って。なんであんたの胸で泣かなきゃいけないのよ?!』
グググ……ッ
あたしは、秋吉の胸を押した。
『いや、やっぱり男の胸の中のほーが、泣きやすいかなぁって……』
グググ……ッ
秋吉も、あたしを離してくれない。
グググ……ッ2005-06-16 06:02:00 -
106:
『いや…気持ちは有り難いけど、遠慮するわ……ッ』
負けじとあたしは秋吉から離れようとする。
ググググ……ッ
『いやいや…今だけ典子先輩の彼氏になった気持ちになりますから、遠慮なく……』
そう秋吉が言った瞬間―――
ぎゅぅぅぅうッ
『???!』
男の力にはかなわない。あたしはガッツリ秋吉の腕の中へ引き戻された。2005-06-16 06:03:00 -
107:
『さ、遠慮なく、じゃんじゃんバリバリ泣いて下さい!!』
秋吉があたしの背中をポンポンと叩いた。
……な……泣いて下さいって……泣いて……
じわぁぁッ―――
何故だろうか。
秋吉の言葉にあたしの涙腺は緩んでしまった。
《不覚………》
秋吉の胸で、ズルズルと泣いてしまった。2005-06-16 06:04:00 -
108:
5〜6分、そうしていただろうか……。不意に、秋吉の手が、あたしの顔に触れた。
《…………ん?》
秋吉の息があたしの顔にかかる……と思った瞬間―――
―――秋吉の顔があたしに近づいた。
―――――!!
『きゃぁぁぁ!!』2005-06-16 06:05:00 -
109:
バチ―――――ンッ!!
気付けば、あたしは秋吉の顔をおもいっきり叩いていた。
『いってぇ〜〜〜…』
秋吉はあたしに叩かれた顔を押さえている。
『おいコラ!あ…あんた今…何しようとした?!』
あたしは咄嗟に秋吉から離れたため、地べたにシリモチをついたまま怒鳴った。
『あ、ノリでやっちゃいそうでした…』2005-06-16 06:06:00 -
110:
ノ、ノリ?!
秋吉はテヘッと苦笑いをしている。
『だって…いつも気丈な先輩がイキナリ泣いたりして男心をそそるから…』
『つーかあんた、彼女いるって言ってたよね??!浮気だろそれ!!』
……と、秋吉に言葉を吐いた瞬間気付いた。
《…あ。あたしも………浮気したんじゃ……?!》
『…ですよね。浮気ですよねコレ』
秋吉がゆっくり立ち上がった。
『ま、でも未遂だったし………それに、俺ん中ではエッチしないと浮気にはならないんッスけどね』
そう言うと秋吉はニッコリ笑った。2005-06-16 06:06:00 -
111:
『き…キスなら良いの…?…彼女がかわいそうじゃん?!』
あたしは、秋吉に言った。
兄貴と付き合う前のあたしからは絶対出てこなかっただろうな、こんな言葉。
『けど、エッチは絶対しないッスもん、俺』
秋吉はアッサリ答えた。
『…うそだぁ』
『ほんとッスよ』
『裸の女が横に寝てたら?エッチしちゃうでしょ?』
『しないっスよ。つーかそんな状況にならないようにするし』
……こいつ、いい男なのかチャライんか訳わからん……2005-06-16 06:08:00 -
112:
『でも先輩が、ど〜〜〜してもってゆーなら、抱いてあげますよ♪』
『はぁ?!誰があんたなんかとエッチするか!!』
『あははッ冗談ですって!!』
………こ……こいつ、あたしの事おちょくろうなんて、いい度胸じゃんか……
ブニッ
秋吉が、不意にあたしのホッペをつまんだ。
『よかった。先輩、元気になった』2005-06-16 06:09:00 -
113:
――――――!
秋吉は、ニッコリあたしに微笑んだ。
《…こいつ…いい奴じゃん………》
女にやたらモテるんだろうな…コイツ。
あたしはフト、秋吉のあどけない笑顔を見て、思った。2005-06-16 06:10:00 -
114:
《こいつが惚れた彼女って、どんな子なんだろ……》
そんな興味が、あたしの中で初めて湧いた。
その彼女と、後日対面することになるんだけど。
―――とりあえず、あたしと秋吉はタコ焼き6人前程を買い、秋吉にヨーヨー釣りとダーツまで付き合わされ、その後、兄貴達の場所まで戻った。
2005-06-16 06:11:00 -
116:
『おい、お前は飲むな。酒弱いだろーが』
兄貴があたしのチューハイをとりあげようとした。
『ちょっとだけなら大丈夫だよ!』
あたしは慌てて、兄貴からチューハイを守りぬいた。
『えー典ちゃん酒弱いの??明日の打ち上げ、だいぶ飲ますよ??』
てっちゃんがニヤニヤとあたしを見ている。
『はぁ?お前も打ち上げ来る気か?』
兄貴が大分、不機嫌そうにあたしに言った。
『何よ!行っちゃダメなの?!』
皐月がいる以上、行くに決まってるじゃん!2005-06-16 06:14:00 -
117:
『典子先輩、酒苦手だったんだ!へぇ〜意外!』
また、秋吉が隣からチャチャを入れてくる。
『でも安心してくださいね!先輩が酔ったら、俺が介抱してあげますから♪』
『いらんッつの!』
…だから!兄貴の前でそんな事言わないで!!
アハハハハ……
あたしと秋吉の掛け合いに、笑いが起こった。2005-06-16 06:15:00 -
118:
…その時。
『ふーん。だいぶ仲良さそうだな……』
――――――――え?!
ボソッ――っと、兄貴があたしに囁きかけた。
誰にも聞こえない、限りなく低い声で…。
《え…ち、違うよ兄貴…秋吉は誰にでもこんな感じで……!》
―――口に出して、言い訳できるわけもない。2005-06-16 06:16:00 -
119:
『うッ…』
あ…あれ…なんか、微妙に気分悪い……!空きっ腹に酒飲んだから?!
吐きそう…と言えば、明日の打ち上げは、もちろん連れてってもらえない。
『ちょっと、トイレ…』
あたしはソソクサとその場を離れた。2005-06-16 06:17:00 -
120:
ジャー…
多少、吐いてしまった後、あたしはトイレから出た。
…はぁ。あたしって何でこんな酒弱いんだろ……。しかもあたし、グループの中にいるの、苦手なんだよね……。
しかも秋吉の事で兄貴に気遣うし、皐月もいるからイライラするし……。
ハァ……。
《一服でも、してから戻ろう》
あたしは煙草に火をつけた。2005-06-16 06:18:00 -
121:
『典子ちゃん!』
ビクッ―――
その瞬間、あたしの肩を誰かが叩いた。
『さ…皐月…さん?』
突如、現れた皐月が、あたしが座っているベンチの横に座った。
『煙草一本ちょーだいっ』
皐月は、あたしの煙草ケースから、KOOLマイルドを一本抜いた。2005-06-16 06:19:00 -
122:
…な…何?何であたしの所に来たの、この女??
あたしはかなり皐月を、 警戒した。
『典子ちゃんって、人見知り?』
皐月が煙草の煙りを吐きながら言った。
『…え。どうしてですか?』
『だってさぁ。典子ちゃん、あんまりあたしに話しかけてくれないじゃん?徹夜の弟クンとは仲良いみたいだけど…』
―――ハァ?秋吉と?やめてよ!!
『付き合ってるんでしょ?徹夜の弟クンと?』
皐月は、ニコッと微笑み、あたしの顔を覗きこんだ。2005-06-16 06:20:00 -
123:
『付き合ってません!』
あたしは皐月にキツク言い放った。
『えー、そーなんだ?てっきりアタシ、君達付き合ってるって思ってた!…………じゃ、他に彼氏いるんだ?』
ドキッ―――
『え?!』
…………彼氏?!
2005-06-16 06:21:00 -
124:
《兄貴が彼氏です!》
……って、めっちゃ言いたい!!言いたい!!……言えないけど………。
ズキン…ズキン…ズキン…
『…いないです。彼氏なんて……』
あたしは咄嗟に言ってしまった。
ズキン…ズキン…ズキン…
本当の事、言いたい。皐月にだけでもいーから、言いたい。けど、兄貴まで苦しめてしまうから、言えない。胃がキリキリ痛んだ。2005-06-16 06:22:00 -
125:
『え〜〜!いないの?うそだぁ!典子ちゃん、モテるでしょぉ?!』
『べつに…皐月さんこそモテるんじゃないですか』
あたしは無愛想に言った。
『………んー、あたしの彼氏ね。33歳なの。社長さん』
―――えっ?33?!……この女、オジ専?!2005-06-16 06:23:00 -
126:
『お金持ってて、優しくて、すっごくカッコイイんだけど…』
皐月は煙草の煙りを吐くのと同時に溜め息をついた。
『大人すぎて、刺激がないんだよね。ヤキモチも妬いてくれないし。怒らないし。しかも仕事仕事で、あんまり会えないし。………エッチも、淡泊だし』
《―――だから、兄貴にチョッカイ出したの?!》
あたしの心の中で、怒りが込み上げる。2005-06-16 06:24:00 -
127:
『それでね、』
フゥ…
皐月が煙りを大きく吐く。
『彼氏と別れて、圭吾と付き合おうって思ってるの』
……………は?
この女……………今、なんて言った………?2005-06-16 06:25:00 -
128:
ドクンドクンドクンドクン
『典子ちゃんも知ってるかもしれないけど、圭吾とあたし、昔付き合ってたの。…別れてからも、ずっと……関係続けてたんだよね』
ドクンドクンドクンドクン
『あたしから、圭吾フッたんだけど…何回も何回も圭吾に「やり直してくれ」って言われてて…』
ドクンドクンドクンドクン
『だから、典子ちゃん、仲良くしてね♪』
皐月は、ニッコリあたしに微笑んだ。2005-06-16 06:26:00 -
129:
あたしは、血の気が引く思いで皐月の話を聞いていた………………
……皐月からフッた……?
「やり直してくれ」って、兄貴が言ってた…………?
………なに…?それ…………
だって……「彼女いるから」って皐月に言ったって…兄貴が……ッ2005-06-16 06:27:00 -
130:
『兄貴、彼女いるって、言ってましたよ?!』
あたしは皐月に言い放った。
『ああ、言われたよ。彼女いるから、もう関係やめるって。……けど、あたしが、ヨリ戻すなら、その彼女とも別れるって』2005-06-16 06:28:00 -
131:
――――――ハァァ?!
な…………………………
なにそれ…
なにそれなにそれなにそれ
『あ、典子ちゃんなら知ってるんじゃない??圭吾の彼女?どんな子?かわいい?』2005-06-16 06:29:00 -
132:
削除削除されますた
あぼ~ん -
133:
削除削除されますた
あぼ~ん -
134:
『あたし……ッ帰ります………ッ』
『え?典子ちゃん?』
あたしは、これ以上皐月といるのが堪えられず、皐月を置いて、階段を下りた―――――。
……そして、そのまま、あたしは一人で、大学を出た。2005-06-16 06:32:00 -
136:
プーパッパー…―――
ガヤガヤガヤガヤ…
夜の街は賑やか。
仲良さそうなカップル……仕事帰りのおじさんやら、飲んだ帰りっぽい酔った若者。
キャッチしてるボーイや、おねーさん。
あたしは、ケンタッキーの二階の窓ガラスから、ボーッと街の風景を眺めていた。2005-06-16 06:35:00 -
137:
ブブブ…ブブ……
あたしの携帯が鳴った。
【着信 ★兄貴★】
ピッ
…あたしは反射的に保留を押してしまった。2005-06-16 06:35:00 -
139:
【もしもし、じゃないだろ?お前!】
兄貴の声は怒っている。
【今、どこだ?!】
『今…もう帰ってる』
【はぁ?何で勝手に帰ってるんだ?一言も無しに】
……ズキン…ズキン…
兄貴の声を聞くたび、皐月の言葉を思い出す。
兄貴を疑ってるわけじゃない……。けど、今は一人になりたかった。
兄貴とこうして喋っていても、兄貴を責めてしまいそうなあたしがいた。2005-06-16 06:38:00 -
140:
《皐月さんの言ってる事、本当なの?!》
…って。
真実だったら、どうしよう。恐くて聞けない。
ウソだって言われても…
《証拠は?!》
…って、あたしは兄貴を責めてしまうだろう―――。
嫌な女になってしまう……
ああ、 もぅどうしていいかわからない………2005-06-16 06:39:00 -
141:
【…何かあったのか?】
兄貴は、電話越しに、あたしの不自然さを察知したらしい。
『別に…』
【ウソつくな。こうゆう時、お前はいつも何かあるからな。どーした?大学で何かあったんだろ?】
『………。』
【おい。黙ってたらわからないぞ。何とか言えよ】
『………。』2005-06-16 06:40:00 -
142:
兄貴の問いに、あたしはずっと黙っていた。
……何て言ったらいいか、分からなかったから……。
【……何も話したくないんだな。わかった。気をつけて帰れよ】
―――!!
……やだ。切らないで!2005-06-16 06:41:00 -
143:
『ま…待って…!』
あたしは、思わず兄貴を引き止めた。
【何だ?】
『あ…あの…兄貴……い…いつ、帰るの?』
【今から、皆とメシ食って帰るから遅くなる】
《……え?皆とメシ…?》
『皐月さんも…いるんだよね…?』
【ああ。…なんだお前。まだ皐月の事、言ってるのか?】
兄貴は呆れた声で溜め息をついた。2005-06-16 06:42:00 -
144:
ムカッ―――
あたしの中に、イライラが募ってくる。
『……だって。皐月さん、兄貴のこと好きっぽいじゃん』
あたしは、かなり皮肉っぽく言葉を投げ掛けてしまった。
【あのなぁ。ヤキモチも大概にしろよ?皐月とはもう何もない。さっき話したばっかだろ。…お前、まさかそれで先帰ったのか?!】
…兄貴も、微妙にイラつきだしたのか、声が冷たく聞こえる。2005-06-16 06:43:00 -
145:
ムカムカムカ―――
あたしも更にイラだつ。
『兄貴だって、気付いてるんでしょ?!皐月さんが自分に気があるって!!』
【だから…。皐月には男がいるって言っただろ】
『あーゆー女は、男がいてもいなくても関係無いの!!』
【……じゃあ、お前は俺に、どうして欲しいんだ?】
……兄貴の言葉に、あたしは止まった。2005-06-16 06:45:00 -
146:
『か…彼女が、嫌がるから…、もう俺に触ってくるな、電話もしてくるなって皐月さんに、言って…ッ』
―――皐月は大学のサークル仲間。そんな事、無理だってわかってる。
めちゃくちや、兄貴を困らす事言ってる…あたし―――!嫉妬で、嫌な女になってる……!2005-06-16 06:46:00 -
148:
『ほ…本当に言うの…?』
【ああ。今から言いにいく】
『…え…でも、』
まさか、「わかった」って言われるとは思わなかったあたしは、動揺した。
【何だ?それでも、まだ足りないのか?!】
『ち…違う…ッ』
【じゃあ、何だ?!】
ビクッ―――
兄貴が急に声を荒らげたので、あたしは黙ってしまった。2005-06-16 06:48:00 -
149:
『……もう……いい』
【え?】
ブチッツーツー…
電話を切ってしまった。
もう頭の中がグチャグチャだった。皐月の話を兄貴に確かめたいけど、聞くのが怖い。
兄貴を信じきれない自分の弱さ。嫉妬と不安で悲観的な考え方しかできない……。
こんな気持ち、初めてだ……。
『うぅ…ッ』
また涙…泣いてばっかだ……2005-06-16 06:49:00