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悔やみきれない
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1:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺には恋愛というモノがよく解らなかった。
「好き」という感情も。
女に対して全くってくらい興味がなかった。
俺が16の時ホストの世界に足を踏み入れたのは
別にそこまで深い意味はなかった。
ただ酒が好きで、飲んで金がもらえる。
それでよかった。自分次第で収入も膨らむ。2005-10-28 13:36:00 -
131:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
その日俺はいつも通りに仕事をしていた。
胸にモヤモヤした気持ちを抱えたまま、それを誰にも見せずに。
優也はかなり落ち込んでいて仕事も休み勝ちだった。
「俺が怪我させたり告ったりしたせいで…由里ちゃんが姿を消した…」
と自分を責めてばかりいて精神的に不安定になっていた。2005-12-13 15:22:00 -
132:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
開店して約2時間が経った頃。
店のドアが少しだけ開いてすぐに閉まった。
当時俺の店のドアには鈴を付けてあったから音でドアの開閉がよく解る。
(一体誰だろ…?)
不思議に思って店の外の様子を伺う為に俺はドアを開いた。2005-12-13 15:25:00 -
133:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
ドアを開けるなり俺はとにかくビックリした。
そこには由里が立っていたからだった。
いつもの笑顔で「久しぶり^^」と少しだけ照れくさそうに言った。
俺はなんだか何も言葉に出来なかった。2005-12-13 15:28:00 -
134:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
複雑な感情が一気に思考回路をぐるぐると回る。
(由里のせいで優也が…彼氏がいるくせに今更何の用だ…)
だけど紛れもなく一番大きな感情は
(会えて嬉しい…)だった。
(いつの間にこんなに好きになってたんだろう…人を好きになるってこういう事なんか…)2005-12-13 15:31:00 -
135:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
何を言っていいのか解らず呆然と突っ立てる俺に
由里はいきなり腕を俺の首に回してきた。
(え…?!何…?!)俺は内心キョドりまくってた。
「よっし^^じゃぁ帰るね♪この後行く所あるから^^」
何が起こったのか一瞬解らなかった。2005-12-13 15:34:00 -
136:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
なんだか首もとが少し冷たい。
首もとを触ってみるといつの間にかネックレスが付いていた。
BVLGARIのB.zero1のWGのネックレス。由里がいつも付けていたのと同じものだった。
由里は事態の飲み込めていない俺を置いてエレベーターに乗り込もうとする。2005-12-13 15:37:00 -
137:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺はやっと我に返って咄嗟に由里の腕を掴んだ。
「ちょっ…由里待って!!」
「ネックレス気に入ってくれたら毎日付けてね?あたしとおそろいー^^」
「え…でもすっげー嬉しいけど受け取れねーよ…」
「なんで??」2005-12-13 15:40:00 -
138:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
(今一番由里に聞きたい事を言うんだ!頑張れ俺…!笑)
「由里…彼氏おるんやろ…?」
「…え?」
急に沈黙がエレベーター内に流れる。
きっとほんの何秒かだっただろうけど俺にはその沈黙がとてつもなく長く感じる。2005-12-13 15:43:00 -
139:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「なにそれー??彼氏とかいないよ!彼氏いたら夜の仕事とかしてないもん」
あっけらかんとした表情で由里がそう答えた。
俺は否定してくれた事に安心しながらも
どこかではまだ由里の言葉を疑っていた。
「ホントにおらんの…?」2005-12-14 03:19:00 -
140:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「そんなの誰から聞いたの??」
「いや…優也から…」
「そっかぁ。優也くん勘違いしちゃったのかな…。しばらくあたしと連絡取れなくて淋しかったー?^^」
「うん…」
思わず俺は素直にそう答えてしまった。2005-12-14 03:23:00