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悔やみきれない
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1:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺には恋愛というモノがよく解らなかった。
「好き」という感情も。
女に対して全くってくらい興味がなかった。
俺が16の時ホストの世界に足を踏み入れたのは
別にそこまで深い意味はなかった。
ただ酒が好きで、飲んで金がもらえる。
それでよかった。自分次第で収入も膨らむ。2005-10-28 13:36:00 -
116:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
優也は泣き腫らしたような目をして暗い表情だった。
(そんなに由里を殴っちまった事が堪えたのか…)
俺は慰めるように「そんなに気にするなよ。事故だったんだし…」
と言うと
「いや…違うんだ…」と言いにくそうに優也が答えた。2005-12-13 02:02:00 -
117:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺はビックリして「何かあったんか?」と聞いた。
優也の答えは驚くべきものだった。
「俺さ、ショックな事聞いたんだ…」
(ショックな事…?)
優也は勿体ぶってなかなか言い出そうとしない。2005-12-13 05:32:00 -
118:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「何聞いたんだよ?!言わねーとわかんねーだろ!」
落ち込んでる優也に思わずまた怒鳴ってしまった。
優也は必死に涙を堪える様子で口を開いた。
「由里ちゃんさぁ…彼氏おるらしいねん…」2005-12-13 05:35:00 -
119:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「はぁっ?!マジで?!誰からそんなの聞いたんだよ!」
「今日来てた俺のお客さんで由里ちゃんと昔仲良かったって言う子が居てさぁ…その子が言ってた…」
俺も優也のその言葉になんだか隠しようのないショックを受けた。
目の前が真っ暗になるってこういう事を言うんだろうか…2005-12-13 05:37:00 -
120:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「でもそんなのホントがどうかわかんねーじゃん!本人から聞いた訳じゃねーし!」
自分に言い聞かせる様に優也にそう言った。
「でもさ…」
言いにくそうにまた優也が口を開く。
「何?!」2005-12-13 05:40:00 -
121:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「俺、家に帰ってすぐに由里ちゃんに電話したねん。とりあえず謝りたかったし。そしたら由里ちゃんに「なんで喧嘩なんてしたの?」って聞かれてさ…」
(由里、俺の電話は取らねーで優也の電話は取ったのか…?)
一瞬そんな事が頭を過ぎった。
「それでお前は何って答えたん?」2005-12-13 05:43:00 -
122:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「俺、一瞬なんて答えていいか分かんなかったけど、その時告るチャンスだと思ってん。」
(はぁ?!いやいや全然チャンスじゃねーし!絶対バカだろ優也…)
「…」
「それで話したんだ。俺が由里ちゃんの事好きだから自分の客そっちのけで由里ちゃんの席着こうとするから貴晃にキレられて喧嘩になった…って。」2005-12-13 05:47:00 -
123:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「それで由里は何って?」
俺の鼓動が早くなるのが自分でも解った。
優也はこの調子だからフラれたのは悟っていたが
なんだか言いようのない緊張が俺の中に走る。2005-12-13 05:50:00 -
124:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
「由里ちゃんは「冗談やめてよー」って笑ってた。だから「冗談じゃない」って真剣な声で言ったらしばらく沈黙が続いて…」
「…それで?」
「「優也くんの気持ちは嬉しいし、知り合って間もないけどいい人だって事は解るよ。でもあたしすごく大切な人が居るから気持ちに応える事は出来ない…ごめんね。」って言われた。」
優也は堪えきれなくなったのかまた涙を流す。2005-12-13 05:53:00 -
125:
貴晃 ◆fnkquv7jY2
俺は頭が真っ白になってた。
秘かにどこかで自信があった。きっと由里は俺を好いてくれている…と。
確信にも近い自信があったりしたから余計に突き落とされた感じだった。
自惚れもいいとこだ。
それに(優也が一人の女の事でこんな簡単に泣くなんて…)という驚きも隠せなかった。2005-12-13 05:57:00