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悔やみきれない

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  • 1:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺には恋愛というモノがよく解らなかった。
    「好き」という感情も。
    女に対して全くってくらい興味がなかった。
    俺が16の時ホストの世界に足を踏み入れたのは
    別にそこまで深い意味はなかった。
    ただ酒が好きで、飲んで金がもらえる。
    それでよかった。自分次第で収入も膨らむ。

    2005-10-28 13:36:00
  • 301:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃遅かったね…。大丈夫??優也くんは…?」
    由里の席に戻ると由里にまた同じ事を聞かれた。
    「優也は帰った。俺は大丈夫やから。待たせてごめんな由里。」
    「なんで優也くんは怒っちゃったの…?」

    2006-01-09 23:43:00
  • 302:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は由里には正直に喧嘩の理由を言った。
    優也がまだ由里を好きな事。俺が優也に嘘を付いた事…。
    由里は複雑そうな顔をして
    「優也くん、きっとちゃんと解ってくれると思う。今は無理でもまた仲良しに戻れるよ。ごめんね…あたしのせいだよね…」

    2006-01-09 23:46:00
  • 303:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    と言った。
    俺はなんだかまた泣きそうになった。
    涙を堪えて「いや由里のせいちゃうから…優也とは絶対仲直りするし由里は気にせんといてな…」
    自分に言い聞かせるようにそう言った。

    2006-01-09 23:48:00
  • 304:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    >>306の☆彡さんへ
    由里は確かに不思議な女ですよね^^;
    俺は最後の最後までありのままの由里の姿を知る事が出来ませんでした。
    沢山後悔があります。
    本当に毎回レスくれてかなり励まされます。

    2006-01-10 00:09:00
  • 305:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    その日はその後の事をあまり覚えていない。
    だけど折角の誕生日で俺の為に来てくれた沢山のお客さんをガッカリさせたくはなくて
    がむしゃらに気持ちを切り替えて頑張ったと思う。
    由里はその日ラストまでそんな俺を見守って居てくれた。

    2006-01-10 00:12:00
  • 306:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    やっとラストソングが流れて一斉に客達のチェックを済ませる。
    由里の会計は700万ほどだった。
    またしても由里は躊躇いなく札束をバッグから出す。
    やっぱり不思議な女だ。一晩でこんなに使っていいものなのだろうか…。

    2006-01-10 00:15:00
  • 307:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    客達をみんな送り出して由里を最後にタクシーに乗るまで見送る。
    「また連絡するな。ほんまに今日はありがとう!!言葉にならんほど嬉しかった!!」
    「…貴晃元気出してね…?何かあったらすぐあたしに連絡して。じゃーね。」
    一瞬寂しそうな顔をしたけど笑顔でタクシーの中から手を振る由里。

    2006-01-10 00:17:00
  • 308:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺も笑顔で手を振り返した。
    由里を見送った後、俺もすぐにタクシーに乗り込んだ。
    とにかく優也が心配だから一刻も早く帰りたかった。
    タクシーで10分ほどの距離が今日はやけに長く感じる…。

    2006-01-10 00:19:00
  • 309:

    ☆彡

    謎のままなんですね(T-T)それはカナリせつないですね。。。
    毎回ぉ返事ウレシィです(●>_

    2006-01-10 02:10:00
  • 310:

    名無しさん

    2006-01-10 02:25:00
  • 311:

    名無しさん

    しぉり?

    2006-01-10 15:54:00
  • 312:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    やっとマンションに着いた。
    エレベーターに乗っている間もソワソワして落ち着かない…。
    優也は帰っているんだろうか。
    緊張しながら家の鍵を開ける。

    2006-01-11 16:04:00
  • 313:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なぜか何回投稿してもNGワードのエラーになってしまって感想のレス返しが出来ません…><
    本当にごめんなさいm(_ _)m

    2006-01-11 16:10:00
  • 314:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    玄関には優也の靴がなかった。
    俺は安心したような寂しいような気分に襲われる。
    恐る恐る優也の部屋に入ってみる。
    そこで俺は驚愕した。

    2006-01-11 16:12:00
  • 315:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    明らかに荷物が減っている…。
    よく着ている服や香水、CD…。
    いろんなものが無くなっていた。
    (優也…?もしかして出ていったのか…?!)

    2006-01-11 16:15:00
  • 316:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は焦って優也に電話を掛けた。
    でも何度掛けても電源が入っていない…。
    さすがの俺でもかなり凹んだ。
    パニくって由里に電話を掛けた。

    2006-01-11 16:17:00
  • 317:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里の声を聞くと涙を堪え切れなくなった。
    「優也が…家から出てったみたいなんだ…」
    涙声で由里に訴える俺はすごくカッコ悪かったと思う。
    「え…?!本当に?!どこか行き先に心当たりとかない?!」

    2006-01-11 16:19:00
  • 318:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「うん…思い付かねぇ……」
    「あたしも一緒に探すからそんなに気を落とさないでね…」

    優也はそれ以来少しの間姿を消していた。

    2006-01-11 16:20:00
  • 319:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    勿論仕事にも来なかった。
    従業員達も客達も同じ事を何度も聞いてくる。
    「ねぇ優也どこ行ったの?!」
    俺はその質問に本当にうんざりしていた。

    2006-01-11 16:22:00
  • 320:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    全く連絡も取れずに時間だけが流れていく…。
    俺の中で代表なんだからしっかりしなければという気持ちと、どうしても優也が心配な気持ちが交差して
    精神的に参りかけていた。
    由里は普段通りに俺に接して励ましてくれていた。

    2006-01-11 16:24:00
  • 321:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そんな日々が1か月も続こうとした頃。
    由里がいつもの時間に店まで来た。
    でもいつもより一段と表情が明るい。
    俺の所へ駆け寄って来るなり

    2006-01-11 16:27:00
  • 322:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃にプレゼントあるのー!店の外出てみて?^^」
    と極上の笑顔で言った。
    俺は不思議に思って由里と一緒に外へ出る。
    外に出て一瞬腰が抜けそうになった。

    2006-01-11 16:29:00
  • 323:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そこに居たのは紛れもなく優也だった。
    何故か首には大きなリボンを付けている。
    「だーりん優しくし・て・ね♪」
    なんてふざけて言っている。

    2006-01-11 16:30:00
  • 324:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里は手を叩きながら大爆笑…。
    俺は何がどうなっているのかサッパリ解らなかった。
    「おま…!一体何処行ってたんだよ?!??心配したんだぞ!?」
    俺はビックリしすぎてついつい大声で怒鳴った。

    2006-01-11 16:32:00
  • 325:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺の怒鳴り声に優也と由里は俺以上に驚いた顔をする。
    「心配かけてごめんな…。俺しばらく頭冷やしよってん。由里ちゃんといろいろ話し合ってさー。」
    (え…?由里は今まで優也と連絡が取れてたんか…?!)
    「貴晃ごめんね…あたし優也くんと連絡取ってたん。でも優也くんが貴晃には連絡取れてる事を言うなって言われてて…」

    2006-01-11 16:34:00
  • 326:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (由里は俺がどんなに落ち込んでたか知ってるはずなのに優也の味方をしたんか…?!)
    自己中だけど一瞬そんな事を思ってしまった…。
    なんだか急にふたりに仲間はずれにされたような気分になる。
    「つーかさー!お前達両思いなんだからさっさと付き合えよー?!」

    2006-01-11 16:36:00
  • 327:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「は…?」
    (両思い…?俺と由里が…?)
    「俺は由里ちゃんの事頑張って諦めるしさー。心配かけたお詫びにちゃんと応援するし!」
    由里は少し照れた様に俯いて微笑んでいる。

    2006-01-11 16:39:00
  • 328:

    まりぁ

    ゆりちゃん可愛い?

    2006-01-11 21:39:00
  • 329:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    まりぁさんありがとうございますm(_ _)m
    由里もそんな風に言ってもらえると喜んでいると思います。笑
    今からまた少し更新していきますね^^

    2006-01-11 23:58:00
  • 330:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「優也くんからね、貴晃もあたしの事好きって思ってくれてるって聞いたの…。すっごく嬉しかったよ。あたし頑張って元彼忘れようと思う。」
    由里から真っ直ぐな目でそう言われて
    俺もすごく嬉しかった。でもなんだか恥ずかしくもあった。
    「ほらー貴晃!俺の事は気にせず由里ちゃんと今日から付き合え!なっ?」

    2006-01-12 00:02:00
  • 331:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也が何故かしつこく急かしてくる。
    俺はその時いろんな事を考えて頭をフル回転させていた。
    俺はその頃本当に毎日仕事で1日も休みがない状態だった。
    最近客達の間でも俺と由里の関係が怪しまれつつある…。

    2006-01-12 00:04:00
  • 332:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (由里と付き合うのならきちんと付き合いたい…。今の俺じゃあんまり構ってやれずに寂しい想いをさせるのは目に見えている…それにもし客達の間で由里に嫌がらせをするような事があったら…)
    本当にいろんな事を頭の中で巡らせた。
    沈黙が続く。
    「貴晃どーなんだよー?!そんなに返事に渋るなら俺が由里ちゃん貰うぞ?!」

    2006-01-12 00:07:00
  • 333:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也にそう言われてもその時は今すぐ付き合う気にはなれなかった。
    由里の事は大切にしたいって心から思う。でも今の俺じゃきっと無理だ…。
    「俺の仕事が落ち着くまで由里に待っといて欲しい…」
    俺がその時ようやく出した答えだった。

    2006-01-12 00:10:00
  • 334:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「はっ?!なんだよそれー?お前もハッキリしない奴だなー!」
    優也は呆れ返ったように言う。
    由里は一瞬とても寂しそうな表情をした。
    でもすぐに笑顔になった。

    2006-01-12 00:12:00
  • 335:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃がそう言うのなら何年でも待つよ^^あたし一度惚れたらしつこいねん。もーええわってなるくらいまで待つ。」
    由里は芯の強い口調で俺にそう言ってくれた。
    「ごめんな…でも俺ホンマに由里の事好きやから。付き合うならちゃんと付き合いたいねん…」
    俺がその時きっと産まれて初めて女を相手に口にした言葉。「好き」って言葉。

    2006-01-12 00:16:00
  • 336:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也は俺が口にしたその言葉を聞いてすごく驚いていた。
    「貴晃が好きとか言ったの俺初めて聞いたし、由里ちゃんは信じて待ってあげて…^^裏切るような事は絶対ないと思うし。もし不安になったりしたら俺はいつでも由里ちゃんの相談乗るでー!」
    優也は本当に応援してくれるみたいで、俺もなんだか申し訳ないけれど有り難く思った。
    「うん^^優也くんホントに有り難う。ちゃんともうケンカせずに貴晃と仲良くしてよー?」

    2006-01-12 00:20:00
  • 337:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「おう!ホント貴晃心配かけてごめんな。ちゃんと家にも戻るし仕事にも戻る。その代わり由里ちゃんを泣かせたら俺が絶対許さねーから!」
    「わかった。ありがとな優也…」
    幸せだった。すごく。俺はなんて幸せ者なんだろうって思った。
    優也が戻って来て、由里とも両思いになれた。あの日はこの上ない幸せな日だった。

    2006-01-12 00:24:00
  • 338:

    まりぁ

    ゅりちゃんみたいな女の子になりたぃ?って素直に思ったぁ?どうなっちゃうのか気になります?
    >>1-180>>180-350

    2006-01-12 00:25:00
  • 339:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里、ごめんな。
    あの日の俺の決断は本当に間違ってたと思う。
    すぐにでも由里と付き合うべきだった。俺のエゴでお前を苦しめていた事にさえ気付けなかった。
    あの時すぐに付き合っていればお前をもっと幸せに出来たはずなのに…
    今も一番後悔しているんだ。あの時の事を…。

    2006-01-12 00:27:00
  • 340:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    >>349のまりぁさんへ
    由里はホントにいい子すぎて不思議なくらいでした…^^;
    でもかなり無理はしてたと思います…
    続き頑張って更新していきますね^^

    2006-01-12 03:35:00
  • 341:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    その後は店の中へ3人で入った。
    「優也さん?!?優也さんだ!一体今までどこ行ってたんですかー!」
    従業員達はすごく驚いていた。
    「ちょっと一人旅に出てただけー♪ただいまー!」

    2006-01-12 03:42:00
  • 342:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (いつもの優也だ…ほんとに戻って来てよかった…)
    俺はかなり安心した。
    一息ついて由里の席へ着いた時、由里にお礼を言った。
    「由里、ホンマにありがとうな…。優也が戻って来て嬉しいわ…」

    2006-01-12 03:45:00
  • 343:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃は優也くんが大好きだもんねぇ^^貴晃の力になれたならよかった…」
    そう言って綻んだ笑顔の由里を無性に抱き締めたくなった。
    一体どうすればいいんだろう…本当に由里が好きで仕方がない。
    こんな気持ちも初めてだ。全力で大切にしたいと心に誓った。

    2006-01-12 03:49:00
  • 344:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「あれ…?そう言えば由里その足のアザどうしたん…?!」
    俺は自然と由里の膝の上辺りの青あざに目が行った。
    「え…?あぁ…ちょっとぶつけただけだよ^^全然痛くないし大丈夫。」
    その時は(そっか…)って思ってそんなに気にも止めなかった。

    2006-01-12 03:52:00
  • 345:

    ☆彡

    気にナルage↑

    2006-01-12 04:40:00
  • 346:

    にきび

    今一気によんだぁ?ばぁり気になるッ?とりあしおり?

    2006-01-12 06:23:00
  • 347:

    まりぁ

    更新されてる?ゅりちゃんどうなっちゃうの???最近毎日これ読むのが楽しみデス?頑張って完結させて下さいね???

    2006-01-12 16:42:00
  • 348:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ☆彡さん本当にいつもありがとうございます^^
    にきびさん初めましてm(_ _)mしおりありがとうございます♪
    まりぁさん毎日読んでくれてるとか嬉しすぎます><
    そう言ってくださるとトコトン書く気が湧いてきます^^

    2006-01-12 17:43:00
  • 349:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「あ!そうだ!貴晃今日仕事終わった後何か予定ある??」
    「え…?今日は別にないで?」
    「じゃぁあたしの家おいでよ^^」
    突然の由里の誘いにビックリした。

    2006-01-12 17:45:00
  • 350:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    あの時何を思って由里は俺を家に来るように誘ったのかは定かではない。
    だけど俺は単純に嬉しかった。由里も喜んでいる。
    別にやましい気持ちや下心なども一切なかった。
    ただ少しでも一緒に居る時間を増やしたい。

    2006-01-12 17:50:00
  • 351:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里はその日俺の仕事が終わるまで店で大人しく待っていてくれた。
    従業員達も帰って、優也にも由里の家へ遊びに行く事を報告してから
    一緒にタクシーへ乗り込んだ。
    「なんか緊張するわぁ…!」

    2006-01-12 17:52:00
  • 352:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「え…?なんで??」
    「俺女の子の家とかあんま行った事ないしなぁ…」
    「そうなんだ?!なんか意外かも。笑 まぁ楽にしてよー!^^」
    タクシーの中でそんな会話をしていると由里のマンションへ着いた。

    2006-01-12 17:54:00
  • 353:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    タクシーから降りて由里の後を着いて行った。
    マンションの中へ入るととりあえずその豪華さに驚く。
    大理石が敷き詰められたエントランスホール。
    フロントには3人ほどフロントマンまでいる。

    2006-01-12 17:56:00
  • 354:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    エレベーターに乗ってる時間もやけに長い。
    タワーのエレベーター並の長さだ。
    何分かの間エレベーターに乗ってやっと最上階に着く。
    エレベーターを降りると一面強化ガラス張りの絶景が広がっていた。

    2006-01-12 18:05:00
  • 355:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「うわ…!すげぇ…」
    街を充分見渡せる景色が広がっている。
    「結構キレイでしょ^^もう見飽きちゃったけど…さっ!部屋入って^^」
    由里が部屋の鍵を開ける。

    2006-01-12 18:08:00
  • 356:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    中を見て俺はあまりの広さに絶句した。
    玄関の床は当たり前のように大理石。
    リビングダイニングは30畳くらいある。
    小綺麗なシステムキッチンに部屋はリビングの他に4つもある…。

    2006-01-12 18:12:00
  • 357:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「マジ広すぎやん…ほんとに由里ここに一人で住んでんの?!」
    「うん…。ただ広いだけで全然落ち着かないけどね。部屋4つも必要ないし。笑 でもここにもう2年くらい住んでるかな…」
    ふいに哀しそうな目を見せる由里。

    2006-01-12 18:15:00
  • 358:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (2年も?!由里17歳だよな?!ってことは15歳から一人で…?!)
    「なぁ前から気になってたんやけど、由里は金とか一体どうしよん?!今仕事もしてへんのやろ…?」
    ずっと不思議で仕方なかった事を俺はその時やっと聞いた。
    だけど由里は黙って俯いたまま。

    2006-01-12 18:18:00
  • 359:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「…まぁとりあえず座ってよ^^お茶入れるね。」
    由里は話を反らす様に俺を座らせて台所へ向かった。
    (やっぱ聞いちゃいけないんかな…でも気になって仕方ねーし…)
    悶々とソファーに座って考え込む。

    2006-01-12 18:21:00
  • 360:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「はい。どうぞ。熱いから気を付けてね。」
    由里がお茶を差し出して来て俺の隣に座った。
    「あ…ありがと…」俺は少しそのお茶をすする。
    少し沈黙が続いた。

    2006-01-12 18:27:00
  • 361:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    それからイキナリ由里は口を開いて唐突にこう言った。
    「あたしのお父さんね、○○○の社長やねん。」
    「え…?!」
    ○○○にはきっとどんな庶民でも知っているような有名な会社の名前だった。

    2006-01-12 18:29:00
  • 362:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里は長者番付にも毎年上位に入るくらいの億万長者の娘…。
    その言葉を聞いて俺はいろいろと納得して胸のつかえが取れた感じだった。
    由里が大金を躊躇いなく使うのも、なんとなくおしとやかで上品さがあるのも。
    「そうやったんやぁ…。ビックリや…」

    2006-01-12 18:33:00
  • 363:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なんかどう反応していいのか解らずに俺はそんな言葉しか返せなかった。
    「あたしね、昔から自分の事を金持ちって目で見られるの嫌やねん。金目当てで寄ってこられるのも、もううんざり…」
    「今までになんかあったん…?」
    俺だったら金持ってたら調子に乗るけどなぁ…というか普通は調子に乗るだろ…。

    2006-01-12 18:37:00
  • 364:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「お金って人を変えるもん。」
    苦笑いしながらそう言う由里の言葉にはどこか奥が深いものがあった。
    「何があったんか嫌じゃなかったら俺に話してくれへん…?」
    「んー…じゃぁちょっとだけ話そうかな…^^」

    2006-01-12 18:40:00
  • 365:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そう言って今までの経歴を語り始めた由里の話はあまりにも酷すぎるものだった。
    「あたしの両親ね、あたしが12歳の頃に離婚したの。原因はお母さんの浮気。お母さんに他に好きな人が出来て、家を出る時にあたしも一緒に連れてってくれたの。
    あたしは仕事ばっかりのお父さんよりも優しいお母さんの方が好きだったから、お父さんと離れるのは寂しかったけどお母さんと一緒で嬉しかったなぁ…

    2006-01-12 19:23:00
  • 366:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    お母さん、お父さんからは毎月あたしの多額の養育費を貰ってたみたい。
    それからはお母さんと新しいお父さんと3人で人並みに暮らしてた。
    新しいお父さんは仕事もしないしロクでもない人だったけど、あたしには結構優しくしてくれた。
    でもそんな生活も2年ともたなかったの。

    2006-01-12 19:27:00
  • 367:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    新しいお父さんはお母さんの通帳を持っていきなり消えた。
    あたしが14歳の時だったかな。
    毎月お父さんがたくさん振り込んでくれてたお金全部持ってちゃったの。
    それからというものお母さんは毎日お酒飲んで…荒れてて…見てられなかった。

    2006-01-12 19:30:00
  • 368:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ある日お母さんがいつも通りお酒飲んでる時に、言われた言葉がある。
    「あたしがあんたを引き取ったのはアイツから養育費を貰う為だけだったの!目障りだからもうお父さんの所へ帰りな!」って…。
    そんな事を言われても私は荒れてるお母さんを放っておけなかった…。
    あたしがお父さんに事情を説明してまたお金振り込んでもらったりして助けてもらってた。

    2006-01-12 19:35:00
  • 369:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    でもそんな日々も長く続かなかった……」
    由里は急に話を止めて目に涙を溜めた。
    俺はただそんな由里を抱き締めるしか出来なかった。
    「ゆっくりでいいから。話せる事だけ話して…」

    2006-01-12 19:37:00
  • 370:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「うん…………あたしがね…、15歳になりたての頃…お母さん自殺したの…」
    「え?!」
    「遺書には「由里ごめんね…」って一言だけ。あたしは絶望するしかなかった…」

    2006-01-12 19:42:00
  • 371:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    泣きじゃくる由里の頭を優しく撫でながら
    俺は軽はずみにとんでもない事を聞いてしまった気になった。
    由里が俺に涙を見せたのはこの日が最初で最後だった。
    由里は更に話を続ける。

    2006-01-12 19:44:00
  • 372:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「その後お母さんの葬儀で会ったお父さんは新しい奥さんを連れてた。
    なんかね、その時自分だけ取り残されてひとりぼっちになった様な気がした。
    お父さんはそんなあたしに後ろめたい気持ちがあったのか新しい家を買ってくれたの。
    それがここなんだけどね…。

    2006-01-12 19:47:00
  • 373:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    それから毎月お金も振り込むって言われて、あたしは断ったの。もう自分で働けるからって。
    でもそういう訳にはいかないって毎月たくさんお金振り込んでくれてた。
    あたしはそのお金に一切手を付けたくなかったの。
    なんだかんだでお父さんに対する当て付けだったのかもしれないけど…

    2006-01-12 19:49:00
  • 374:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    お父さんはお父さんの人生があるし、あたしに責任感じる事はないって思って。
    でもほんとは寂しかった。お金なんかよりも…自分勝手だけど私はまたお父さんと暮らしたかった…。
    だけど新しい生活を手に入れてるお父さんの邪魔はしたくなかった…。
    だから中学卒業してから必死で働いたの。お父さんのお金に頼らずに生きていこうって…。

    2006-01-12 19:52:00
  • 375:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そんな頃にね、元彼に出逢った。
    ここで1年くらい同棲してたんだけどね…。
    すごく大切にしてくれて、あたし一人じゃないんだって思えて幸せだった。
    でも結局その元彼もあたしのお金が目当てだった…。

    2006-01-12 19:55:00
  • 376:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    急に姿を消したの。置き手紙には
    「お前腐る程金持ってるくせに使えねぇ。親父から貰った金くらい使えばいいのに。もう俺付き合いきれねーわ。」
    って残されてた。あたしはまたどん底になった。
    もう人を信じたくなかった…。その頃貴晃に出逢ったんだよ。」

    2006-01-12 20:01:00
  • 377:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    無理矢理笑顔を作って俺に微笑みかけながら由里はそう言った。
    「そうやったんや…なんか言葉が出てこんわ…」
    「ううん…ごめんね。暗い話で…」
    俺はその話を聞いて由里を苦しめた奴等が心底憎かった。

    2006-01-12 20:04:00
  • 378:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    無邪気でいつも笑顔な由里がこんなにも大きな傷を背負っていたなんて……
    由里を思いっきり抱き締めて
    「俺が由里を一生守るから…絶対これ以上哀しい想いもさせへん…元彼も忘れさせてみせる。だから俺の事だけは信じてな…」

    2006-01-12 20:06:00
  • 379:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    自分に誓うように由里にそう言った。
    「ありがとう…ほんとに…貴晃に出逢えてよかった…」
    由里は涙声で俺の耳元でそう言った。
    「あたしが貴晃にお金使ったのは貴晃の事試してた部分もあったの…」

    2006-01-12 20:08:00
  • 380:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「え…?」
    「でも貴晃全然がっついて来ないし、この人は信用出来るかなって思ったよ…^^」
    「そうやったんや…俺はなんでそんなに金持ってんのか気になって仕方はなかったけど…由里の事本当に大切にしたいから金とか使わせたくなかっただけやねん…」

    2006-01-12 20:10:00
  • 381:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「そっかぁ…ありがとう…そんな事言われたの初めて…」
    「あ!そぉや!」
    「え??」
    俺はその時前に一緒に買い物に行った時の帰りのタクシー代の事を思い出した。

    2006-01-12 20:13:00
  • 382:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「これ由里が置いてったタクシー代。返すな^^」
    「え…?貴晃使わなかったの?!」
    「うん。ずっと返そう返そうと思って財布の隅によけといた!」
    「変な所で律儀なんだね^^笑」

    2006-01-12 20:15:00
  • 383:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里はやっといつもの笑顔に戻ってタクシー代を受け取ってくれた。
    俺は安心して咄嗟に話題を変えた。
    「あ!そういえば由里は誕生日欲しいもんある?^^」
    「え…?あたしの誕生日2月だよー?!まだ今12月なのに。笑」

    2006-01-12 20:17:00
  • 384:

    ゅか

    実は私この小説初めから読んでて毎日チェックしてました??〃でも書き込みとかしたことなかったからしなかったけど、今日は書き込みしたくなってしちゃいました?貴晃くん頑張って最後まで完結さして下さいね?

    2006-01-12 20:25:00
  • 385:

    まりぁ

    更新されてなぃ?ゅりちゃんすごいなぁ?忙しいと思いますが頑張って下さい?

    2006-01-14 16:34:00
  • 386:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ゅかさん初めまして^^
    書き込みすごく嬉しいです!!頑張って完結させますから見ていてくださいね。
    まりぁさん更新遅れてすみません><
    由里はホントすごいですよね…^^;頑張って更新していきます(^o^)

    2006-01-14 18:21:00
  • 387:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「えぇねん!今のうちに聞いておく!笑 何がほしいー?^^」
    「んー…じゃぁ指輪が欲しいな…」
    「指輪?解った!楽しみにしといてな^^」
    「ねー貴晃…」

    2006-01-14 18:23:00
  • 388:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「ん…?」
    「あたしの誕生日までには貴晃の仕事落ち着くかなぁ…?」
    急に寂しそうな顔を見せるの由里。
    「なんとか頑張るわ!!早く仕事が落ち着くように^^」

    2006-01-14 18:25:00
  • 389:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「うん^^」
    俺の言葉に優しく微笑む由里。
    「ええ子にして待っといてな^^笑」
    由里の頭を撫でながら俺も微笑んで言った。

    2006-01-14 18:27:00
  • 390:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なぁ、由里。今も俺、分かんないんだ。
    お前は本当の自分を俺に見せてた?
    いい子過ぎるお前はずっと俺の前でも無理をしてた?
    俺、少しでもお前の痛みを知りたかった。助けてやりたかった。

    2006-01-14 18:32:00
  • 391:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そしたら今とは違う未来があったのかな。
    意味のない後悔は募るばかりで
    俺は今もお前の居ない世界を彷徨ってる。
    もう一度だけでも お前に会いたいだけなのに−

    2006-01-14 18:35:00
  • 392:

    名無しさん

    2006-01-14 19:28:00
  • 393:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    その日はそんな会話をした後にふたりとも疲れていたから由里の布団で手を繋いで寝た。
    キスを何度かしたくらいで俺はそれ以上の事は何もしなかった。
    大切にするって難しい。抱かなければ大切にしているとは言い難い。
    だけど俺はその時充分過ぎる程に幸せだった。

    2006-01-15 00:18:00
  • 394:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    だからそれ以上は求めなかった。
    最初はお互い照れながら布団の中で笑い合ってたけど
    俺は気付けば由里よりも先に寝てしまっていた。
    なぁ由里もあの時は俺と同じくらい幸せだった?

    2006-01-15 00:20:00
  • 395:

    にきび

    更新されてるぅ?がんばって?しおり?

    2006-01-15 20:46:00
  • 396:

    まりぁ

    更新されてるぅ???何か先がわかってきたかも??ゅりちゃんィィ女すぎるよ?そんな環境なのに性格ィィし顔もィィなんて?見習わなきゃ?

    2006-01-15 20:51:00
  • 397:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    にきびさんしおりありがとうございます^^頑張りますね!!
    まりぁさん先が解ってきましたか!?すごいです…笑 600くらいで完結出来ると思います^^

    2006-01-16 15:07:00
  • 398:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    爆睡してた俺がようやく目を覚ますと隣で寝てる筈の由里が居なかった。
    「由里…?!」寝ぼけながら由里を探す。
    時刻はPM9:00頃。
    (やべーちょっと寝過ぎた…仕事の準備に帰らんとあかん…)

    2006-01-16 15:09:00
  • 399:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里の部屋から出てリビングへ行く。
    なんかおいしそうな匂いが漂っている。
    「あ!貴晃おはよ^^オムライス作ったけど食べる…?」
    キッチンに立ってた由里が笑顔で言ってきた。

    2006-01-16 15:10:00
  • 400:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「え?由里が作ったん?!食べるっ!!」
    あまり時間に余裕がなかったけど俺は子供みたいに目をキラキラさせて言ったと思う。
    「もーちょっと時間かかるから先にお風呂入ったらー?お風呂貸すよ^^」
    (由里ってホンマ気が利くな……)

    2006-01-16 15:13:00
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