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生きる女性の苦悩と覚醒、鮮烈に…「コンビニ人間」から2年、芥川賞作家・村田沙耶香さんが新作「地球星人」出版(産経新聞)

大ベストセラーとなった芥川賞受賞作『コンビニ人間』から2年。作家、村田沙耶香さん(39)が新しい長編『地球星人』(新潮社)を出した。目の前の世界に強い疎外感を抱いたまま、小学生から大人になる女性の苦しみと自由への覚醒(かくせい)を鮮烈に描く。「人間という“生き物”を、もっと知りたい」という尽きぬ欲望の結晶でもある。(海老沢類)
主人公の奈月にとって、世界は人間を作る〈工場〉に見える。街には人間のつがいの〈巣〉が並び、そこで生み育てられた子供が〈出荷〉されて〈世界の道具〉になるのだ、と。〈働く道具〉にも〈社会のための生殖器〉にもなれずに苦しむ奈月は、理不尽な性被害を受けながらも、祖父母が暮らす長野の山村・秋級(あきしな)に帰省した際に、いとこの由宇(ゆう)と交わした〈なにがあってもいきのびること〉という誓いを胸に生きる。
ただ、ネット上で見つけた男性と結婚し「普通」を演じても、生きづらさは一向に変わらない。そんなある日、夫婦で訪れた秋級で由宇と再会し世間とは違う小さな共同体が生まれる。
■宇宙人の目
「転んでいる子供がいたら『大丈夫?』って声をかけたり…と、気持ちはウソではなくても、人間って一定の『型』に合わせて振る舞う部分がある。それが不思議だし面白い」と村田さん。「でも、その『型』を取っ払った世界も絶対にある。それが見えないのが私は悔しいんです」
だから、自らを〈ポハピピンポボピア星人〉だと語る奈月の「宇宙人の目」を借りて世界を観察し、その様子を面白がるように淡々と写し取る。奈月は世間の禁忌(タブー)を犯し、常識からは逸脱していく。その言動は苛烈で痛々しいけれど、ときに自由の輝きも放つ。〈きちんと『妻』としての勤めを果たしてくれないと〉〈早く女の幸せを見つけてね〉…。読んでいるうちに、普通の人々のそんな言動のほうが、歪(いびつ)で暴力的に感じられるような瞬間がある。
「人間にとってのタブーや本能も、いつごろかに植え付けられたもの。だからもう一回この世界と出合い直して、人間って生き物は何なのか?を発見したい、という気持ちが究極の野望としてあるんです。感受性も、視界も、今までと違って、すごい空の色に気づくかもしれないから」
衝撃的なラストは狂気の光景か、それとも-。どう受け止めるかは読み手に委ねられている。
■専業作家に
コンビニで働く不器用な独身女性の世間との格闘をユーモラスにつづる『コンビニ人間』はすでに20以上の言語での翻訳出版が決まった。今年は英訳版も刊行され、海外メディアのインタビューも受けた。
「海外に『コンビニ』と名のつくものはあっても、日本のように、そろってお客さんに声かけして唐揚げを売ったりはしないですよね(笑)。でもそれ自体を奇妙な日本文化だと楽しんでくださっている。国の違いを考えずにちゃんと描けば伝わるんだな、と」
その作品の源泉となった学生時代からのコンビニでのアルバイトを昨年いっぱいで辞めた。専業作家となり、「体調もいいし、執筆もよく進む。書きたいことはいっぱいある」と笑みを見せる。
「小説の言葉って、読んでいて身体の一部になっていく感じがある。そうして別の場所や世界に連れて行かれる。私も、そんな別の自分に会いたくて書き続けている気がします」
◇
〈むらた・さやか〉昭和54年、千葉県生まれ。玉川大卒。平成15年に作家デビュー。21年に『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、25年に『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、28年に『コンビニ人間』で芥川賞。
提供元:Yahooニュース