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ゲイの弁護士カップルが切り拓く、“愛と法”の新たな地平(dmenu映画)

最近やっとLGBT(性的マイノリティのうち、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの総称)という言葉が広まりつつあるという実感を持っているが、逆に「この人は一体どんな認識を持っているのだろうか?」と思わせられる、ありえない暴言を吐く政治家も大勢いる。そんな古い考えに凝り固まった人たちは、ぜひこの『愛と法』というドキュメンタリー映画を観て、堅い頭をほぐして欲しい。
カズ(南和行)とフミ(吉田昌史)は大阪の下町にて2人で法律事務所を営む弁護士で、私生活でも結婚し、猫と一緒に暮らすパートナーだ。2人のもとには少年事件や性的マイノリティに関するものなど、様々な依頼が舞い込む。映画はそのなかの主に3つのトピックを追いかける。
「ろくでなし子裁判」は、女性器をモチーフに社会のタブーや矛盾を突く作品を発表している美術家/漫画家が、わいせつ物陳列罪などで起訴された裁判。「君が代不起立裁判」は、卒業式の国家斉唱時に起立せずに処分を受けた教諭が、「思想、良心、教育の自由」の侵害として処分取り消しを求めている裁判。「無戸籍者裁判」は、現状にそぐわない古い民法規定や経済的/環境的状況が原因で出生届けを提出できず、戸籍を持たない1万人以上の困窮する人々についての裁判。いずれも一般常識や“普通”と言われる考え方で判断すれば、あまり良いイメージを持たれることのない、少数派の人たちが行っている裁判だ。
しかし映画は裁判の過程については詳細を追わず、結果をあっさりと提示するだけだ。その代わりにカメラは2人のプライベートな空間に入り込み、その私生活を丁寧に写し撮る。2人はレインボー・パレードに参加し、家で普通にご飯を作り、弱音を言う相方をサポートし、そして毎日を力強く生きている。さらにカズは音楽が趣味で、作詞作曲にピアノの弾き語りも得意だ。
ときには依頼人や講演の聴講者から理不尽な言葉や差別的な発言を浴びせられて、怒り落ち込むこともある。それでもなお、「なぜそんなことを言ってしまうのだろう?」と、相手の生活環境の心配までもしている。このように彼らの会話の端々かはら、2人の底抜けな寛容さと優しさ、そして自然なユーモアが意図せずして溢れ出て来るのだ。それは2人にとって大きな力になっているはずだ。
法律に関する会話で特に印象的なのは、「社会の弱者を守る最後の砦という裁判所の機能が無くなったどころか、その役目を果たそうとする態度すら見せない」と、司法に対する失望と怒りを表明する場面だ。
もちろん法も人間自体も完全じゃないのは当然だが、ここ数年はテレビや新聞、SNSを通して、繰り返される強行採決や三権分立のバランスが崩れ行く姿を見せられて、それを完膚なきまでに思い知らされ、政治に対する諦めにも似た世の中の空気を個人的には感じている。
それでもこの映画の中に、微かな希望を見出すことができる。それは2人が自分の人生に対して真摯に向き合う姿であり、そんな彼らから滲み出てくる愛だ。2人が関わる裁判には、当事者に対する2人の大きな愛が感じられるのだ。
提供元:Yahooニュース