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【今週はこれを読め! SF編】十三の幽霊屋敷、十三の怪異〜夏来健次編訳『英国幽霊屋敷譚傑作集』(BOOKSTAND)

 創元推理文庫から刊行された夏来健次編訳の英国怪奇小説アンソロジーは、『英国クリスマス幽霊譚傑作集』『ロンドン幽霊譚傑作集』につづいて、本書が三冊目。順調に継続しているところをみると、読者からの支持があるのだろう。いま日本の出版界はホラーブームと言われるが、その中心から外れたところで、こうした地味な企画が成立するのは素晴らしいことだ。
 ヴィクトリア朝時代に発表された、幽霊屋敷にかかわる十三篇が収録されている。ごぞんじのとおり、英国は幽霊屋敷の本場である。
 本書には面白い章分けがあって、「幽霊屋敷」(原題The Haunted House)という同じタイトルの作品を二本、「開いた扉」(原題The Open Door)も二本、幽霊談義という形式の作品を二本、J・E・プレストン・マドックの作品を二本、「応報と理不尽」というテーマで三本、無名作家と巨匠の異色短篇をひとつずつ......と、さながら取組表のようになっている。読者は対戦(?)ごとに、こちらの作品のほうが面白かったとか、これは伯仲の勝負だったなどと、自由な感想を言えるわけだ。
 たとえば、「幽霊屋敷」対戦は、エマ・ホワイトヘッドとマーガレット・ヴァーンという、双方、女性作家の顔合わせ(ちなみにヴァーンは本書収録中、唯一の米国作家。ただし作品の舞台は英国だ)。これは圧倒的に前者に軍配があがる。ヴァーン作品がメロドラマ風味の常套の因果話なのに対し、ホワイトヘッド作品は物語がどっちへ転がっていくかわからない眩惑感がある。いっぽうで主人公が住む家の隣に昔からある幽霊屋敷の謎、もういっぽうで主人公の亡くなったばかりの恋人の幽霊、それぞれが別々に物語に登場し、これがつながるのかつながらないのか、宙吊りになったまま、主人公は怪異なできごとに遭遇していく。幽霊屋敷の建築的構造が、ものがたりの雰囲気を濃厚なものにしているところも素晴らしい。
「開いた扉」対戦は、シャーロット・リデルとマーガレット・オリファント、こちらも女性作家どうしの取り組み。「開いた扉」といっても、リデル作品は閉めても閉めても開いてしまう扉であり、オリファントは廃屋のとうに朽ちて板がなくなっている扉である。不思議なできごとについての演出はどちらも悪くないが、怪異を調べに向かう主人公の言動の味わいという点で、リデル作品のほうが一枚上手。すっとぼけたユーモアがある。
 幽霊談義対戦は、ウィリアム・マッドフォード「ブレイクスリー屋敷の幽霊談議」とアンドルー・ラング「奇談の屋敷」。どちらも枠物語で、幽霊話を語ること自体が主題化される。前者は雑誌に三回分載の第一回分だけの訳出という事情もあるが、枠物語形式----つまり現在進行形の外枠物語と、それぞれの話者が披露する内側の挿話群----の効果において、「奇談の屋敷」のほうが成功している。語りのリズムも良い。
 J・E・プレストン・マドック作品は、「バロカン屋敷の幽霊」と「ライスリップ僧院屋敷の幽霊」。マドックは名探偵ディック・ドノヴァンのシリーズが有名な小説家である。「バロカン屋敷の幽霊」は、出現した幽霊が直接に目撃者を害するのではなく、目撃者とかかわりの深い誰かの死の予兆なのだ。ただし、それが誰かは実際に死が訪れてみないとわからない。「ライスリップ僧院屋敷の幽霊」は合理主義者で超自然など信じない主人公が、幽霊が出ると噂のある家へ引っ越す。どちらの作品も面白く甲乙つけがたいが、物語にひねりがあるところを加点して、「バロカン屋敷の幽霊」の判定勝ちとしておこう。
「応報と理不尽」をめぐる巴戦は、チャールズ・オリア「パディントン領主屋敷の幽霊」、ダドリー・コステロ「ヨークシャーの幽霊屋敷」、フランシス・ブラウン「農場屋敷の幽霊」。「応報と理不尽」と題されているのは、登場人物にふりかかる怪異は、過去の恨みによるものか(応報)、それとも理由もなく祟られるのか(理不尽)という区分けで、どの作品がどちらのカテゴリに属するかは読んでみるまでわからない趣向。「パディントン領主屋敷の幽霊」は、亡骸めいた幼児を抱き、喪服をまとった痩せこけた女があらわれる。「ヨークシャーの幽霊屋敷」はポルターガイスト。「農場屋敷の幽霊」は不気味な笑い声。漸増するサスペンスの演出という点で、「ヨークシャーの幽霊屋敷」を買う。
 無名作家と巨匠の異色短篇対決は、チャールズ・F・F・ウッズ「岩礁の幽霊灯台」と、アーサー・コナン・ドイル「ゴアズソープ屋敷の幽霊選び」。作品に付された解説によると、チャールズ・F・F・ウッズは、「岩礁の幽霊灯台」しか作品を残していない経歴不明の作家だという。行方不明になった灯台守の代役として、その灯台へ赴任した男が主人公。灯台を幽霊屋敷に含めるのはいささか拡大解釈だが、たしかに雰囲気はある。いっぽう、「ゴアズソープ屋敷の幽霊選び」は、中世趣味の主人公が古色蒼然たる屋敷を手に入れて悦に入るのだが、画竜点睛を欠くのはこの建物に幽霊が付属していないことだと気づく。ぜひとも幽霊を調達しなければ......という展開が愉快だ。ユーモアの効かせ方が巧みで、文章にも無駄がなく、さすがドイル。堂々の貫禄勝ちなのだが、幽霊屋敷小説としてはちょっと反則技を使っているので(個人的にはそこがとても面白かった)、無名作家vs.巨匠の対決はドローゲームとしたい。
 というわけで、勝手に収録作品の対戦に見立てて読んでみた。初戦を勝ちあがったのは六篇。これから第二戦へ進みたいところだが、それは再読時の楽しみにとっておこう。
(牧眞司)

提供元:Yahooニュース
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