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女優・剣幸さん「中畑清さんの引退試合のホームランを見て退団を決めた」【その日その瞬間】(日刊ゲンダイDIGITAL)

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【その日その瞬間】
剣幸さん
(女優/元宝塚歌劇団)70歳
◇ ◇ ◇
宝塚歌劇団の月組男役トップスターだった剣幸(つるぎ・みゆき)さん。退団後も俳優として映画やテレビ、ミュージカル、さらに音楽活動と幅広く活躍。1974年の宝塚入団から芸能生活は50年を迎えた。いくつもあった転機を語ってくれた。
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■高校時代は富山の工業高校でボルトの製図をやっていた
まず自分の人生が「ここでひとつ変わった」と聞かれたら、工業高校を選択したことですね。富山県の田舎で過ごした中学時代までは将来のことも何も考えずに過ごしていました。高校進学時には、まだ何になりたいかとかは決まっていませんでしたが、何かモノづくりができるかもしれないと思ったんです。
絵を描いたり、プラモデルとかお料理とか何か作ったりするのが大好きだったんですよ。それで工業高校に行けば、例えば家の設計とかデザイナー的なインテリアデザインの製図が描けると考えていました。実際はまったく違っていてボルトやナットの製図などをやらされました。
高校を卒業したらどうする? その時にふと思ったのが宝塚受験です。受かる受からないよりも人生の中で一度は絶対チャレンジしなきゃいけないんじゃないかと。当時はNHKで「歌のグランドステージ」という番組があった。人気歌手の歌謡ショーです。そこに宝塚のトップスターが出ていて後ろで踊ってた。それを見て「ダンサーになりたい」と。怖いもの知らずですよね(笑)。よく考えたら音楽の授業もない工業高校に行って、音楽学校を受けるもないですよね。
高校3年の夏休みにバレエを習い始め、宝塚にも行きました。その時に初めて宝塚のショーを見ました。花組の甲にしきさんの「浜千鳥」と瀬戸内美八さんの「人魚姫」。この世の中にこんなものがあるんだ、「きれい!」と感じましたね。受験までにはいろんな人が協力してくれました。高校の先生が神戸出張のついでに宝塚の音楽学校に寄って、「富山の工業高校で何もしてない子ですが、受けられますか」と聞いてくださったり、吹奏楽部の先生が「宝塚を受けるんだって?」と声をかけてくれて、試験の出る範囲の対策をしてくださったんです。
その結果、宝塚に見事合格(74年)。ただ、ショックだったのは父親からは「30歳まで結婚は考えるな」と言われたこと。「おめでとうじゃないんだ」って思った。あの言葉は忘れられません。
入学すると周囲とはレベルが違い過ぎて自分が来る世界じゃないと思いました。でも、楽だったのは「劣等生だからできなくて当然」と思えたことです。そんな中でも私はギターを弾いていたおかげで、三味線には馴染みがあるから得意で、タップとか日舞とか、いろんなものを教えてもらえるのも楽しかった。
宝塚の制服を着ていると「ファミリーランド」っていう遊園地に無料で入れてもらえるのですが、授業が終わってみんなが個人レッスンに行くのに、私はひたすらそこのジェットコースターに乗ってました。
先輩から舞台人として必要な言葉をいただいたのも貴重な体験です。それが「欲を持て」。何かをこうしたいという欲を持て、と。食事一つとっても「お茶漬けでいいやはダメ、あれが食べたいこれが食べたい」じゃないとダメと言われた。ちなみに食べたいものを聞かれたら、肉と答えます(笑)。私の3食は今もそれで回っています。シャトーブリアンが大好きです(笑)。
その後の大きな決断は宝塚をやめる瞬間。トップを5年務めましたが、4年経った頃から「若い人にバトンタッチしていかなきゃいけないし、次、何しようかな」って思っていました。それではっきり引退を意識したのは読売ジャイアンツの中畑清さんの存在です。引退試合でホームランをかっ飛ばしたのですが、「なんてかっこいい引き際だ」と衝撃的で。私、野球が大好きなんです。
それを見た翌日、退団届を出しました。「もう1年待ってくれ」と言ってくださったのはすごくありがたかったけど。その後、随分経ってから知人を介して中畑さんとお食事したことがあるんですが、「おまえのファンに俺すげー責められたぞ」って(笑)。
辞めてからは俳優のお仕事をいただけて今日に至っています。
■井上ひさしさんに「芝居は生きもの」と教わった
女優として人生を変えた出会いは劇団「こまつ座」の井上ひさしさんですね。鵜山仁さんや栗山民也さんの演出が自分が思っているお芝居の作り方じゃないのが一つ。それから井上さんの遅筆です。2作目の出演の時は初日が2日遅れました。井上先生は稽古場で台本を1枚ずつ作るんです。だから最後がどうなるかわからない。楽しくて刺激的というか。だから初日が開いた時の感動たるやすごいものがありました。先生のつむぐ言葉の奥の深さを目の当たりにして「芝居は生きものだ」と感じました。台本の隅々まで先生がどういう思いでお書きになっていたか。先生が言葉にかけた思いを役者としてもやっぱり大事に大事に言わなきゃいけないと考えさせられました。
今月13日には舞台「ナイト・ウィズ・キャバレット」が始まります。俳句を作る男女の16年を描いた物語です。1941年まで日本が戦争に向かう前までの物語です。大正時代は割と華やかで自由だけど、日中戦争が始まって言論の自由も奪われていく。時代とともに2人の関係もどんどん変わり、面白さ、危うさ、俳人の持ってる奇妙さが浮き彫りになる。そんな人間ドラマが見どころです。
提供元:Yahooニュース