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映画「モリがいる場所」でスーパー老夫婦を演じる山崎努と樹木希林/週末エンタメ(サンケイスポーツ)

静かで温かくて、クスっと何度も笑いながら、胸が熱くなってしまう珠玉の映画が誕生した。
5月19日公開の「モリのいる場所」(沖修一監督)は、主演の山崎努と樹木希林が実在した伝説の画家でモリと呼ばれた熊谷守一とその妻を演じる物語。
昭和49年の夏の一日を生きる94歳のモリに焦点をあて、30年間ほとんど家の外に出ず、自宅の庭でネコ、アリ、アゲハチョウなど小さな生命を飽きることなく観察し続けた姿を描きながら、彼の生き方や優しさ、信念を浮き彫りにしていく。
周囲から“仙人”と呼ばれ、予測不可能な行動をするモリを大きな愛で支える76歳の妻もまたつかみどころがなく…。人知を超えた“スーパーおじいちゃん・おばあちゃん夫婦”のもとには、同居する姪っ子の中年おばさん、モリに心酔するカメラマン、あやしい画商、にぎやかな近所の人々などいつも大勢が訪ねてきて、“何も起きない一日”を盛り上げる。
両手でつえをつき、自宅の庭を“探検”するモリ。冒頭のシーンで青く生い茂った庭の木々が静かに映し出される中、“ウォーリーを探せ”状態で緑の中に埋もれている山崎は完全に背景と同化している。名優が演技をつきつめると“風景”になってしまうんだ、と思わず感嘆のため息がもれてしまった。
80歳の山崎が演じる94歳の主人公が渾身の力で立ち上がり、ゆっくり庭に歩を進め、座ることにもエネルギーが必要な立ち振る舞いはリアリティーにあふれていて、本当に熊谷守一という人のドキュメタリーを見ている気分にもなる。
庭でアリを観察するモリは、横向きに地面にねそべり、自分を撮影するカメラマンに「最近気づいたんだけど、アリっていうのは、左の2番目の足から動き出すんだね」と話しかけ、きょとんとする彼に「よく見て!」と何度も促し、そのうちカメラマン、その助手を巻き込み、3人で横たわり、アリを観察する姿には吹き出してしまう。
山崎の超越した天才画家と対照的に、樹木はまったく力むことなく夫のすべてを慈しむ妻をチャーミングに表現している。「行ってきます」と庭へ“出かける”夫に「はい、いってらっしゃい、気をつけて」とふんわりと声をかける。国から「文化勲章を授ける」という電話が入り、「そんなもん、もらったら人がいっぱい来ちゃうよ。はかま履きたくない」と顔をしかめるモリを見て、「ああ、いらないそうです」とちゅうちょすることなく、受話器を置いてしまう妻にも大笑いする。平凡なようで、実は妻のほうが夫より変わっていて、仙人を手のひらで泳がせる神様みたいにも見える。
夏の一日に繰り広げられるたわいもない夫婦のやりとりは楽しい笑いを誘うが、その日の夜になって“あるお誘い”を受けたモリが妻のために下す決断とその胸の内を語る言葉は熱い涙を誘う。
ユーモア、ドキュメント、年輪、感動がつまった「モリのいる場所」。初共演とは思えない山崎と樹木が演じる結婚52年目の老夫婦は、生きているだけで素晴らしいことや寄り添い合える幸せを教えてくれる人間賛歌そのものだ。(大塚美奈)
提供元:Yahooニュース