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まさに中学受験? 大企業があげる過去最高益と危機的な生活苦が同時発生する現代ニッポン(松尾潔)(日刊ゲンダイDIGITAL)

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【松尾潔のメロウな木曜日】#61
見慣れない四字熟語のインパクトに惹かれ、書店でこの本を手にとった。やはりタイトルの力って大きいなぁ、としみじみ。教育ジャーナリスト・おおたとしまさの新著『中受離婚』(集英社)のことである。もちろん「離婚」は分かる。では「中受」の2文字は何を意味するのか。骨身に沁みるほど知る者が「ああ……」と言葉にならぬため息をつく一方で、わからぬ者はもう何が何やら、手がかりの尻尾さえつかめないのではないか。
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答えはサブタイトルにある。「夫婦を襲う中学受験クライシス」。そう、中受は中学受験の略称。この本は子の中受を機に離婚という人生の選択を突きつけられた夫婦3組のセミフィクションなのだ。セミというのは実話ベースだから。著者は実在の3組の夫婦と子どもを徹底的に取材したうえで、高いリーダビリティ獲得の手段としてフィクションの体裁をとったというわけだ。
まずぼくも立ち位置を明示しよう。中受、経験してます。誰がって自分が。40年以上前の地方都市の話だけど。ただ自分の子どもたちは中受とは縁のない人生を歩行中。ゆえに「中受の親」の気持ちを理解しているとは言えません。それでも首都圏の中学受験が過熱している現況は、ヒィーと悲鳴を上げている知りあいの夫婦たち(ひと組やふた組ではない)を通して伝わってくる。事実、首都圏模試センターによれば、2023年の私立・国立中学受験者数は過去最多の5万2600人、受験率も過去最高の17.86%だという。中受と縁遠い世代や地域にお住まいの方がたには驚きの数字ではないだろうか。
メディア露出が多く、テレビで軽妙なトークを披露することもある著者には、これまでも大きな信頼を寄せてきたが、単著を購入して読むのは初めて。結論から言うと、これは面白くてためになる本です。多芸多才のおおたさんは小説を書く心得もおありだとみた。
ネタバレにならないように帯の文言を以下引用する。まずは表紙面から。「夫婦関係を犠牲にしたら、子どもは第一志望に合格する/そんな取り引きがあったら、どうしますか?」。そして裏表紙面には全3章の紹介文がある。「合格から逆算し受験をプロジェクト化する夫、わが子を褒めることができない妻」「受験への出費をいちいち渋る夫、受験伴走も仕事も下の子の面倒もワンオペする妻」「夏期講習よりもサマーキャンプを優先したい夫、夫を透明人間のように扱う妻」。
紹介文を読むだけでお腹いっぱいと敬遠する向きがあるかもしれないが、各章末に「解説」と銘打たれたページが整腸薬の働きをしてくれる。この配慮はじつに心憎い。心理カウンセラー経験を持つ著者の、より肉声に近い語りが聞こえてくるようだ。巻末の略歴によれば、おおたさんは1973年東京都生まれ。男子御三家として名高い麻布中・高を卒業した後、国立と私立の大学で学び、リクルート勤務を経て独立。中高の英語教員免許や私立小非常勤講師の経験まであるのだから、そりゃあ説得力も半端ないわけだ。
大企業があげる過去最高益と、危機的な深刻さではびこる生活苦が同時発生する現代ニッポン。中学受験? へー、義務教育なのに結構なご身分じゃねえかと悪態をつきたくなる人もいるかもしれない。だが受験生の親たちすべてが精神的あるいは経済的に余裕があるばかりでもない現実も、著者は書き漏らすことがない。そのうえで、家族やパートナーとの関係性において分化度(自己分化度)を高めることの肝要さを丹念に説く。あとがきの「夫婦関係の終了が人生において必ずしも負を意味しない」という一節にたどり着くとき、中受にかぎらず憂きこと多き現代人の心は少し軽くなっているはずだ。
(松尾潔/音楽プロデューサー)
提供元:Yahooニュース

