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初めての映画出演で難役に。遅れてきた新人女優、紗羅マリーの挑戦(ぴあ映画生活)

撮影当時29歳。あと数カ月で30歳を迎えようとしていた“新人女優”が、初めての映画出演で演じたのは、麻薬中毒のシングルマザーという超難役。「知らない自分を見てみたい」ーー。そんな思いで紗羅マリーは、映画『ニワトリ★スター』の現場に飛び込んだ。
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10代の頃からモデルとして活動し、2010年には歌手デビュー。2013年に結婚し翌年、27歳で母親となった。「若い頃は、事務所に“演技とTVの仕事は向いてないからやりたくない”と伝えていた」という。
「今思うと、何で勝手に“できない”と決めていたのか分からないんですけど。子供を産んで、もうすぐ30歳になるというときに、自分でボーダーラインを決めていることが、つまんなく思えたんです。こんな私でも子供が産めたんだから、何でもできるでしょって(笑)。そんな時にちょうど、話をいただいたんです」
以前、一度だけ会ったことがあったという、かなた狼監督からの突然の映画出演の依頼に、即座に「YES」と返事をした。その時点で、本作が草太(井浦新)と楽人(成田凌)のふたりを軸にした、異色のバイオレンス・ラブストーリーであり、自身がオファーされた月海という役どころが、覚醒剤中毒に苦しむシングルマザーという、かなり過酷なシーンが要求される役どころであることも説明されたというが、出演に一切の迷いはなかった。
最も共演シーンの多い成田とは、撮影を前に行なわれたワークショップの場で初めて顔を合わせたが、監督が見守る中で行なったのは、演技のレッスンや読み合わせではなく、自分自身の全てをさらけ出すという作業だった。
「監督から、私と成田くんが向かい合って手を繋いで、お互いの目を見ながら“今までの人生を全部ーー誰にも言ってないこと、隠してること、良いことも悪いことも、全部を話して、ふたりで分け合え! 一番汚い部分を見せろ”と言われまして。初対面の相手と2時間近くも……(笑)。だから、私は成田くんが親にも言っていないようなことも知ってます(笑)。不思議な関係ですよね。この映画で演じる上で、精神的に背負っていかないといけないものがあって、その負担を互いに分け合えたんですよね。何がどうなろうと、一番ひどい自分をこの人は知ってくれているという心強さ、揺るがない安心感がありました」
月海は26歳のシングルマザーという設定。芸能界で、この年齢で実生活でも母親である女優はほとんどいない。監督が彼女に月海役をオファーした背景に、彼女が一児の母であることが関係しているかどうかは不明(紗羅曰く「監督とはそういう話をしていないし“目の奥に病んだものが見えたから”って言われた(笑)」)。それはともかく、彼女が実際に母親であることが、この役を演じる上では大きな助けになったことは事実である。
「子供がいなかったら分からなかった感覚もあったと思いますし、私自身、子供を産む前と後で、人間性が全く違っている部分も確実にあります。それをこの役に活かすことができたらという思いはありました」
特に苦しんだのが、浴室の中でクスリの誘惑と戦い、もがきつつも心配する息子にひどい言葉を投げかけるシーン。「実の息子に対してすら、どうしても向き合えないことってあるんですよね。どんなに愛していても、幸せな生活を送っていようとも、分かり合えない1ミリがあったりする。(クスリを)やりたいけど、やっちゃダメで、子供を傷つけて、いろんな感情がごっちゃになって、プツンと切れたとき、どうなるのか……? 自分の中で80%は(感情に任せて)勝手に、20%はどこかで考えながらやっているような感覚でした」
“女優”という仕事を経験して「何が正解で何が不正解かも分からないまま、進んでいくのが怖かったけど、自分と向き合い、見つめ直さないといけない作業で、それはすごく楽しかったです」と充実感を口にする。
覚醒剤中毒者がどういう精神状態なのかを頭の中で考えて、考えて、挙句に「歯医者さんに行ったら、全然、麻酔が効かなくなってたんですよ。先生に“こんなに麻酔が効かないのは、薬物中毒者くらいだよ”って言われて……(笑)」と憑依タイプの女優のポテンシャルをうかがわせる。
成田演じる楽人が体現する凄まじいまでの“愛”の表現について「もともと、愛という言葉は好きじゃないんです。ものすごく自由自在に形を変えていきやがるものなので、その場その場で使える簡単な言葉だなって。でも、この映画で初めて、生まれてから死ぬまで変わらない形の愛を貫き通す男の人に出会えました。それは日常の私自身にもすごく大きな影響を与えてくれたと思います」と語る。
本作の撮影後には、オーディションを経てミュージカル『RENT』で初舞台を踏んだ。今後の女優としての活動について「やりたいと言ってやれる仕事じゃない」と言いつつ「でもやりたい!」と強い思いを口にする。
「先ほどもお話した浴室のシーンで最初、泣けなくて監督から“散歩してこい”と言われて、ひとりになりたくてトイレにこもったんです。そこで、自分がずっとまばたきをしてないことに気づいたんです。ドライアイなので、今でも数秒、目を開けっぱなしにすることもできないのに、そのときはアドレナリンが出まくってたんですね。“ヤバい、私、今超人になってる!”って(笑)。そのとき、できないことができて、それを当たり前にしてしまう役者という仕事のすごさを実感しました。私なんて、まだ卵からかえってない状態ですが、まだまだ自分で見たことのない自分がいると思うんです」
心に強く残っている映画は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。クエンティン・タランティーノの激しい作品群も大好きで「人を撃ち殺すような激しい役、変な役をやってみたい!」と言葉に力をこめる。
若手中心で回る日本映画界で、遅れてきた新人女優が今後、どのように暴れてくれるのか?期待したい。
取材・文・撮影:黒豆直樹
ヘアメイク:足立真利子
スタイリスト:松居瑠里
『ニワトリ★スター』
全国公開中
提供元:Yahooニュース