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「中二病」は正しく使えば武器になる! 元ニートのベストセラー作家が明かすヒットの理由(Book Bang)

いま、売れに売れている本がある。今年の5月に発売された『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫nex)は口コミやSNSでのレビューが評判を呼び、発行部数があっという間に28万部を超えた。

表紙を一見すると、爽やかな感じの青春小説のようだが、発売元が「絶対に電子化はできません」と断言するように紙の書籍でないと味わえない謎解きがある、ミステリ要素の強い物語だという。

主人公は二十歳の男性で、彼の父親が亡くなったところから物語は始まるのだが、この父親が非常にクセのある人物なのだ。大御所のミステリ作家であり、妻帯者にもかかわらず大変なプレイボーイだった。主人公は不倫の末に生まれ、認知もされずに母親の手で育てられた。

この主人公が、亡き父が最期に執筆していたという遺稿を探し始める話なのだが、なぜこれがベストセラーとなっているのか? かつてニート生活を送っていたこともあるという著者の杉井光さんの言葉から、人気の秘密を探ってみる。

 ***――驚きの仕掛けがある本、という前評判があったので最初から細部に注意を払って読みましたが、とうとう最後まで謎を解き明かせず、結末に驚かされました。どうしてこのような作品を書こうと思ったのですか。

杉井:原体験 として、小学生の頃に父親の本棚にあったあるミステリ作品を読んだ経験があります。僕にとって初めてのミステリ作品だったと思うのですが、今までの人生で一番驚いた一冊だったんです。この経験がずっと心に残っていて、作家になってからも、いつか読者をあれくらい驚かせてみたいと思い続けていました。

 また、以前から本について、気になっていたことがあったんです。何が気になっていたかはネタバレに繋がるので伝えられず心苦しいのですが、それを仕掛けに使って小説にしてみるか、と昨年の春くらいに思い立って執筆を始めました。

――執筆にはどれくらいの時間が掛かりましたか。

杉井:執筆を思い立ってから初校を書き上げるまでは、2か月半ほどです。

――えっ(絶句)。仕掛けが張り巡らされたこの作品にしては、もの凄いスピードです。

杉井:書き始める前は、「死ぬほど大変だろうな」と尻込みもしていたんです。書くのはやめておこうかなという考えもチラつきましたが、自分が書かないとこのアイディアは歴史から消えるかもしれないと思うと、謎の義務感を感じてしまって、書くしかないなと。

 いざ覚悟を決めて書き始めたら、実際は思っていたほど大変ではなかったですね。本当に、ただ書くだけでした。

 しかし、物語の筋であるプロットが決まるまでは苦しみの連続でした。ただ仕掛けがあるだけでは読者は驚いてくれず、「ふーん」と思われて終わるだけですよね。仕掛けがちゃんと物語とリンクしていて、謎が明かされた時に仕掛けも明かされる。そして、その2つが密接に関係している、という構造でないと面白くはならないので、考えるのが大変でした。

 だから、主人公の燈真(とうま)が小説家の息子で、その母親は校正者で、疎遠の父親は小説家で亡くなっていて、という登場人物の設定も、仕掛けを実現するにはどうしたらいいのか、理詰めで決めていった部分が大きいですね。

提供元:Yahooニュース
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