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久振りの海岸生活は、愉快であった(レビュー)(Book Bang)

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書評子4人がテーマに沿った名著を紹介
今回のテーマは「避暑」です
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東京の庶民が夏、海や山に避暑に行くのが一般化したのは昭和になってからだろう。大正十一年生まれの評論家、安田武は回想記『昭和 東京 私史』(新潮社、一九八二年)のなかで家族と夏に房総の海に出かけるようになったのは昭和三年頃からと書いている。
安田武によれば当時、ブルジョアが行くのが軽井沢、金持は湘南、そして東京の庶民の多くは房総だった。
近年、リバイバル人気が高い獅子文六の『娘と私』。文六はフランス人女性と結婚し大正十四年に娘が生まれた。やがて奥さんは病気になりフランスに帰った。文六が男手ひとつで娘を育てることになった。
娘は病弱だったので小学生の時、文六は娘を連れてひと夏、九十九里の片貝の海岸で過すことにした。
軽井沢や湘南に行く金持は別荘だったが、房総に行く庶民は農家や漁師の家で部屋を借りた。
文六親子は片貝の漁師の家を借りた。昭和九年頃。
海辺は空気がいいし、魚や卵、牛乳は新鮮。文六は午前中は仕事をし、午後には娘と海へ。娘は海に来て二、三日もすると見違えるように元気になる。
「泳げもしないのに、海水着一枚になって、波に追われると、東京では聞いたことのない、高い笑いの叫びを、立てた」「私にとっても、久振りの海岸生活は、愉快であった」
房総の名物は「あじのたたき」(なめろう)。これがうまく文六は毎晩、これで晩酌をやる(ついに食べすぎで赤痢になるのだが)。
[レビュアー]川本三郎(評論家)
1944年、東京生まれ。文学、映画、東京、旅を中心とした評論やエッセイなど幅広い執筆活動で知られる。著書に『大正幻影』(サントリー学芸賞)、『荷風と東京』(読売文学賞)、『林芙美子の昭和』(毎日出版文化賞・桑原武夫学芸賞)、『白秋望景』(伊藤整文学賞)、『小説を、映画を、鉄道が走る』(交通図書賞)、『マイ・バック・ページ』『いまも、君を想う』『今ひとたびの戦後日本映画』など多数。訳書にカポーティ『夜の樹』『叶えられた祈り』などがある。最新作は『物語の向こうに時代が見える』。
新潮社 週刊新潮 2023年7月27日号 掲載
提供元:Yahooニュース

