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黒木瞳の名演が光った映画『失楽園』どうして美しく悲しい「不倫映画」が社会に受け入れられたワケ(現代ビジネス)

 死に至るほどの究極の愛を、誰もが心のどこかで求めているのかもしれない。日本中が夢中になった、美しく悲しい「不倫映画」はいかにして生まれたのか。

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 三人のディープ・ピープルが語りつくした。

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谷川建司:62年生まれ。日本ヘラルド映画を経て、映画ジャーナリストとして独立。『ベースボールと日本占領』『近衛十四郎十番勝負』など著者多数
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三沢和子:51年生まれ。11年に逝去した失楽園の監督・森田芳光の妻であり、映画プロデューサーとして『キッチン』『(ハル)』など数多くの森田作品に携わった
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筒井ともみ:48年生まれ。脚本家として『それから』でキネマ旬報脚本賞。ドラマ『響子』『小石川の家』で向田邦子賞を受賞。著作に『食べる女』『もういちど、あなたと食べたい』など
---------- 谷川 '97年公開の映画『失楽園』は、2年前にスタートした渡辺淳一先生の新聞連載時から大胆な性描写で話題を呼びました。その頃、僕は日本ヘラルド映画を離れて映画研究の道に進んでいましたが、試写会で映画化された『失楽園』を見てびっくりしました。東映が得意としていた「中年男の妄想」のような作品を予想していたら、洋画のようなお洒落なテイストだったからです。

 三沢 私は、森田芳光は『失楽園』の監督の話を断ると思っていました。原作が森田にはミスマッチだと感じたからです。ところが森田は「断るはずがない。絶対にやる」と言うので驚きました。

 筒井 実は森田さんに話が行く3ヵ月前、プロデューサーの原正人さんと製作の中心を担った角川歴彦さん(当時の角川映画社長)から脚本を依頼されました。期待に添えないと断ったのですが、半年後に今度は森田さんから突然呼び出された。

 夏の訪れを告げる嵐の夜のことでした。森田さんは「是非手伝って欲しい」と言うのです。あの時、三沢さんも一緒でしたが、監督が「女も39歳になれば美しいまま死にたいと思うよね」と言ったのを憶えていますか。

 三沢 ふたり同時に「思わないわよ」と答えましたね(笑)。

 筒井 あの瞬間、いいチームができたと感じました。1ヵ月で脚本を仕上げろと言われたけれど、新聞連載はまだ継続中。二人がつながったまま死ぬ、というラストだけ渡辺先生に伺って、脚本を書きました。原さんには「抱かれる度に快感が増す、こんな身体に誰がしたの」的なのは絶対に嫌だから、ヒロインの凜子のキャラクターは変えさせてもらうと伝えました。

 三沢 打ち合わせ通りだったので良かったです。

 筒井 凜子は本然的なセックスを経験したことで「真実を見る目」を獲得する女性として描きたかったんです。しかし、そうした女性は男性にとっても、社会にとっても都合が良い存在ではなく、いわば「魔女裁判」にかけられてしまう。それならば、罰を受ける時に好きな男の一人ぐらい連れていく……。私が考えた方向性を監督も分かってくれて、そのうえで甘やかな作品に仕上げてくれました。

提供元:Yahooニュース
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