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レッチリが最初の頂点を迎えた『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』(OKMusic)

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OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。今週はレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(以下、レッチリ)の『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』を紹介したい。オリジナルメンバーのヒレル・スロヴァクが亡くなってからリリースされた前作の『母乳(原題:Mother's Milk)』(‘88)は、レッチリの新たなスタートとも言えるアルバムだ。チャド・スミスと若干18歳のジョン・フルシアンテを新メンバーに迎え、驚くべきテクニックに裏打ちされたまったく新しいミクスチャーサウンドを提示し、多くのフォロワーを生んだ記念すべき作品である。続く通算5作目となる本作はラップからカントリーに至るまで出会うもの全てをオルタナティブ化するリック・ルービンがプロデュースを担当、レコード会社もワーナーに移籍して前作を上回る仕上がりとなり、彼らはオルタナティブロック界の頂点に君臨することになる。
※本稿は2019年に掲載デフ・ジャムとアメリカン・レコーディングス、90年代のロック界を席巻したこの2大レーベルを創設したのがリック・ルービンである。デフ・ジャムはヒップホップを世界的に広めたレーベルで、パブリック・エネミー、LLクールJ、ビースティ・ボーイズら大スターたちを擁している。また、ヒップホップとメタルを融合させるなど(パブリック・エネミーとスラッシュメタルのアンスラックス)、時代の先端の音作りを提示している。一方、アメリカンではジェイホークス、ブラック・クロウズ、トム・ペティなどのルーツ系ロッカーや、カントリー界の大物ジョニー・キャッシュなどが在籍し、オルタナ・カントリーやアメリカーナといった古くからアメリカにあるロックのスタイルも世に広める活動を行なっている。そんなリック・ルービンだから、レッチリは初期の頃から気になる存在であった。キーディスのヒップホップに影響されたヴォーカル、フリーのファンクとパンクに影響されたベースプレイ、『母乳』で新たに加入したドラムのチャド・スミスはメタルバンド出身と、ルービンの目指すミクスチャー路線とレッチリは同じ方向を向いているだけに、ルービンがプロデュースを担当するのは偶然ではない。とはいうものの、以前からメンバーにはドラッグとの付き合いがあり、ルービンは彼らのプロデュースを以前は拒んでいたことも事実である。
前作と前々作でプロデュースを担当したマイケル・バインホーンは、ニューヨークのアバンギャルド・ジャズファンクバンドのマテリアルのメンバーで、レッチリのポテンシャルを一気に引き上げた功績は大きいものの、良く言えば知性派、悪く言えば頭でっかちな側面もあり、メンバーとの衝突は日常茶飯事であった。特に新メンバーのフルシアンテはレコーディングの経験がなかったから、ファンク系のギターを弾きたかったフルシアンテにメタル的なサウンドを要求するなど、頭から抑え込もうとして反感を買っている。結局、グループはバインホーンと絶縁し、それが飛び火してレコード会社の移籍にまで発展することになる。名作『母乳』は、実は修羅場の中で制作されていたのだ。
提供元:Yahooニュース

