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杉村春子は息子への愛だけ先走って、実は何もできない母親の雰囲気がよく出ている(鈴木敏夫)(日刊ゲンダイDIGITAL)

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【鈴木敏夫 新・映画道楽 体験的女優論】
笠智衆3部作編(4)
◇ ◇ ◇
笠智衆3部作編(1)『ながらえば』では笠さんにきつく当たる息子の嫁をリアルに演じている
山田太一による笠智衆3部作は、主演の笠智衆に小津安二郎映画そのままのキャラクターを重ねていることも含め、小津映画へのオマージュという点で一貫している。中でも最終作の「今朝の秋」(1987年・NHK)は、その印象が強い。これは蓼科に住む笠智衆扮する鉱造が、東京にいる息子・隆一(杉浦直樹)ががんに侵されて余命3カ月だと知り、彼の最期に寄り添おうとする物語だ。小津作品で笠智衆は、「晩春」(49年)など娘を送り出す花嫁の父を演じたが、ここでは息子を死出の旅へと送り出す父に扮している。結婚式と葬式の違いはあるが、子を失う父親の寂しさを山田太一は笠智衆によって表現した。
「このドラマでは笠さんと杉浦さんの親子の関係もいいんですが、今回見直していちばん感心したのは、鉱造の妻・タキを演じた杉村春子さんでしたね」
タキは20年前に男をつくって、鉱造と隆一を捨てて家を出ていった女性。その彼女が、息子ががんだと知って、身の回りの世話を買って出る。
「鉱造は最初、それを許さないんですが、『男親がそばにいたって何もできないんだから』と半ば強引に隆一の世話を始めるんです。ところが今は居酒屋の女将をしている彼女は、世話といっても何をしていいのかわからない。とりあえず息子が着ている物の洗濯をしようとするけど、洗濯せっけんひとつ用意していないんですから(笑)。それで病院の洗い場へ行くと、誰かが忘れていった洗濯せっけんがあって、それを盗んで洗濯を始めるんですが、このときの周りに誰もいないか見渡す感じが、ものすごくうまい。息子への愛だけ先走って、実は何もできない母親の雰囲気がすごくよく出ているんですよ」
やがて自分の病状を悟った隆一は、鉱造に生まれ育った蓼科へ行きたいと話す。それを聞いた鉱造は、隆一と病院を抜け出して車で蓼科へと向かう。タキは心配して、それを追いかけるのである。
「このときタキと一緒に蓼科へ行くのが、居酒屋の手伝いをしている美代なんですけれど、これを樹木希林さんが演じている。樹木さんは61年に1期生として文学座へ入り、そこのトップ女優だった杉村さんの付き人をしていた。63年に文学座から大量の脱退者が出たときにも、杉村さん本人から『あなたは残ってちょうだい』と言われた人です。そんな2人の関係が、タキと美代に重なって見える。まあここでは、気持ちだけで自分勝手に行動していくタキに、本音で苦言を言えるただ一人の人物として美代は出てくるんですけれど」
結局、蓼科の家には鉱造と隆一、タキと美代、隆一の妻・悦子(倍賞美津子)とその娘・紀代子まで一家全員が揃って、夏の一夜を過ごすことになる。
「このとき、笠さんが『恋の季節』を口ずさむんです。この歌はかつてタキが出ていった後に、酔うと鉱造がよく歌っていた歌なんですよ。冒頭の歌詞が『忘れられないの、あの人が好きよ』でしょう。口ではタキを絶対に許さないと言っていた鉱造の心が、この歌に込められていて、劇中でも印象に残る場面になっていました」
笠智衆の著書「あるがままに」を読むと、「恋の季節」を歌うために、プロデューサーからテープを渡されて、それを聴きながら何度も練習したがうまく歌えず、途中から家族全員の大合唱になったので、みんなに助けられたとか。ここでは鉱造が思わず歌を口ずさんで、自分の心の内を見透かされた恥ずかしさを、さらに歌うことでごまかすのだが、ドラマの鉱造とタキの関係は病に侵された息子を通して、新たな局面に入っていく。
(鈴木敏夫/スタジオジブリ代表取締役プロデューサー)
提供元:Yahooニュース

