
-
夜遊び夜遊び
-
お水お水
-
ホストホスト
-
風俗風俗
-
ビューティビューティ
-
ファッションファッション
-
悩み相談悩み相談
-
モデルモデル
-
芸能芸能
-
雑談雑談
-
食べ物・グルメグルメ
-
生活生活
-
恋恋
-
インターネット・ゲームネット・ゲーム
-
ギャンブルギャンブル
-
過去ログ倉庫過去ログ倉庫
-
運営運営
「警告」と縁深し 津田沼パルコの閉店と最初で最後となったラジオの公開生放送のこと(松尾潔)(日刊ゲンダイDIGITAL)

-
【松尾潔のメロウな木曜日】#14
先週末の夜、ぼくは千葉県習志野市津田沼にいた。JR津田沼駅北口から伸びるペデストリアンデッキには溢れんばかりの人びと。「津田沼パルコ」の壁面を使ったプロジェクションマッピングの見物客である。梨泰院雑踏事故の影響か警備にあたる警察官たちはそろって厳しい表情だ。「はい、立ち止まらないで!」。警告が怒気を帯びていくなかあざやかな映像がパルコの壁面に投影された。津田沼の過去と未来を描いた5分間ほどの映像は、近未来的な意匠に感傷的なトーンがまじる。そう、これは来年2月末に45年間の歴史に幕を下ろすパルコの閉店イベントの一環なのだ。こんな葬送の儀もあるのかと胸が熱くなった。
声優・櫻井孝宏“既婚隠し10年不倫”でラジオファンの怒り爆発…「旅行DVD」がトレンド入り
津田沼駅で降りたのは今世紀はじめて。千葉のラジオ局bayfmでDJを務めていた1996年頃、一度だけパルコで公開生放送をやって以来だ。番組は午前から夕方まで7時間もの長尺だったから、ぼくは早朝に現地入りした。だが開店は番組スタートから1時間後。それまでは、せわしなく働くパルコの清掃スタッフや各テナントの朝礼を見ながらマイクに向かうという試練が待っていた。目の前に何もなくても、いや何があろうとも、そこが快適空間であるかのように楽しげに話すのがおしゃべりのプロだとすれば、自分が有資格者になるには一億光年かかることを思い知らされた。
当日は数組のゲストが出演した。よく憶えているのが、早い時間に登場した山崎まさよしさん。まだブレイク前の彼はマネージャーもつけずにギターケースひとつで現れ、「徹夜明けなんすわ。本番になったら起こしてください」と言うや、積み上げられた放送機材の裏の狭いスペースで毛布にくるまり、すぐに寝息を立てはじめた。本番ではとぼけたユーモラスなトークが絶品で、行き交う買い物客たちの足を止めるほどだった。「セロリ」で注目を集めるのはその数ヶ月後である。
観客エリアの前方を陣取る男性たちは、みなメインゲストの女性タレント目当てだった。数年前に豊かなバストと美貌を備えたグラビアモデルとして一世を風靡した彼女は、そのころ本格派歌手への転身を強く望んでいたようだ。実際、ぼくは前日に局側から「くれぐれも音楽の話以外はしないように」と釘を刺された。津田沼でのぼくはなぜか「警告」と縁があるらしい。
しかし、ファンのお目当てが歌声ではないことは明らかだった。予定よりかなり遅れてサングラス姿の本人が登場すると、会場はファンの発するオスのにおいで一気に満たされた。その種の集いに慣れぬぼくは気分が悪くなるほどだった。奇妙なのは、トークコーナーが始まっても女性タレントがいっこうにサングラスを外す気配をみせないこと。これぞファンを焦らすテクニックかと勘繰ってもみたが、どうやらそうでもなさそうだ。
最初のトークが終わって新曲が流れている間に、痺れを切らしたファンの男が「サングラスとって~」と叫んだ。ほかのファンたちの下卑た笑いがそれに続く。調子に乗った男が、今度はサングラスを外すことをせがむように両手を叩くと、ほかの客たちも手拍子を重ねはじめ、会場は異様な興奮につつまれた。女性タレントはファンを一瞥もせず、豊かな胸の上で両腕を組んだ。すぐ隣に座るぼくには、グラデーションがかったレンズの奥が見えた。柳眉を逆立てた彼女は般若の形相だった。けっきょく一秒もサングラスを外さないまま、「歌手」は20分程度の出演を終えると番組スタッフへの挨拶も端折ってパルコを後にした。
春がやってきて改編期になると、その番組は打ち切られた。以来、現在にいたるまで、ぼくはさまざまなラジオ局で冠番組を持たせていただいたが、公開生放送をやったことは一度もない。
彼女はそのあとスポーツ選手と結婚、芸能界を引退した。10年ほど経ったころだろうか、日本の芸能人が愛用することで知られるハワイのホテルのプールサイドで、家族とくつろぐ彼女を見かけた。やわらかい笑顔は優美ささえ感じさせた。
(松尾潔/音楽プロデューサー)
提供元:Yahooニュース

