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堺正章の圧倒的なカッコ良さと、二度とめぐり来ない時代へのあまやかな郷愁(松尾潔)(日刊ゲンダイDIGITAL)

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【松尾潔のメロウな木曜日】#11
音楽を入り口に芸能界と関わりを持つようになって30年以上経つ。たくさんのスターに会った。だがそんな思い込みがじつはおめでたい勘違いではと疑いはじめたのは、2年ほど前にテレビ番組で堺正章さんと共演してからである。以来、仕事や私的な場で堺さんと幾たびかご一緒してきたが、顔を合わせるごとに自分が抱いてきた「スター」の定義は刷新されていった。
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1962年にグループサウンズの嚆矢ザ・スパイダースに加入して以来、堺正章はずっと超のつくスターである。一度もその座をうしなったことがない。76歳の現在も頭の回転はおそろしく速く、番組収録中も洒脱なジョークをアドリブで連発する。
そこにひと刷毛のかなしみを織り込むことも忘れない。TVカメラの前を離れると、イタリアの希少な旧車を乗りこなし、仕立てのよい美しい服をかの国流儀で着こなす。洗練された所作にはオンとオフの差が存在しない。ひと言でいえば、もう圧倒的に「カッコいい」。
心の底からスターと呼びたくなるこの御仁と会うと、ふだん自分が接する若い歌手やタレントを同じスターという言葉でくくるのは、どこか間違っている気がしてくる。たとえ彼らにどれだけヒット作や知名度があろうとも、だ。思いをめぐらせる先は自然、堺正章を生み出した時代と彼を取り巻く人々へ向かっていく。
■「芸能界誕生」刊行の背景
日刊ゲンダイ連載でもおなじみ戸部田誠さん(てれびのスキマ)の新作ノンフィクション「芸能界誕生」は、ぼくの思いに応える絶好の一冊。いま人々が「ザ・芸能界」として認識しているビジネスの黎明期と揺籃期を丹念に描く。
最大の読みどころは、元ザ・スパイダースのリーダー兼ドラマーにして田辺エージェンシー代表・田辺昭知の独占インタビューだ。ザ・芸能界の領袖のひとりである田辺さんの生きた言葉をまとめて読める機会はきわめてまれ。ぼくが「絶好の一冊」と言うゆえんでもある。
同書の起点は、58年2月開催の「第1回日劇ウエスタンカーニバル」に、その後のザ・芸能界の大立者が勢揃いしたという事実だ。公演主催の渡辺プロダクションの渡辺晋・美佐夫妻をはじめ、田辺昭知、その兄貴分である堀威夫(ホリプロ)、相澤秀禎(サンミュージック)、井澤健(イザワオフィス)……さながら芸能プロ紳士淑女録の趣。もっとも、当時の彼らは若手ミュージシャンや付き人なのだが。
「芸能界誕生」刊行を企画したのはテレビ制作会社大手ハウフルスの菅原正豊会長。かつて夢の箱とも呼ばれたテレビの中心にあったザ・芸能界の歴史を知ることにより、現役世代に「自分たちが次の時代をつくっていくんだ」と思ってもらえれば本望だと企画者と著者は唱和する。
菅原さんの後ろ盾を得て実現したインタビューには田辺さんに加えて、堀さん、曲直瀬道枝さん(マナセプロダクション)の名前も。どれも読みごたえたっぷり。〈進駐軍とジャズ〉〈ジャズ喫茶とロカビリー〉〈テレビと和製ポップス〉〈男性アイドルとGS〉の4部構成も奏功し、高いリーダビリティーをつくりだしている。
難があるとすれば、堀さんと田辺さんの登場場面はカッコ良すぎるか。まあ彼らが斯界の「カッコいい」を定義したのだから当然か。
文中での堀・田辺コンビのカッコよさは、ぼくの知る堺さんのそれと同種同根。それを知るにおよび、今後も堺正章の活躍は続くことを確信した。その一方で、企画者の本望に反して「堺正章(のようなスター)を生み出した時代」の再来はなかろうという悲しい予感も得たのは皮肉だが。
44歳の著者は、出会いよりも袂を分かつ場面でこそ精妙な筆致が冴える。無意識の産物なのか、あるいはサウダージ──二度とめぐり来ることがない時代へのあまやかな郷愁ゆえか。真相は実際に読んで確かめていただきたい。
(松尾潔/音楽プロデューサー)
提供元:Yahooニュース

