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関西上流階級美しき四姉妹の人生と列車(レビュー)(Book Bang)

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谷崎潤一郎の『細雪』は蒔岡姉妹の京都への花見、大垣での螢狩りなど風雅な催物が印象に残るが、他方で意外なことに鉄道の場面が多い小説になっている。
冒頭、阪神間に住む次女の幸子をはじめ雪子、妙子の三姉妹はウクライナ生まれのユダヤ人ピアニスト、レオ・シロタの演奏会に行くために着飾って阪急電車に乗る。美しい三姉妹がホームに駆けあがる姿に居合わす人々は目を見張る。
昭和十三年七月、阪神地方を大水害が襲った時、幸子の夫貞之助は、洋裁学校に行っている妙子を救うために学校に向かう。
濁流に難儀するが東海道本線の線路が走る築堤にあがりなんとか難を避ける。鉄道が濁流を防いでいる。
昭和十四年、雪子は名古屋の素封家と見合いするため幸子、妙子に伴われて大垣に鉄道で行く。
蒲郡に向かう東海道本線の上り列車のなかで三姉妹は若い陸軍士官と乗り合わせる。意外なことにその士官はシューベルトの「セレナーデ」「野薔薇」を歌い出す。三姉妹も誘われるように歌う。鉄道の車内での穏やかなひととき。
長女鶴子は夫の転勤によって東京に移る。雪子も共にするが阪神間の暮らしが懐しく何度も幸子の家へ戻る。そのたびに鉄道に乗る。
最後、雪子が見合い結婚をすることになり東京での挙式のため上り夜行に乗る。車中、ひどい下痢に襲われる。その後の太平洋戦争を暗示するかのように。『細雪』では随所に鉄道が運命の暗示として描かれている。
[レビュアー]川本三郎(評論家)
1944年、東京生まれ。文学、映画、東京、旅を中心とした評論やエッセイなど幅広い執筆活動で知られる。著書に『大正幻影』(サントリー学芸賞)、『荷風と東京』(読売文学賞)、『林芙美子の昭和』(毎日出版文化賞・桑原武夫学芸賞)、『白秋望景』(伊藤整文学賞)、『小説を、映画を、鉄道が走る』(交通図書賞)、『マイ・バック・ページ』『いまも、君を想う』『今ひとたびの戦後日本映画』など多数。訳書にカポーティ『夜の樹』『叶えられた祈り』などがある。最新作は『物語の向こうに時代が見える』。
新潮社 週刊新潮 2022年10月27日号 掲載
提供元:Yahooニュース

