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苦節15年…ラストチャンスで勝ち取ったM-1!(とろサーモン久保田)(日刊ゲンダイDIGITAL)

【とろサーモン久保田の「玉手箱人生」】#8

 M-1で優勝したのは結成15年目のラストチャンス。やっとですわ。

とろサーモン久保田の人生を変えた軟式テニス部顧問との出会い「君は目が腐ってるね」

 M-1にはそれこそ死に物狂いで挑んでましたよ。毎年新ネタを作るだけじゃなく、スタイルもどんどん変えてたし、これまでにウケたスタイルをオムニバスのように全部詰め込んでみたりもした。全身全霊で考えつく限りの手を使いました。

 それでもM-1の扉は何回ぶち当たってもなかなか開かなかった。毎回負けが決まった後は頭の中が空っぽになってました。家に帰って真っ暗な部屋でテキーラを飲みながらクラシックを聴く。そんなんでしたわ。

 相方の村田には負けた後はいつも俺から「今年も決勝行かれへんかった、ごめんな」ってメッセージを送ってましたね。コンビのネタを書いてるのは俺ですから、負けた責任も俺が取らなきゃならない。そこまで背負ってやってたんです。

 村田はいつもニコニコしてるジャムおじさんで、必死に戦うアンパンマンが俺です。

 実はM-1にちゃんと参加する前は「なんだよ、どうせヤラセなんだろ」なんて思ってたんです。でも自分が参加してみて、そうじゃないことがイヤというほどわかりました。

 それと、チャンピオンになって、ようやくわかったこともある。なんで俺たちがあの時期あの場所にいてくすぶっていたのか、なんで突き抜けることができたのかっていうのが、もう手に取るように理解できたんです。

 夜の店でボーイをやってたのも、金持ちがばらまいた1万円札を歯を食いしばりながら拾い集めたのも、同期が売れていくのを嫉妬の目で見てたのも、全部このためだったんです。いいことも悪いこともそれぞれの点がつながってM-1っていうキレイな星の形になった。その点のどれか一つが欠けても星の形にはならなかった。M-1の決勝でやった「芋神様」のネタだって、石焼き芋売りのバイトをやってなかったらできなかったかもしれない。

■何と言おうとやっぱりお金は大事

 M-1を取って一番大きく変わったのは生活です。誰が何と言おうとやっぱりお金は大事なんです。そもそも俺らはお金が欲しくてモテたくてこの世界に入ってる。華やかな世界で人気が出れば、周りに人が集まって、その人が縁を結んで金が入ってくるんです。最近の風潮だと「金のことを言うんじゃないよ」なんて言われるかもしれませんが、ゴタゴタ言うんじゃないよ、ですわ。金では苦労しましたから余計にそう思うのかもしれません。

 でも、だからこそ金の使い方にはこだわってきました。実はM-1で優勝する以前から募金とかボランティアもしています。募金は「グッドネーバーズ・ジャパン」っていうNPO団体に毎年入れてますし、新宿公園の炊き出しにもボランティアで行ってました。

 ずっと底辺に落ち続けていた時期に、これだけうまくいかないっていうのは自分に問題があるんじゃないか、ネタの面白さだけじゃなく人間的な“徳”を詰めていないんじゃないかって思うようになったんです。

 その頃には離婚もしてましたから、じゃあこんなやつが誰の役に立てるのかって考えた時、もう世の中の役に立つしかない、そういう運命なんだって考えにたどり着きました。

(聞き手=常松裕明)

提供元:Yahooニュース
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