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【「手」評論】若者のセックスを日々の延長線上に描く、繊細な愛の物語(映画.com)

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青春映画の名手であり、前作「ちょっと思い出しただけ」で、過ぎ去った恋愛の甘さとほろ苦さをエモーショナルに描出し、好評を博した松居大悟監督が挑んだロマンポルノ。ルーティン化した毎日の中で“おじさん観察”、そして年の離れた彼とのデートを楽しむのが日々の息抜きだった、会社員さわ子の性愛を描く。
【写真】金子大地のラブシーンを収めた松居大悟監督作品「手」場面写真
原作は「人のセックスを笑うな」の山崎ナオコーラ氏の同名短編小説。さわ子を演じたのは「彼女はひとり」(中川奈月監督)で、第13回田辺・弁慶映画祭俳優賞を獲得した福永朱梨。深田晃司監督作「本気のしるし」「LOVE LIFE」にも連続して出演する注目株だ。
学生時代は同級生の彼氏もいたさわ子だが、その後付き合ってきた男性は年上ばかり。その一方で同居の父親とはぎくしゃくしているという設定だ。そして、ある日から同世代の同僚、森(金子大地)と関係を持つようになる。
快活な高校生の妹を持つさわ子は25歳。クールで落ちついて見えるが、少女のような雰囲気も残す。誰に対してもわがままを言うことは少なかっただろうし、年長者の言葉に素直に耳を傾けるタイプであるから、自分の脅威にならず、話を聞いてくれ、あわよくば性的欲望も受け入れてくれそうな若い女性を求める中年男性とは相性が良かったのだろう。ファッションも無難で上品なものを好む。長女あるある、おじさん受けする要素しかない。
互いに好意はあるものの、恋人同士だという確信はないまま、さわ子と森は何度も体を重ねる。その瞬間は確かに愛しあっており、ふたりの幸福感が松居監督ならではの繊細な演出、福永と金子のみずみずしい等身大の演技から伝わってくる。
父との不仲がおじさんへの興味に向かった…と解釈するのは簡単すぎるし、さわ子の本心はわからない。けれど、知らない世界を教えてくれたりと好奇心は満足させてくれるが、さわ子にとって性的には刺さらない年長の彼よりも、若くハンサムで、さわ子の心にさざ波を立てる森との情事は満たされた時間として映る。若者のセックスを日々の延長線上に描く良質な恋愛映画であり、父娘の関係ももうひとつの愛の物語として捉えられている。
特筆したいのは、各種タイツ、ニーハイソックスなど、フェティシズムの対象として性的なイメージを喚起させる靴下類が数ある中、多くの女性が敢えてデート時にはチョイスしないであろう肌色ひざ下ストッキングが、森とセックスするために会社から駆け付けたさわ子のエロティックな魅力の記号として変換されていること。この点が素晴らしくロマンポルノ的だったと讃えたい。
(今田カミーユ)
提供元:Yahooニュース

