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終活はアラフォーから? 若年層向け終活本相次ぎ登場 コロナ禍も背景に(産経新聞)

 バリキャリだった伯母の孤独死をきっかけに、35歳の独身女性が終活を始める漫画「ひとりでしにたい」(カレー沢薫著、原案協力・ドネリー美咲)が話題を呼んでいる。死を考えることは、自分の生き方に向き合うこと。先の見えない時代でも、いつか寿命が尽きることだけは決まっている。今夏はアラフォーに向けた終活ガイドも出版された。

 ■「突然死」は難しい

 「ひとりでしにたい」の1巻は3月に発売された。主人公は、都内の美術館に勤める学芸員、山口鳴海。あこがれていた伯母が風呂場で孤独死し、ショックを受ける場面から始まる。

 「私は結婚していますが、40歳が近くなってこの先、子供をつくらないだろうと分かってきました。このまま何事もなければ夫に先立たれて1人になる。自分の最期を考えたとき、何もイメージがなかった。それはまずい、早いうちから考えないといけないって気づいたんです」

 カレー沢さんは早い時期からの終活の必要性をこう語る。

 その上で、死をリアルに見つめる。「孤独死というと、突然病気で死んでそのまま発見されないというイメージがあるかもしれません。でも、いきなり楽に死ねるわけではない。実際は長く苦しんで誰にも助けを求められずに亡くなるパターンが多い。死ぬまでの何年か、長くつらい思いをするのは嫌ですよね」

 若い内から、終活をするメリットは大きいという。「終活は面倒くさいことが多い。頭も体も若いほうが動きやすいし、将来起こることを知っていたら対応も違ってくる。生まれた瞬間から死ぬことは決まっている。70歳になってから考えるのは遅すぎるのではないでしょうか」

 ■結婚・お金だけでは回避できない

 鳴海はまず婚活を始めるが、職場の後輩男性、那須田からは《結婚すれば将来安心って昭和の発想でしょ?》《子どもが老後の面倒見てくれるとかもはや都市伝説ですよ》と厳しい突っ込みを受ける。

 描かれるのはシビアな現実だ。鳴海の伯母は独身だが、大手企業を定年まで勤めあげ、金銭的に恵まれていた。だが、老後に怪しい投資や宗教にはまり、親戚づきあいもなかった。鳴海は、《孤独と不安は人間を「馬鹿」にしてしまうんだ》と気づく。

 「老後はお金が必要ですが、用意したら安泰というわけでもない。有効に使う知識がなく、相談する相手がいなければどうしたらいいのかも分からない。老後は判断力も落ちてきているので、相談できる若い人との交流は重要。お金だけでも人間関係だけでもダメで、バランスが大事なんです」(カレー沢さん)。

 親の介護、自分の将来設計…。具体的に未来を考え始めた鳴海だが、危機意識の薄さを自覚する過程も面白い。専業主婦家庭で育ち、親に学費を払ってもらい大学にも進学した鳴海。一方、年下の同僚は奨学生だった。「自分にとっての普通」がほかの人にとっては違うことがある。終活とは関係なさそうなエピソードだが、「知らないが故の言動で孤立していくこともあると思うんです。相手のなかでは遺恨として残ることもありますし」とカレー沢さん。若い人と付き合うには情報のアップデートが必須。《無知と無神経は……おともだち……》という鳴海のせりふが身につまされる。

 随所に笑えるネタも挟み、暗くなりすぎず物語は進んでいく。孤独死する人は、生きる意欲を失っているケースが多い。鳴海は生きがいである、飼い猫とアイドルのおっかけも人生の大切な希望だと自覚する。

 1巻は、鳴海が現状を把握しようと動きだすところで終わる。漫画は、講談社のモーニング・ツーに掲載されていたが、10月4日からは同社のウェブサイト「コミックDAYS」で連載再開される予定だ。

 カレー沢さんは「現在位置が分からなければ、どこにどう動いていいかも分からない。焦っているときは急に結婚とかいきなり投資とか発想が飛躍しがち。これから鳴海が孤独死回避のために具体的に何をすべきか描いていけたら」と話し、今後の展開の構想に余念がない。

 作品をつらぬくメッセージは、《よりよく死ぬにはよく生きなければいけない》だ。

 ■親と一緒に考える機会に

 30代後半以上の女性に向けた終活ガイドも今夏、出版された。日経BP社のムック『日経WOMAN別冊 おひとりさまの親と私の「終活」完全ガイド』だ。仕事やお金、仲間づくりなど1人の暮らしを楽しむヒントから、デジタル遺品の整理術、介護や相続までの情報を盛り込んだ。人生の後半戦を見据えた実用的な内容になっている。

 日経WOMANの藤川明日香編集長は「40代くらいで終活に興味を持っている人はいるのではないかという想定で作りました。今はシングルの女性も増えています。離婚して1人になる方もいるし、将来に危機感を持っている人は多い」と話す。特に今年はコロナ禍で、なかなか人に会うことも難しい状況だけに、おひとり様にとっては、精神的にも経済的にも一人で自立して暮らしていくことが大事だという雰囲気が高まったという。

 ムックにはエンディングノートも掲載されているが、「若くても病気や事故で想定外の事態になることはあるので、親と娘でそれぞれ書いてみてもいいと思います。自分がすぐに死ぬことを考えるのではなく、書くことで生き方や希望を整理することができる。自分の死や老後に前向きに向き合う人は増えているのではないでしょうか」と藤川編集長は言う。

 ■ひとり死は当たり前に

 シニア生活文化研究所の小谷みどり代表理事は、「今の時代は、将来が不透明で、人生で確定的なことは死ぬことだけ。途中が分からないからこそ、若いうちから老後や終活を考えてみようとなっているのではないか」と推測する。

 内閣府の令和元年版高齢社会白書によると、65歳以上の1人暮らしは男女ともに増加傾向にある。昭和55年には男性約19万人、女性約69万人だったが、平成27年には男性約192万人、女性約400万人だ。

 「夫婦同時に亡くなることはほとんどないし、2世帯同居も今は珍しい。老後は子供がいても1人暮らしが当たり前になる。最期は1人で死ぬ可能性は高い」と指摘。さらに晩婚化や高齢化で、自分が老いたときには子供も高齢で頼れない、というケースも増えると推測する。

 小谷さんは最後にこうアドバイスする。

 「事故や病気に年齢は関係ない。自分はどうしたいのか理解し、頼れる人に伝えておくのは誰にとっても大切。すべてを1人の人に頼むと負担が大きいので、少しずつ色んな人にお願いできたらいいのではないでしょうか」

提供元:Yahooニュース
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