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コロナ禍に芝居5本観劇「今」を映す舞台に心揺さぶられた【ラサール石井 東憤西笑】(日刊ゲンダイDIGITAL)

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【ラサール石井 東憤西笑】
8月に入っても、演劇の中止が続き、私はまだまだ絶賛自粛中。なので今週は立て続けに芝居を5本も観劇した。
どの劇場もコロナ禍の下、少しずつ観客を入れながら配信も併用しての公演を模索している。
舞台上の3密を防ぐために一人芝居か二人芝居、あるいは朗読劇。予算も少ないのでセットも最小限。時間も短く1時間程度。そして設定や展開にコロナを色濃く感じる脚本や演出。これらがみな共通している。
下北沢本多劇場では「DISTANCE―TOUR―」。以前やった一人芝居のシリーズの第2弾。
初日は我らがスタンダップコメディ協会会長、清水宏。意外にも女装での登場。ある劇団の演出助手の独身40代の気の弱い女性。ワンマンな演出家からコロナでの公演中止を出演者に告げる役を負わされ、意外にあっさり事実を受け入れる劇団員たちに思わずキレ始める。ここからが圧巻。初めて演劇を見た青春時代の思い出を絡めながら、女性が妄想と狂気の世界に入り、「ねえ、演劇。私を抱きしめてよ。私と結婚して」と叫ぶ瞬間、目の前を通り過ぎる電車の音。清水の肉体がもう芝居だった。
座・高円寺にて渡辺えりと木野花共演の二人芝居「さるすべり」。稽古期間もなく、ありものの脚本か朗読劇なのかと思ったら、新作書き下ろしの骨太な演劇。「八月の鯨」をベースにコロナ禍の老姉妹の古い屋敷での暮らし。ときには素の2人に戻り脚本を批判したりしながら、軽いタッチから重い芝居に移行していく。還暦過ぎの2女優の丁々発止がたまらない。
続いてまた本多劇場三夜、春風亭一之輔はコロナネタのまくらでくすぐり、これぞ「らくだ」という、ブラックでありながらなぜか人間というものが愛おしくなる「らくだ」。入江雅人は「グレート一人芝居三本立て」。「500」は、なぜか飲み会の人数が500人まで膨れ上がり、駅前で解散を告げるうちに、コロナ禍の政府にアジり始める男。その叫びはあまりにストレートであるが故に深く心をえぐられる。
小沢道成と峯村リエの二人芝居。1人暮らしの寂しいOLの家に毎日来る宅配便の青年。人との距離感がわからず、時に置き去りにされた女性が徐々にストーカー化していく。その部屋に来て30年の彼女の壊れゆく人生を一瞬にして見せる峯村。被害者から加害者、そして共犯者へ移りゆく姿を小気味よく見せる小沢。終わり具合も感動的であった。
芝居がどれも短かったせいだろうか、今回の連続観劇は同じテーマで書かれた短編小説のアンソロジーを読んだ趣であった。それぞれがリンクしそれぞれが心に突き刺さった。それは見る者も同じ問題を共有しているからか。今でなければ味わえない体験であった。
(ラサール石井/タレント)
提供元:Yahooニュース