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うっとりするほど美しい 官能的に描かれたパイ作り(レビュー)(Book Bang)

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夏の終わりの濃密で鮮烈な6日間の出来事。原作も映画も大好き。
町から少し離れた静かな住宅街。13歳のヘンリーは美しい母と二人暮らし。母は離婚以来、悲しみと喪失感から情緒がやや不安定で家に引き籠もりがち。ヘンリーが母の孤独に寄り添い支えているが、自分の力では不十分だと感じている。だが、彼も孤独なのだ。少年の健気さがいじらしい。夏休み最後の木曜日、母と出かけたモールで、ケガをした脱獄囚フランクと出会う。フランクを匿うことになって二人の生活が変化していく。家の掃除や修理をしてくれる頼もしいフランク。ヘンリーは彼に好感を持ち始める。母は身なりに構うようになった。母の乾いた心が潤っていくのを感じて、ヘンリーは戸惑いながらも嬉しかった。
傷ついた男女の魂が惹かれあっていく様子が、感受性豊かな少年の目を通して語られていく。蒸し暑い夜、聞こえるのは扇風機の音、虫の声、誰かが聞いているラジオの野球中継。シャワーを浴びる音の後、ヘンリーのベッドと壁一つ隔てた母の部屋から聞こえてくるささやき、母のベッドのヘッドボードが壁にぶつかる音。長い叫び、そして静寂。
映画は、母がケイト・ウィンスレット、フランクがジョシュ・ブローリン。二人の抑えた演技が光る秀作だ。ブローリンの暗い目は過去を背負ったフランク役にとても合う。原作で丹念に描かれた3人のピーチパイ作り。映画では陰影のある美しい映像でとても印象的なシーンになった。レシピを説明するフランクの低く穏やかな声、小麦粉やバターを混ぜ、生地をこねて伸ばす優しく力強い手元。それを見つめる母とヘンリーの眼差し。パイ作りがこんなにうっとりするほど美しく官能的だなんて!
水曜日、出会って6回目の朝。ついに警察が家を取り囲む……。
18年後、ヘンリーは雑誌で特集されるほどのパティシエとなっていた。彼のパイは大人気。では、18年間お互いを想い続けた男女はどうなったのか。苦悩と孤独の長い年月を経て、二人は再会できた。きっかけはパイ、とだけ言っておきます。映画と本をチェック!
[レビュアー]吉川美代子(アナウンサー・京都産業大学客員教授)
新潮社 週刊新潮 2022年5月26日号 掲載
提供元:Yahooニュース

