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前野健太がその魅力を語る、みうらじゅんの官能ロック小説『永いおあずけ』(レビュー)(Book Bang)

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不倫、緊縛、放置、性病、投稿の全部盛りで、煩悩まみれの中年ミュージシャンの痴態を描く、みうらじゅんの官能ロック小説『永いおあずけ』が刊行。本作の読みどころをシンガー・ソングライターで俳優の前野健太さんが語った。
* * *
本書を読んでいて気づいたことがある。「変態」と「ロック」は似ている、ということ。
人間には「自由でありたい」という本能が備わっている気がする。「ロック」を聴くと体が熱くなって、軽くなって、何だかやれそうだぞ、という気分になってくる。「自由」という言葉も浮かぶ。青春期にはこれで憂鬱な日々を乗り越えて来た、という方も少なくないだろう。私もその一人である。
ただ歳を重ねると、何だかそれが効かなくなってくる。もちろん効果はあるのだが、人生丸ごと「おりゃ!」という感じ、そういう一体感はなかなか持てなくなる。「ロック」が効かなくなるのか、自分が鈍くなるのか、はたまた大人になってしまったのか……。
「ロック」が効かなくなっても「自由でありたい」という隠れた本能は消えることがない。「自由でありたい」はずなのに、人間は自分たちを縛ることに勤しむ。社会というものがまずそうだし、会社、家族、学校、法律……とがんじがらめにしていく。どうしてなのだろう。それは種の保存、というまた別の本能があるからだろうか。ともかく私たちは「自由」と「束縛」の間で揺れている。
自然界に「エロ」という概念があるか分からないが、これもまた人間特有のものだろう。自然に裸、だったらここまで人間の「エロ」も進化しなかっただろう。服で裸を隠し、コンクリートで土を隠し、たまに花の香りにクラッとするのは、動物だった頃の名残なのか。
帯にもあるように、本書は「不倫、緊縛、放置、性病、投稿」の全部盛り状態だ。次から次へと落ちぶれたミュージシャンたちの痴態があらわになる。ミュージシャンというのは売れたりヒットを飛ばしたり、華やかなステージがあればあるほど、落ちぶれた時が哀しく見える。本書に登場するミュージシャンたちも、どこか物悲しい。ただ絵になるのも事実で、SMでビシビシ叩かれるミュージシャンたちの姿に次第におかしみが湧いてくる。気づいたら店の片隅で顔を覆い隠して笑っている自分がいた。クックックック。
さらに私が不思議だったのが、不倫相手がSMのプレイ中に放つ罵詈雑言。「この変態野郎!」「いつ、離婚すんだよ! グズグズしてんじゃねぇーよ! おまえの家に乗り込んでもいいんだぞ! 分ってんのか変態野郎!」。この罵倒の言葉が、初めはキツかったのだが、次第に心地よく響いてくるのだ。自分自身がMっけがあるとかないとかそういうことではなく、なんだかいい歌を聞いている時のようなカタルシスがあるのだ。「ほーら、もっと苦しむんだよ! それがおまえの喜びなんだろ! 変態野郎!!」。うっ。
その時私は思った。もしかしたら……、この「変態」という言葉は、あたたかい言葉なんじゃないだろうか、と。いや、あたたかいという言葉でくくってしまうのはもったいない。「裸になれ。いつものように変態」なんてフレーズは、俳句のような深淵な静けさすら感じるではないか。ししおどしの、コーン、という音が聞こえてきそうである。
提供元:Yahooニュース

