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弱っちい大泉洋と強い小池栄子の“相性の妙”が文句なし！　映画「グッドバイ　嘘からはじまる人生喜劇」（夕刊フジ）

　太宰治の未完の遺作を映画化した「グッドバイ　嘘からはじまる人生喜劇」（成島出監督）が１４日に封切られる。演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチが戯曲化し、２０１５年に上演した同名舞台は読売演劇大賞の最優秀作品賞、最優秀女優賞、優秀演出家賞に輝いた。その映像化だ。

　俳優の大泉洋（４６）が演じる文芸誌の編集長、田島周二は女に目がない。何人も愛人がいる。俳優の東出昌大が小物に見えるほどだ。

　終戦から３年後。青森に疎開させていた妻子を東京に呼び戻そうと決意した田島は、愛人らと手を切るために算段する。

　それを手伝うのが闇市で働く大食いでがさつで怪力の担ぎ屋、永井キヌ子。ニセ女房として愛人らの田島への思いをしょんぼりさせるという、実にたわいのない作戦を遂行することになる。

　キヌ子を演じるのは女優の小池栄子（３９）。舞台でも最優秀女優賞を取った当たり役。映画でも厚かましい存在感でぐいぐい迫る。Ｗ主演の弱っちい大泉と強い小池の相性の妙が文句なし。お金しか信じないキヌ子は混乱した時代の人間の真正直な業を映し出す。

　共演陣も豪華な顔ぶれがそろった。愛人役の水川あさみ（３６）、橋本愛（２４）、緒川たまき（４８）と本妻の木村多江（４８）ら女優陣。皆川猿時（４８）、田中要次（５６）、濱田岳（３１）、松重豊（５７）ら男優陣。みな文句なし！

　松重演じる小説家が悩める編集長に策を授け、編集長が実行している間隙を突き、小説家が…という展開は妻以外に熱を上げている男性観客は身につまされるだろう。

　モテ男を演じた大泉について木村は「大泉さんの田島を見て、『ああ分かる、分かる。しょうがないんだけど助けてあげたくなっちゃうこの感じ。ぴったりだなー』と思ってみていました」とパンフレットのインタビューで答えているが、自分自身に置き換えると「現実にいたら、私は即、三行半です（笑）」とバッサリ。役の上でもバッサリと切り捨てた。

　終戦間もないころの日本の空気を風俗、建物、衣装で見事に映し出した成島監督。終盤にはきちんとサゲまで用意する。

　男女関係は、両者が同じ程度相手に興味を失っていないと「グッドバイ」は泥沼化する。

　喜劇だがところどころちょっと怖い。観客にとって喜劇も、登場人物には悲劇であるからだ。

提供元：Yahooニュース

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