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恋愛が全てじゃない。でも、恋愛を経由したからこそ辿り着ける世界はきっとある(レビュー)(Book Bang)

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世に様々な人間関係がある中で、恋愛を人生の主軸と捉えている人にとって世界はどのように見えるのか。金原ひとみの『ミーツ・ザ・ワールド』(集英社)を読めば、その一端を垣間見ることができる。例えば――「恋愛にはさ、片思いの地獄、両思いの地獄、結婚後の地獄っていう三種類しかないんだぜ」。
二七歳のOL・三ツ橋由嘉里は人生二度目の合コンで泥酔、歌舞伎町の路上で横たわっていたところを売れっ子キャバ嬢の鹿野ライに拾われ、希死念慮のある彼女のマンションで同居生活を開始する。由嘉里は恋愛経験がなく、焼肉擬人化漫画(設定がハイクオリティ! )を愛する腐女子だ。とはいえ現在、婚活中。「孤独だし、このまま一人で仕事と趣味だけで生きていくなんて憂鬱です」。由嘉里は恋愛や結婚がその問題を解決してくれると思っているが、むしろ新たな問題を発生させるものである。と、ライの周囲にいる恋愛猛者たちは、現実をこんこんと語り、由嘉里を説き伏せていく。
由嘉里にも恋愛フラグが立つことはままあるものの、速攻でキャンセルされる。そっちには行かないんだ、そういう展開を期待されては困るんだ、と物語が異議申し立てしている。登場人物たちに言葉を飲み込ませることもない。思いをもっと吐き出せ、もっともっと議論しろと、賑やかこのうえない文章が登場人物たちを焚き付けている。恋愛について知ることは、恋愛以外の人間関係について考えることでもある。恋愛にまつわる様々な価値観との出合いを通して、由嘉里は人間について、人生についてを学ぶのだ。 デビュー作『化け者心中』が文学賞三冠に輝いた蝉谷めぐ実の第二作『おんなの女房』(一月二八日発売、KADOKAWA)は、文政期の江戸の歌舞伎界を舞台にした物語。武家の娘である志乃は、父が決めた縁談で、新進気鋭の若女形・喜多村燕弥の女房となった。しかし、見目麗しい夫は芸を磨くためにと平時から女の格好で、肌を触れ合わせることもない。ならばなぜ自分を娶ったのか? 他の女房との交流を経て見出した、役者女房としての「立派なつとめ」とは何か……。主人公が抱くアイデンティティにまつわる葛藤に、夫への恋愛感情という変数が関わることで物語は熱を帯びていく。金原ひとみが記した「片思いの地獄、両思いの地獄、結婚後の地獄」の地獄巡りは、「結婚後の地獄」から始まることもある。そこから「片思いの地獄」、「両思いの地獄」へと変化することだってあるのだ。
恋愛にまつわる地獄巡りを抜けた先で、志乃が手にしたものは何か? 知らなかった。知りたかった。知ることができて良かった。
恋愛を経由したからこそ見出された、人間存在の愚かしいほどの美しさが、そこにあった。
[レビュアー]吉田大助(ライター)
1977年、埼玉県生まれ。「小説新潮」「野性時代」「STORY BOX」「ダ・ヴィンチ」「CREA」「週刊SPA!」など、雑誌メディアを中心に、書評や作家インタビュー、対談構成等を行う。森見氏の新刊インタビューを担当したことも多数。構成を務めた本に、指原莉乃『逆転力』などがある。
新潮社 小説新潮 2022年2月号 掲載
提供元:Yahooニュース

