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「恋愛は知っていても、僕はまだ、性愛を知らない」安藤サクラと柄本佑、愛と絆。(フィガロジャポン)

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安藤サクラと柄本佑を取材した日。お互いに特に言葉を交わすというわけではなかったが、それでもふたりの間には、圧倒的な熱量の愛があった。ふたりの関係は性別を超えている、と安藤サクラは言う。親友であり、恋人であり、家族である。そんなふたりの絆とは。
【写真】安藤サクラと柄本佑、ふたりが寄り添う美しい姿安藤サクラ/ Sakura Ando
1986年2月18日、東京生まれ。『かぞくのくに』(2013年)で第86回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞、『愛と誠』『その夜の侍』(ともに12年)で助演女優賞を受賞。『0.5ミリ』(14年)で、第88回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞、『百円の恋』(14年)、『万引き家族』(18年)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。『万引き家族』は第71回カンヌ国際映画祭にてコンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞。柄本 佑/ Tasuku Emoto
1986年12月16日、東京生まれ。映画『美しい夏キリシマ』で主演デビュー。『きみの鳥はうたえる』『素敵なダイナマイトスキャンダル』『ポルトの恋人たち 時の記憶』(以上2018年)で、第92回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞を受賞。出演するフジテレビ系テレビドラマ「ドクターホワイト」が1月から放送開始。1月21日より、映画『真夜中乙女戦争』(21年)が公開、5月に映画『ハケンアニメ!』(21年)と出演作の公開が控える。『殺すな』は安藤サクラにとって本格的に出演した2作目の時代劇となる。原作は藤沢周平の『橋ものがたり』に収録された同名の短篇小説。武士社会を描いた作品では、封建的な身分制度に翻弄される下級武士やその妻の哀観を多く描いた藤沢だが、江戸の町民を主題にした時は、自分の意志を貫き通す女性の強さを描いた。安藤が演じたのは堀江町の船宿の女将のお峯。抱え船頭の吉蔵と駆け落ちした後の日々を描いたもの。原作では「多情な女」と書かれているが、本作ではそれだけに留まらない複雑な心境がその表情や所作から零れ落ちていて、さすがだなと思う。
「逃げてきた亭主から多情と言われるんですけど、劇中、私は本田博太郎さん演じる亭主との場面はないし、中村梅雀さん演じる隣に住む浪人ともそういう関係ではない。佑君が演じる吉蔵としか男女の間柄を演じる相手がいなかったので、変に考えず、そのままシンプルに演じればいいのかなと。時代劇は所作がおもしろくて、こういう動きをしなければこの人の生活が成り立たない身分である、だからこうなる、という考え方のもと所作指導を受けました。『殺すな』では、この場面のお峯の心情としては下駄をここでズズズと引きずったほうがいいのか、一歩止めて、ゆっくり歩み出したほうがいいのか、その違いで随分違ってくるとすごく考えたけど、本番は出たとこ勝負。で、出ないなら出ないで一本勝負という感じです」
自分のことを「基本ビビリだし、自分を信用していないから、準備と練習はたくさんする」と語る。あんまり言いたくないけど、と前置きしたうえで、撮影本番前でのここぞという瞬間にパートナーの柄本佑の顔を浮かべ、「たっくん!」と念じる瞬間もあるという。だから京都・太秦の松竹撮影所で、夫婦での共演は願ったり叶ったりだったという。
「子どもを産んでからの私の課題は子育てと撮影をいかに両立させるか。そんな折、憧れの井上昭監督からのオファーで脚本にもひとめ惚れ。しかも京都で、子どもを連れてふたり一緒で、こんな最高なことあるか?! って感じでした。私は人見知りが凄くて、人となじんでいないと息ができないから、仕事ではお芝居よりも、まずはそこに気を遣うんです。自分が委縮しないように、皆さんが不快にならないようにと。でも、目の前に信頼する佑君がいて、ふたりでの撮影はラブシーンから始まったんですけど、彼であったら踏んでてもいいし(笑)、身体の上に乗っていても恥ずかしくない。こんな楽な相手いないわ、って思いました。梅雀さんとの場面を控えた前夜に“緊張する”と言いまくって、手とか震えて、あわあわしている時も、“大変だよね”って、何も言わずに状況を把握してくれている。日頃からなんでも受けとめてくれる信頼があるので、のびのびできたと思います」
可能であるならば、佑君と成立している関係性をすべての人と結ぶことが理想なんだけれど。
そう、断言できるだけの強い信頼感は、取材の日の撮影の合間に、何度も感じさせられた。数多くの衣装の中から、あえて身体の線がはっきりと見える透け感のあるワンピースを選んだ際、さり気なく、彼女を護るような柄本の姿を見ることができた。スタッフのひとりが、「安藤さんは柄本さんのことが大好きなんですね」と言うと、「私だけじゃないですよ!」と悪戯っ子の顔をしてにこやかに笑った。良き関係性を保てる秘訣はなんだろう?
聞くと、「私たちはとにかく距離があるんです」と、意外な答えが返ってきた。
「私と佑君はお互いのことに踏み込まないんです。家の中での過ごし方もそれぞれで、その距離感は大切にしています。特に子育てが始まってからは夫婦や親子であることに捉われずに、暮らしています。だってせっかく大好きな人が誰よりも近くにいるのに“夫婦”とか“親子”という関係だけじゃもったいないじゃないですか。今日、メイクの津田さんと久々に会って、“佑君は以前よりもさらにドンとして、サクラちゃんはより自由になってるね”と言われて、意表を突かれたのですが、とてもうれしかったんです。それが私たちの形なのかなと。個々がいい形になるよう、みんなで探しているような形です。大きい決断する時、君がそれならそれでいい、私もそれでいい、そう話し合って終わり。互いに干渉せず、おいしいものを一緒に食べて暮らす。それは柄本家から学んで、私がエモトナイズされた結果かもしれません」
さて、本題である性愛について。自身が、特にスクリーンの中で演じる女性に纏う得もいわれぬ艶っぽい色香について、本人は無自覚なのがおもしろい。計算して出したものではないのに、それが表出するのはなぜなんだろう。
「私は心も身体も素っ裸みたいな人間なので、色気もへったくれもないですよ(笑)。20代前半で佑君と出会って結婚を決めたから、大人の恋愛というものを知らないんです。いま30代になって、たまに同級生と会って、彼女たちの恋の話を聞いても何のアドバイスもできやしない。性愛というよりも、私はちょいと道端に落ちてるエロくらいにしか興味がなくて(笑)。いや、道端にポロリと落ちてるエロは大好物なのですが、“性愛”というとても神聖かつ崇高なワードはなかなか自分の中には見つけられず……あ! そうか。私にとっての性愛とは神聖かつ崇高なんだ!」
明るく笑いながら、「“性愛とは?”と問われて、なぜか旬も終わりかけの生サンマばかりが頭に思い浮かんできてしまいました。さすがに頭おかしいだろ、自分」とひとりでノリつっこみをし、性愛とは何ぞやの問いかけと格闘すること数分。食べることを大切に生きる彼女だからこその回答が舞い降りた。
「普段あまり肉を食べない私は、魚をいただく時にものすごく命に触れている気持ちになります。性愛とは、まさにその感覚に酷似していると思いました。たとえば、信号待ちのカップルのさわさわと腰に当てられた手とか、そういう人さまの仕草から拾った道端のエロは大好物な悪趣味ですが、私にとって“性愛”はそれとは真逆。なんかものすごく大きな言葉に感じています」
今日は夫婦でそれぞれインタビューを受けたので一言だけ付け加えるとしたらと言って、「日々わたしが感じている我々について。性別を超えてるなと思ってます。それはいっつも思っています」
俳優、画家、映画監督である父親は恋多き人で、「エロとか性とかそんな言葉にまみれた親父に育てられたことが反面教師になった」ともあっけらかんと言う。「子どもを産んだいま、性愛という言葉に爽やかさが生まれたように感じます。うん、超爽やか。当たり前だけど、これこそ生き方の数だけ考え方は違うでしょう! 私の結論。性愛とは、生きものにとって、神聖で崇高で、爽やかな幻想と現実のハイタッチ!」
(安藤サクラ)
柄本佑:ジップアップシャツ¥127,600、シャツ¥105,600、パンツ¥161,700/以上ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー(ジルサンダージャパン)
提供元:Yahooニュース

