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俳優・高島忠夫さん 家族に支えられ天寿を全う…本当の意味での「うつへの復讐」(夕刊フジ)

【ドクター和のニッポン臨終図巻】
雨戸を閉めた真っ暗な部屋で終日ベッドに横たわり、まばたきをなくした瞳を天井に向け、顔は表情を失い、言葉は出ない-。これは、『うつへの復讐』(カッパ・ブックス)という本の紹介文です。5年に及んだうつ病との闘いを克明に綴ったこの本は、当時、医療者の間でも話題になりました。
著名人がうつ病を告白してくれたことには、社会的に大きな意味があると思ったのと同時に、正直私は、タイトルがキツイなあ…とも思いました。普段、うつの患者さんに「病気とうまく付き合っていこうね」と話すので、「復讐」という言葉に違和感を覚えたのです。
この本の著者である高島忠夫さんが6月26日に、御自宅で旅立たれました。享年88、死因は老衰との報道に、お見事! と呟(つぶや)いていました。「老衰≒天寿」を全うしたということが、本当の意味で、「うつへの復讐」だったのかもしれませんね。
俳優業や司会業で大活躍だった高島さんでしたが、人気稼業ゆえの暴飲暴食が祟(たた)り、40代で糖尿病と診断されます。120キログラムあった体重を、3年かけて70キログラムまで落としたとか。しかしダイエットの成功とともに睡眠薬と酒量が増え、今度はアルコール依存症に。そして1998年、68歳のときに重度のうつ病と診断されたのです。さらに2000年、70歳のときにはパーキンソン病との診断が。
うつ病とパーキンソン病を併発する人は多くいます。そこから認知症になる人も少なくありません。きっかけは様々ですが、高齢になるほど、うつ病とパーキンソン病と認知症は、別個の病気というよりも脳の神経伝達物質の異変というグラデーションの中で起こる病態とも言えます。
それでも高島さんは、諦めませんでした。04年に、先の闘病記を出版するほどに元気を取り戻したのです。復帰会見では、笑顔で「イエーイ」を連発。奥さまの寿美花代さん(87)、息子である政宏さん(53)、政伸さん(52)の力が大きかったことと思います。
うつ病は、強い疲労感や脱力感を自覚し、無気力になっていきます。そんな自分自身を情けないと感じ、自殺願望が繰り返し起きる人もいます。健康問題が原因で自殺した人のうち、4割以上がうつ病だったという報告もあります。うつ病から自死をされると、残された家族は、しんどいです。実は私もその「残された家族」の一人。ずっと自分を責め続けて生きてきました。今も尚。
高島さんの闘病中、奥さまは夫の自殺を心配して、家中の包丁を隠しました。母親の死さえも知らせなかったとか。そして回復期になってからは散歩や外食、小鳥の世話など二人三脚でリハビリに励んだそうです。
うつ病には、これをすれば絶対に治るという方法は残念ながらありません。日々の希望の積み重ねが大切です。希望を繋げたからこそ、米寿まで生きられたのでしょう。人生の半分が闘病生活。しかしその最期は、明るい家庭が支えた平穏死でした。
■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。
提供元:Yahooニュース