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苦しみもがき“どん詰まり”になる男女…不倫が救いになることも? 金原ひとみさん「アタラクシア」(夕刊フジ)

★金原ひとみさん『アタラクシア』(集英社、1600円+税)
「女は息するように浮気する…」。登場人物のセリフだ。ままならない結婚生活からの救いを求めて不倫を重ねる男女。そこには、背徳感も、ためらいもない。芥川賞から15年。衝撃作を送り出し続けてきた著者が描くのは「楽」の世界か、「苦」なのか…。(文・梓勇生)
--タイトルの『アタラクシア』とは
「哲学用語で『心に波風が立たない平穏な状況』という意味です。仏ソルボンヌ大学で哲学を専攻した(担当編集者でもある)夫のアイデアでしたが、私自身、すごく納得できる言葉。苦しい状況に置かれたとき、いろんなことに救われながら生きてきましたから。あとひとつ支えがあれば楽なのに…私の場合、それが、小説であり創作であったわけですが」
--本作の登場人物は、それぞれ結婚生活に問題を抱え、「不倫」に救いを求めてゆく
「今の社会を見ていても、自分の居場所がなくなっていく、自分が何者かがわからない、空白が埋まらない、といった話をよく聞きます。そんなときに不倫が『救い』になることもあるんだろうな、と思う。(本作の男女は)苦しみの中でもがき、新たな愛を求めて、試行錯誤を繰り返しながら、どん詰まりになってしまう…」
--6年間暮らしたフランスの場合は?
「フランス人は不倫も多いけど、短期間で、ダラダラ続かない。新しい人ができればすぐに別れて、子連れで再婚とかね。幸せになろうということに前向きです。日本のように芸能人の不倫をメディアが暴露すれば、『なぜ個人的なことまで』とメディアの方がバッシングを受けてしまう。元大統領が愛人の存在を知られても『それが?』と平然としていた国ですから」
--主人公の由依(ゆい)はフランス帰りの設定。自身の経験が投影されていますか
「由依は、モデルの仕事に失敗して帰国する。苦しい生活の中で、少しずつ、しおれていくような状況に置かれているが、不感で、心を動かされることがない。私も、苦しい状況や、他人に承認されなくとも、あまり感情を持って接することはやめよう、と思いました。由依のような境地になりたい、理想の姿として描きました」
--対照的に、夫の桂(けい)は情けない。由依に未練たらたらで、ストーカーになるし、セックスを拒否されているのに無理やり…
「でも、私は桂のような男は好きですよ。その“どうしようもなさ”にひかれます(苦笑)。そもそも、執着心のない人間は、書いていても、付き合っても、面白くありませんからね」
--読者は、作品に、作者の恋愛観や倫理観を見るといいますが
「今回は、いろんな『視点人物』を登場させていますが、それぞれにどこかしら共感できる部分があります。私はひどい場面も書きますが、『世界観として受け入れられないこと』は書けません。(今作にも)嫌いなタイプの女性も出てきますが、その世界へ行きたくない、というほどではない。どこかで美意識を保ちたいのです」
--昨今の出版不況については?
「私のような『暗い人が出てくる暗い話』はそもそもそんなに売れませんよ(苦笑)。昔のように、飛ぶように小説が売れている時代の方がおかしかったわけで、細々と生きてゆくには、今の方が適しているかもしれませんね。ネットへの流れは止められませんし、何とか折り合いをつけていくしかないでしょう」
■あらすじ フランス帰りの元モデル、由依(ゆい)は、作家の夫、桂(けい)とセックスレスの状態が続いている。由依は、家を出てシェフの男と不倫を重ねるが、桂に知られ、無理やり体を奪われてしまう。ミュージシャンの夫のDV(家庭内暴力)に苦しむ編集者の真奈美は同僚の男と密会を重ね、パティシエの英美は、夫に浮気され子供を虐待…。うまくいかない結婚生活。『アタラクシア』(心に波風が立たない状態)を求めて、もがく男女の愛憎を描く。
■金原ひとみ(かねはら・ひとみ) 1983年、東京都生まれ。35歳。2003年、デビュー作の『蛇にピアス』が、すばる文学賞を受賞。翌04年、20歳のとき、同作で芥川賞を史上最年少で受賞(19歳の綿矢りさ、と同時)。80万部を超えるベストセラーとなり、海外での翻訳や映画化もされた。主な著書に『TRIP TRAP』(織田作之助賞受賞)『マザーズ』(Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)など。昨年夏、6年ぶりにパリから帰国。
提供元:Yahooニュース