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作品のラストで主人公が選んだ「結末」を、あなたはどう読むか? 息をのむ5連続の極上ミステリ(レビュー)(Book Bang)

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2019年に刊行された『最後のページをめくるまで』は、どんでん返しというテーマに挑んだ実に切れ味の鋭いミステリ短編集だった。そもそも最初からどんでん返しと銘打っている以上、読者は読みながら「このまま終わるはずがない」と構えてしまう。「来るぞ来るぞ」と心の準備をしているところに、作者はそれを超える驚きを提供しなくてはならないわけで、とてもハードルの高い設定なのだ。それを水生大海は鮮やかにこなしてみせた。
それに続く第2弾である。またもどんでん返しが宣言された5作が並ぶ短編集だ。
第1話「二週間後の未来」を読んでまず感心したのは、背景にコロナ禍を利用している点だ。主人公は同じ部署の恋人に裏切られ、殺害計画を練るOL。ところがそこにコロナ禍が訪れる。会社はリモートワークで、人に会うこともままならない。殺人などできるわけがない。一旦は気が削がれた主人公だったが・・・・・・。
この話が本誌に掲載されたのは2020年夏。執筆はそれ以前だったことを考えると、かなり早い段階で著者はこの新しい生活様式を小説に取り入れたことになる。なるほど、こう使ってくるかとにやりとした。
第2話「俺の話を聞け」は雑誌記者が、不審な死に方をした旧友の死の真相を探ろうと関係者を訪ねるインタビュー小説。第3話「それは財布からはじまった」は、掏摸の被害から助けられた女性と助けた女性が思わぬ形で交錯していくサスペンス。これもまたコロナ禍で浮き彫りになった単身女性の貧困の問題が背景にある。
第4話「きみのための探偵」は、結婚披露宴の最中に新婦が略奪されるという、映画「卒業」ばりのエピソードが語られる。その席にいた新郎の友人である「僕」は消えた新婦を探そうとするのだが・・・・・・。そして最終話「真実」は・・・・・・いやいや、これは何も言わずにおこう。
どんでん返しというキャッチコピーは間違いではない。が今回はむしろ「予期せぬ結末」といった風味が強い。読者の予想を覆すというよりも、まったく違う方向から矢が飛んでくるのだ。前作が二転三転の展開で読ませたのに対し、今回はどこに連れて行かれるのかわからない、翻弄される楽しみに満ちている。そして翻弄された挙句、最後に突き落とされるのだ。上手いなあ。
一筋縄ではいかない物語が好き、という人にぜひお薦めしたい。著者の技が詰まった1冊である。
[レビュアー]大矢博子(書評家)
1964年大分県生まれ。書評家。名古屋在住。雑誌・新聞への書評や文庫解説などを多く執筆。著書に『読み出したら止まらない! 女子ミステリーマストリード100』『歴史・時代小説 縦横無尽の読みくらべガイド』などがある。
小説推理 2021年12月号 掲載
提供元:Yahooニュース

