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若くして成功した主人公…ある部分は僕で、ある部分はそうでない 古市憲寿さん「平成くん、さようなら」(夕刊フジ)

★古市憲寿さん 『平成くん、さようなら』文芸春秋(1400円+税)
「平成」の幕開けとともに生まれた平成(ひとなり)くん。若くしてメディアの寵児(ちょうじ)となり、カネには困らない。豪華マンションにカノジョと住んでいるが、セックスは嫌い。唯一の希望は、安楽死…。芥川賞候補となり落選はしたが、今も売れ続けている話題作。これってヤッパ、ご本人のこと?(文・梓勇生 写真・寺河内美奈)
--トントン拍子で脚光を浴びて、30歳前に成功を収めた主人公。モデルはどうみても…
「ある部分は僕で、ある部分は、そうではない。意図した部分もあるし、結果的に似てしまった部分もある。まぁ、僕自身が何がしか投影されているのは否定しません。僕は昭和の最後の方(60年)の生まれで、実際は“平成育ち”といったところですけどね」
--若くして頂点を極めてしまった平成くんは「もうこれ以上のことはできそうもない」と、安楽死を望むが
「同世代のクリエーターやミュージシャン、作家を見ても、若くして注目された人は、それゆえの共通の悩み、葛藤があるんです。つまり、今の成功の『次』はどうするのか? ということですね。同じ路線でやり続けるのか、違う挑戦をするのか。僕はそんな葛藤はないし、やりたいことがなくなったわけでもありません。ただ、その気持ちは分かりますよ」
--「安楽死」をテーマにしたのは
「平成の時代に出生率が下がったり、若い世代の死因のトップが自殺だったり…社会全体が『安楽死』に向かっているとも言えます。(ネットなどで)リアルじゃない、と批判もされましたが、もともとフィクションの世界を書いているので別に気にはなりません。むしろ、賛否の議論を起こしたいと思って書きましたから。タブーにすることが一番よくない」
--今や何でもネットの時代。目立って叩かれるがイヤという人も
「テレビの発言で、始終“炎上”しているせいか(苦笑)、あまり気にしません。そもそも、100%自分の意図が理解されることなど、あり得ませんしね。作品を発表する以上、批判はつきものだし、それを越えていかないと、自分も好きなものは作れません」
--惜しくも受賞は逃したが、小説2作目にして芥川賞候補はすごい
「書いたものが、本になって世に出たことはうれしく思いますけど、その後の賞のことは、違う世界の話ですね。書き上がった時点で、僕がやれることはもう終わっているからです。まぁ、出版社や書店の方々が、すごく期待してくれていたので、少しはね…」
「ただ、これからも賞を狙って書くことはしませんよ。自分がズレてゆく気がするからです。実際、賞狙いのために、どんどん凡庸になっていった作家もいますからね。僕は自分の書きたいもの、好きなものを小説に書いていきます」
--文体が新鮮だし、センテンスが短くて読みやすい。特に、バイブレーターなど女性用のセックストイの話で始まる書き出しが衝撃的
「小説の書き出しはすごく難しいと思う。映画なら映像で見せられますが、小説の読者は、登場人物を知らないし、設定も分からないまま、読み始めるわけです。冒頭から分からない話を延々読まされるのは苦痛だし、すごいストレスですよ。だから僕は“読者目線”で書きました。今回、初めて小説を読んだ、という中学生や高校生がたくさんいてよかったと思う。中学生に、セックストイの話がどうかは、別にしても(苦笑)」
--『小説』という表現方法については
「小説の文体もよく分からないまま書いたのですが、楽しかったですね。小説は、意見が二分されているもの、白黒つけにくいものについて、有効な表現方法だと思います。原発とか沖縄問題とかね。それは、フィクション(ウソ)が前提なので、本音を逆に言えたり、躊躇(ちゅうちょ)して胸の中にとどめていた感情も書けるからです。そういう手段がひとつ増えたようで、うれしいですね」
■あらすじ 「平成くん」は身長187センチ、小顔でモデルのような体形だ。大学の卒業論文が注目され、瞬く間に時代の申し子としてメディアの脚光を浴びる。若くして富も名声も得た平成くんが苦手なのは、セックスと暗い場所くらい。ある日、同棲中の「私」は、平成くんから、安楽死を望んでいることを打ち明けられる。着々と準備を進める平成くんを何とか翻意させようとする私。そこには彼の知られざる「苦悩」が隠されていた。
■古市憲寿(ふるいち・のりとし) 社会学者、慶応大SFC研究所上席所員。1985年東京都出身。34歳。慶応大卒、東京大大学院修士課程修了。現代の若者の生態をとらえた『絶望の国の幸福な若者たち』などで注目され、評論活動やテレビのコメンテーターとして活躍。内閣府「クールジャパン推進会議」メンバー。主な著書に『だから日本はズレている』『保育園義務教育化』など。小説2作目となる本書で、第160回芥川賞候補となる。
提供元:Yahooニュース