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生前の映像と言葉だけで構築 異色のドキュメンタリー「私は、マリア・カラス」(産経新聞)

27歳で歌声を耳にして以来、世紀の歌姫に恋をし続けているという。12月21日から公開のフランス映画「私は、マリア・カラス」は、不世出のオペラ歌手、マリア・カラス(1923~77年)の波乱に満ちた生涯を、彼女の生前の映像と言葉だけで紡いだ異色のドキュメンタリーだ。素材集めから編集まで5年以上を費やして完成させたトム・ヴォルフ監督(33)は「彼女の歌声はいまだに聴きたいと思うし、聴くたびにまた新しい発見がある」と目を輝かせる。
【画像】生前のマリア・カラスの貴重な画像
■誰も登ったことのない山
ギリシャ移民の子として米ニューヨークで生まれたカラスは、離婚してギリシャに戻った母に育てられ、13歳でアテネ音楽院に入学、オペラの歌唱法「ベルカント」を学ぶ。やがてイタリアで認められるようになるとともに、28歳年上の実業家と結婚。世界各地のオペラハウスで大成功を収めるが、ギリシャの海運王、アリストテレス・オナシスと恋に落ち、夫との間に泥沼の離婚騒動が起こる。舞台の途中降板などもあり、世間の好奇の目にさらされる中、オナシスが故ケネディ大統領夫人のジャクリーンと結婚したことを報道で知り…。
映画は、そんな波瀾(はらん)万丈の一生を送った彼女の舞台での姿やインタビュー映像に加え、プライベートビデオに未完の自叙伝、手紙などの言葉をつなぎ合わせてオペラ歌手のカラスと一人の女性であるマリアの両面から彼女の実像に迫っていく。友人や関係者の証言などは一切、出てこない。言葉は、映画「永遠のマリア・カラス」(2002年)でカラスを演じた仏女優、ファニー・アルダンが朗読している。
「ドキュメンタリーとしては非常に珍しい作り方だし、大変な作業だった。いくら魅力的な素材がそろったと言っても、散らばったパズルのピースをまとめて一つの絵に完成させるのは至難の業。でも誰も登ったことのない山に登るのと同じで、わくわくしていました」と、公開を前に来日したヴォルフ監督は笑顔で語る。
■あらゆる人の魂に訴える
ロシアで生まれ、5歳のときに家族でフランスに移住したヴォルフ監督がカラスのことを知ったのは、そんなに前のことではない。10代のころはポップスの方が好きで、自分で歌を作ったりしていた。興味の対象が写真や映像に移り、パリで写真家や映像作家について仕事をしながら技術を覚えていった。
「OECD(経済協力開発機構)、オペラハウスに広告、ファッションなど、さまざまな分野の映像に携わった。映画学校に行っていないので本能に任せて作っていたが、独創性が認められたんだと思います」
だが26歳のとき、新たに医学を勉強したいと米ニューヨークに渡る。ここでカラスと運命的な出合いをする。メトロポリタン歌劇場で初めてのイタリアオペラとしてドニゼッティの作品を見にいった夜、帰宅後にインターネットでドニゼッティを検索して最初に出てきたのがカラスの歌だった。
「一瞬で心を揺さぶられた。彼女の歌声は情感豊かで、あらゆる人の魂に訴えかけると思った。言ってみれば恋に落ちたのです」
こうして1人でコツコツとカラスの素材を集める作業が始まった。音声は1950年代から70年代前半にかけてのオープンリールがほとんどで、保存状態がよくないものもたくさんあった。映像フィルムも同じで、それらをすべてデジタル修復して今日の視聴に耐えうるものにするために、何カ月もの時間を費やした。
「彼女の友人からはすぐに借りられたが、放送局などが持っている素材は使用権などをクリアにするのがすごく大変だった。こうして5年をかけて素材をそろえ、さらに半年間を編集にあて作品として完成させた。すべてカラス本人の記録だけで構成することができ、彼女が生きてそこにいるかのような臨場感が損なわれずに済んだと満足しています」
■本能のままアートを追求
本作は、すでに約40カ国で上映され、ヴォルフ監督は宣伝のため各国を回っている。行く先々で感じるのは、マリア・カラスの存在感はいまだに大きく、現代的なアーティストとして多くの人に愛されているということだ。それは文化的な背景や世代間の違いを超えているという。
「彼女はテクニックをマスターしたら、後は自分の本能に任せて、魂の向くままに唯一無二のアートを追求していった。没後40年になるのに、いまだに現代人として愛されているんですからね」
こう話すヴォルフ監督自身も、本能のままにさまざまな映像を手がけてきた。その経験が、今回の作品として花開いたのではないかと感じている。
「さまざまな知識や経験の積み重ねがあって、この映画を作ることができた。だからパリで広告やファッションの仕事をしていたときが私にとっての学生時代であり、この映画は卒業制作なのかもしれません。とにかくマリア・カラスのことを全く知らない人には彼女のことを発見する、知っている人には再発見する経験になると思います」と自信をのぞかせた。(文化部 藤井克郎)
トム・ヴォルフ(Tom Volf) 1985年、ロシア・サンクトペテルブルク生まれ。5歳でフランスに移住し、南仏の田舎町で育つ。2000年にパリに出て、写真や映像の技術をアシスタントをしながら身につけ、06年から広告やファッション、企業のPR映像などを手がけるようになる。13年に渡米後、マリア・カラスの歌声に出合い、世界中を旅して未公開資料や音源、映像を収集。知人や仕事相手など60時間に及ぶインタビューも実施し、初長編監督作と今作のほか、3冊の書籍、展示会などの成果に結実させた。
「私は、マリア・カラス」は、12月21日から日比谷のTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)、Bunkamuraル・シネマ(渋谷区)、TOHOシネマズ名古屋ベイシティ(名古屋市港区)、大阪ステーションシティシネマ(大阪市北区)、サロンシネマ(広島市中区)、KBCシネマ(福岡市中央区)、シアターキノ(札幌市中央区)、フォーラム仙台(仙台市青葉区)など全国順次公開。
提供元:Yahooニュース