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『ヒロインに永遠の処女求める残酷さ』で人気 商魂ドラマ「細うで繁盛記」 花登筺どてらい世界(夕刊フジ)

【生誕90年・花登筺どてらい世界 ペリー荻野】
1970年、大阪万博で日本中が科学と未来に夢を抱いて盛り上がったこの年、花登筐が世に出したのは、古風な女主人公の商魂ドラマ「細うで繁盛記」(1970~73年)であった。
大阪の料亭の「こいさん」として育てられた加代(新珠三千代)は、実家の没落で恋人の板前清二(高島忠夫)とも別れ、伊豆の熱川温泉の旅館「山水館」に嫁ぐ。しかし、夫の正吾(滝田裕介)は戦傷で男の機能が損なわれた身。加代は女としての願望を封じ、復員した清二を板長に迎えて、旅館を繁盛させようと奮闘。そんな加代を快く思わない義父や義妹の正子(冨士眞奈美)らの妨害は過熱するが、加代は必死に耐えるのだ。
花登作品には名セリフが多いが、本作では、加代が祖母からたたき込まれた「銭の花の色は清らかに白い。だが蕾(つぼみ)は血がにじんだように赤く、その香りは汗のにおいがする」が有名だ。
また牛乳瓶の底のように分厚いレンズの眼鏡をかけた正子が言い放つ「犬に食わせる飯はあっても、加代、おみゃあに食わせる飯はにゃあだで」といういびりセリフも話題に。姑息な手で陥れようとしては失敗する正子は、いじめ役ながら常に注目の的。冨士は一気にお茶の間に知られる存在となった。
最高視聴率30%超えの人気作になった理由は物語の面白さ、個性的なキャラクターに加え、作家がヒロインに永遠の処女であることを求める残酷さがあったからだ。
加代は夫と結ばれることはなく、当然、わが子を抱く希望も持てないまま、りっぱな女将でいることを強いられる。後に加代に味方してくれた義妹(柏木由紀子)が清二との結婚を望んでいると知ると、ふたりをいっしょにさせるのである。
作家はこれでもかというほどにヒロインを痛めつけ、孤独にさせ、なおかつ清らかさを求める。なんと残酷。だが、仮に加代が清二と結ばれ、ふたりの繁盛記になっていたら、人気は出なかったに違いない。花登は視聴者の心理をよく理解していたといえる。
この作品で、宝塚出身で東宝の喜劇映画に多数出ていた新珠はテレビ女優としての地位を確保することに。しかし、私生活はまったくの謎で、その神秘性がストイックな加代のイメージと重なり、没後17年となった今も「細うで繁盛記」とともに語り継がれることになったのだ。 (ペリー荻野)
■花登筺(はなと・こばこ) 小説家、脚本家。1928年3月12日~83年10月3日。54年、東宝と契約。58年に「やりくりアパート」で脚本家デビュー。59年に東宝との関係が悪化し独立。松竹の支援で「劇団・笑いの王国」を設立するが64年に解散。
75年、由美あずさとの離婚成立後、星由里子と再婚。83年10月3日、肺がんのため死去した。
代表作は「番頭はんと丁稚どん」「どてらい男」「細うで繁盛記」など多数。
提供元:Yahooニュース