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「紀州のドン・ファン」名付け親にメールで出した3択クイズ【紀州のドン・ファンと元妻 最期の5カ月の真実】(日刊ゲンダイDIGITAL)

【紀州のドン・ファンと元妻 最期の5カ月の真実】#9

 野崎幸助さんが亡くなった翌朝、私は和歌山に向かった。大阪までの新幹線でゆっくり眠る算段をしていたが、彼との思い出が次から次へと浮かんできて、眠ることなど全くできなかった。

美人妻が露骨に嫌がった“ドン・ファン”との2ショット写真

 新大阪駅で紀勢本線の特急「くろしお」に乗り換え、途中の和歌山駅を過ぎると車窓に紀伊水道が見えてくる。爽やかな五月晴れで穏やかな海に浮かぶ貨物船などを眺めていると、ドン・ファンが亡くなったということが信じられなかった。

 午前9時を過ぎたころ、私は前夕に飲んだKクンにメールを打った。

「昨夜ドン・ファンが亡くなったとの連絡あり。詳しいことは後ほど」

 これで一緒にコースを回っている編集のYクンにも情報が伝わるはずだと思った。

 Yクンは週刊現代の編集長を経て講談社+α文庫でドン・ファン本の2冊目(死後の3冊目「『真犯人』の正体」も)を担当していた。週刊現代時代はドン・ファン記事を何度も掲載して人気に火を付けたし、なによりも「紀州のドン・ファン」の名付け親である。

 最初のころは「紀州の資産家」「和歌山のエロジジイ」などの呼称を使っていたものだ。私自身は江戸時代のヒーローだった紀伊国屋文左衛門をイメージできないかと考えていたが、妙案は浮かばなかった。そんなときYクンが「紀州のドン・ファン」なるキャッチワードを生み出したのである。

「オッ、いいんじゃないか? ドン・ファンって感じではないけど語感がいいな」

■冗談の「殺人事件」が現実に

 私はYクンのアイデアに即行で賛意を示した。それが生き残り、天下のNHKまでもがニュースで「紀州のドン・ファンと呼ばれた……」と使ったのだから日本中から認められたようなものであろう。

「さて問題です。ドン・ファンが大変なことになりました。次の3つのうち正解は何番でしょう。1・離婚 2・懐妊 3・死亡」 

 電車の中でこのようなメールを打った相手は、当時現代ビジネス編集長だったSクンだった。彼がいなかったらドン・ファンの本は出版されていなかった。社内の会議で出版見送りになったことを聞きつけたSクンが、「こんなに面白い本が売れないワケがない」と啖呵を切ってくれたおかげで日の目を見ることができたのだ。私からすれば井戸を掘ってくれた恩人というワケであるし、生前のドン・ファンとも会っているので知らせなければならないと思ったのである。

 30分ほど返事はなかったが、やっと携帯が振動してメールが届いたことを告げた。

「う~ん。1番ですかね」

「ブブ~。正解は3番でした」

 そっけなく返信したら間髪入れずにSクンから電話が来た。

「本当ですか? 冗談でしょ」

「いや~、今朝がた連絡があってさ。今田辺に向かっている電車の中だよ。死因はまだ分からないけれど」

「エ~ッ」

 絶句している彼の顔が浮かんだ。

「もしかして殺人事件だったりして」

 私が冗談めかして言った。

「そんなワケないでしょ」

「いやいや、分からんよ」

 冗談で私が口にしたのが、それが現実になっていった。  =つづく

(吉田隆/記者、ジャーナリスト)

提供元:Yahooニュース
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