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おおたわ史絵さんに聞く 刑務所で受刑者の診療をする理由(日刊ゲンダイDIGITAL)

医師、作家として情報番組のコメンテーターで活躍中の、おおたわ史絵さん(54)。この6月に刑務所や少年院といった受刑者矯正施設の矯正医官に就任し、多忙な日々を送っているが、就任した理由とは……。
◇ ◇ ◇
「怖くないですか?」
私が刑務所で働いていることを知ると、大半の方は驚いてこうおっしゃいます。無理もないですよね。そこにいる私の患者はみな受刑者ですから。矯正医療を始めたのは今年の春。なぜかって? では、その理由をお話ししましょう。
みなさんは日本の罪状で一番多いのが窃盗と覚醒剤だということを知っていますか? どちらも再犯率の大変高い犯罪です。それはこれらが依存症と関わりのある罪だからです。
実は覚醒剤や盗み、暴力やギャンブルなどの多くには、脳の依存が関連しているのです。だめだとわかっていてもやめられない、それが依存です。
私の母は薬物依存者でした。それは私が小学生の頃から、いやもっと前から始まっていました。母は子供時代に腹膜炎を患い、腹部に後遺症を抱えていました。その痛みを和らげる目的で使用した鎮痛剤注射に対して、徐々に依存症が形成されていったのです。
私と父がその事実に気づいた頃には時は遅く、依存はまったく止めることができない状態になっていました。止めても叱っても、父の医院の薬棚から薬を探し出して自分で打ってしまいます。彼女は元ナースでしたから、それも悪く手伝ったのでしょう。
依存者は嘘や恫喝、暴言など、ありとあらゆる手段で対象物を手に入れようとします。相手が夫であろうと愛娘であろうと関係ありません。それほどまでに脳が支配されているのです。
■家族のための避難施設に父と一緒に逃げたことも
もちろん薬物専門医の外来相談に行きました。本人を入院させたこともあります。まったく効果はありませんでした。薬物問題を抱える家族会にもつながりました。途中からは注射薬を与えないと父に暴力を振るうまでになっていましたから、家族のための避難施設に父と一緒に逃げたこともありました。
結局、母の薬物依存は父が亡くなるまで続き、父の死と引き換えに、医院から薬物を入手できなくなった母は、一時的に依存から脱却したかのように見えました。これでやっと終わりなのか……? と思ったのもつかの間、彼女の症状は買い物依存に形を変えてぶり返したのです。依存症には相互関連があり、アルコール、ギャンブル、暴力、薬物、セックスなど他の依存を生じやすいのです。母の場合は買い物でした。通販で注文した使いもしない商品が段ボールで毎日、何箱も届きました。ひどい時は箱を開けもしません。
この頃の私は終わりの見えない戦いに完全にまいっていましたね。母の問題と正面から向き合う意欲も情熱も、すっかり消えてしまっていました。半ば無視、放置するように見て見ぬふりを通していたある日、母は自室で独りで病死しました。5年前の秋、第一発見者は私でした。反射的に心臓マッサージをしたのを覚えています。あんなに嫌な思い出しかなかったはずの母親なのに、不思議なものですね。今でも脳裏をよぎる記憶の中の母は薬物で人格を破壊され、酷い出来事ばかりです。
でも、それもすべては依存症のせいだったのでしょう。依存さえなければ、まったく違う幸せな人生が送れたかもしれない……。
そんな折、法務省から矯正医療のお話をいただきました。薬物や盗み、暴力などの依存の医療に携わる場所は、私にとって別世界と思えませんでした。依存症は刑罰や拘束で解決するものではありません。法と医で力を合わせて取り組むべき問題です。そしてそれこそが、再犯防止へのたった一つの道だと考えています。
誰もが「再犯を止めるのはまず不可能だよ」と言います。おっしゃる通り。でも、100人だめでも、もしかしたら101人目には何か伝わるかもしれない。一人くらいは変わるかもしれないじゃないですか。それを目指して腰を据えてやっていくつもりです。
そんな医者がいたっていいでしょう? それでこそ私が医師になった意味があるのかな、と今は思っています。
コメンテーター。TOKYO MX「5時に夢中!」(平日17時)、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」(平日13時55分)、フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」(水曜21時)。
提供元:Yahooニュース