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森田監督だからやれた!! 黒木瞳の“メスの顔” 失楽園(1997年)(夕刊フジ)

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【異才・森田芳光が描き続けたもの】
『失楽園』はベストセラー作家、渡辺淳一の代表作のひとつ。当時流行語にもなったほど。一般の新聞には書けないような不倫という不道徳な内容が重要なテーマだったからだ。
1995年に日本経済新聞に連載されると大反響を呼んだ。人間とはいかにのぞき見的なことが好きかという証拠でもある。単行本は260万部という大ベストセラーとなった。
東映はそれまで渡辺淳一の原作を独占的に多く映画にして、ヒットさせている。当時の社長の岡田茂もまた最初はこの『失楽園』をウチでやるという腹積もりだった。
しかし、東映で作ってもそこそこの成績しか残せないのではないか、出版という宣伝メディアを持つ角川ならもっともうけることができるのではないかと考え直したところ、渡りに船とばかりに角川歴彦から映画化の申し出があった。
角川書店は、93年に社長の春樹が社長を解任され、弟の歴彦が社長になるというドタバタがあり、新生角川として漕ぎだしたばかり。95年にヘラルド・エースを買収して足固め。
実は歴彦は小説を読んで「実写は難しいのでは」とアニメでの制作を考えていたそうだ。
森田のデビュー作『の・ようなもの』をヘラルドで配給している縁もあり、森田が監督に指名された。岡田は「官能映画だから理屈っぽくしないで」と注文をつけた。出来上がると「森田さんも遊び人だからいい映画ができた。やっていない奴が作るとダメだ」と『喧嘩の作法 岡田茂』という本で述べている。
ヒロイン探しは難航が予想されたが、森田と原正人プロデューサーが第1候補の黒木瞳を口説くとあっさり快諾。当時スポーツ紙は川島なお美と黒木がヒロイン争いと書き立てたものだ。その川島はその後テレビドラマでヒロインを演じた。痛み分けというところか。
原作者の渡辺は、黒木に「これはオスとメスの話だから、ひたすらメスになってください」と言ったという。
公開すると観客の8割が女性。いかに女性の鬱憤がたまっていたかということが証明されたようなもの。興行収入は40億円を突破。もちろん日本アカデミー賞の主演女優賞(黒木)をはじめ賞レースを総なめしたことはいうまでもない。第21回モントリオール世界映画祭に出品されている。 (望月苑巳)
■森田芳光(もりた・よしみつ) 1950年1月25日~2011年12月20日。生誕70周年(没後10年)を記念し、ほぼすべての作品をブルーレイ化したBOXセット発売(12月20日)、記念本の出版、ゆかりの劇場での特集上映、海外でのレトロスペクティブ上映などを行うプロジェクト「森田芳光70祭」が始動している。
提供元:Yahooニュース

