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タイトルは三代目三遊亭金馬のおはこだった「居酒屋」から「の・ようなもの」(1981年)(夕刊フジ)

 【異才・森田芳光が描き続けたもの】

 森田芳光監督が亡くなって10年がたつ。その作風はシリアスドラマからブラックコメディーはもちろん、ラブストーリーやアイドル映画、ホラーまで幅広かった。

【写真】映画「の・ようなもの」のトークイベントに参加した秋吉久美子ら

 劇場映画の監督デビュー作『の・ようなもの』(1981年)は秋吉久美子主演の青春群像劇。舞台が落語の世界なのでコメディータッチ。キャッチコピーは「人間ってなんて面白いんだろう」だった。

 それにしても有望新人の秋吉久美子の本格デビューが、大胆なソープランド嬢だから誰もが驚いたことだろう。

 落語がベースなだけに劇中はたくさんの落語が出てくる。例えば志ん肉(しんにく=小林まさひろ)が「野ざらし」、志ん水(でんでん)が「青菜」、志ん魚(伊藤克信)と弟弟子の志ん菜(大野貴保)の前で女子高落研の先輩4人がリレーでするのは「道具屋」、由美(麻生えりか)の自宅で志ん魚が一席ぶつのは「二十四孝」、志ん菜が「たがや」。他にも落研の女子高生たちが「寿限無」を演じる。これだけ仕込むのは大変な苦労がいっただろう。

 森田監督は志ん魚役の若手落語家が見つからず、苦肉の策で当時大学生だった伊藤が「全日本落語選手権」に出ていたのを偶然見つけて口説いたという。実は森田監督自身が大学で落研に入っており、先輩に高田文夫がいた。この関係を志ん米(尾藤イサオ)と志ん魚のモデルにしたと語っている。

 タイトル自体、三代目三遊亭金馬のおはこだった「居酒屋」からとっている。これは居酒屋で主人が「できますものは、つゆ、はしら、タラ、こぶ、アンコウのようなもの-」というと客が「じゃあ、の、ようなものをもらおうか」と答える。落語通の監督ならではのセンスといえる。

 そもそも料亭の一人息子だった監督は、実家を抵当に入れて資金3000万円を作ったというからハンパじゃない。

 エリザベス嬢役の秋吉は「ワンシーン、カメラの位置をコロコロ変えるから面倒くさい監督だなと思っていたら、ある日呼び出されて、監督への尊敬のまなざしが欠けていると怒られてしまった」と、後に語っている。

 第3回ヨコハマ映画祭の作品賞と新人監督賞を取っている。 (望月苑巳)

 ■森田芳光(もりた・よしみつ) 1950年1月25日生まれ、神奈川県出身。日本大学芸術学部に進学し、自主映画製作を開始する。81年、『の・ようなもの』でデビュー。代表作は『家族ゲーム』『メイン・テーマ』『それから』など。2011年12月20日、C型肝炎による急性肝不全のため61歳で死去した。

提供元:Yahooニュース
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