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NHK「ひきこもり先生」に反響続々…不登校児への「来なくていい」と「逃げてもいい」の大きな違い(SALLiA)(日刊ゲンダイDIGITAL)

【SALLiA「トレンドなるままに」】

 6月12日にNHK総合「土曜ドラマ」枠でスタートした「ひきこもり先生」が10日に最終回を迎える。<問題提起の内容も素晴らしい><毎回泣かされる>という感想が多く見られるほど、視聴者の心を打ち、考えさせられると話題の作品だ。

変装もバレバレ 周囲の客が恐れる和田アキ子のパチンコ姿

 主演は佐藤二朗(52)で、共演者として鈴木保奈美(54)や佐久間由依(26)、高橋克典(56)、鈴木梨央(16)らが名を連ねている。

 主人公の上嶋陽平(佐藤二朗)は11年間の引きこもりで、3年前に社会復帰し、焼き鳥屋の店主を務めている。そんな陽平に目をつけ、ひきこもりから卒業できた人材を非常勤講師として起用したのが「いじめ、不登校ゼロ」を掲げる公立中学の榊校長(高橋克典)。初めは全力で拒否する陽平だが、たまたま知り合った不登校生徒・堀田奈々(鈴木梨央)との交流を通して、不登校生徒のための「STEPルーム」非常勤講師として働くことを決意する。

■不登校児に必要な大人の「姿勢」

 この作品のテーマはタイトルの通り「引きこもり」や「不登校」である。不倫で生まれた子供、働けない親、自分の見栄のために子供を追い込む親、自分の沽券のためにいじめと認めない教師、生徒のことが分かっているつもりの教師。作中に登場する子供たちは親や教師などの大人の事情によって振り回され、疲弊し、苦しんでいる。

 その中で、唯一生徒と真っ当に心を通わせることができているのが陽平だ。陽平は一度も「君の気持ちがわかるよ」という言葉を使わない。そんな手っ取り早い言葉を使うことなく、丁寧に一人一人の心に寄り添う言葉を使っていく。

 ある生徒には「自分は娘を捨てたから、娘の好きなおにぎりの具を知らないけど、君はお父さんの好きなおにぎりの具を知っているんだね。すごいね」と素直に伝え、目の前で死にそうになっている生徒には同じ熱量で泣き「生きよう」と何度も伝えた。

 ただありのまま、何の打算も計算もなく、すごいと思ったことを“すごい”と言える陽平。それが出来るのは彼が生徒たちと同じひきこもりだったからではなく、そんな繊細で優しい陽平だから、ひきこもらなくてはならなくなってしまったのだろう。

 久々に学校に来ることができた生徒が陽平を“ヤキトリ”と呼び、他の教師に「大人で先生なんだからヘラヘラ笑わないでください」と言われても、陽平は奈々が学校に来たことが嬉しいとヘラヘラ笑う。

■共感するだけでいい

 自分のために喜んだり、笑ったり、泣いたり、怒ったりしてくれるだけで、子供たちは十分に救われる。人に寄り添うということは、アドバイスをすることでも、知ったような気持ちになってあげることでもなく、ただ「共感」することだけで良いのだと思う。

 そして3話で、いじめを受けている生徒に怒りに震えながら陽平が発した「学校なんか来なくてもいいんだ!」という言葉。

 よく不登校児に対して使われる「逃げてもいい」という言葉がずっと引っかかっていたが、陽平が言った「学校なんか来なくてもいい」と言う言葉は一見同じ方向性の言葉だが、意味合いが全く違う。

「逃げてもいい」という言葉は、学校に行きたいのに行けない人間にとっては自分の惨めさを増長させる可能性もある言葉だが、陽平の言った「学校なんか」という言葉はその惨めさをも打ち消してくれる「救いの言葉」だと素直に受け取ることができた。

 筆者は毒親育ちの、元いじめられっ子の不登校児で、あの時「陽平のような人がいてくれたらどんなに良かったか」と思ったが、今大人になった自分は陽平のような大人になれているのか……。自問自答しながら身を引き締めた。

 全5回はあまりにも短いが、10日放送される陽平の姿をしっかりと心に刻みたい。

(SALLiA/歌手、音楽家、仏像オタク二スト、ライター)

提供元:Yahooニュース
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