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どんなジャンルでも 日中合作「心魔師」28歳監督の心意気(産経新聞)

28歳の若手ながら、商業映画にオリジナルビデオにと次々と仕事の依頼が舞い込んでいる。「ホラーだろうが、ラブストーリーだろうが、コメディーだろうが、映画であればどんなジャンルでも受け入れる。それが映画監督だと思っています」。不気味な雰囲気が充満する日中合作のサイコスリラー「心魔師(しんまし)」が10月27日から公開される今野恭成(やすまさ)監督(28)は、きっぱりと言い切る。
■殺人事件を盛り込んで
映画の舞台は富士山を間近に望む静かな町。血液凝固を止める薬品で失血死させるという猟奇殺人事件が発生し、被害者の遺留品からこの町の診療所が浮かび上がる。不眠症の刑事、今村(生津(きづ)徹)が診療所に潜入すると、鉄格子のはまった部屋に、患者の少女、夕子(真崎かれん)が閉じ込められていた。
この企画が中国側から今野監督に持ちかけられたときは、患者の少女と精神科医、その恋人の女性の3人が中心の話だった。これに監督が殺人事件を盛り込んだことで、サスペンスの要素が加わった。
「アクションを入れたかったということもあるが、元の企画だとヒロインの女の子のせりふや演技だけで緊迫感やスリルを見せなきゃいけない。殺人事件を足したことで、病院とか町とか広い範囲に拡大して世界観を見せることができたのではないかと思います」と今野監督は解説する。
中国との合作が実現したのは、東京芸術大学大学院時代に知り合った留学生がきっかけだった。張丹●(=女へんに尼)さんは映画専攻で学んでいた同期生で、今野監督の修了作品「結城家の眠り」にもスタッフとして参加している。修了後は中国に帰国し、北京の索斯光影(ソースビデオ)という映像制作会社に入るが、ここの社長の劉雨星さんが大の日本映画ファンだった。
「社長室には200本くらい日本映画のDVDがある。張さんとは、以前からそちらの出資で何か撮れたらいいねと話していたが、映画は今回が初めてだそうです」と今野監督。
■違和感がもたらす深み
撮影はすべて日本で行ったが、精神科医の恋人役で中国出身の陳懿冰(チェン・イビン)がキャスティングされているほか、美術、音楽は中国から東京芸大に留学していたスタッフが務めた。畳敷きの廊下に鉄格子がはめられた診療所や、二胡(にこ)が奏でる単音による音楽など、日本の日常とは微妙に異なる違和感が映画に深みを与えている。
「でも特に中国側から注文をつけられたことはなかった。日本映画に対してとても敬意を抱いていて、お前がそう思うならそうやりなよ、と任せてくれた。とにかく『お前は何がやりたいの』と何度も聞かれて、映画への姿勢の面で国の違いを感じましたね」
今野監督によると、映画は現実よりもリアリティーを感じるという。福島市で育った高校生までは、年に数本しか映画を見ないような少年だったが、早稲田大学に進学して文芸か演劇か映画かどのサークルに入るかで迷い、映画に決めた。
「最初に映画サークルに行ったというのが理由ですが、入ってみると撮るのが無性に楽しかった。僕がカメラを回しさえすれば、お話を簡単に作ることができる。僕にとっての映画は本当のことをいえる空間というか、映画の方が本当っぽいと思ったんです」
平成23年の東日本大震災後にいち早く福島で撮った「砂の島」が学内の映画イベント、早稲田映画まつりでグランプリを獲得するなど、たちまち頭角を現す。卒業後は映像制作会社でのアルバイトを経て、東京芸大の大学院に入学。憧れの黒沢清監督の指導を受け、ますます映画作りにのめり込んでいった。
■どんなジャンルでも
「作ることでしか成長できない部分もあると思う。もちろん黒沢監督のゼミにいたこともすごく役に立っている。毎週2時間、大学近くのファミリーレストランで黒沢さんの話を聞いたが、必ず一つとても大事なことを言う。例えばエキストラは棒立ちがいいとか、音楽は何か起こった後に流せとか。それをいかに逃さないで聞くかなんです」とほほ笑む。
実は黒沢監督には、映画作りに対する姿勢も影響を受けている。今でこそ、カンヌ国際映画祭をはじめ名だたる映画祭で高い評価を受けている黒沢監督だが、若いころは自主映画に低予算映画にオリジナルビデオに…と、えり好みせずに精力的に仕事をこなしていた。「適度な主張をしつつ、受け入れるところは受け入れて、ちゃんとそのジャンルの作品として成立させるというすごいことをやってきた人ですからね」と感嘆する。
東京芸大大学院の出身というと作家性が強いイメージがあるが、今野監督も「ほんとうにあった怖い話31」(平成27年)といったオリジナルビデオのシリーズや、「バレンタインナイトメア」(28年)などの低予算娯楽作品と、幅広く依頼に応えている。
「僕は映画という媒体を愛していて、与えられたジャンルの作品をこなすという究極の目標がある。サイコサスペンスだと『羊たちの沈黙』、ノスタルジーものだと『ニュー・シネマ・パラダイス』と、それぞれのジャンルをちゃんとこなした素晴らしい作品がある。それって美しいなと思うんです」(文化部 藤井克郎)
今野恭成(こんの・やすまさ) 平成元年、福島県生まれ。早稲田大学在学中に撮った自主制作「アパートヘルス」がひろしま映像展入選、「砂の島」が早稲田映画まつりグランプリを獲得する。在学中に専門学校「ENBUゼミナール」で映画作りを学んだ後、東京芸術大学大学院の映像研究科に進学。修了作品「結城家の眠り」が映画祭「TAMA NEW WAVE」の「ある視点」部門で入選したほか、オリジナルビデオ作品「ほんとうにあった怖い話31」、劇場公開作品「ほんとうにあった怖い話2016」などを手がける。「心魔師」に続き、来年には「岡野教授の千年花草譚」2部作が公開される予定。
◇
「心魔師」は、10月27日から新宿シネマカリテ(東京都新宿区)、11月3日から愛媛・松山のシネマルナティック(松山市湊町)、17日から横浜シネマリン(横浜市中区)、23日からプレビ劇場ISESAKI(群馬県伊勢崎市)、12月1日から第七藝術劇場(大阪市淀川区)など順次公開。
提供元:Yahooニュース