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幸せな日々

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  • 1:

    あいか◆NdOFY44k4.

    離さないでね ずっと
    つかまえていてよ ずっと
    じゃなきゃ私どっか行っちゃうよ?
    支えになりたいの 君の夢に少しだけ連れてって…
    /the GazzetE

    2007-12-22 05:48:00
  • 2:

    あいか◆NdOFY44k4.

    私には彼氏がいる。
    1つ上の我儘で自己中だけど甘えん坊なあき。もうあきとの付き合いも半年を過ぎようとしていた。
    ある日あきが珍しく友達の家に泊まりに行くと言い出した。
    貴重な一人の時間。
    久しぶりにホストに飲みに行こうと思い、仕事を終えて歌舞伎町に向かった。

    2007-12-22 05:53:00
  • 3:

    あいか◆NdOFY44k4.

    だけど当時の私は髪の毛はオレンジメッシュ、格好も常にライブ帰りみたいな格好をしてたから全くキャッチをされる事がなかった。笑
    たまにされたキャッチも見れないくらいの不細工…もう諦めて帰ろうと思った。
    そんな時前から歩いてきた貴方にキャッチをされた。

    2007-12-22 05:57:00
  • 4:

    あいか◆NdOFY44k4.

    ─あの時店から呼ばれたから戻ろうとしてたって言ってたね。
    もし私があの場所を通るのが5分遅かったら、私達は出会う事は一生なかったと思う。
    辛かったけど、苦しかったけど、出会わなきゃよかったなんて一度も思った事はないよ。

    2007-12-22 06:01:00
  • 5:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「すいませーん。」
    『はい。』
    「飲みに行かないですか?」
    顔を見た時すごいびっくりした。信じられないくらいかっこよくて、ここまでストライクな人は見た事がなかった。

    2007-12-22 06:03:00
  • 6:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『…行きます!場所近いですか!?初回いくらですか!?』
    いくら何でもがっつきすぎでしょ。笑
    その後「ちょっと待ってね。」と言ってお店に電話をかけていた。
    電話を切ると「初回1時間1000円だよ。お店はすぐそこなんだけど。」と言った。
    私は『全然大丈夫です!』と言ってお店に向かう事になった。

    2007-12-22 06:07:00
  • 7:

    あいか◆NdOFY44k4.

    後ろから着いていってる時ずっと後ろ姿を見ていた。細いなぁとか普段何食べて生きてるんだろうとか、ものすごく下らない事を考えていた。笑
    歩く事2分、あっという間に店に着いた。店を開けると従業員は一人、バーのような雰囲気の店だった。
    後から知った事だけど、ここはホストではなくサパーだったのだ。

    2007-12-22 06:11:00
  • 8:

    あいか◆NdOFY44k4.

    店にいた従業員は主任の亮くん。お客さんは私一人だけでしばらく亮くんと話をしてた。
    そういえばキャッチされた人いないなぁ…そう思っていたらまたキャッチに出るみたいだった。サパーのシステムなんて全然知らない私は、キャッチに出たらいつしゃべれるか分からないし、もしかしたらもうしゃべれないかもしれない!と思って焦って番号を聞いた。
    一瞬びっくりした顔をしたけど笑顔で教えてくれた。
    亮くんから名刺をもらった直後だったから、後からものすごく失礼な事をしたなと思ったけど。笑

    2007-12-22 06:21:00
  • 9:

    あいか◆NdOFY44k4.

    その時に初めて名前を知った。
    「葵?」
    『うん。そーだよ。』
    「分かった。ありがとう。」
    『じゃあキャッチ行ってくるから待っててね。』

    2007-12-22 06:27:00
  • 10:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『うん。頑張ってね。』
    そしてまたキャッチに出て行った。
    またしばらく亮くんとしゃべっていたら終電を逃してしまい、始発まで飲む事にした。
    2時間くらいしたら戻ってきて私の所に来てくれた。この時の事はあまり覚えていないけど、たわいのない話をしていたと思う。

    2007-12-22 06:31:00
  • 11:

    名無しさん

    見てます?がんばって

    2008-01-05 22:36:00
  • 12:

    あいか◆NdOFY44k4.

    >>11さん
    見てくれてる人がいると思ってなかったんでビックリしました?
    ありがとうございます。がんばります?

    2008-01-12 02:05:00
  • 13:

    あいか◆NdOFY44k4.

    >>10から。

    次の日から毎日メールがくるようになった。
    昔からホストに行っていたけどマメな担当は全くいなくて、きても週2程度。それが普通だと思っていたから何とも思わなかった。だから毎日来るメールに最初はすごいなぁぐらいにしか思っていなかった。

    2008-01-12 02:11:00
  • 14:

    あいか◆NdOFY44k4.

    ある日私が実家に帰る日、「今日は亮くんの誕生日だよ???」とメールがきた。マメな担当がいないからなのか、営業が嫌いだった。いつも担当全員に『自分が行きたくなったら勝手に行くから営業するな。そんな事しても意味ないし。』と言っていたくらい。
    そんな私だから―営業ごくろうさん。そんな風に思った。
    『ごめん?今から実家帰るから無理だぁ?』
    「そっかぁ?気をつけて帰ってね?」

    2008-01-12 02:17:00
  • 15:

    あいか◆NdOFY44k4.

    …可愛い。何故かそんな風に思った。笑
    顔もそうだが、メールの仕方、マメさ、話し方、仕草、笑顔かなりのツボなのだ。嫌でも気になる。気付いたら毎日のメールが楽しみになっていた。

    ―彼氏がいる事も忘れて。

    2008-01-12 02:21:00
  • 16:

    あいか◆NdOFY44k4.

    3日後。実家から帰ってきて東京駅に着いた瞬間、タイミングよく葵からメールが届いた。
    「帰ってきたぁ??」
    会いたいなぁと思った。こんなにメールをくれるのに行かないのも悪いと思ったし、何よりあのイケメンをまた生で見たいと思ったから。笑
    『今から行くね?』

    2008-01-12 02:24:00
  • 17:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「本当に?」
    『うん。今東京駅だから30分くらいで着くよ?』
    「分かったぁ?待ってるね?」
    一々可愛いなこの野郎…。笑

    2008-01-12 02:26:00
  • 18:

    あいか◆NdOFY44k4.

    あきには終電で帰ると連絡をした。
    この頃私は東京に友達なんていなかった。逆にあきにも友達はいなくて、いつも私達は一緒だった。一緒にいない時はお互いがバイトの時かあきが学校の時のみ。下手な嘘はつけない。だから実家を出たのが終電って事にしておいた。

    「分かったよ。気をつけて帰ってきてね。」
    罪悪感なんか一つもなかった。

    2008-01-12 02:36:00
  • 19:

    あいか◆NdOFY44k4.

    隠したい訳じゃない。別に言ってもよかった。私の中ではホストは浮気じゃなかった。
    でもあきと付き合って1ヵ月くらいした時に「ホストに行ってほしくない。」と言われた。私は本当に意味が分からなかった。その時にたとえ話で「もし俺にお金があったとしてキャバに行ってたらどうする?」と聞かれた。
    私は色恋を求めてる訳じゃないし、ただ気が向いた時に楽しく飲めればそれでよかった。普段の性格がサバサバしているし、口も悪いし顔もキツい方。元々こんなのに色恋をしてくる担当もいなかった。笑
    『別に行けばいいんじゃない。色恋されたくて行くなら嫌だけど、私と同じスタンスで行くんであれば構わんよ。』
    あきは黙ってしまった。『そんなんやだ!ごめん!もう行かないから?』とでも言うと思ったらしい。笑

    2008-01-12 02:48:00
  • 20:

    あいか◆NdOFY44k4.

    しばらく無言になる。認めたくないんだろうなぁ…でも行かないってのはどうしても嫌だ。そう思った私は交換条件?を出した。
    『じゃあさ、今までの担当達はどうしても切りたくないのね。だから今まで通り連絡も取る。どっちにしても大阪ばっかりだから行く事は多分ないし。でもこれから先担当は増やさない。初回にも行かない。歌舞伎では担当作らない。これでいい?』
    それに了承してくれた。
    これだけ聞くとかなりのホス狂いみたいだけど、私にとって彼氏・友達・ホストっていうのは畑違いであってどれかの為にどれかを失うのは違うと思っている。今もそう思っている。
    実際金が絡んでいても、向こうにとっては仕事でも、助けられた瞬間があったが故の感謝の気持ちがあるから。

    2008-01-12 03:07:00
  • 21:

    あいか◆NdOFY44k4.

    彼氏が同じ気持ちでキャバクラに行くのであれば止める気などなかった。むしろ行ってこいよって言えるくらいだった。それでまた明日から頑張れるのであれば。

    そんなやり取りがあったから、いきなり出現した葵の事など言えるはずなどなかった。
    何故か向かう時ドキドキしていた。バレたらどうしようなんて気持ちじゃない。そんな事より1週間振りに会える事に少し緊張していた。

    2008-01-12 03:12:00
  • 22:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『着いたよ。』
    上まで迎えに来てくれた。1週間振りに見る顔。―やっぱりかっこいいなぁ。なんて思ってたら
    「おかえりっ!」って笑って言った。
    ―やっぱり可愛い…。笑
    それより嬉しかった。彼氏のとこ以外で居場所ができたような気がした。

    2008-01-12 03:19:00
  • 23:

    あいか◆NdOFY44k4.

    二人で飲みながら話しているとタイプの話になった。
    「あいちゃんはどんな人がタイプ?」
    『うーん…可愛い人かなぁ。』
    「じゃあ年上と年下どっちが好き?」
    『絶対年下!』

    2008-01-12 03:22:00
  • 24:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「おー…よかったぁ?」
    『え?年下なの?』
    「ううん。俺26。」
    『は?じゃあ何でよかったって言ったの?』
    「なんとなく?」

    2008-01-12 03:24:00
  • 25:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『意味分かんない。笑』
    「本当に26に見える?」
    『見えないよ。20くらいかなぁって思ってた。』
    「本当は俺18だよっ?」
    『はぁ?18?若いねぇ。ってあれ?さっき入ったの去年の12月って言ってたよね?んで誕生日1月って言ってたじゃん?計算が…。』

    2008-01-12 03:27:00
  • 26:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「18になる直前に入ったの。だから一応20って事になってるから内緒ね。」
    『うん。』
    「でも本当よかったぁ?年上好きって言われたらもう俺帰ろうかと思った。笑」
    『いや。帰る意味が分かんない。笑』
    その時2月。まだ入って3ヵ月にもならない新人だった。

    2008-01-12 03:34:00
  • 27:

    あいか◆NdOFY44k4.



    ──ずっとこんな日が続けばいいなと思ってた。でも最初に壊したのは私の方だったかもしれないね。

    2008-01-12 03:35:00
  • 28:

    あいか◆NdOFY44k4.


    相変わらず毎日メールのやり取り。次第に葵の事を考える時間が増えていく。会いたいと思う時も増えていった。
    出会ってから約1ヵ月。好きなんだと気付いた。でも相手はサパーといえどホスト。ホストに惚れたのは初めてだからどうしていいか分からない。それに優しさもマメさも全て仕事だからだって事くらい分かっていた。
    でも惚れたら一直線の私には会わないという選択肢も、それ以上に諦めるという選択肢もなかった。
    無理して気持ちを抑えて会わないようにする事も、諦める事も無理だって知っていたから。

    2008-01-12 03:45:00
  • 29:

    あいか◆NdOFY44k4.

    その直後店に行った時の営業終了後、亮くんに相談してみた。
    『亮くん相談があるんだけどいい?』
    その時集計をしていた亮くんは手を止めて私の方を見た。
    「どーしたぁ?」

    2008-01-12 03:49:00
  • 30:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『あのね…私葵くんの事好きになったっぽい。』
    「顔?笑」
    『違うよ。笑 確かに最初は顔すっごいタイプだなぁって思ってたけど、今は性格の方が好き。』
    「どうしたいの?」
    『分かんない。だから亮くんに相談しようかと思って。でもできたら付き合いたいと思う。でも無理じゃん。』

    2008-01-12 03:53:00
  • 31:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「何で無理だと思うの?」
    『だって客だもん。』
    「お客さんとか関係ないじゃん。お客さんってだけで諦められるの?」
    『無理。好きだもん。』
    「じゃあ付き合えるように頑張ったらいいんじゃない?」

    2008-01-12 03:58:00
  • 32:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『うーん…頑張りたいけどどうすればいいのかなぁ…。』
    「てか本気なの?」
    『当たり前じゃん!じゃなきゃ相談なんてしないよ!笑』
    「…あいつの事裏切ったりしない?」
    『当たり前だよ!何でそんな事聞くの?笑』

    2008-01-12 04:01:00
  • 33:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「……。」
    何故か真剣な顔で黙って私を見ている亮くん。意味が分からず笑い事じゃないのかな?と思って、亮くんが話し出すのを真剣な顔で目を見て待っていた。
    15秒くらい見つめ合っていると亮くんがニコって笑って話し始めた。
    「今あいちゃんが俺の目を逸らしたら本気じゃないんだろうなって思った。水商売長いから目見たら本当か嘘か分かるし。でも1秒もあいちゃんは目を逸らさなかった。だから葵に対する気持ちは本気だって分かったよ。もし逸らしたら殴って「もう来なくていいよ!」って言おうと思ったし。笑 俺あいちゃんを応援するよ。あいつが振り向いてくれるように頑張れ?」
    そう言ってくれた。店ぐるみ?って思ったけど、それでも嬉しかった。頑張ろうかなって思った。

    2008-01-12 04:09:00
  • 34:

    あいか◆NdOFY44k4.

    その頃仕事場の人に違う職場を紹介してもらい、そこで今までとは比べ物にならないくらいの給料をもらい始めていた。その分店に行く事も増えていき、週3は行くようになっていた。
    あ『そういえば私好きな人できたよ。』
    葵「誰だれ!?」
    店に行き始めた頃から葵には彼氏の愚痴もよく話していた。あきは付き合い始めた頃から鬱病を理由に大学に行かなかったが、その頃にはバイトにも行かず引きこもり生活をしていた。完全に私の金をあてにしているから。家賃は親に払ってもらっていたが、生活費、食費、デート代、高額になった時の光熱費、ありとあらゆるお金は私が全額出していたし、家事も全部私がやり精神的依存もされ「あいかに見捨てられたら俺は死ぬしかない。」が口癖だった。
    実は私もリストカッター癖と過呼吸を持ちたまにODをするほどの精神病者。そんな状況の上に「リスカはやめてほしい。」とだけ言われ続け、支えてもくれないあきとの同棲生活に耐えられるはずがなかった。

    2008-01-15 03:52:00
  • 35:

    あいか◆NdOFY44k4.

    そんな話も知っていた葵が私に彼氏以外に好きな人ができる事に何の疑問も持たなかったのだろう。無邪気に聞いてくる。
    『可愛くてかっこよくて面白い人だよ。』
    「へー。そうなんだぁ?何歳なの?」
    自分なのかと疑いもしない聞き方に少し笑ってしまい、私は葵を指差しながら
    『今私の目の前にいる人。』と言った。

    2008-01-15 03:57:00
  • 36:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「へ?…俺!?」
    『そう。葵くんを好きになった。』
    「そっかぁ?」と言って何かニヤけていた。
    そんな顔を見てまた可愛いなぁと思う私がいた。でも付き合ってとは言わない。だから向こうも何も言わない。これは私のいつもの手だった。
    好きだと意思表示をしてから行動した方が、言わずに行動をするよりずっと効果がある。言わないと「何でこいつは俺の為にこんな事するんだろう。もしかして好きなのかな?」って迷わせるけど、好きと言っておけば「こいつ俺の事好きだからここまでしてくれるんだな。」に変わる。その積み重ねでいつか隣にいるのが当たり前になり、いざ「付き合って」と言った時にOKを出してくれる確率が高くなる。このやり方で断られた事は一度もなかった。

    2008-01-15 04:06:00
  • 37:

    あいか◆NdOFY44k4.

    単純に好きと言わずにいられない性格だからっていうのもあるかもしれないけど。笑

    でも葵には付き合ってと言うつもりはなかった。ホストと客が付き合える訳がない。ましてこんなかっこいい人が私みたいのを相手する訳がないと思っていたから、このままこの笑顔を見ているだけで充分だと思っていた。

    しかしこんな想いも1週間で崩れてしまう。

    2008-01-15 04:11:00
  • 38:

    あいか◆NdOFY44k4.

    ↑すみません。間違えました?
    1週間ではなく2週間です。

    2008-01-15 04:19:00
  • 39:

    あいか◆NdOFY44k4.

    好きだと口に出してから、完全に葵にハマっていた。葵しか見えなくなっていた。

    あきの事なんかほったらかしにしていた。そんな状況の中浮気までされていたんだからこっちだってしたっていいじゃん。と思っていたし、もう疲れすぎていて優しくしてやれる余裕すらなくなっていた。そんな時に現れた優しい葵に気持ちが向くのは当然と言えば当然だった。
    そんな気持ちの変化にあきは気付いたのだろう。突然「あいかが俺にとって必要な存在なのか分からなくなった。少し考えたい。」と言われた。

    2008-01-15 04:24:00
  • 40:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『それで考えて、必要じゃないって思ったら別れるって事?』
    「そうゆう事になるね。」
    『ふーん。分かった。』
    今までの私だったら別れたくないと泣いて縋っただろう。でももうそんな気持ちさえなかった。修復しようという気もなかった。自分から別れを告げたら「死ぬ」って言うんだろうと思い言えなかったから、やっとこの人から解放されるんだ。そう思ったら嬉しささえ感じた。
    しかしこの男はつくづく自分勝手だ。依存をしながらも散々浮気をして、私の友達にも手を出した。それでうまくいかなかったら私の元へ帰ってくる。私から離れていく訳がないと思っているからだろう。それなのに私が自分の思い通りに傍にいてくれないと「必要ない」と別れを切り出そうとしている。何でこいつに私がそんな言葉を吐かれなきゃいけないんだろう。そんな事をぼんやりと思った。

    2008-01-15 04:36:00
  • 41:

    あいか◆NdOFY44k4.

    そんなやりとりをしたのがGW直前。そしてあきは元々GWは実家に帰ると言っていたから、次の日には実家に帰っていった。
    GWが終わる日、私はいつも通り朝まで仕事。仕事が終わり帰ってくるとあきは寝ていた。それを横目に私はいつも通りこたつで寝た。
    昼前にこれまたいつも通りお腹を空かせたあきに起こされた。

    2008-01-15 04:43:00
  • 42:

    あいか◆NdOFY44k4.

    とことん寝起きの悪い私はいつも活動できるまで30分はかかる。気を抜いたら二度寝してしまう為、横になったまま眠らないように必死になって煙草を吸っていた。そんな中あきが口を開く。
    「こんなタイミングでする話じゃないんだけどさぁ…」
    『…何?』
    決して機嫌が悪い訳ではない。寝起きが悪すぎていつも一言でしか会話ができない。全く頭が回らないし、理解力もなくなるので会話にもならないのがほとんどだけど。笑 これでも必死にしゃべっている。自分の中では。
    「こないだの話なんだけど…」

    2008-01-15 04:51:00
  • 43:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『ん?…あぁ。うん。』考えるってやつか。
    「実家で考えてきた。」
    『それで?』
    「やっぱり必要ないと思った。」
    『別れるの?』

    2008-01-15 04:53:00
  • 44:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「そう…だ…ね。」
    『ふーん。分かった。でも私仕事もあるし家もないから、しばらくは家いてもいい?』
    「うん。それは構わないよ。すぐ出てけなんて言わないから。」
    『ん。あとは?』
    「いや…それだけ。」

    2008-01-15 04:56:00
  • 45:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『はい。ご飯は?』
    「食べる。」
    いつもの会話の一部分のような別れ話をして私達は別れた。
    付き合って8ヵ月。必死になって付き合ったし、付き合ってる間にも散々泣いて傷付いて、でも幸せな瞬間や笑い合った時もあったのに、こんなに呆気なく終わった。でもショックを受ける訳でもなく、当然泣く訳もなかった。
    実感がなかったっていうのもあったが開放感でいっぱいだった。何より葵に向いてる気持ちが大きすぎて、東京にいられるんだったらそれでよかった。

    2008-01-15 05:07:00
  • 46:

    あいか◆NdOFY44k4.

    別れた日、やっぱり私は葵の店にいた。
    『今日彼氏と別れたよー』
    「まじで!?」
    『うん。やっぱり必要ないってさー。笑』
    「これからどうするの?」

    2008-01-15 05:10:00
  • 47:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『いや、何も変わらんよ。仕事辞めたくないし、ここにも来たいし。家まだいていいって言ってたから東京にはいるよ。』
    「そっか。よかったぁ。」
    『実家帰ると思った?』
    「うん。」
    『帰らないよ。笑 ちょっと前だったら帰ってただろうけど。』

    2008-01-15 05:13:00
  • 48:

    あいか◆NdOFY44k4.

    それから10日後、いつも通り店にいた。が、いつも以上に酔っ払っていた。ラストを向かえ上まで送ってもらい手を繋いでくれていた。
    『ねぇ、葵くん。』
    「んー?」
    『付き合って?』
    …ん?何言った私?これだけは言いたくなかったのに!完璧に酔った勢いだった。どうしよう。今更何でもないなんて言えないし。酔った勢いってすげーな…。

    2008-01-15 05:21:00
  • 49:

    あいか◆NdOFY44k4.

    しばらく沈黙が続く。明らかに困っている。やっぱ何でもないよ!と言おうとした瞬間、葵が口を開いた。
    「…本気?」
    『え、うん。』
    「明日まで考えさせて…。」
    『分かった…。』

    2008-01-15 05:24:00
  • 50:

    あいか◆NdOFY44k4.

    タクシーに乗せられ家に帰る。軽く酔いが冷めていた。
    考えるって何だ?本営するか考えるって事?てか普通に考えて彼女いるに決まってんじゃん!でも仕事上フラないよね…。でも本営されるくらいだったらフってくれた方がマシだし!どうしよう。てか何で言っちゃったんだろう…。
    こんな事が頭の中でグルグルしていた。
    どんだけ考えても言ってしまった事実は変わらない。もうどうしようもないんだ。そう腹をくくり、家に着いてからメールを送った。
    「今日もありがとう?さっきの事だけどもし彼女がいたり好きじゃなかったらフってほしい。それでも私は葵くんが好きだし変わらず店には通うから、本当の気持ちで応えてね?」

    2008-01-15 05:32:00
  • 51:

    あいか◆NdOFY44k4.

    このメールを送ってすぐに寝た。起きても返事はなかった。どうなるかは今日の夜にならなければ分からない。でもフラれるとしか思ってなかった。
    その日もいつも通り呼ばれ店に行く。隣には亮くん指名の涼子ちゃんがいた。涼子ちゃんとはすごく仲良くなっていたが、店自体が客同士の交流を禁止している為、葵と亮くんからはいつも目をつけられていた。しかしその日は満卓だったから涼子ちゃんの横しか空いてなかった。葵は明らかにまずそうな顔をしていたが、仕方なく私をそこに座らせた。
    実はその時すでに涼子ちゃんと私は連絡先を交換していた。毎日のようにメールをしていたから、私が葵の事を好きな事はもちろん告った事も知っていた。逆に涼子ちゃんは亮くんの事が好きだったから、お互いに応援し合っていた。
    涼「葵から返事言われた?」
    あ『まだぁ。多分帰りじゃん?』

    2008-01-15 05:52:00
  • 52:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「うまくいくといいね。」
    『いや無理だよー…。昨日のメールもスルーだし。』
    「でも分かんないじゃん!」
    『うわーどうしよう。すごい緊張してきた…。』
    緊張すると胃が痛くなる私。来て早々胃が痛くなり、涼子ちゃんと話しながらもテーブルに顔を突っ伏していた。

    2008-01-15 05:56:00
  • 53:

    あいか◆NdOFY44k4.

    しばらくそうしてると葵が戻ってきて一言こう言った。
    「昨日の話だけど、付き合うよ。」
    『へ!?まぢで!?』ビックリした。ビックリしすぎてテンパっていた。笑
    「うん。」
    『本当に!?』

    2008-01-16 02:22:00
  • 54:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「うん。」
    『本当に本当に本当!?』
    「うん。」
    『まぢで言ってる!?本当!?』
    しつこいくらい何度も聞くぐらい本当にビックリした。付き合うなんて言うと思ってなかった。だからこんなに訳分かんないくらい聞き過ぎて、次の瞬間言われた一言に頭が真っ白になった。

    2008-01-16 02:26:00
  • 55:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「そんなに信用できないの!?もういい。リシャール卸したら付き合うから。」
    『…え?…リシャールいくら…?』
    「300万。それが卸せたら付き合うね?」
    意味が分からなかった。何も言えなかった。頭が真っ白になったし、目の前が真っ暗になって何も考えられなかった。
    …どうして?やっぱり本営?私があんなにしつこく聞き過ぎたから?でもどうして?分からない。こんなに好きなのに。…分からない。

    2008-01-16 02:32:00
  • 56:

    あいか◆NdOFY44k4.

    固まったままの私に何も言わず葵は別卓へ行ってしまった。その会話を聞いていた涼子ちゃんが私に話しかける。
    「葵最低!あんな奴やめなよ!」自分の事のように怒っている。
    『…うん。』
    「あんな事本気だったら普通言わないよ!あいちゃんが可哀想!」
    『…うん。もう分かんない…。』

    2008-01-16 23:32:00
  • 57:

    あいか◆NdOFY44k4.

    それから涼子ちゃんは私を気遣ってくれ、心配そうな顔でチラチラ見ながらも特に話しかけてはこなかった。
    少しの時間が経ち葵が戻ってくる。しかし顔を見る事ができない。気持ちの整理ができなくて話す事もできなかった。そんな様子を見ても、何事もなかったように話しかけてきた。でもそれも限界だった。必死に目を合わし声を絞り出した。
    『ごめん。しばらく戻ってこないで。』
    「何で?」
    『ちょっと今普通に話せる自信ない。しばらくしたらいつもみたいに話すようにするから、今はここに来ないで。』

    2008-01-16 23:40:00
  • 58:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「分かった…。」
    そう言って葵は席を外した。それから元気にならなきゃと涼子ちゃんにも『ごめんねっ!飲もっ!やけ酒だぁ!』と無理矢理明るく振る舞った。そんな私を見て涼子ちゃんは何か言いたそうな顔をしていたが、一緒に酒に付き合ってくれた。
    しばらくすると店長が来てくれた。亮くんの次に店長には葵の事を相談していたから、すかさず『店長聞いてー!』と泣きついた。
    「どうしたんや?」
    『昨日葵くんに付き合ってって言ったの。って本人から聞いてる?』

    2008-01-16 23:47:00
  • 59:

    あいか◆NdOFY44k4.

    「いや、何にも聞いてねぇよ。」
    さっきのいきさつを全て話した。『…って事があって、もうどうしていいか分かんないよ。』
    「つぅかお前馬鹿やろ!何でそんなに疑うように「何で?」とか聞くんや?」
    『だって…私絶対振られると思ったもん。』
    「何で?」

    2008-01-16 23:51:00
  • 60:

    あいか◆NdOFY44k4.

    『だって私可愛くないし細くもないしあんな格好いい人に相手にされる訳ないじゃん。』
    「お前は他の女より自信あるとこないんか?」
    『……??』
    「前からお前の話聞いてて、他の女の誰よりもあいつを好きだって気持ちは強いと思ってた。顔だけであいつを好きだとか言ってる女よりは遥かにな。そうゆう真剣な気持ちだって思ってたから、そんなお前だから、俺も相談に乗ってた。違うんか?」
    『…違わない。誰よりも好きだよ。可愛さとかスタイルのよさだったら負けるけど、好きだって気持ちだけは誰にも負けない。じゃなきゃこんなヘコんだりしないよ。』

    2008-01-16 23:59:00
  • 61:

    あいか◆NdOFY44k4.

    店長はフッと笑って話を続ける。「やろ?そんだけ言えるのに一々そんな事で悩んでんじゃねぇよ。そんなん言われてもお前は今まで通り突っ走ってりゃいいんだよ。」
    『そっか!そうだよね!何か吹っ切れたかも!笑』
    「おー。んな事で馬鹿みたいに落ち込んでんじゃねぇよ。」
    『だよね!ありがとう!私帰りにもっかい話してみる。さっきのテンパりすぎたんだって。』

    2008-01-17 00:22:00
  • 62:

    ?

    読んでます?
    完結まで頑張って下さいね??

    2008-01-20 00:53:00
  • 63:

    あいか◆NdOFY44k4.

    ?さん。
    ありがとうございます?
    がんばります(´∀`)

    2008-01-21 03:41:00
  • 64:

    あいか◆NdOFY44k4.

    それからは落ち着いて葵が帰ってきて普通に話す事ができた。でもさっきの話を出す事ができない。そのままラストになってしまった。もう送りの時しかない。今日言えなかったらもうずっと言えなくなってしまう。そう思っていたから、外に出た時話を切り出した。
    『ねぇ、さっきの話なんだけど…。』
    「さっき?」
    『付き合うかって話。私ね、絶対振られると思ってたの。だからいいって言うなんて思ってもなかったし、本当にビックリしてあんなに聞いちゃったの。だから信用してない訳じゃないよ。さっきはごめんね。リシャールは卸せないけど私と付き合って下さい。』
    「…俺の事裏切らない?」

    2008-01-21 03:50:00
  • 65:

    あいか◆NdOFY44k4.

    ―前亮くんにも聞かれたな…。何でそんな当たり前な事聞くんだろう。単純にそう思った。
    『当たり前じゃん。今まで葵くんの知らないところで従業員のみんなに相談してきたの。もし葵くんを裏切ったら店のみんなを裏切る事になる。そんな事したくないし、当然葵くん本人も裏切りたくないし。何より葵くんを裏切ったら自分自身の気持ちを裏切る事になる訳だから、私は誰の事も絶対裏切らない。』目を合わせたまま力強くそう言い切った。
    「…分かった。付き合うよ。」
    『ありがとう。今日からよろしくお願いします。』

    2008-01-21 03:58:00
  • 66:

    あいか◆NdOFY44k4.




    5月23日
    こうして私達は付き合う事になった

    2008-01-21 03:59:00
  • 67:

    あいか◆NdOFY44k4.


    ─付き合って変わった事はたくさんあったね。
    時間が経つ事で得た物は何だったのかな。
    貴方は私との時間の中で何を得る事ができた?

    2008-01-21 04:01:00
  • 68:

    名無しさん

    おもしろーい?
    期待?頑張って下さい?

    2008-01-25 00:24:00
  • 69:

    名無しさん

    頑張ってp(^-^)q

    2008-01-26 11:11:00
  • 70:

    cd

    2008-02-13 03:25:00
  • 71:

    名無しさん

    先よめるー
    ガゼットの歌詞どおりになるんちゃん(笑)

    2008-02-24 12:43:00
  • 72:

    名無しさん

    ガゼットのスペル間違ってるし the Gazetteやでワラ

    2008-02-25 00:31:00
  • 73:

    ユ簷

    2008-03-03 11:27:00
  • 74:

    わ。本当だ(´・ω・`)
    アホですいません??

    2008-06-02 15:54:00
  • 75:

    付き合ったからって何も変わらない。相変わらず毎日メールがきて毎日のように店に行く。あの言葉が本気じゃない事なんて最初から分かっていた。

    「付き合い始めた日」=「本営が始まった日」

    分かっていながらこの道を選んだ。好きすぎてそんな事はどうでもよかった。

    2008-06-02 16:07:00
  • 76:

    付き合い始めて2週間。とうとう葵が動き始めた。

    『あいかー。俺シャンパン飲みたい。』

    それまで1年以上ホストに通っていた私でも細客を貫いていた為、シャンパンを卸した事はなかった。正直嫌だ。騒ぐ事よりイケメンと話す事より酒が一番好きな私。そんな飲みたがりな私だから、高い酒を一瞬で飲み干す意味が分からなかった。

    2008-06-02 16:15:00
  • 77:

    そんな思いから30分以上卸す卸さないで揉めた。というより喧嘩した。
    でもそんなやり取りがめんどくさくなって許してしまった。
    初めて目の前で見るシャンパンコール。楽しかった。葵は輝いていた。みんな笑っていた。私も笑っていた。
    その日初めて売掛をした。これも嫌な事の一つ。でも手持ちがなく仕方がなかった。

    2008-06-02 16:22:00
  • 78:

    その月の月末1週間は「店は行かない。掛けを貯めるから。」と先に言い、仕事に集中した。元々貯金が苦手な私はその時初めて大金を貯めたのだった。売掛分が貯まり店に持っていった時に葵は笑顔で出迎えてくれた。

    頑張って良かった。喜んでくれて良かった。

    その笑顔を見てこんな事を思った。

    2008-06-03 00:35:00
  • 79:

    次の月に入って掛け持ちを始めた。もっと店に行きたいというより、少しずつ精神不安定になっていたんだと思う。
    精神的に辛くなると自分の事だったり全てを考える事も嫌になり、考えないように仕事を増やす傾向が昔からあった。
    夜中何もしないと葵に会いたくなる。時間がもったいない。自分なんかどうでもいい。
    こんな思いから何かに流されるように面接に行き、先月の月末に友達に紹介された所も辞められず気付いたら3つ掛け持ちをしていた。

    2008-06-03 00:41:00
  • 80:

    夜中の店はあえて歌舞伎町から遠い所にしていた。その方が自分の行きたい日に店に行けると思ったからだった。
    電車じゃないといけない距離。出勤はラストまでで4時。始発は4:30。葵の店は5時まで。私を呼びたくても呼べない状況を自ら作り上げた。
    それでも葵は売り上げを上げられなかった日、私を呼んだ。無理だと言っても聞いてくれない。本当に自分の事しか考えてない人だと思った。

    2008-06-03 00:48:00
  • 81:

    それでも行けないと言い張り無理矢理納得させた。でも馬鹿な事に逆に私が会いたい、助けたいと思えてきてしまった。
    時間は3:50。今からタクシーで行けばギリギリ間に合う。でもタクシーで歌舞伎町まで5000円はかかる。

    ━どうしよう…。何も言わずに行ってビックリさせよう!

    2008-06-04 02:55:00
  • 82:

    ↑80の次にこっちを入れます。前後してすみません。

    でもその日はいつもと様子が違った。泣きそうな声というか弱々しい声で私に助けを求めてきた。こんな声は初めて聞いた。本気で心配した。
    『どうしたの?』と聞いても「お前は俺の事本当に好き?」としか帰ってこない。
    『好きだけど今日は本当に無理なんだ。』と言っても「今日だけはお前が傍にいてほしい。」と言って聞いてくれない。

    2008-06-04 03:10:00
  • 83:

    そう決め、店長に『すいません、上がります!今すぐ帰ります!』と告げた。店長は「今すぐ!?どっか行くの?ホスト?」と言った。
    『いや…彼氏のところにちょっと。何かあったみたいで…。』まさか本当にホストなんて言えない。それにいつもと様子がおかしい事は事実だった。
    「そっかぁ。分かったよ。ドライバー帰ってきてないけどどうする?」
    『タクシーで行きます!新宿までいくらくらいかかりますかね?』
    「タクシーで行くの!?5000〜6000円くらいで着くと思うよ。」

    2008-06-04 03:13:00
  • 84:

    『分かりました!ありがとうございます。お疲れ様です!』
    「お疲れ様ー。飲み過ぎないようにねー。笑」
    『違いますって!笑』いや…違わないか。

    でも分かっていてもやっぱりホストにハマってるなんて、店の人にはあんまり思われたくない。お客さんにもそう。ホストの為に風俗で働いてるって思われなくはない。実際風俗で働き始めた時はホストの為なんかじゃなかった。これは別の話なんでここでは省こうと思います。

    2008-06-04 03:18:00
  • 85:

    タクシーに乗り込み急いで歌舞伎町に向かう。早く会いたかった。心配で心配で、早く顔が見たかった。
    歌舞伎町に着いたのは4:45。テンパりすぎて『ここでいいです!』と降りた場所は微妙に遠い場所だった。歩いたら間に合わない。走るしかない。ヒールで走る事も全力疾走する事もほとんどなくなってた。絶対無理。でもそんな事どうだっていい。早くしなきゃ会えなくなっちゃう。
    走った。変な酔っ払いに声を掛けられたが無視して走った。走り始めてすぐに足が痛くなり、苦しくなった。でも歩いたら駄目。ヒールを脱いで西武新宿駅沿いをひたすら走った。
    コマ劇が見えてきたから葵に電話をかけた。

    2008-06-04 03:27:00
  • 86:

    『もしもし!?』
    「どうしたの…?」
    『もう着くから!』
    「えっ!?」

    2008-06-04 03:31:00
  • 87:

    『だからっ…!あと1分で着く!今店向かってるから!走ってるから!絶対間に合うように行くから!もう店前で待ってて!』
    「…分かった!」
    『しんどいから切る!もう着くからね!じゃあとで!』電話を切った。

    本当に好きでもない人にこんな事は出来ない。自分でも知らない間にこんなに葵の事が好きだったんだ。

    2008-06-04 03:37:00
  • 88:

    色々な事がありすぎて世の中に冷めていて他人なんか、男なんか信用しないと思っていたくらいだったから、こんなに熱くなれたのも久しぶりだった。


    ─笑ってほしい。傍にいてほしい。傍にいたい。だから何でも出来るよ。命だってあげられる。だからもう泣かないで。独りじゃないよ。辛い時も苦しい時も、いつだって私がいるから。大好き。大好きじゃなかった。
    ───愛してる。

    2008-06-04 03:45:00
  • 89:

    もう走れているかすら分からなかった。でも歩いてるよりマシだった。フラフラになりながら走って店に着くと、葵がいた。やっぱりビックリした顔をしていた。
    サンダルを履いて小走りで葵の元に向かった。もう声なんて出ないに等しい。息を整えながら笑顔で話し掛けた。
    『ハァ…ハァ…ビックリした!?本当にいると思わなかったでしょ!?すげー疲れたし!笑』
    「…した…。え!?てか何で!?」

    2008-06-04 03:53:00
  • 90:

    『やっぱり会いたくなったから!んでどうせならビックリさせてやろうかと思って!だから何も言わずに10分早上がりして来ちゃった!良かったー!大成功じゃん!笑』
    それを聞いて葵も笑顔になった。

    ─良かった。その可愛い笑顔が見たかったの。

    2008-06-04 03:58:00
  • 91:

    「俺こんな事されたの人生で初めて!すげぇ嬉しい。お前みたいないい女と付き合って幸せだわ。」
    『でしょー?こんな事してくれるいい女そうそういないよ。笑』ふざけて言う。
    「本当だわ。笑 あ…てか店あと10分で終わっちゃうんだ…。」
    『知ってるよー。無理なら帰るけど、とりあえずすごい喉渇いたから一杯だけでも何か飲みたいんだけど。笑』

    2008-06-04 04:05:00
  • 92:

    「うーん…大丈夫かなぁ…。でもいいや!お前折角来てくれたし入るか!」
    『早く行こう!私もうしんどい。笑』
    「行くぞ!おいでー!」笑顔で手を差してくれた。
    『うんっ!』笑顔で手を繋いだ。

    2008-06-04 04:10:00
  • 93:


    ─この時が一番幸せな日々だった。愛されてるかなんてそんな事どうでもよかった。お互いいつも笑い合ってた。愛してるって思える人にやっと出会えた。ただそれだけで、充分だった。

    いつの間にこうなっちゃったのかなぁ。私が愛されたいと欲を出したから?貴方がお金しか見えなくなっちゃったから?
    ずっとこのままの2人でいたかった…。

    2008-06-04 04:18:00
  • 94:

    それから2週間経った頃だった。相変わらず夜中の仕事がない日は常に店に通っていた。
    普通に会話をしていると葵が突然言った。
    「そういえばお前さぁー歌舞伎で働きなよ。」
    『は!?何で?』
    「だってその方がいっぱい会えるじゃん。近くにいた方が安心し。てか近くにいてほしい。練馬なんて遠すぎるよ。」

    2008-06-04 04:48:00
  • 95:

    『うーん…。でも今の所入って日浅いし辞めれないよ。』
    「でも俺は近くにいてほしいの!」
    『考えとく…。』
    正直分かってた。そうやって仕事が終わってからも店に呼びたい事。自分の都合で動かしたい事。
    でも断り切れない自分がいた。あえて離れた場所で働く事を決めたのに、近くにいたいって思ってしまった。

    2008-06-04 04:52:00
  • 96:

    それから1週間後、昼間に働いていた店で夜は歌舞伎町で仕事をしている子に同じ店を紹介してもらった。自分で探すのもめんどくさかったし、紹介だとそれなりに優遇してもらえる事も分かっていたから。
    そこは違法のホテヘル店。客はキャッチで入れていたから回転もよかった。挙げ句ダミー(写真指名をしても他の女の子をつける事)もしていたから、歌舞伎町に人が溢れていれば必然的に稼げた。
    面接もそこそこにすぐ仕事に出た。ちょうど夏になる頃で短時間でも結構稼げた。
    店長が適当な人過ぎて女の子達もキャッチの人達もすごい適当だった。こんなんでいいのかなとも思ったけど、稼げればそれでいい。店に通えればどうでもよかった。

    2008-06-04 05:09:00
  • 97:

    しかし結局練馬の店は辞められず週1になった。実質4件掛け持ちになった。
    週5で13時間、葵が休みの月曜日は12時間か9時間、土曜日は店に行けないが15時間働き、休みもなくなっていた。ちゃんと辞めていればもっと楽になっていたかもしれないが、それぞれに義理と恩があり辞めたいとは言い辛かった。夜の世界にはこんな言葉は必要ないのかもしれないけど。
    でもその分稼いだ。稼ぎの70%以上は確実に葵に流れていた。葵の売り上げの60%、店の総売上の10%は私だった。もちろん葵は不動のNo.1になっていた。
    正直この頃いくら稼いでいたかなんて数えてもなかったから全く知らない。でも移動は全てタクシー、食事は外食かコンビニのみ、毎月服を5万以上買い、2〜3日に1回涼子ちゃんとホストに行っていた。
    確実に分かるのは月150万は越えている事、人生で一番稼いでいて人生で一番酒を飲み続け、人生で一番寝ていなかったという事だ。

    2008-06-04 05:51:00
  • 98:

    >>92

    ×手を差してくれた。
    ○手を差し出してくれた。
    の間違いです。

    2008-06-04 07:56:00
  • 99:

    もちろん初めは自らなんかじゃなかった。葵に煽られ、喧嘩して、また喧嘩するのがめんどくさくなりシャンパンを卸す。葵の営業スタイルは最初はニャンニャンキャラだった。なのに気付いたらオラニャンを越えてオラオラ本営。ホスラブにも色恋枕といつも書かれていた。
    【オラオラ本営色恋枕】
    ひどすぎる…。笑 色恋枕本営は別としてオラオラにしてしまったのは、他でもない私だと思う。

    ある日No.2の祐太のお客さん、というか彼女の姫ちゃんと店で仲良くなり居酒屋に飲みに行った時、姫ちゃんはこんな事を言っていた。「ホストを育てるのはエースだよ。祐太はいい子だったのに、今のエースが駄目にした。だから今の祐太はどうしようもない奴だよ。」

    2008-06-04 08:30:00
  • 100:

    なるほどなぁ…。と聞いていたが、その時繋がった。私にオラついて根負けしたらシャンパンが卸される。こんな事を繰り返し、今となっては「とりあえず一杯」が「とりあえず一本」が定着していた。
    誰も疑問に思わない。私ですら当たり前に感じていた。
    店に行くと私の席がセットされていて、そのテーブルの上には全種類のシャンパンが並んでいる。
    葵に笑顔で「どれから行くー?」と聞かれ
    私はまた笑顔で『とりあえずこれー。』とシャンパンを選ぶ。これが普通になっていた。こんなんじゃ葵がオラオラになるのも仕方がなかった。

    2008-06-04 08:39:00
  • 101:

    >>100

    ×「とりあえず一本」が
    ○「とりあえず一本」に
    です。

    2008-06-04 08:41:00
  • 102:

    罪悪感を感じたが、もうどうしようもなかった。もう何も変えられない。お互い突っ走り過ぎて引き返す事なんてできなかった。

    そんな日々を過ごしながらも、月土以外は毎日4時で仕事を上がり店に行きシャンパンを卸していた。とはいえ月曜日も月1くらい葵に気まぐれに呼び出され、居酒屋に行って店に寄っていた。
    でも営業日はサパーの為横に座れないが、休みの日は横に座れる。他に葵のお客さんがいないからずっと一緒にいてくれる。従業員の皆も笑顔で迎えてくれる。シャンパンも煽らない。そんな些細な事ですごく嬉しかった。
    初めて月曜日に2人で店に行った時、本部の偉い人が来ていた。それに気付いた葵は「ちょっと待ってて。」と言い挨拶に行った。その後も「お客さんから見た視点ってこんな感じなんだね。」と言いながら、下の子達の仕事ぶりを見ながら優しくアドバイスをしていた。

    2008-06-04 08:44:00
  • 103:

    周りをよく見て接客はしないものの、フォローをしっかりしていた。

    いつも見るオラオラな葵でもこの日だけは、月曜日だけは口調も目も優しかった。いつもは従業員に対してもオラオラで、たまに下の子が可哀想な時もあったくらいだった。
    そんな姿を見て、この人思ったより仕事に対して真剣に考えてるんだなぁ。と思った。正直惚れ直した。

    2008-06-04 08:53:00
  • 104:

    名無しさん

    面白いです?頑張ってくださいね?

    2008-06-16 08:55:00
  • 105:

    名無しさん

    2008-08-23 14:52:00
  • 106:

    名無しさん

    2008-08-23 14:59:00
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