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僕の巣。

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  • 1:

    「タバコ買ってくる…。」   そう言って僕は静かにその巣を出て行った。

    2008-02-24 22:41:00
  • 2:

    階段をおりる間、様々な思い出が頭に浮かんで少し切なくなる。「君にはもう、僕は必要ない。さようなら…」ポケットの鍵をポストに入れ、駅の方へ歩いて行った。

    2008-02-24 22:45:00
  • 3:

    「次はどんな巣かな…。」と独り言。あまりに遅い帰りに痺れを切らしたのか、携帯は鳴り続けた。携帯の電源を切り、適当に切符のボタンを押す。住み慣れた町をホームから眺め、ゆっくりと電車に乗り込んだ。

    2008-02-24 22:51:00
  • 4:

    解放感からか少し眠ってしまい、終点で駅員にゆすり起こされる。「ここ何処?」『終点です。』早く降りろと言わんばかりの駅員に気圧され、電車を下りる。携帯の電源を入れ時計を見ると夜の23時。「ありゃりゃ。こりゃダメだ…。」

    2008-02-24 22:56:00
  • 5:

    携帯のGPSで辺りに宿泊施設は無いか調べようにも度重なる着信でできない。タクシーの運転手に訪ねてみた。『宿泊?うーんこの辺りで?』「はい。」『二駅前くらいにならなぁ…。あると』「そうか。おっちゃんありがとう。」『家出か?そんな訳ねえな。』と運転手のおっちゃんは大笑いした。…あんま変わりないけど…

    2008-02-24 23:01:00
  • 6:

    「二駅前か…。」資金も財布に、前の巣で稼いだ、5万しかない。コンビニに立ち寄り、もしもの事がないように現金を4万口座にいれ、ホワイトチョコを一箱購入。1万をくずして、線路沿いをとぼとぼと歩きだした。

    2008-02-24 23:07:00
  • 7:

    しばらく歩くも人通りもなく、ひどく寒い。途中何回かホットコーヒーを購入しようとするも、これから見つかるかどうかもわからない巣の主を考えると買うのをやめた。歩きなれてないせいか、少し歩いては座り込み、少し歩いては座り込みを繰り返し、ようやく次の駅が見えた頃にはくたくただった。「ダイエットか…。」

    2008-02-24 23:13:00
  • 8:

    誰も人のいない駅は薄気味悪く、天敵のヤンキーらしき奴が何人かいた。「もはや天然記念物…」足早に過ぎようとすると、『おいっ!』やっぱり声をかけられた…。『お前だ。お前!』「僕?」コンビニにお金を置いてきて心底よかったと思いながら、立ち止まり、ヤンキーさんに呼ばれた通りに近づく。『兄ちゃん何処行くの?』「次の駅まで。」『へぇ。歩いて?寒ないん?』なんだこいつ変な奴だなぁ。お前等だって寒いのにたむろしてるじゃねえか。

    2008-02-24 23:19:00
  • 9:

    「まぁ。」『ふーん。何か用事?』「…まぁ。」『この駅も何もないけど次の駅も何もあれへんで。笑。あ。健康ランドくらいやな。』「!そこに行きたいんです。」『そうなんや。だいぶあるで。こっからやったら。』その言葉を聞いてうんざりした。もう歩きたくねぇよ。『タバコ持っとる?』「はい。」巣立ちをした後となっては貴重品のタバコを一本差し出す。『ありがとう。兄ちゃん乗っけてたろか?』「!?いいの?」 『どーせここおっても暇やし。』そう言うと顎で後ろを差した。言われるがままに原付の後ろに乗せられ運ばれた。

    2008-02-24 23:27:00
  • 10:

    原付の後ろに乗せられるの何か何年ぶりだろう。そんな事を考えてると『あい。着いたで!』「ありがとうございます。」『えーで別に。ほなな!』お礼を言う間もなくヤンキーさんは立ち去った…。いい人もいるもんだな。健康ランドの看板をみると1300円で、仮眠室、コインランドリーもあるそうだ。しばらくはここが僕の巣になりそうだ…。明らかに温泉ではなさそうなのにでかでかと書かれた温泉もどきにつかると歩き疲れた体をやさしく癒してくれた。

    2008-02-24 23:33:00
  • 11:

    風呂から出て、健康ランドにあった携帯の充電器から携帯をとるともう着信はなくメールが何件かあった。件名「馬鹿」本文…何処行った?連絡して。メールを読み、返信はせずアドレスを変更、着信を拒否設定にした。洗濯物をコインランドリーに入れ携帯をいじる。「はぁ…。前の巣が長かったから、みんな連絡とれなくなってるか…。」何人かにメールを送信し眠りにつく事にした。

    2008-02-24 23:40:00
  • 12:

    僕の送るメールは毎回決まっていた。件名…久しぶり。本文…蟲です。また仕事始めました。よかったら飼育してみませんか?   僕の仕事とは独り暮らしの女の子の家に住む事。掃除、料理、買い出し、何でもやる。そんなのただのヒモじゃないかと思う人も多い。月極めで1ヶ月の報酬は、その部屋の女の子の気持ち。割りに合わない事もある。ただひとつ僕が決めたルールは、出て行く時は、突然。あなたが僕を必要じゃなくなったら。

    2008-02-24 23:51:00
  • 13:

    朝起きて、勝手に出された衣服に少し苛立ち朝風呂。昼前に駅前に行き、人通りを視察。田舎なのであまり人もいないが幸い天敵のホストやスカウト、うるさいお巡りなんかもいない。少し早めの昼食をとるべく定食屋に。今日はカツ丼を食べる事にした。その間も駅を見続けたが女の子はいないらしかった。その時携帯にメールが…「おっと。」

    2008-02-24 23:56:00
  • 14:

    件名…まじで笑 本文…また仕事始めたんや。私、彼氏と別れてからずっと独り暮らしで出会いもないしお願いしよっかな。「ケイコか。ま…背に腹は変えれないな。」早速返信した。「了解。近くの駅まで行くから、契約しよう。」定食屋のおばちゃんに何故か80円値引きしてもらい、ニコニコしながらメールを待って店をでた。

    2008-02-25 00:01:00
  • 15:

    ケイコの指定した駅に付き、駅員に領収書をもらい喫茶店で待つ。『ごめーん。遅れた。』「まいど。」本題に入る前にケイコから、やたらと前彼氏の愚痴などを聞かれうんざり。本題に入ろうとするとケイコの携帯がなり、待たされる。話の流れを聞いてるとどうやら元彼で、またやり直すみたいな内容だ…。非常にまずい。携帯通話が終わり、ケイコが『ごめん。やり直すわ。』と嬉しそうに言った。冗談じゃない。

    2008-02-25 00:06:00
  • 16:

    駅までにかかった料金の領収書をケイコに無言で差し出す。『ごめんね。』「…。」無言の僕に気を使ったのか、往復分より少し多い金額を差し出した。立ち去ろうとする僕にケイコは『紹介しようか?学校の子』その言葉に立ち止まり、頷いた。『ちょっと待ってよ。もしもし、あんたさ、独り暮らしじゃんね?ボディーガードてかさ…』通話を始めるケイコをよそに注文したパフェを食べてイライラを鎮めた。

    2008-02-25 00:12:00
  • 17:

    ケイコが通話を終わり口を開いた『一緒の大学でさ、独り暮らしで彼氏無し。掃除、洗濯、炊事一切できない子がいるけど。』「好条件だな。」『でしょ。5分くらいでくるらしいから。』ケイコは席を立ち帰ってしまった。「あ…。」5分かぁ…。急だな。ドキドキしながら待つ。えらく長い時間の気がしてたまらず本を取りに行った時、不意に背後から『蟲さん?』と声をかけられ、「うひっ!」と情けない声を上げてしまった…。

    2008-02-25 00:19:00
  • 18:

    気を取り直し、「あ、ケイコの友達?」と聞くと小さく頷いた。席まで移動して。お互いに自己紹介をした。続けて、契約を説明した「僕は家に居させてもらう代わりに、ご飯作ったり、掃除したり、欲しい物を買ってきたりします。その代わりに、月に一度おこずかいを欲しいんです。もちろんあなたに無理のない金額で結構です。ただ毎月、定額で支払いは15日毎に半分。食費は別途でほしいんです。」『へぇ。面白い仕事ですね。』「もちろん彼氏ができたなら出て行きますし、来客がある時は家からでます。」『そっかじゃあ今までで支払われた最高額と最低額聞いていいですか?』「最高額は月に20万、最低額は5千円…。」『笑。5千円て…。』「どうします?」『じゃあ楽しそうだから、取り敢えず、月5万からでいいですか?』「ありがとう。じゃメール教えてもらえる?約束事を送るからさ。」

    2008-02-25 00:31:00
  • 19:

    『わかりました。じゃ早速行きます?』「はい。」タクシーに乗り込み5分ほどで到着した。3階建ての建物の最上階だった。『汚いから少し待ってて。』「僕の仕事です。」僕はニッコリ笑い部屋に入った。汚いとはいえ大したこともなく1時間もしないうちに片付けた。「整理ができないんですね。」『うーん。笑あのー敬語はやめれないですよね?』「はい?敬語が嫌なら…」『じゃ普通に。』「かしこまりました。」

    2008-02-25 00:43:00
  • 20:

    一部屋め【ケイコの巣】 『蟲さんてさ、この仕事どのくらいしてるの?』「そうですね…。」答えようとする僕の言葉を遮り、ケイコは「敬語無しっ!」と一喝した。それが妙におかしく大笑いした。ケイコは近くの大学生で昼間から夕方にかけて、学校へ行き、その後は駅前のコンビニで働いているらしい。「そうなんや。じゃあ5万なんて大金、僕に払える余裕ある?」『うーん。少し厳しいかな。笑』「じゃあさ、別に金額下げてもらってもいいよ。」『ダメダメ。だって契約したもん。』と年下の少女に嗜められた。

    2008-02-25 23:46:00
  • 21:

    すいません。訂正です。上の書き込みの女の子ケイコではなくサヤカの間違いです。

    2008-02-25 23:48:00
  • 22:

    サヤカは今日はバイトは休みとの事。まだ知り合ったばかりで落ち着かない。『蟲さん、彼女は?』「いないよ。」『この仕事してる時に彼女がいた事は?』「んー。一度だけ…。」『へぇ!』目をまんまるにして驚く。「あっ。そうだ。サヤカちゃん何か嫌いな物とかある?」『んと、ネバネバ系が苦手かな。』「そっか。」手帳を取出しサラサラと書き込む。『そんなの付けてるんだ。』「うん。苦手な物や、好きな物、色々書いておくと便利なんだ。」『マメだね。』

    2008-02-25 23:59:00
  • 23:

    サヤカは大学のレポートを提出しなければならないらしく、熱心にレポートを書き始めた。「あの?このあたりにスーパーとかある?」『すぐ近くにあるよ。』「じゃ晩ご飯の用意買いに行くよ。」『私も!』「レポートがあるよね。笑」『…。』食器棚らしき場所と冷蔵庫を一通り見てみる、あまり使われてない食器が少しあった。「行ってきます。」『はーい。』新しい巣での暮らしにワクワクし、予想外に早く見つかった主に感謝した。

    2008-02-26 00:14:00
  • 24:

    古ぼけたスーパーにたどり着く。野菜コーナーから見渡す。「今日は何にしますかねっと…。」和食か洋食か中華か…。得意は中華だが、あのワンルームには、電熱器のような火力の弱い物しかなかったので、却下。「まぁ、オムライスでも作りゃいいか。」玉ねぎ、鶏肉、ケチャップ、マッシュルームをカゴに入れる。「最近は便利だな。サラダだって売ってるし。野菜も炒め野菜用、鍋用とかあるし。果ては一人鍋とかまである。少子化か…。」レジで支払いを済まし、帰路に着く。途中自販機でタバコを購入。サヤカはタバコを吸わないようなので、吸い溜めをしながら夜道を歩いた。

    2008-02-26 00:25:00
  • 25:

    「ただいま。」『お帰り。』玄関までわざわざ出向くサヤカに好感を覚えた。冷蔵庫に食材をいれながら、腐った食材を廃棄。レポートを頑張ってるサヤカに紅茶を入れ持って行った。『あ!ありがとう。私が紅茶好きなのなんでわかったの?』「さぁ?なんとなくさ。」『変なの。』冷蔵庫には飲みかけの紅茶が2本、学校のカバンにも同じ紅茶。初めて会った喫茶店でのオーダーも紅茶。全てミルクティーだったから…と言うのは何故か教えなかった。

    2008-02-26 00:37:00
  • 26:

    「レポート終わりそう?」『んー後ちょっと。』「そうか。なぁこの辺りに電化製品とか売ってる所ある?」『ないない。笑。ここから車で30分くらいの所にあるけどね。』「…。駅まで行って、街にでるのとどっちが早い?」『微妙。』「そっか…。」『何かいるの?』「まぁな。」『あ!さっきの買い出しのレシートは?』「あるよ。」『今払う方がいい?』「どちらでも。」『なら、15日に給料と一緒に払うか。』「それでいいよ。」レシートをサヤカに渡し、炊飯器で米を炊く。風呂場に行くとセパレートだった。「おっ!セパレート!いいね。」風呂場にはシャンプーがたくさんあり、驚いていると、一つ以外全て空だった。
    集めてるんかいな…。

    2008-02-26 00:47:00
  • 27:

    空のシャンプーを捨てながら、一応掃除用具らしき物があったのでせっせと掃除を始めた。やり出したら楽しくなり、ズボンをまくり上げ配水管に詰まった髪の毛や、増えようとしてるカビをこすり落としたり、夢中でやっていると、サヤカがジッと見ていた。「レポートできたんや?」『…。』「ん?どないしたん?」『蟲はさぁ、片付けられない女の子の事嫌い?そんなとこまで掃除するの嫌でしょ?』「別に。仕事だから。」と僕は冷たく言った。

    2008-02-26 00:52:00
  • 28:

    すっかり綺麗になった風呂をキュキュっと鳴らしサヤカの方を見て笑ってみせた。サヤカは僕を捨て犬でも見るような目で見ていた。その空気が嫌で、「飯?風呂?どっちが先?」と質問した。サヤカは『お腹すいた。』と少し笑った。その声を聞いて僕は、使ってなさそうな電熱器の電源をいれ、手早く料理を作り出しながら、サヤカに部屋で待つよう促した。野菜サラダは皿に盛るだけ、あまり皿もないのでオムライスの脇に盛り付けた。チキンコンソメで作ったスープに手を加え、冷凍の野菜をほりこんで、スープが完成。サヤカの待つ部屋へ運んだ。
    「あいよ。お待たせ。」

    2008-02-26 01:00:00
  • 29:

    『凄いっ!美味しそう♪食べていい?』「どうぞどうぞ。」『いただきます!』「そんなにあわてて食べるなよ。笑」『めっちゃ美味しい!』「ありがとう。そう言ってもらえると料理が喜ぶわ。」『男やのに料理できるんやなぁ!びっくりするわ!』「テレビとかでも男の人やってるやん。」『でも今までの彼氏とか何もできひんかったし。あ…私もやけど。』「笑。」勢いよく食べるサヤカがとても愛らしく、また当たり前に言える挨拶の言葉が新鮮に思えた。
    だが、こんな日々がそう長く続かない事を僕は知っていた…。

    2008-02-26 01:13:00
  • 30:

    『ごちそうさま。美味しかった。』「おかわりとかいらん?」『お腹いっぱい!あ?蟲は食べないん?』「俺は1日1食でいい。」『何で?遠慮してるん?』「違うよ。まぁ何て言うか…。自分で作った物はあんまり食べないかな。味見くらいなもんでさ。」『へぇ。』「さてお風呂でも入ったら?」『沸いてるんや。至れり尽くせりってこの事やな。』「さぁ入った入った。」バスタオルとパジャマを手渡し、食器をキッチンに下げた。

    2008-02-26 01:21:00
  • 31:

    『じゃあ。お言葉に甘えて。』悪戯っぽく笑いながら、サヤカは風呂場に言った。部屋にはベッドがひとつ、収納は2つほどあった、「俺はソファーで寝るか。」ソファーに足を投げ出し、明日に買い出しに行く物を手帳に書く。「まずは、自分の物だな。服を2、3着と歯ブラシとか生活用品。あー前の巣なら揃ってるのになぁ…」ぶつくさ言いながらペンをかじり、サヤカの家に必要な物を書く。『あーさっぱりした。』「うおっ!」サヤカは下着姿で出てきたビックリして後ろを向く。「サヤカちゃん、パジャマ渡したやろ!」『暑いやん。ウブやなぁ。照れてるン?』冗談まじりにサヤカは言った。
    最近の子は発育がいいな…。

    2008-02-26 01:34:00
  • 32:

    『さて寝ますか。』「風邪引くぞ。こっちおいで。」ソファー横のコンセントにドライヤーを繋ぎ、サヤカをソファーに誘導した。『何?乾かしてくれるん?』「いいから早く来いよ。」膝枕の形になりサヤカの髪を乾かす。肩くらいの髪はあの汚かった風呂場に似合わず綺麗で、すぐに手グシが通るようになった。『頭触られるの好き。』「そう。」バスタオルを取り上げて次はベッドに誘導する。「明日何時?」『何が?』「学校!」『明日は昼から。』「わかった。」洗濯機にバスタオルを掘り投げ、ソファーに戻る。『まだ寝ないの?』「ん?手帳書き終わったら寝る。」『蟲、ソファーで寝るん?』「ん?せやで。」『…。』「おやすみ。」『うん。』電気を消して、机の明かりをつける、手帳にレシートを挟み、今日のメニューを書き込むとベランダに出て一服して眠りについた。

    2008-02-26 01:44:00
  • 33:

    サヤカが起きるより先に起きて、朝食の用意をする。トーストを焼き、目玉焼きを作ってるとサヤカが起きてきた。「おはよう。」『おはよう。早いね。』「シャワー浴びたら?」『うん。』サヤカを風呂場に誘導しバスタオルを置き部屋に料理を運ぶ。「学校に行ってるのは関心だな。」しばらくしてサヤカがまだ眠そうに部屋に下着のまま入ってきた。「また下着で!」『いいじゃん。』ちょこんと座るサヤカに料理を食べさせながら寝癖のついた髪をドライヤーで直す。

    2008-02-27 02:21:00
  • 34:

    『蟲。明日から朝はご飯がいい。』「へいへい。」髪をとかし終わるとサヤカは化粧もせずカバンを持ち慌てて出て行った。「いってらっしゃい。」さて手のかかるガキもいなくなったと、ベランダで一服。今日はいい天気なので、洗濯もはかどりそうだ。朝のドタバタでちらかった部屋を整頓し洗濯機に下着類以外を放り込む。サヤカにメール。「下着類は、洗濯どーする?自分でするか?」、返信『何で?やっといて!』「了解。」  恥ずかしいとかない?

    2008-02-27 02:29:00
  • 35:

    洗濯を回してる間に布団を干し、裏表丁寧にホコリを叩く。今日のご飯は何にするかななんて考えながらサヤカの残飯を食べ「ご馳走様。」と手を合わす。洗濯を干し終わり、寝転がり、必要な物を買い出しに行く計画を立て家を出た。「わくわくするな。」

    2008-02-27 02:36:00
  • 36:

    家を出て真っ直ぐ歩く、「自転車購入するか…。」駅まで5分ほどなのに息が切れる自分に問い掛ける。ようやく駅に到着。「都会に行こう。」電車に乗り込み、ニット帽を目深に被り直す。車内は平日と言う事もあり空いている。ふと隣に目をやると高校生がiPodを耳に大音量で聞いていた。心の中で「そんなにでかい音で聞いて耳痛くないん?」と思いながら、しげしげと見つめる。あまり表にでない僕には不思議な事がいっぱいだ。馬鹿な事を考えていたら、目的地に着いた。

    2008-03-02 06:45:00
  • 37:

    ユ簷

    2008-03-03 11:27:00
  • 38:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「やっぱり人多いなぁ…」しばらく来てなかった街の駅前は、色々な人がいた。今日はサヤカの家にはない、電子調理器を買いに来た。それに対応したフライパン等も買うつもりだ。久々の街の人の歩くスピードに驚き、大型家電製品店に到着した。

    2008-03-06 01:33:00
  • 39:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「やはり買い物は独りに限るな。」必要な物は決まっているのに、プラモデルやゲームを見たりする。「前の巣に全部置いてきちゃったなぁ…。」前の主を思い出し、僕がいなくてもちゃんとできてるかなんて自惚れた事を思っていると少し淋しいような気分になった。メール着信の音に我にかえる。サヤカからメール。《授業暇すぎ。相手して!》すかさず返信。〈今忙しい。〉しばらくして来た返信メールには豚と怒りマークがあった。その後、色々買いもしない物の説明を熱心に聞いたりしてると喉が乾いて休憩する事に。  「自販機?自販機は?っと」自販機を探し屋上へ。喫煙コーナーなんかある所に少し嬉しくなる。「よっこらせ。」自販機で購入したコーヒーを飲みながらプカリと煙草をふかしていると。またもやメール着信音がため息をつきながら携帯を出して見るとサヤカから《写メちょうだい。》と…。〈何でやねん。毎日見とるやんけ。〉と送信。サヤカから来たメールには《いいから!》と強制的メールが少し腹が立ったので、鼻に指を突っ込んで思い切りバカな顔をして撮影。「ふふん。」上機嫌でコーヒーを飲み干し、IH調理機売り場に向かった。

    2008-03-12 05:45:00
  • 40:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    店員に何故かマークされながら調理機を見る。価格が真ん中くらいの物をチョイスすると店員に手渡す。フライパンは何故かサービスしてくれた。買い物も終了したのでまた駅に向かう。ハンバーガー屋をみたら腹がへったのを思い出し、食べたい衝動にかられるも我慢。まだ新しい巣に来たばかりで安定もしないうちは節約を心がけるようにしているからだ。「腹減ったなぁ…。」
    切符を買っての帰り道、また人間観察を開始する。何か変わった奴はいないかなっと顔を右に向けると…特にいない。左に向けると、必死にPSPをやる少年が目に止まった。なかなかの必死さでPSPが右へ左へ振りながらプレイしている。何のゲームかと興味がでたので席を移動。画面を見るとゴルフゲームだった。「えっ!?何でゴルフゲームであんなにPSPを左右に?」と心の中で思った。

    2008-03-12 06:01:00
  • 41:

    名無しさん

    ??

    2008-03-12 16:51:00
  • 42:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    しばらくすると最寄り駅に到着。必死な少年に心の中で別れをつげる。駅前のコンビニにより、雑誌を買う。いつもなら何冊か買うが節約の為立ち読みですませ、一冊だけ購入した。
    家まで歩く途中、何故か灰皿のおいてある道に座り込む女の子を発見。すれ違い様に見てみるとこれまた美少女。何かラッキーな気分でニコニコしながらサヤカの巣に到着。IH調理機をキッチンにセット。早速鍋にお湯を貼りわかしてみる。「IH調理機は便利だな。火力が強いからな。」インスタントラーメン(5袋で何百円)を鍋に投入しウマウマと食べる。ご馳走と今日もご飯を食べれた事に感謝しながら、食器洗いを開始した。

    2008-03-13 03:00:00
  • 43:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    さてさて今日はカレーを作ろうと冷蔵庫から食材を取出しレッツクッキン。鼻歌まじりにカレーを作っているとまたもやメール。はい…サヤカです。「こいつほんま暇なんやろな。」文句を言いながらメールを見る。《学校マーク、笑顔マーク、車マーク、ハート》「何これ?」素直にそのまま疑問をメールで送信。〈何や?この絵文字?クイズか?〉しばらくして返信が《学校終わったから迎えに来てやんか!》「あほちゃうか…。」と思ったが〈了解。〉と返信し、調理機の電気を弱火にして靴を履いた。
    ワガママ姫のお帰りだとよ…。

    2008-03-13 03:09:00
  • 44:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    サヤカの学校を目指しとぼとぼと歩く事、数十分ぐらいたった頃、前から聞き覚えのある声が『おっ!あれあれ!蟲ぃ!』顔をあげるとサヤカが学校の友達とおぼしき子を2人ほど連れていた。
    「げっ!」猛ダッシュで僕は逃げた。『蟲ぃ!?こら!』呼び止める声も無視して来た道を大慌てで逃げた。「チッ!友達いるなら言えよなっ。」ようやく家まで戻り靴を脱ぎ捨てた。走り慣れてないので息が上がってしばらくハァハァ言ってると遅れてサヤカが到着した。

    2008-03-14 10:07:00
  • 45:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『何で逃げるんよっ!』怒るサヤカに、2倍ぐらい怒って言う「約束の3に書いてあるやろっ!」  
    約束事。
    3…私の事を友達に話してもらうのは結構です。ただ私と会わせたり、冷やかしに来させたりしないで下さい。また、友達が家に遊びに来る等の時はどうか事前に一報下さい。
    「ほら。よく見ろ。」ノートを差出しサヤカに見せる。『ちょっとくらいいいやん。』そう言うサヤカに低い声で言う。「解約ですか?」『何でそうなるの?』すかさずサヤカに約束事、最後のページを突き付ける。サヤカが目で文章を追うより早く僕は口を開く「以上の約束事を守れない場合は、強制的に、解約させて頂きます。尚報酬は、日割り計算させて頂きます。」『…。』「こっちも仕事でやってんだ。さぁどうする?」声を荒げる僕にサヤカは『ごめんなさい。』と、細い声で言った。 【わかればいいんだよ。】

    2008-03-14 10:26:00
  • 46:

    名無しさん

    めちゃ面白い?頑張ってください?

    2008-03-17 02:07:00
  • 47:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    2008-03-17 07:01:00
  • 48:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    気まずい空気が嫌でご飯にするか風呂にするかサヤカに聞く。『…。聞きたい事がある。』「何?」『私は蟲を誰にも会わせたらダメなん?』「まぁそうした方がいい。」『私はっ!私は蟲と学校のみんなで遊んだりしたいで?』サヤカは何故か泣き出した。「…。世の中なんて、皆いい人ばっかちゃうから…。」『…。』「おっちゃんは、そんな人付き合いに疲れてしもて、今があんねん。」『…。』「やっぱそれは譲られへん。ごめんな。」『…わかった。私もごめんなさい。』「えーねん。サヤカみたいなまだまともな子にはわからんと思うから。」
    こんなシリアスな場面は大嫌いな蟲。切り抜ける技もないなと途方に暮れてると、携帯から着信が
    【よっしゃ!かけてきた人LOVE】

    2008-03-18 02:56:00
  • 49:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    相手はケイコだった。
    {もしもし?どないよ?}相変わらず品の無い喋りで僕を圧倒する。「ん…。さっきちょい揉めた。」{はぁ?何でなん?}「友達と会わされよったから…。」{またそれかいな。あんた友達おらん子のが相性えーんちゃん?}「相変わらずデリカシーないな…。」{ま、ええわ。サヤに変わってや。}「…。」ベランダから入って来てサヤカに携帯を渡す。『誰?』「ケイコ。」『?』
    そこにいると話にくいかと思い、キッチンへ逃走。しかし5分たっても10分たっても話は終わらない。仕方なく晩御飯を作る事にした。

    2008-03-18 03:04:00
  • 50:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    今日はレタス巻きを作ろうと牛ミンチ、タケノコ等をフライパンで炒め始める。同時に春雨を油で揚げようとしてるとサヤカがキッチンに来た。携帯を僕に渡し、料理するのを見ている。
    「ケイコなんて?」『秘密(笑)』「…。」あらかた悪口を言われてるんだろうと思い、気にもせず料理を続行。『何か手伝いしたい。』「ん?そうか?ほな、レタス洗ってハサミで丸くして。」『了解っ!』これまで色々な子の巣に住んできたが、こうして料理を手伝いたいと言ってきたのはサヤカが初めての事だった…。自分の中に生まれた不思議な感覚に僕は戸惑っていた…。

    2008-03-18 03:14:00
  • 51:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    無事にレタス巻きも完成し、食卓についた。『蟲は今日も食べへんの?食べ方わからんし。』「なら少し食べよう。まずレタスに…」一通りを説明したが、サヤカは面倒そうに食べていたので、見かねて、1つずつ巻いて食べさせた。『ありがとう。』ニッコリしてサヤカか言う。「そうやって当たり前に言える、ありがとうっていいな。」思わず僕はそう言った。サヤカはキョトンとして僕を見つめた。僕はサヤカが、きっと今までの僕を変える…。そんな気がした。

    2008-03-18 04:00:00
  • 52:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    ご飯も食べ終わり、2人でテレビ何かを見てると、サヤカが不意に『蟲って前、何の仕事してたん?』「…。まぁ色々。料理もやし。」『そうなんや。1番長く続いたのは?』「…。」『聞かれたくないん?』「そんなところかな…。」食器を持ってキッチンへ。洗い物を片付けながら、僕は思い出していた…。

    2008-03-18 04:05:00
  • 53:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    【回想】
    『蟲さん。今月もナンバー入りですね。枕してんじゃないすか?』「…チッ。」くだらない事を言う後輩を舌打ちし、待機室へ。僕は、ホスト生活にも限界を感じていた。深くため息をつき、ソファーに座ると、奥から代表が出てきた。慌てて立ち挨拶をする。
    『蟲、今月もお疲れ。毎月、安定してるな。』僕の耳にはそれは、ただの皮肉にしか聞こえなかった。「…。」『お前は、もっと売れると思うんだがなぁ…。』そんな事を言いながら、僕の背後に代表は回った。

    2008-03-18 04:13:00
  • 54:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『女なんか騙してなんぼなんだからさぁ…。沈めちゃえば?固・定・客♪』僕の耳元で代表が囁く。「…。」『蟲ちゃんて、色恋枕なしのホストだっけ?』にやにやしながら代表が続ける。「はい…。」次の瞬間、思いっきり強烈な膝蹴りが僕を襲った。『甘い事ばっか言ってんじゃねぇ!大体な…』何回も何回も聞いた同じ説教。
    だけど僕はもう人を騙したりしたくなかったんだ…。

    2008-03-18 04:20:00
  • 55:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    毎日かわされる上辺だけの言葉、簡単に裏切られる約束、妬み、擬似恋愛…。
    僕が心をよせる人だって、新規の客だって、彼女だって、僕に会うにはお金がいるんだった。
    そうやって僕は毎日毎日、これでいいのかなんて自問自答し、徐々に心を痛めていった。
    ある時、僕のエースの席に付いてたヘルプが営業終了後に言った。『○○ちゃんのお父さん癌なんですってね?今月、蟲さん売り上げヤバいんじゃないですか?(笑)』                              【えっ?】

    2008-03-18 04:34:00
  • 56:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「何て?詳しく聞かせんかい!」『!?えっ?聞いてないんすか?』僕はすぐにエースに電話をしてアフターを取り付けた。『お、俺から聞いたなんて言わないで下さいよっ!』そんなヘルプの声を背にエースのもとへ駆け出した。
    まだ人影もまばらな朝の街でタクシーを止め、エースの家へ。苛立つ気持ちを抑えながらエースの部屋に入った。  
    『どないしたん?急に珍しい。』「俺に隠してる事は?」そう言うとエースは、あきらめたように顔をしかめた。

    2008-03-18 04:42:00
  • 57:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『…親父が癌やねん…。』しばらくの沈黙の後、エースが言った。「何で俺に言わへんねん!」『だって…。だって蟲に言ってもわかってくれへんやん!私はあんたのエースやろ?私が実家帰って親父の世話してもいいん?売り上げはっ?あんたはお金さえあればいいんやろっ!』僕は膝から崩れ落ちた…。「お前には俺がそう映ってるんか…?」『…。』「お…俺は…ホスト…やけど…お前に…」その後は涙で言葉にならなかった…。生まれて初めて女の子の前で号泣した。僕はエースが好きだった…。でもエースには僕はホストとしか映ってなかった。僕が心のヨリドコロにしていた、女の子にさえ僕の気持ちは伝わらなかった事に絶望した…。

    2008-03-18 04:53:00
  • 58:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    次の日、壊れかけた心で僕は代表の目の前に数十万の金を持って座っていた。
    『…。えらい急やな?辞めたいんやって?』
    「はい。」『どないしたん?蟲ちゃん。何かあった?』「もうこの世界にはいたくないんです。」『ふーん。』代表が静かに立ち上がる。『で、この金は?』「未収の残りです。」『へぇ。自腹?』「はい。」『…。そっか。本気なん?』「はい。」『入店した時に書いてもらった事覚えててるよね?』「はい。罰金も込みであります。」『そう?ならいい…』と言い終わるかと思いきや代表は僕を蹴り上げようとした。

    2008-03-18 05:02:00
  • 59:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    その足を受け止め、代表を倒す。そして思いっきり腹を殴った。「年下のガキがいつまでも調子こくなよ?これでまだ文句あるんやったら、いつでもやったるで?住所履歴書に書いてあるんやさかい、来たらええやんけ。」『…。』もう辞めるつもりの店の代表をこれ以上、たてる必要もないと思い殴った。代表はいままで噛み付かれた事のなかった僕に殴られ心底ビックリしたようで、その後は何も言わなかった。

    2008-03-18 05:07:00
  • 60:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「お疲れ。」後輩たちに最後の挨拶をして店を出て、エースの家へ向かった。 
    「これ持って実家に帰れ。」部屋に入るなり、エースに金をほり投げ、部屋を後にした。背後から『蟲!あんたそれでいいん?』と何回も大きな声が聞こえたが、僕は立ち止まらずに行った。
    そして僕は、僕の事を誰も知らない土地に移り住む事にした…。

    2008-03-18 05:13:00
  • 61:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『蟲っ!蟲っ?』サヤカの声で我にかえる。『どないしたん?ぼーっとして(笑)』「ごめんごめん(笑)」『変なの。蟲?お風呂一緒に入ろうや!』「何でやねん!はよ1人で入れ。」『冗談やんか(笑)』なかなか風呂場に行かないサヤカを追い掛け回し、ようやく風呂に閉じ込めた。
    過去の事辛い事も、今となっては笑い話。
    ベランダで煙草に火をつけ、空を見上げ、背伸びをした。

    2008-03-18 05:19:00
  • 62:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『あー。』しばらくすると、サヤカが風呂場からいつもの格好で登場…。「…下着はやめれ。」『暑いねんもん。』「…。」あきれ顔でサヤカを呼び髪の毛を乾かす。『蟲、彼女どのくらいおれへんの?』「んー?わからん。多分、2年くらいおらんかなぁ…。」『質問!性欲処理はどうしてるん?』「あほな事ばっかり言うてんと、明日の用意せーよ。」『だって男の子やから、ムラムラとかせんの?』「ま、あるけど、今は金もないし、ましてや新しく巣が決まったばっかやから、今のとこは無いな。」『そうなんや…。前の巣では?』「前の巣の事は、話せない事になってる。」『…。』サヤカは、ほっぺたを膨らませてみせた。「さ、早よ寝なさい。」『なぁ、蟲。今日な、ってかさ、これから一緒に隣で寝てや?』「…。」『あかん?』「何でやねんな?」『淋しいねん…。』
    【萌えーっ!】

    2008-03-18 11:16:00
  • 63:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『なぁ!ええやろ?』「かまへんけど…。ちゃんとパジャマ着ろよ。」『マジで!着る着るっ!』無邪気に喜ぶサヤカを見て、僕は少し微笑んだ。
    『さ、ほな寝よ!』「はいはい。」2人してベッドに横になる。サヤカを女の子として初めて意識してしまい、心臓がドキドキした。こう言う空気は非常にマズい。 何故か2人とも無言で、サヤカに鼓動が聞こえてやしないか、ヒヤヒヤしながら横になっていると、『蟲?ギュッてしてくれへん?』「ん?こうか?」サヤカを抱き締めてみた。長い髪からシャンプーの匂いと女の子特有の匂いがして、一層僕の鼓動は大きくなってしまった。
    『…。』これ以上は流石にマズい。僕も止まらなくなってしまう。それに巣の主に手を出したら、今までロクな事がなかった…。そう思って、暗がりの中、サヤカを見ると…。サヤカはすでに寝息を立てて眠っていた…。
    【危なかった…。】

    2008-03-18 11:36:00
  • 64:

    こっそり読んでます☆
    続き楽しみにしてますね☆

    2008-03-19 17:32:00
  • 65:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    >>64さん
    ありがとうございます。

    2008-03-20 05:13:00
  • 66:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    朝、サヤカよりいつものように早く起きて、朝食作りパンよりご飯のがいいらしいので、おにぎりを握る。「育ち盛りだからたくさん食べさせよ。」      サヤカが背伸びをしてる頃、ちょうど朝食ができたので部屋に運ぶ。「おはよ。」『昨日はありがとう。』「何が?」『抱っこしてくれて。』「あぁ…。」『いただきます!』「食べろ食べろ。」

    2008-03-20 05:20:00
  • 67:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    今日はえらくゆっくりしているのでサヤカに質問。「今日は授業遅くから?」『何で??いつも通り。』「シャワー時間ないで。」『毎日せんでいいやろ。』「…。」そんなものかと思いながら、サヤカの髪をとかす。下着も上下バラバラのサヤカ。髪をとかし終わると、また化粧もせず、元気に『行ってきます!』と出かけて行った。【昨日は何故あれに女を感じたんやろ?】

    2008-03-20 05:31:00
  • 68:

    名無しさん

    この小説好き(´ω`)?

    2008-03-21 00:53:00
  • 69:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    >>68さん
    ありがとうございます。
    読みづらい所もあるかと思いますがこれからも、応援よろしくお願いします。m(__)m

    2008-03-21 06:33:00
  • 70:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    さてサヤカもいなくなったし、洗濯、掃除をしようと思うも、そんなに広い部屋でもないので、綺麗に片付いている…。
    こんな時は普段しない所を掃除するか、のんびりするか…だ。前の巣にはゲーム等も揃っていたが、今はない…。仕方なく携帯なんかで適当にGoogleを使って、暇潰しを検索する。

    2008-03-21 06:37:00
  • 71:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「何々?脱出ゲーム?何だそりゃ?」クリックしてみると、部屋に閉じ込められ、そこから、部屋を調べながら部屋から脱出するゲームらしい。「なかなか楽しそうだ。」早速登録し、ゲーム開始。 「えっ?アプリじゃなくてFlashかよっ…。」思いっきりガッカリしたがPLAY。数字キーを使うのに慣れてなくて、携帯の横キーを押してしまい多少進んだのに、何回か最初からやり直しに戻ってしまう。「だからFlash嫌なんだよ…。」

    2008-03-21 06:43:00
  • 72:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    文句をいいながらも、何とか操作に慣れ、謎解きを楽しんでいると、Flashの重大な欠点に気付く。サヤカから《何しとん?》とメールが来た時、〈携帯ゲーム〉と返信してゲームに戻るとタイトル画面に戻っていた…。「…えっ?ほな、メールくるたび、初めからかいな…。」打ち拉がれていると、またサヤカからメール《何の?》【ははーん。こりゃサヤカがいる限りはクリアーできないゲームか…】

    2008-03-21 06:49:00
  • 73:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「あーもう!やめやめ!」サヤカからメールが来るたびに最初からなんかやってられなくなり、サヤカにメールをする。〈サーちゃん暇なんかいな?〉すると即返信。《サーちゃんてなんよ(笑)》〈あだ名。サヤカやから。〉《(笑)そんなあだ名初めてやし。なぁ今日、晩御飯は何?》〈パスタしようかな思ってるで。〉《やった!》その後も、内容のないメールを何通かやりとりすると、サヤカからメールがなくなった。
    【ゲームするなら今かしら?】

    2008-03-21 06:58:00
  • 74:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    こうなってしまってはいよいよ暇だ。買い出しがてらに、周辺を探索しよう。と思い立ち、早速駅前まで歩きだす。現在把握しているのは、サヤカと初めて会った喫茶店、その横くらいにあるスーパー、コンビニくらいだ。
    駅前に到着し、辺りを見回すと、喫茶店へ続く道にコロッケ屋を発見、1つ30円。安いので購入。味はなかなか美味い。ふと値段が書いてあるボードを見ると、美味しいコロッケ1つ30円。5つで150円!と書いてあった…。
    【まんまやな…。】

    2008-03-21 07:19:00
  • 75:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    おばちゃんに「ごちそうさま。」と手を合わせ、キョロキョロしながら探索を続ける。期待していたゲーセンもなく、定食屋、銀行、等があったが、特に気を引く所もないのでスーパーへ。
    クリームパスタにしようと、生クリーム、マッシュルーム、ベーコンを購入し、デザートなんかにアイスクリームも購入。にこにこしながら、会計をすまし、タバコに火をつけ、来た道をとことこ帰る。

    2008-03-21 07:27:00
  • 76:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    帰り道いつもの喫煙所を通ると、いつぞやの美少女がまた座っていた。「いつもいるのか?」何て心の中で思い、吸ってたタバコを灰皿で消してたら、その美少女が立ち上がり『火、持っとる?』と話かけてきた。まさか話しかけられると思ってなかったのであたふたしてしまい、かろうじて頷いた。ホストの時の癖で、火を付けてしまう。美少女はクスッと笑って、『ありがとう』と言うと、また元の位置に戻り座り込んだ。
    「へぇ。あれはきっと誰かを待っているんだなぁ」と心の中で思う。この後もし、タバコを吸いたくなったら美少女、火がないと困るんじゃないかと、ライターをあげる事にした。

    2008-03-21 07:41:00
  • 77:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「おーい。火ないと困るやろ?やるわっ!」と美少女にライターを投げる。びっくりしたように美少女は立ち上がりナイスキャッチ。『ありがとう。』って声を背に受け、左手を上げて喫煙所を後にし、サヤカの巣へと歩きだした。

    2008-03-21 07:46:00
  • 78:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    サヤカの家に到着し、軽く下ごしらえをすます。サーちゃんにメール〈サーちゃん、今日何時ごろ帰るん?〉しばらくすると返信が。《今日、バイトあって、学校終わったら、そのまま行くから遅くなるわ。》だと…。「そういや、俺が来てからバイト行くの初めてちゃうか?」サーちゃんの帰りが遅いと分かるやいなや、たまらなく暇を感じる。仕方なく掃除を開始。

    2008-03-22 07:04:00
  • 79:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    まずはエアコンのフィルターから掃除、綿菓子級にホコリがついたフィルターを咳き込みながら洗い、ベランダへ。なかなか良い天気なので座布団を叩く。
    続いては、本棚。学校の教科書なんかが山積みで並べられているのが、どれが必要でどれが不要なのかわからないので、パラパラめくったりしながら、せめて教科に合わせ揃えてみた。やはりサヤカは馬鹿なようで、写真付きの人物画には全て落書きがされていた。
    【俺も中学の頃の教科書こんなやわ。】

    2008-03-22 07:11:00
  • 80:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    窓のサッシ等も掃除。やりだすと徹底的にやりたくなる性分、フローリングも雑巾を固く絞り、綺麗に拭いた。キッチン周りを掃除していた時、サヤカから電話。『おっす。蟲?今からバイト行くわ…。めっちゃお腹すいたし…。』「家寄る時間無い?何か作るけど?」『微妙。』「そうか。今学校から駅前向かいよるんやろ?ほな途中くらいで合流する。おにぎり握って持って行くから。」『マジ?悪いから、コンビニで買うけど…。』「あほ。何のための俺やねんな。」『ありがとう。』そんな会話をして早速おにぎりを握り、小走りで家を出た。

    2008-03-22 07:28:00
  • 81:

    名無しさん

    更新?わ〜いヽ(^^)

    2008-03-22 17:51:00
  • 82:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    >>81さん
    更新気まぐれですが、気長に待って頂けると幸いですm(__)m

    2008-03-23 03:20:00
  • 83:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    家を出てサヤカに電話で位置を確認。しばらくすると小走りでサヤカが接近。『蟲ぃ!疲れたよ〜。』と抱きつくサヤカ…。「あほ!人おるやんけ。はい!これ持ってバイト頑張ってな!」『ありがとう!』「ついでやからコンビニまで送るわ。」『うん!』サヤカと2人コンビニまで歩く。別れ際に『蟲っ!ほんまありがとう』と元気にサヤカは言った。
    僕は「おう!」と応えた…。何でそんな事までするの?彼女になってもできる?なんて事よく聞かれるが、僕は、巣の主が働く事によって収入を得るのだ…。
    巣の主が快く仕事に行けるよう…少しでも出勤日数が増えるよう…悪い虫がつかないよう…管理しているのだ。
    そう…僕はいい人に見えて…決してそうじゃない…全ては自分が働かずして得る生活の為…。   【僕は卑怯な寄生蟲…】

    2008-03-23 03:39:00
  • 84:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    雇い主が僕を完全にお手伝いのように接してくれた方がやりやすい。サヤカの屈託のない笑顔が時に僕の心を揺さぶった…。
    それでも巣を探し、巣に寄生する自分自身に吐き気がするけど…。それは…もう…どうしようもない事なんだ…。
    「ごめん…」と僕はポツリと呟き、まだ肌寒いサヤカの巣までの道をゆっくりと歩いた。

    2008-03-23 03:45:00
  • 85:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「ただいま」何て誰もいない巣にいいながら入る。洗濯物を取り込み、たたんでいるとサヤカからメール。《おにぎり美味いっ!》可愛いなと思いほくそ笑む。〈そうか。腹一杯なったか?今日は何時までなんや?〉と返信する。すぐに《夜の11時までやで。》と返信があった。800円ぐらいか?×6時間で…=4800円か…月に20出勤とすると約10万か。頭でおよその給料を計算してしまう。嫌な性分だ。
    サヤカは、その稼ぎの中から、初めて会う僕に半分渡すと契約した事の重みに改めて気付いた…。
    【サヤカ?君の眼には僕は   どんな風に映ってる?】

    2008-03-23 04:04:00
  • 86:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    サヤカのいない巣で、しばらくぼんやりと過ごす…そう言えば明後日が契約通り、給料日だ。ここにくる前、コンビニに預けたお金もわずかになってしまっていた。 「給料日か…」いまいち晴れない気分を変えるため、ベランダで一服。コーヒーをいれベランダに腰をおろし、こんなでいいか散々自分をいじめた。
    不意に携帯が鳴る。サヤカからメール。《明後日、給料渡すね。》ごめんと送りたい気持ちをおさえて、メールを送信〈毎度あり。〉

    2008-03-29 01:01:00
  • 87:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    それからサヤカからのメールはなかったが、いつまでも悩んだり、迷ったりするのは、性にあわないので、忘れる事にした。「せや、サヤカだってただの契約者やんけ。申し訳ないなんか思わんでええやんけ。」軽くつつけば割れてしまいそうな心を必死に押さえつけ、自己修復作業をした。
    時計を見るとそろそろサヤカが帰る時間。少し早いが、コンビニまで迎えに行く事にした。

    2008-03-29 01:07:00
  • 88:

    名無しさん

    早く続き書いて?

    2008-04-02 06:41:00
  • 89:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    >>88さん
    すいません。書きます。

    2008-04-02 16:47:00
  • 90:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    家から出て、少し歩くとサヤカから着信。『もしもーし?お疲れちゃん。』「つかれ。」『何かいる物ある?』「あんま無いな。今、迎えに行ってるよ。」『うそ?』「危ないから。」『蟲優しいな。』「ま、取り敢えず歩くから。」『うぃ。』 
    しばらく歩いてサヤカと合流。手には何やら袋を下げている。『蟲!』「おぅ。お疲れ。」二人で家路についた。

    2008-04-02 16:52:00
  • 91:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    巣に着くなり、キッチンに立ち、手早くパスタを作る。不意にサヤカが、部屋から顔を出し、手招きをした。
    「何やねんな?」『いいから。来てや!』しぶしぶ、サヤカの方へ行くとジャーンっと昭和初期を思わせる効果音とともに、お年玉袋に可愛い文字で【蟲ちゃん】と書いた給料を出した。
    「効果音ダッサ!」『お疲れ様。お給料の2万と5千!』「ありがとう。」素直にお礼を言う。『後、領収書出して?』「取り敢えず、これでいいよ。給料なくなるやろ?」『いいから!』サヤカが急かすのでレシートを渡す。『……。』【だから言うたやんけ。】

    2008-04-02 17:01:00
  • 92:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「今月は、キッチン用品とか購入したから。」『そっか…。』「ま、ある時払えよ。」『そんなんいいん?』「ま、給料の半分は入れてもらってるから。」『ごめん。』「?いらんとは言うてへんからな。」『笑』
    ポッケにお金を押し込み、キッチンに戻る。お給料が入って浮つく心。ニコニコしながらサヤカに大盛りスパを持っていった。 
    【小1時間前の葛藤は何処へ?】

    2008-04-02 17:21:00
  • 93:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    いつものように、サヤカをお風呂に入れてる間に、明日は何か娯楽の品(自分用)を買いに行こうと考える。「PSPを買おうか?いやいやこの時期に2万の出費は痛いか…?」1人ぶつぶつ言う。『あー暑い暑い。』サヤカが出てきた。『何しとん?』「明日、何を買うか悩んでる。」『ふーん。服は?』「服?いらん。あんま出かけたりせんから。」『えー。蟲の服装オヤジみたいやん。』「…。」『和柄のGパンとか笑』「アホ!あれ7万くらいすんねんぞ!」『ホンマに?騙された?』
    「…ほほぅ。小娘…。」と言いGパンを手に取りこのGパンがいかに格好よく、いかに手がかかっているか力説するもサヤカは興味なさげにダサいを連呼。
    【orz】

    2008-04-02 17:31:00
  • 94:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「むぅ。」『ギャル男なれば?』「やだよ。あんなん。みんな同じやん。」『ま…ファッションは個性やからなぁ。』「せやろ。」『和柄は反対やけどな。』「…。」しかしサヤカはよく喋る、やれ彼女はできたか?だのやれどんな子がタイプだの…。
    サヤカのマシンガントークに疲れてきた時、不意にサヤカが質問する。『私、キャバクラしようと思うねん。』「何で?」『お金欲しいから。』「酒飲める?」『女の子は飲まなくていいらしいから。』「…。」『あかん?』「サヤカがそうしたいなら、すりゃいい。」『そっか!早速面接いこっ』

    2008-04-02 17:40:00
  • 95:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    僕は心の中でやめとけって言った…。少しの金儲けのはずが、ホストにハマり、気が付けば風俗…なんてざらにある世界に僕は住んでいたから…。 
    そんな世界に踏み込んだりしないで欲しかったが、サヤカはサヤカの選ぶ道がある。誰だって、失敗したり、成功したりして、世の中の厳しさを身を持って学んで行く。それを制限する権利が今の僕のどこにある?
    そんな思いが一気に駆け巡り、僕はサヤカにこう言った…。【頑張れよ…。】

    2008-04-02 17:53:00
  • 96:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『目指せ!No.1キャバ嬢!』と無邪気に、はしゃぐサヤカを見て少し悲しくなった。 
    次の日の朝、珍しく寝坊をしてしまう。サヤカはもう学校に行ったらしく、テーブルにはサヤカが作ったと見られる、ヘンテコな卵焼きと、手紙が置いてあった。《蟲へ。気持ちよさそうに爆睡してたから、起こさなかったよ。ご飯作ってみた。下手やけど。また起きたらメールして。》サヤカが作った卵を食べながらメール。 
    〈ごめん。こんな事これからないようにする。卵、見てくれは悪いけど、味はいいよ。〉背伸びをしてシャワーを浴び、出かける準備をした。

    2008-04-02 18:02:00
  • 97:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    シャワーから出ると携帯がピカピカとメールが来たサインを僕に送っていた。《たまにはいいやん。あ!これから給料日の次の日、休みにしたら?》とサヤカからのメール。これはありがたいとお言葉に甘える事にしたが、いつもの癖で洗濯物を干してしまい、苦笑いしながら巣を出た。特に買うものは決まってないので、ふらふら駅前に。携帯で検索すると駅から逆方向にパチンコ屋があるとの事なので、久々にパチンコでも打とう!といざパチンコ屋へ。
    頭の中では、久々パチンコ→大勝→PSPゲット!→余りは貯金と、トントン拍子に進みニコニコ。 【捕らぬ狸の皮算用…。】

    2008-04-02 18:13:00
  • 98:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    何やら前見た時より明らかにボタンが増えているパチンコ様…。なかなか楽しそうな機種がたくさんありホール内をウロウロする。「へぇ。色々あるな。」取り敢えず、人気のある機種に着席。新台なのだそうだ…。あまりよくわからんが、たいして変わってないだろうと打ち始める。…と隣のおばちゃんが、台の下皿付近にあるボタンを突然必死に連打!物凄くビックリする蟲。「何だ?ありゃ」疑問に思いながら自分の台に目をやると、画面にチャンスの文字が!【え?連打?おばちゃんみたいに?】

    2008-04-02 18:19:00
  • 99:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    訳もわからず、恐る恐る、チャンスボタンなる物をポチリと押す。リーチになり、突然大きな音がして、台枠が光る。周りの人が僕の台を凝視。ビックリしてケツが浮きそうになるのをこらえ、ドキドキしながら見守っていると、隣のおばちゃんが『ボタン!ボタン』と大きな声で僕に指令。「何だよ?おばちゃん怖いよ!」とは心の声。仕方なく控えめにボタンをポチポチ。すると見事に3の絵柄が揃う。「え?今のパチンコってこんなにあっさり当たるの?」と思ってると隣のおばちゃんが僕の肩を叩き、『なっ?』と一言…。 【連打?連打なんだな?】

    2008-04-02 18:27:00
  • 100:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    その後、2回大当たりし、3箱におばちゃんの連打の信憑性はあまりなかったが、リーチの度連打した。その度何故か一喜一憂するおばちゃんがかわいらしく、ジュースをご馳走する事に。ジュースを買いに行く時に商品棚を見るとPSPがある!「何々?○○○○玉?3箱じゃ足りなくないか?」ジュースを飲みながら、止めるか、続けるか悩む。おばちゃんにジュースを渡し、お礼を言われた後「千円で当たったから、今止めたら勝ちだな。」と思うがすぐさま止め、勝ち逃げ。皮算用が見事現実となったのでいつもよりニコニコしながら、ゲーム屋さんを探し歩いた。

    2008-04-02 18:38:00
  • 101:

    名無しさん

    更新ありがとー??楽しみにしてるょ??

    2008-04-04 10:42:00
  • 102:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    >>101さん
    更新遅いですが、これからも応援して頂けると幸いです。

    2008-04-04 23:02:00
  • 103:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    距離にして隣町まで歩いたのではないか?と言うくらい歩いたが、パチンコで勝ったので、いつもより疲れない。ようやくあった一件のゲームショップでPSPを無事購入。価格は1万と9千円也。ソフトと合わせたら、昨日の給料があまり無くなるが、パチンコの勝ち分が丸々残る。色々考えたが、勢いで買った。後悔はしてない…。「ほんま前の巣から持ってくりゃよかった…。ま、ええか!」来た道を巣に帰って早くプレイしようとランランと歩く。
    【これで暇じゃなくなるぞ】

    2008-04-04 23:09:00
  • 104:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    いつもの駅前に着くも、さすがに疲れたので、缶コーヒーを購入。喫煙所まで少し歩き、腰をおろして一服。「もうサヤカの巣が目の前だ。今日は休みやし、ゲーム三昧しよう。」缶コーヒーを開けた時、後ろから声がした。『あ…。』「ん?あっ!」『前はありがとうな。』振り返るとヤンキー美少女がそこにいた。「ライターか。あんなん100円やし、かまへんよ。何しとん?」『ん?休憩しにきた。』「そうか。よくここにいるな。」『…。』「俺、蟲って言うねん。あんたは?」『蟲君か。私?アヤネ。』「アヤネか良い名前やな。お!せやせや、コーヒー飲む?開けたけどまだ口つけてないから安心しろ。」『え。ありがとう。でも蟲君いらんの?』「俺は、巣が近いから。」『巣?』「いや!何でもない。家そこやから。」
    【危ない。危ない。】

    2008-04-04 23:25:00
  • 105:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    しばらく話した後、アヤネが2本目の煙草に火をつけようとした時、僕は椅子から立ちアヤネに「またな。」と一言かけてサヤカの巣に帰った。
    早速充電器をつなぎ、ゲーム開始。携帯が鳴るも放置でゲーム三昧。2時間ほどプレイすると携帯が鳴り続け、液晶を見るとサヤカからだったので仕方なく出る。
    『蟲?もう!心配するやんか!何してたんよ!』「ごめん。ゲームしてた。」『ゲーム?買ったん?』「うん。」『そうなんや。それより安心したわ。給料後やったから出ていった思た。』「笑。」『笑うな!バカ。ほんまこの電話でんかったら、一回家確認しに行く所やったんやで!』「すまんすまん。」『もうすぐ帰るな。』「わかった。」習慣とは恐ろしいものでサヤカが帰ると聞くと、腹を減らして帰るだろうと、休みなのに冷蔵庫を覗き、夕食を作り始めた。

    2008-04-04 23:39:00
  • 106:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    サヤカの巣での暮らしにも慣れはじめた頃、サヤカはコンビニのバイトを辞め、キャバクラで働くようになった。最初はできない事だらけで、仕事が終わり帰って来るなり、テーブルマナーの練習に付きあわされたりした。「なかなか良くなってきたんじゃない?」『マジで?』「普通の会話の中で自然に灰皿変えたり、グラスふいたりできたら完璧ちゃうか?」『蟲ってさぁ?昔夜やってた?』「ん?なんで?」『何か詳しいやん。』「まぁちょこっとね…。」『そうなん!どうりでなんかチャラいと思った!』
    【は?こんなに爽やかな青年に向かって失礼な。】

    2008-04-10 04:55:00
  • 107:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『後は会話がなぁ…』「会話は難しいな…。」『蟲はどんな会話しよった?』「ん…適当。」『蟲よー喋るもんな。』「お前よりマシや。喋ろう喋ろうとしたら喋られんようなるやろ。思いつきで喋ったらえーんちゃうか。」『そうかぁ…。』「ま、自分が楽な接客したら?違うキャラとか作ったら後々しんどなるで。」『…。』
    毎日仕事について話すようになり、サヤカは誰に吹き込まれたのか、水商売用語をよく使うようになった。夜の世界で、段々成長していくサヤカを見て、出会った頃の無邪気なサヤカが夜の世界に引き込まれて行ってしまう気がして、僕は淋しくなった…。

    2008-04-10 05:06:00
  • 108:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    そんな不安も取り越し苦労だったようで、サヤカは夜の世界に慣れはしたが、無邪気さはそのままに毎日を過ごしていた。仕事が終わったら真っ直ぐ帰ってくるので、不思議に思い質問した。「なぁサヤカ?お客さんに終わった後、ご飯行こうとか言われへんの?」『え?言われるよ。なんで?』「断ってるん?」『うん。だって蟲がご飯作って待ってるやん。』「…。」『アフターなんか時間外労働やから嫌やねん。』「て…適当やな。」『適当でいい言うたの蟲やんか。後、夜は稼げるけど、帰りが前より遅くなったし、蟲と話したりする時間が少なくなるやろ?それも嫌やし。』「そうか…。」

    2008-04-10 05:24:00
  • 109:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    そう言われて僕は、とても嬉しかった。今まで色んな巣に寄生したみたが、住み慣れてくると会話なんかあまりなく、巣の主が帰ってくれば黙々と食事を作り、主が出かける時には、お金がテーブルに無造作に置いてあった。誰もが僕をお手伝いさんのように扱った。食事を作っていても帰ってこない日だってあったし、でも僕はそれでいいと思っていた…。主と蟲との関係なんてそんなもんだと思ってた。サヤカが少し酒臭い寝息をたて眠りについた頃、僕はサヤカの頭をそっと撫でた…。

    2008-04-10 13:53:00
  • 110:

    名無しさん

    まだですか?

    2008-04-15 06:56:00
  • 111:

    Multiquip and MBW brand walk behind power trowel with a range of sizes and rotor speeds.Insertion vibrator motor、we produce Insertion vibrator motor、insertion vibrator motors、our company is a specialized supplier and manufacturer. Just about any equipment rental yard will have a plate compactor usually renting for about $45-$60.Manufacturer of best quality internal concrete vibrators.

    2008-04-16 11:28:00
  • 112:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    《君がそのままいてくれるなら、僕はずっと側にいるよ。君が誰を敵に回したって、僕は笑って側にいる…。》
    いつもより早起きして、朝食作りパンが嫌だと言うから面倒ったらない。夜の仕事と学校の両立それを上手くできてるサヤカは眩しかった。
    『おはー!』「あらサーちゃん。おはよう。シャワー浴びや。」『わかった。ご飯何?』「鮭や。魚あんま喰うてないやろ?」『おー。せやな。』サヤカは最近、学校に行くにも、化粧をするようになった。もちろん下着だって上下揃ってる。 
    【感心。感心。】

    2008-04-17 23:19:00
  • 113:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    シャワーから出るなり、サヤカはどっかりと座り、立て膝をして朝食を取りはじめたのですかさず注意。「立て膝しない!」『あっ!ごめん(笑)。』朝食を平らげ、化粧をして、元気に今日も出ていった。「さて洗濯でも始めるか。」と空を見上げるも、あいにくの空模様…。部屋干しにするか、外に干すか迷ったが、結局、部屋干しにする事にした。
    洗濯が終わり、今日は買い出しに行く必要もないので、ゴロゴロとして、暇さを満喫。サヤカからのメールを適当に返信していた時、サヤカとは違うメール着信音がした。

    2008-04-17 23:27:00
  • 114:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「誰やろ?」件名はRe;久しぶり。「Re;?があるって事は返信か?」メールを開く。《蟲君だっけ?覚えてる?》「誰だこりゃ?」まったくわからないが、わざわざメールをしてくれたのに、覚えてないのは失礼。せめて、アドレスに名前が入ってりゃと思うが、ホストの先輩に教わった、無難策を使うことにした。

    2008-04-17 23:32:00
  • 115:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    【回想】
    「あ゛ー誰やっけこれ」『蟲どないしたんや?』「あ!おはようございます。いやね、俺なんか下っぱで毎日キャッチ出てるんで、あ。もうこりゃ来ねーな何て客のアポったアドレスとか削除してるんすよね…。そしたらそんな奴の中から意表を突いて来たいとか言いだす奴が最近多いんすよ。」『へぇ?』「でも削除しちまってるから誰かわかんねーんす。そういう奴に限って、誰か覚えてる?とかメール来るんすよね…。忘れた。って返信したら、ヘソ曲げてもう来ないってメールですよ…まったく。」『あほやなぁ蟲。携帯水没させてデータ飛んだで解決やんけ。悪いけど名前教えてくれってな(笑)』「!!」『んでほんとに来るってなったら、キャッチ場にいるからってメールしてキャッチ場で待つ。後は向こうから話しかけてくるやろ?』
    「スゲー。」
    【先輩!ありがとうございます。今もその業使わせてもらってます。】

    2008-04-17 23:43:00
  • 116:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    …と言う訳でメール送信。すると《マリ》とメールが来た。「マリ?まったくわかんね。まぁ適当にメールするか…。元気にしてた?どないしたん突然?っとこんなもんで送信っと。」
    2分ほどして返信が。《蟲。今例の仕事しとる?しとって、何処にも住んでないなら、ウチ来てほしいねん。》「ありゃりゃ?こりゃ客だな。今はまずいな。サヤカがいるし…。」とお断りメールを送信すると、《どうせ顔も覚えてないやろ?写メ見て思い出せ(笑)てか今の家なくなったら次来てな?》「あらあら何故バレたのか?疑問が残るが、写メを見てもやはり思い出せない。さほど気にせずメール返信。了解っと。」 
    【ストックあると安心するな。】

    2008-04-17 23:53:00
  • 117:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    ひょんな事からストックが出来て上機嫌。やはり営業メールはするべきだな。手帳に書き込む。メールやり取りの間、放置してたサヤカはご立腹。「うるせーな。お前は彼女か!」と独り言。珍しく昼食にハムトーストを焼いて、ブラックコーヒーなんかを飲みながら、優雅に過ごしてみた。

    2008-04-17 23:59:00
  • 118:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    夕方になり、サヤカがブーたれながら帰って来た。『蟲!メールちゃんと返してよ!どうせ暇やろ?』「あらあら。ご機嫌斜めかな?暇?洗濯、掃除、お料理は誰がしてんの?」『何よ!』「おっ?マジで怒ってんの?」『…。』「サヤカ。俺はな、お前の彼氏と違うねん。メール返さないくらいでマジ切れすんなよ。」『蟲はお金払ってるから私の側にいるんやろ?私の事好き?嫌い?』「最初の質問はYES。後の質問はどちらでもない。」『最低…。』 
    そのままサヤカは仕事用カバンを持ち出ていった。雇い主で稀に彼女になりたがる子がいる。彼女と勘違いする子も…。 
    サヤカはそんな子だった。

    2008-04-18 00:10:00
  • 119:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    サヤカが飛び出した後、何度か電話したが出ない。サヤカを嫌いなんじゃない。これまで住んで来たどんな飼い主より魅力的だった。でも僕は…。僕にはもういつも隣にいてくれる誰か何ていらなかった…。違う。隣にいてくれる誰かに僕がどう映ってるかが怖かった。もう二度とあんな思いはしたくなかったんだ…。 
    【僕は卑怯な寄生蟲。臆病で狡猾な寄生蟲。】

    2008-04-18 00:51:00
  • 120:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    >>110さん
    こんなもんでいかがでしょう?

    2008-04-18 00:52:00
  • 121:

    名無しさん

    主さんそんな気にしなくていいと思うよ★
    更新してくれてありがとう★

    2008-04-18 18:29:00
  • 122:

    名無しさん

    更新お疲れ様です?めっちゃおもしろい!?主のペースでがんばってください?

    2008-04-18 18:59:00
  • 123:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    >>121さん
    お気遣いありがとうございます。>>122さん
    あたたかいお言葉ありがとうございます。頑張って書きます。

    2008-04-20 00:50:00
  • 124:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    その夜サヤカが帰って来る事はなかった…。サヤカが帰ってから食べるはずだった食事が…飲み物が…すっかり冷めてしまっていた…。僕は朝方までサヤカを待ったが夜が明けてもサヤカは帰らない。巣の主を失った僕はどうしていいかわからず、ただひたすら帰りを待つしかなかった。

    2008-04-20 01:09:00
  • 125:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    いったい幾日たったろうか…。不意に玄関のドアが開いた。『ただいま。』「ただいまじゃないやろ!いったい何処に行っててん!」『は?蟲はあたしの彼氏でも何でもないんやろ?あたしが何日帰らないでいようと関係ないやん。てかご飯は?あたし金払ってるんやから、ちゃんとしてや。』言いたい事が山ほどあったが素直にご飯を作り出した。「おまたせ。」『…お金のためやったら何でもするな。』心も凍るような張り詰めた空気の中、僕は静かにこう言った。「そうやな。」
    外はいつまでもやむ事がないような冷たい雨が降り続いていた…。

    2008-04-20 01:43:00
  • 126:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『じゃあお金払うから、抱いて。』僕はその言葉を聞いて、色んな意味を含めてこう言った「それでええんか?」しばらくサヤカは黙った後、震える小さな声で『ごめんなさい。』と呟いた。「いいよ。」僕はそれ以上何も言わなかったけれど、サヤカが寝静まった後、息を殺して少しの荷物をまとめていた…。

    2008-04-20 03:56:00
  • 127:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    時計を見ると始発まで後1時間ほどあった。眠るサヤカの枕元に立ちそっと唇を頬によせ、「ごめんな。」と言った。
    お金の為なら何でもすると喧嘩をしたから出て行くんじゃない。僕を彼氏として必要としているからだ。これ以上僕と、一緒にいてもサヤカは辛いだけだと思ったから…。僕の隣にはもう誰もいらないんだから…。
    玄関に【サヨナラ】と置き手紙を残し僕は巣立った。サヤカへの寄生生活はこうして終わった。
    歩き慣れたいつもの駅前までの道をゆっくりゆっくり歩き出した。

    2008-04-20 04:18:00
  • 128:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    《なぁサヤカ?僕にもう少し勇気があれば…まだ君といれたかもしれないね?なぁサヤカ?君と一番最初に出逢えていたら…》
     
    1部屋目【サヤカの巣】…終

    2008-04-20 04:24:00
  • 129:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    サヤカの巣を出て、あて何てなかったけれど、僕は途中の喫煙所に腰を下ろした。始発前の朝方だと言うのにそこにはアヤネが座っていた。『何かあった?暗い顔して。てかよく会うね(笑)』「…。」僕は何も言えずに煙草に火をつけた。『それ荷物?家出でもしたの?』「ん?あぁ…せやな。」『変なの。』「アヤネは?何してるんこんな時間に。」『彼氏待ってるの。』「へぇ。」『もう帰ってこないけどね…。』「?」

    2008-04-20 21:18:00
  • 130:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『何でもない。』「そうか。」『蟲君もさ、辛い事たくさんあると思うけど頑張りなね?』「…おぅ。そろそろ行くわ。」『ここにはもう来ないの?』「…。」『ライターなくさないようにしよ(笑)』「また縁があったらな。」『バイバイ。』アヤネは戻って来る事のない彼氏をこれからもずっとあの場所で待ち続けるのだろうか?深くは聞かなかったけれど、僕はアヤネに僕と似たような匂いを感じていた。駅でまたいつものように適当に切符を買おうかと思ったけど、同じ沿線ばかりも誰かと鉢合わせするかも…と、途中の駅まで切符を買い、乗り換えて都会の方へ行く事にした。

    2008-04-20 21:31:00
  • 131:

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    2008-04-20 22:54:00
  • 132:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    いつものようにホームから遠くなって行く景色をぼんやり眺める。朝の慌しい時間に場違いな僕。何故かサラリーマンに席を譲り、乗り換えの電車に飛び乗った。「しかしこんな朝早くから働けるってすげえな。」独り呟き、目当ての駅に到着。漫画喫茶に入店し、三時間ほど過ごす事にした。早速、何冊か部屋に本を運び、どっかりとソファーに座りこんだ。「さてさて、どーしたもんかな。」とってきた雑誌をパラパラめくってる間に眠りこけてしまった。

    2008-04-22 02:35:00
  • 133:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    携帯のバイブの音で起こされる。サヤカだった。これは当然放置だ。するとやはりメール攻撃。件名…ごめんなさい。本文…蟲。ほんまにごめん。戻って来て。 
    「それはできないな。」とアドレスを変更。すぐに着信拒否にした。そのままいつものように何件か客にメールしようと…。「あ!マリ!奴がいる!」とマリを思い出しアドレス変更の知らせと、寄生させてくれとの内容を送る。喉が渇いたので自販機に飲み物を取りに行く。ふと目をやると、味噌汁があった。「最近は味噌汁まであるんやなぁ。」と感心してるとその横にはソフトクリームが…!感動してたいして食べたくもないのにソフトクリームを作り出す。なかなか上手くできた事にニコニコしながら、左手にソフトクリーム、右手には味噌汁を持ち自分の席に帰った。 
    【嬉しがりもここまでくると…】

    2008-04-22 02:45:00
  • 134:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「…やはり組み合わせが悪いな。」何て思いながらも、いくら無料とはいえ残せば罰が当たりそうな気がして、きちんと最後まで食べる。「口の中が熱くて冷たい…。」そんな馬鹿な事をしてると携帯が鳴る「ん?ケイコ?ははーん。サヤカが何やら絡んでそうだな。ここは放置だな。」しかし、着信が鳴り止まず、やむなく携帯電話使用スペースで通話。「何やねん。」『何やねんちゃうわ!サヤカの所、もう出てったん?』「おう。」『ハァ。ま、あんたの仕事やから、理由とかそんなんは聞かへんけど、何か給料渡しといて言われたで?』「給料?あ!残りの日割りか!」『知らんやん。どないするん?』「振り込みして。」『はぁ?面倒くさ。てかあんたいくら貰ってたん?悪徳やな。』「え?1万くらいちゃう?」『は?サヤカから10万渡されたで。』「…。1万だけ振り込みして。後は返しといて。」『…。わかった。』「悪いな。」『いいけど。』

    2008-04-22 02:54:00
  • 135:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    サヤカがどんなつもりで10万をケイコに渡したかは知らないが、僕は酷く淋しい気持ちになった。「俺の価値は…10万かよ…。それなら仕事した分の1万だけのがまだましや。」
    楽しい気分も一気に冷め、携帯の電源を切り、ふて寝した。

    2008-04-22 02:59:00
  • 136:

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    2008-04-23 14:41:00
  • 137:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    目が覚めると携帯がメール来てますよとランプを光らしていた。件名…振り込み。本文…ちゃんとしたで確認して。サヤカだいぶヘコんでるわ。あんたの性分やから、二度と戻らんやろうけど、仕事やねんから、もうちょい我慢もしーや。「ちっ。余計なお世話。っとメール送信。」もう一件は…「あ!来た来た!」件名…マジで?冷やかしやめてよ?本文…マリだけどほんまに?なら今日からでも来てよ!○○駅着いたら連絡して。時計を見ると1時間前くらいのメールだ。慌てて漫画喫茶を飛び出した。

    2008-04-23 22:17:00
  • 138:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「○○駅は二駅先か。」マリにメール〈今から行きます。〉と電車に乗り込んだ時には、マリから《待ってるハート》とメールが来ていた。二駅だか、たまたま空いていた席に座る。…と一駅過ぎた時、お婆ちゃんが目の前に。席を譲ると露骨にびっくりされる…。
    【え?俺が席を譲るのそんな意外?】

    2008-04-23 22:28:00
  • 139:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    目的地に着いたので気を取り直して、改札をくぐり、マリにメール。するとマリから駅前の喫茶店で待つようにとメールが。好きな物を食べていいらしい。「気前がいいな。」ニコニコしながら店員にスベシャルフルーツパフェをオーダー。1280円也。期待しながら待っていると、『蟲?』「あらら先に来てもた。」『は?』「いやいや。どーも。」『てか蟲、私ほんまに覚えてる?』「…。あんまり。」『正直やな。私もあんた直接は知らんねん。』 
    【え?】

    2008-04-23 22:40:00
  • 140:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    訳もわからずマリを見つめていると、マリが口を開いた。『えっとユーカって知ってるやんな?』「ん?」『笑。ほんま適当な子やな。あんたがホストやった時に色か何か知らんけど付き合ってた子。』「そんなんおった?」『笑。あんたユーカに殺されるで?』「…あら物騒な。」『ま、ええわ。その子の携帯を私がそのままもらって使ってるねん。契約面倒くさいから。』「へぇ。」『ほんでさ、たまぁに蟲から来るメール見てて、面白そうや思ってな。』「そうか。」と店員が[スベシャルフルーツパフェの方?]とパフェを持って来た。「わぁ!デカッ!俺!俺!」『はぁ…。何それ?甘いの好きなん?』
    【大好物です♪】

    2008-04-23 22:51:00
  • 141:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    呆れ顔のマリをよそに、スベシャルフルーツパフェを堪能する。マリの話も半分に聞きながら、メロンを食べようとするとマリがすかさず食べてしまった…。『聞いとる?』「メロン…。」『てか月いくら払えばいいん?』「いくらでもいいよ。」『そうなん?じゃあ取り敢えず、15は?』「1万5千か…もう少しほしい…」『笑。じゅうご万って言うてるの!』「え?15!もらいすぎやわ!」『あんたホストの時No.やったんやろ?』「まぁ…。」『んなら15で!文句ある?』「まったくない。」近頃高額契約してなかったので明らかに動揺。まぁ、多いにこした事はないか。と顔を上げるとマリは封筒を出した。『どうぞ。先払い。』
    【何かセレブな感じ…】

    2008-04-23 23:02:00
  • 142:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「毎度あり!マリ仕事何しとん?」『デリヘル。あと、愛人が何人かおる。』「そうか。」『汚いやろ…。』「笑。俺よりマシや。」マリは淋しそうに笑った。スペシャルフルーツパフェはあまりに多く完食できず、持ち帰れないかなんて辺りを見回してたらマリに怒られる。会計をすまし、タクシーに乗り込んだ。
    二部屋め【マリの巣】

    2008-04-23 23:29:00
  • 143:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    明らかにワンメーターよりも近い所で降り、マリの巣へ。タクシーに千円札で支払いお釣りはチップ「もったいねぇ。」『近いのに乗ったから迷惑料。』「へぇ。」なかなか金遣いのあらい主だなぁと感心。玄関にはオートロック。「すげぇ家やなぁ。」『そう?』8階でエレベーターをおりる。『どうぞ?』「お邪魔します。」3LDKはあろうかと言う巣に圧倒される。「こら掃除大変やろな…。」『あ!この部屋が蟲の部屋な。』「えっ?部屋もらえるん?」『笑。』「ここ一人で住んでるんやろ?淋しないん?家賃はなんぼなん?」『もう慣れた。家賃は払ってもらってるから、いくらか知らない。』「すげぇな。」『体使ってるから…。』マリは職業がコンプレックスのようで何かにつけては、そういう言葉を使う。僕はニッコリ笑ってこう言った。
    「体使ってても、何してても自分の仕事に自信持てよ。体張ってもこれだけの暮らしそうできひんで。マリはすげぇよ。」

    2008-04-24 04:51:00
  • 144:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリはまた淋しそうに笑った。「さぁ。こんなに広かったら何かワクワクするな!早速掃除するわ。」『ゆっくりしたら?着いたばっかりなんだし。』マリの言う事を聞かずあちこち見て回る。風呂もトイレも綺麗し、広かった。取り敢えずトイレから掃除して、風呂場に詰まった髪の毛、水垢を落とす。マリは携帯をいじっていた。「あ。せやせや。俺との約束メール送るわ。」マリはニコっと笑い頷いた。 
    【べっぴんさんやなぁ…。】

    2008-04-24 04:56:00
  • 145:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「なぁ。マリ今日は仕事休み?」『ん?どっちでも。何で?』「いや。飯とかどうしようかって。」『今日は蟲が来た日やからお祝いする?』「笑。ええわ。ええわ。てか掃除用具とか買いに行きたいし、ついでにご飯の用意も買ってくるわ。」『え?作るん?てか作れるん?』「うん?いつもどうしてるん?」『出前か外食。』「あー。バランス悪いやんか。たまには家で食わな。何か嫌いなもんある?」靴を履きながら質問する。『あんまないよ。納豆が苦手かな。』「オッケー。駅前行ってくるわ。」『うん。タクは?』「あの距離は歩くわ。笑」『そう?』
    【タクシーどんなけ乗るんな?】

    2008-04-24 05:03:00
  • 146:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    何だか金銭感覚が違ってて戸惑うが、新しい生活にワクワクしなが駅前へ。「しかしマリは何で風俗してんのやろ?今は金にも困ってないみたいやし。ありがちなホストにハマってるとかか?」なんて考えてみたが、あまり巣の主に深入りするのもよくない。切り替えて買い物をする事にした。 
    食料品売り場を眺めて、何を作ろうか考える。「んー。なんかセレブな食い物のがええかな?セレブな食い物?肉くらいしか思いつかん…。」フラフラと精肉コーナーへ。「はっ!あかんあかん。俺までセレブな気分になりよったわ。毎日外食なんやから、家庭的なもんのがええな。」と改心。
    【危ない危ない。】

    2008-04-24 05:12:00
  • 147:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「せやなぁ。やっぱり和食やな。肉じゃがはベタやし…。お!炊き込みご飯か。ええな。ほな筑前煮と味噌汁…いやいや。」と頭に色々な献立を思い浮かべ、結局、焼き魚、豚汁、もやしとほうれん草のお浸しにする事にした。かごに必要な食材を入れレジに。15万ももってるのは恐ろしいので帰りに銀行で預け入れする。その時ついでにケイコからの入金を確認。お礼のメールを送信して巣に帰る。帰り道、新しい町をキョロキョロしながら帰巣。
    【プラモ屋があった♪】

    2008-04-24 05:18:00
  • 148:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「ただいまっ。」一声かけて玄関を駆け上がる。『お疲れー。』マリの気だるそえな声が、遠くから聞こえた。「さてさて、まずはご飯を炊いてっと…。えっ?」炊飯器には果たしてそれは米だったのか?と疑問に思うくらい腐敗した米があった。「おえっ!くっさ!こらあかんわ。」即座に玄関とキッチンの窓を開け換気。水を大量に流し、しばらく放置。フライパンも錆だらけ…。魚を焼くグリルはカビが…。「あらあら。掃除からやな。」頭にタオルを巻き長髪をまとめる。奥からマリが出て来てキョトンとして『蟲、流石に掃除好きやな。』と言った…。
    【いやいやいや!笑。ここまで掃除せんとほっておける方が凄いがな。】

    2008-04-26 02:15:00
  • 149:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    さてさて掃除も終わりようやくクッキング。「炊飯器スイッチON!鍋に油セット!」広い我が巣に心もはずむ♪マリは呆れた顔で僕を見ていた。『蟲、明るいなぁ。』「まぁな。」『悩みは?』「…あるけど、悩んでも解決せーへんから、悩むのやめや!笑」『いいなぁ…。その性格。』話ながら、料理はどんどん出来ていく。「マリ魚好きけ?」『魚?刺身はよく食べるけど?』「焼き魚は?鮭やけどよ。」『小さい頃からもう何年も食べてない。』「…それはそれで凄いな。」ほうれん草をしぼり、味付け。小鉢に盛り一品完成。豚汁にも火が通り、次々食卓に運ぶ。

    2008-04-26 02:23:00
  • 150:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    最後に鮭を持って行って晩ご飯が完成。『あんた器用やな。こんなちゃんとしたご飯、久しぶりや。』「まぁ何年かはやってたから。」『ヒモ?』「あほ!調理や!てかこの生活はヒモじゃなくて…(以下省略)」『いただきます。』「む。最後まで聞けよ。」『笑。おいしい!お母さんの味付けに似てるわ!』マリはとびきりの笑顔で食べてくれた。「そかそか。マリ仕事は?」『今日は休んだ。』「そか。ほなお風呂入れてくる。」『え?ありがとう。蟲気がきくな。』 
    【お仕事なんで。笑】

    2008-04-26 02:28:00
  • 151:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリが夕食を食べ終わる頃、不意に質問して来た。『蟲、ホストの時、ユーカの事好きやった?それとも仕事?』「ん?忘れてるくらいやから仕事ちゃうか?」『笑。適当やなぁ。なぁホストの時本命おった?』「ん?おったよ。」『よく彼女我慢できたな。私、嫉妬焼きやから無理やわ。だって他の女とエッチしたりもあるんやろ?』「ま…そのホストによるな。」『蟲は何ホスやったん?』「何ホス?」『色とか、枕とかあるやん。』「あぁ。俺はこのまんまや。」『へぇ。』

    2008-04-26 02:35:00
  • 152:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『その本命とは何で別れたん?』「まぁ。色々やな。最後は実家に帰ったわ…。」『彼女は店きよった?』「エースやったよ。」『それはお金使うから彼女なん?』「ちゃうよ。まぁ話したら長くなるわ。」『ふーん。』「その子も風俗やったけどな、一生懸命にお金使って、俺をNo.入りさせてくれたんや。何ヵ月も。んでな、俺ある時聞いたんや。何でそんな金使ってくれるの?ってな。何て言うたと思う?」『わからん。』「あんたが好きやからや。の一言だけ。痺れたなぁ笑。んで女にした。」

    2008-04-26 02:45:00
  • 153:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『へぇ。』「よー喧嘩もしたけど真っ直ぐに俺を好きでいてくれてな、ほんまに俺も愛してた。」『…。』「せやけど最後に言われたわ。あんたは金だけあればいいんやろ?ってな…。ほんまに愛してたからこそ、こたえたわ…。あぁ…俺は隣におる自分の女にさえホストとしてしか見られてへんのやって…。俺の愛は伝わってないんや…。って絶望した。」『…。』「あ。暗いな。やめやめ。笑。」『聞かせて…。』「ん…。そうか?それで結局その子とは終わった。ほんまに好きな人に自分の気持ちが伝われへん事がどんなけ辛いか勉強なった。ほんで最初は自分だけが辛い目した思ってたけど、しばらくしたら、毎日当然のように店来て、売り上げ支えてたその子の気持ち考えるようなった…。」『…。』「俺は甘えすぎてたんや…。」『後悔してるん?』「少しな…。ま、こんな話や。」『そっか…。』「さぁ風呂入りや!」『ありがとう。』
    【エース?お前は元気でやっとるか?俺はめちゃめちゃ元気やで!】

    2008-04-26 02:59:00
  • 154:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリが風呂に入ってる間、食器を片付け、余った鮭とご飯で夜食を作る。風俗の子は不規則な夜型が多いからだ。『あーいい湯やった。蟲は?入らん?』「ん。後で入る。これ夜食。」『ありがとう!今からDVD見たりするから助かる。あんたほんま便利やな。笑』「髪の毛乾かそっか?」『え!いいよ。いいよ。ゆっくりすれば?』「そっか。ならまた用があれば呼んでな。」キッチンをでて自分の部屋に。手帳を取出しマリの事を書き込む。
    【自分の部屋あり、給与は15。極楽。極楽。】 

    2008-04-27 18:30:00
  • 155:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    キッチンを挟んだマリの部屋からは朝方までテレビがついていた。次の朝、マリは何処かに出かけるのか、化粧を念入りにしていた。「おはよう。」『あ!おはよう。蟲ってセットとかできる?時間ないのに上手くいかんねん。あー美容室の手違いがなかったら…。イライラする。』「できるよ。」『えっ?ほんまに?』「どんなん?盛ったらええか?」『マジで?』マリは雑誌を取出した。『こんなんできる?』「ん。ま、だいたいこんな感じか。ちょっと待ってな。」カバンからストレートアイロンを取出し、ついでにタクシーに電話。マリの髪をセットしはじめる。「ピン貸して。」『はい。』「よし。後はケープで固めるから目つむって。」『ん。』「こんなんでいい?」『めちゃ上手いやん!これからお金払うからして?』「笑。15ももらってるからええよ。」『あ!はよ行かな!』「タクシー呼んでるから行っておいで。」『あんたマジ助かる!行ってきます!』「はいよ。」
    【女の子の雑誌のセットの仕方見て勉強しててよかった。】

    2008-04-27 19:06:00
  • 156:

    名無しさん

    初めて読みました。どう表現したらいいかわかんないけどとっても面白く、とても魅力的な作品ですね。続き楽しみにしてますね。

    2008-04-28 19:23:00
  • 157:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリが出て行った後、散らかった化粧台を片付ける。「うわぁ。化粧品めちゃめちゃあるな…。これとこれは何が違うねん?」頭にハテナがたくさんできる。「メイクも勉強するか…。」マリの雑誌をパラパラめくる。「おっ?ふむふむ。」雑誌にはメイク前、後の写真があり、なるほどかなり目が大きくなったり、肌が綺麗になったりしている。「チーク?何それ?ん?あぁ頬紅な。グロス?あぁ。あの唇が天ぷら食べた後みたいなのか。」こんな調子で本を熟読。「んー。いまいちわからんな。やっぱ実際にやってみんと…。」
    【メイクする?俺を…】

    2008-04-29 04:24:00
  • 158:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「あかん。あかん。この化粧品だって高いかもしれんし、勝手に使ったらあかんな。」と改心。掃除機をかける前にマリにメール。〈マリ?部屋掃除機かけていい?後、洗濯したいけど下着類は自分でする?〉送信。しばらくするとマリから《何で?やってよ?掃除機かける時、ピアスないか探してみて?》「…何だよ。最近の子は下着を見られるのに、抵抗はないのか?ピアス?どんなだよ。」ぶつぶつ独り事。それでもフローリング床を目を皿のようにして観察。【ジロジロジロリッ!】 

    2008-04-29 19:57:00
  • 159:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    探し始めて30分くらい経過。流石に嫌気が差し、途方に暮れていると…。「おっ!そうや!掃除機のゴミパックを替えて、新しくしてからこの部屋中を吸い込むぞ!ほんなら中にあるかも!」と閃く。早速新しいゴミパックを持ってきてチェンジ。万が一を考えて、古いほうのゴミパックをゴミ袋に広げてチェック。「あ!マリ…。硬貨めっちゃ吸い込んでるやん。」五百円玉に百円玉…。合計千円はある。「…。お金稼いでたってこんな事してちゃいけないんだぜ…。」少し悲しくなりながらも、掃除機をかけはじめる。 

    2008-04-29 20:05:00
  • 160:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「しかし無いな…。」掃除機にはまったくヒットしない。「あー。ない。」疲れたのでマリのベッドに腰をおろす。 
    「あ…まさかな。あれじゃないよな?」ふと枕元の電気スタンドに目をやるとシャネルのピアス。写メを撮りマリに送信〈マリ。ピアスてこれけ?〉しばらくするとマリから《それ!どこにあったん?》とメール
    【orz】
    「何やねん。時間の無駄かよ。」とふてくされるも、マリには〈ベッドの電気スタンドの所にあった笑。〉とメール。

    2008-04-29 20:10:00
  • 161:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    気を取り直して、洗濯を始める。あんまりないが、ベランダにでてみると流石に8階。「なかなか高けぇな!」感心しているとお隣さんも洗濯干し。軽く会釈をすると『こんにちは。』と言われ、動揺。聞こえたかわからないくらいの小さい声で「こんにちは。」手早く干し終わり、いそいそと部屋に逃げ込む。「知らない人は苦手。苦手。」さて、掃除も一段落。先程掃除機に吸われていた哀れな硬貨を洗剤で洗ってあげる。そしてマリにお手紙を書き、部屋に置いて、マリの部屋の扉を閉める。
    〔小額でも、お金はお金。自分で稼いだ金なら少しも無駄にしたらあかんで。全力で使え!〕
    【これでよし?】

    2008-04-29 20:21:00
  • 162:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリがいつ帰るかわからなかったので、メールで〈帰る前にメールして〉と送信。買い出しに行く事にした。「しかし、あのスペシャルパフェ…。1人で完食できる人はいるのか?」喫茶店の横を通る時ふと思い声に出す。…と携帯が鳴る。マリだ。『もしもし?』「はいはい。こちらは蟲。」『笑。何それ?あんな蟲、今日は愛人にしてもらってる人に会うから、メールとかやめて。』「うむ。」『んで泊まりやから適当に過ごしてな。ごめん。じゃ。』返事をする間もなく終和。「そうか。突然にやる事がなくなったな…。」買い出しに行くのを中止した。
    【少し淋しいな。】

    2008-04-30 01:50:00
  • 163:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリからの連絡で予定がなくなったので駅前をブラブラ。「ん?誰かにつけられてる気配…。」知らん顔しながら、歩く。…歩く。いつまで歩いても見られてる気配。「職質かな…。」流石に気味悪くなり思い切って振り返る。「お!犬コロか!ビックリした。」そこにはまだ少し小さいフレンチブルドックと見られる犬がついて来ていた。「…笑ってる。」何だ犬かと気にせず歩くもついて来る犬コロ様。仕方なく側により話しかける。「お前何でついてくるんだよ。飼い主は?」[ハッハッハッ!]「暑いのか?」何を聞いてもハァハァ言いながら笑う犬コロ。
    【フレンチブルドックてほんまに笑ってるみたいに見えるな。】

    2008-04-30 15:45:00
  • 164:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    懐に少し余裕があるので飲み物と食い物でも買ってやるかとコンビニに立ち寄る。ちゃんと待つ犬コロ様。ソーセージと水を購入。(犬コロ様用。)カフェオレとからあげくんも購入(蟲用。)「お待たせ。」犬コロ様は尻尾を振り、笑う。「可愛いなお前。男か?女か?」持ち上げて確認。「野郎かよ。ま、いいか。」その場に座り込み、犬コロにソーセージを奉仕。[…。プイッ]「…食べろよ。」何故か食べない犬コロ様。同時に僕のからあげくんを凝視。「ん?こっち?喰うか?」からあげくんを奉仕。[パクパク。]笑いながら食べる犬コロ。「ずっと笑ってるな。お前。」手に水を入れて近付けてみる。[…プイッ]「…飲めよ。」「水はいらないのか?」カフェオレを凝視する犬コロ。「?飲むか?」[ピチャピチャ。]「…。」仕方なく、僕はソーセージと水を。犬コロはからあげくんとカフェオレを食べはじめた。
    【それ俺の!】

    2008-04-30 15:58:00
  • 165:

    「お前どこの犬だよ。」[…。]アゴを地面につけ休んでいる犬コロに問う。「…。困ったな。俺はもう行くぜ。」立ち上がり、駅に向かうとあわてて付いてくる犬コロ。「…。お前は何故俺にだけついてくるんだ。」[タッタッタ。]やはり付いて来る犬コロ。タクシー乗り場のオッサンに質問。「この犬ってよくこの辺おる?」『?いや?見た事ないな…。』「…。」飼い主を探してみるがいない。仕方ないのでしばらく駅前で1人と1匹でたたずむ。
    「俺もお前みたいなもんだから、飼ってやれないぜ?犬。」[ハッハッハッ。]「笑うなよ…。」辺りも暗くなりはじめて来た。マリの巣に帰ろうと歩くとやはり犬コロは付いて来る。
    【困ったなぁ。】

    2008-04-30 19:44:00
  • 166:

    ゆっくり歩いたが、マリの巣に着いてしまった。「どうしよう。」…とマンションから出てきた人がミニチュアダックスを連れていた。「おっ?ペットありか!しかし俺は寄生してる身だからなぁ…。」マリは犬を飼うことを許してくれるだろうか?「聞こうにも、今日は聞けないし…。お前タイミング悪いよ。」[ハッハッハッ。]「笑うなって。」このままいても仕方ないのでマリの巣に連れて行く事にした。「行くぞ。」ちゃんと付いて来る犬コロ。
    【可愛い。可愛い。】

    2008-04-30 19:53:00
  • 167:

    マリの巣に入り自分の部屋に。「ここなんだが。お前吠えたりするなよ?マリにまだ聞いてないんだから。」[ハッハッハッ。]「今日だけになるかもしれないぜ。」ちゃっかり僕の布団にちょこんと座り笑う犬コロ。「まずお前を洗う。汚いかもしれないから。」[ハッハッハッ。]「暑い?ま、シャワーするぞ。」風呂場へ。どこに行くにも付いて来るのがなかなか可愛い犬コロ。シャワーしても嫌がらずおとなしい。「よしよし。風邪引くから乾かそうな。」[ジャブジャブ。]「あ!その水飲むな!」ドライヤーをあててもおとなしくしてる。「お前飼い犬だろ?」[ハッハッハッ。]飼い犬だと飼い主はさぞ心配してるだろうと、紙に僕の携帯番号を書き、写真を貼って駅前にビラを貼らしてもらう事を思い付く。 
    「カメラ買わないとな。」

    2008-04-30 20:01:00
  • 168:

    名無しさん

    やっぱおもしろいです!最近更新をワクワクしてます。

    2008-04-30 22:48:00
  • 169:

    >>168さん
    ありがとうございます。
    申し訳ないのですが、次回からは感想スレの方に書き込みして頂けたら幸いです。

    2008-05-02 05:47:00
  • 170:

    「そうと決まれば、早速カメラを買いに行こう。」[チラリ…]立ち上がるとこちらを気にする犬コロ。「お前は留守番してろよ?」[…。スッ。]言葉を無視して立ち上がる犬コロ。「一緒に行くか?」[フリフリ。]尻尾を振り、行きたいアピールをするので、仕方なく小脇に抱えて、マリの部屋に鍵をかけ、外出。
    道行く人達が犬コロを見て微笑む。「お前笑ってるみたいやからやろな。」[スタスタスタ。]返事はかえって来ないが話し掛ける。ペットは人間の言葉はわからないが、わかろうとすると何かの本で読んだからだ。しばらくするとコンビニに到着。「待ってろ。」と一声かけて、コンビニへ。犬コロをつなぐ紐なんかないのでダッシュでカメラを購入し、犬コロの所に戻る。「お。賢い賢い。待ってたな。」[フリフリ。]尻尾を振りついて来る。
    【君は本当に可愛いなっ!】

    2008-05-02 05:58:00
  • 171:

    「さて、お前首輪してないんだな。」[タッタッタ。]「いらねぇか…。」しかし、連れて歩く時に不便だと思いペットショップなんかないかななんて携帯で検索する。「お。結構近くにあるな。歩くか。」[スッ。]「どした?犬コロ。」携帯に気をとられている間に座り込んでる犬コロ。「疲れたのか?」[ハッハッハッ。]「だらしねぇな。」犬コロを抱き上げる。[ペロペロ。]「うわっ!顔舐めるな!」抱っこされて笑う犬コロ。

    2008-05-02 06:07:00
  • 172:

    しばらく歩くと、ホームセンターらしきものがあった。「おっ?ここにもありそうだな。」[…。]犬コロと一緒にホームセンターへ。「ペット…。ペット…。あ!あったあった。ほう何か種類めっちゃあるな。どれにしようか…。」まったく興味なさげな犬コロ様。「これは?お前白いから赤がいいな。これ。」[…。]試着してみる。「いいやん。これにしようぜ。」腕から肩を通すタイプを購入。ついでにデンタルガムも購入してやる。「お前ワクチンとか打ってなさげだな…。明日病院に行くか。」早速リードをつけて、歩かせる。引っ張るなよ。と言いたげな犬コロ様を連れて、マリの巣に帰った。
    【ランランラン♪】

    2008-05-02 08:43:00
  • 173:

    マリの巣に着くなり、水をがぶ飲みする犬コロ様。疲れたのだろうそのまま寝てしまった。「さて、ご飯食べるか。」いつもなら、飼い主の残飯を皿洗いがてらにつまんだら終わりなのだが、今日は主もいない。自分のためだけにご飯を作るなんて面倒だ。 
    「何か買ってくりゃよかったかな…。」冷蔵庫を覗きながら独り言。後ろにはやっぱり付いてくる犬コロ。「お前は、ソーセージがあるよ。ま、適当に何か作るか。」渋々、料理を始める。「ソーセージをボイルして、目玉焼きを焼こう。パンもあるしな。」  
    【人の飯なら、喜び作るが、自分の飯となりゃ、面倒。面倒。】

    2008-05-02 08:53:00
  • 174:

    皿に盛り付けなんか考えないで、適当に置く。「さ、でーきた。」料理中ずっと上を見上げてた犬コロも慌てて付いてくる。「いただきます。」手をあわせ食べ始めると、痛いほどの視線を感じる…。[ハッハッハッ。ハッハッハッ。]「ソーセージ喰うか?人間用の味付けだから、体にあんまりよくないと思う…。」ソーセージを置く。[パク。]「うまいか?」気に入った様子で食べる犬コロの頭を撫でる。「このまま一緒にいれたらいいな。」[フリフリ。]食器を片付け、犬コロのトイレを作り、今日は眠る事にした。もちろん犬コロを抱き締めて。

    2008-05-02 09:06:00
  • 175:

    次の日、昼過ぎに起きてギクリとする。「うぉっ!こんな時間。マリ帰ってるんじゃ…。うぉっ!あ!そうかお前がいるんだな。」起きた僕を見て尻尾を振り近づいてくる犬コロ。 
    「おはよう。」犬コロに挨拶して、リビングをこっそり覗く。「よし。まだ帰ってないな。」犬コロの事でマリに連絡したかったが、まだマリから連絡がなかったのでやめておく。「お。そうだそうだ写真を撮らないとな。」部屋に戻ると犬コロ様が僕が作った、簡易トイレにきちんと用をたしていた。「偉いな。お前。やっぱり飼い犬だろ?家出か?」[…。]都合の悪い事は全て笑う犬。そうでなくてもずっと笑顔のこの犬コロは、僕の心を癒してくれた。

    2008-05-02 09:17:00
  • 176:

    取り敢えず、何枚か犬コロの写真を撮り、後で現像して、駅前に貼るビラを作る事にした。
    「はい。笑って笑って!」[…。]わざとか?と思うくらい無愛想な犬コロ。今日はご機嫌ななめらしい。「はい。ラストな。」我慢できなくなったのか、最後は笑顔。「これでよし。」カメラ片手にスーパーへ。「犬コロ。飼い主見つかるといいな。」[ハッハッハッ。]スピード写真に預けて、そのまま散歩。30分ほどでできるとの事なので、ソフトクリームなんかを購入して椅子に座り、犬コロと美味しくいただいた。

    2008-05-02 09:38:00
  • 177:

    あっという間の30分。犬コロを連れて、また写真屋へ。「ほう。なかなか上手く撮れてるわ。」[ハッハッハッ。]「帰ろうぜ。」駅前から歩いていると着信。「もしもし。」『蟲?今何処?お腹すいた。』「あ。帰った?ごめん。駅前やからすぐ帰る。」『わかった。』電話を切り終わってから犬コロの事を言うのを忘れる。「何て言おうか…。」[ハッハッハッ。]僕の心配をよそに笑う犬。
    【あんた明るいね。】

    2008-05-02 09:44:00
  • 178:

    「ただいま。」[…。]玄関に犬コロをつなぎ、マリの部屋に。ノックして入室。『おかえり。』「マリ?あんな、言いにくいねんけど…。」『え!?なに?出て行くん?お金?お金足りひん?』「いやいやいや。違うねん。あの…。犬とか好き?」『え?犬?好きやで。』「よかった。あんな、マリがおらん間に駅前で変な犬になつかれてしまってな。」『へぇ。』「多分飼い犬やねんけど、見つかるまでここにおらしたらあかん?」『ええけど、蟲の部屋で飼いや?』「ほんま!?ありがとう!」『どんなん?』「ちょっと待ってて。」慌てて犬コロを連れに行く。「真面目な顔してろよ?」[ハッハッハッ。]「笑うなよ…。」やっぱり笑う犬をマリに見せる。
    『むっちゃ可愛いー!こんなん捨て犬な訳ないな。』「せやろ?せやから駅前にビラを貼るつもりやねん。」『そうなんや。ほんま可愛いな。笑ってるみたい。』「せやろ。」
    【ニヤニヤしない!犬コロ!】

    2008-05-02 09:53:00
  • 179:

    マリが犬コロをおいておくのを許してくれて肩の荷がおりた。意気揚々とマリのご飯を作る。犬コロはほっぺを左右に伸ばしたりしてご満悦。犬コロは横目でチラチラ僕を気にしてる。「さ、今日はチャーハンにしたよ。」『ありがとう。』「犬コロ。行くぞ。」『なついてるなぁ。犬コロって。笑。名前はつけへんの?』「まぁ、まだ飼う訳ちゃうし。」『そうなん?』「うん。」マリの部屋を出て自室へ。
    【名前…名前ねぇ?】

    2008-05-02 10:02:00
  • 180:

    「んー。名前か。お前名前ほしいか?」[ヘッヘッヘッ。]「…。何かいい名前なぁ…。犬が一番いいやすいし…。」[ハッハッハッ。]「ま、犬でいいよな。」思いついたらつける事にした。さてマリが食事を終えたっぽいので食器を洗いにキッチンへ。犬コロもオトモする。まったく役にたたないが、可愛いので許す。食器を洗う僕の横でアゴを床につけ待機。『可愛いな。蟲大好きなんやろな。』「そうか?」『ビラできたん?』「ん?後、文章書くだけ。」『やろっか?』「ええよ。ええよ。」『おいで。』[…。]マリが呼んでも犬はチラ見するだけだ。 
    【女は嫌いかい?】

    2008-05-02 18:13:00
  • 181:

    「よっしゃ。こんなんでええか。捕獲した日にちと連絡先書いたし、犬の写真も貼った。」『いいんちゃう。写真どーしたん?』「撮った。カメラで。」『デジカメあったのに。』「ん?使い方よーわからんから。」『あんた器用か不器用かわからんな。』「ほっとけ。早速明日、駅前行こ。」『蟲が飼えばいいやん?』「俺、住む所安定せんから…。」『ここにずっとおったらあかんの?』「!!」マリの口から当たり前に発せられた言葉に僕は驚いた。そして感動した。「馬鹿野郎。」なんて照れ隠しに言ったが、その言葉にどれだけ感謝しただろう…。
    【ありがとう…。】

    2008-05-06 05:40:00
  • 182:

    部屋に寝ている犬コロを見て、「飼い主見つかるといいな。」と話しかける。[スースースー。]幸せそうに寝る犬コロ。
    僕がもっと普通で、ちゃんと住む所があれば…このままお前と暮らせたかな…?
    もしちゃんと働いていたら…お前とこのまま暮らせたかな…?
    僕は自分の両手を見つめた。そして思いっきり自分の横っ面を殴った。鈍い音に驚いた犬が僕に駆け寄る。そんな犬を抱き寄せ、「なんでもない…。」と呟き眠りについた。

    2008-05-06 05:52:00
  • 183:

    次の日、マリが仕事に行くのを見送った後、犬コロをオトモに駅前へ。コンビニでカラーコピーでビラを何枚かコピーして、駅員に貼っていい場所を聞く。なかなかいいオッサンで構内にも何枚か貼ってくれた。「サンキュー。」お礼を言って、犬と来た道を帰る。帰りにコンビニでおやつを買わない事が不服だったのか、急に歩かなくなる犬。「まったく。」[…。]肩に担ぎ上げる。馬鹿にしたように笑う犬コロ。「世話のやける奴だな。」そう言って、僕も笑った。

    2008-05-06 06:05:00
  • 184:

    犬コロと同居しだして1週間くらいたった頃、携帯に見知らぬ番号から何度か不在着信があった。キッチンでマリの食事を作っているとやはり知らぬ番号から、電話。『出ないの?』とマリが聞くので、知らない番号だし、気味悪いので放置してるとマリに言うと『ビラ見たんじゃない?』と一言。「あ…。」すっかりそんな事忘れていたしだい。
    慌てて掛け直す。
    「もしもし?」〔すいません。駅前のビラ見たんですが…〕
    【おっ!キタコレ?】

    2008-05-06 19:27:00
  • 185:

    「あ!ハイハイ。飼い主さんですか?」〔はい…。買い物してる間にいなくなってしまって。〕「そうですか!」良かったとテンションも上がりでかい声になる。「犬持って行きましょうか?」〔え?いいんですか?〕「ハイハイ。こちとら暇で暇でやる事なくて…。」〔は?〕「いやいや。汗。じゃあ駅前で待ち合わせしましょう。」〔わかりました。〕と約束し、終和。『何て?』「かくかくしかじかで…。」『そうなんや。ほな行くん?』「あぁ。」『蟲はそれでいいん?』「…。しゃーないな。せやしこいつかって、前の飼い主見たら喜ぶわ。」
    マリはまるで僕の気持ちを見透かしたような目でしばらく見つめ気だるい声で『そう…』とだけ言った。

    2008-05-06 19:37:00
  • 186:

    いつもの散歩みたいにリードを持つと何にも知らずに喜ぶ犬コロ。マリが客に買わせたって持ってきた犬コロお気に入りの高い服を着せて、僕は「いこっか…。」と小さい声で言った。たった1週間暮らしただけなのに、この部屋には犬コロとの思い出がいっぱい詰まってた。玄関に行くと、元気のない僕の肩を押すようにマリが『気をつけてね。』と大きな声で言った。

    2008-05-06 19:43:00
  • 187:

    「おうよ。」元気なふりをして勢いよく玄関を飛び出した。何度か1人と1匹で歩いた駅前までの道を踏みしめて歩く。コンビニで犬コロが大好きだった、からあげくんを購入する。ふと外を見るとお座りして僕をちゃんと待っていた…。「オイ!犬コロっ!何でお前はそんなに賢いのに俺に付いて来た?」[ハッハッハ…。]「お前が前の飼い主から離れへんかったら、俺、こんな辛い目せんでもよかったやんけ…。」[ハッハッハ?]次の瞬間、僕は言葉も何もわからないで無邪気に笑う犬を力いっぱい抱き締めた。
    【人の気持ちも知らねぇで…】

    2008-05-06 20:02:00
  • 188:

    [ゲホゲホ。]むせる犬コロ。「…行くぞ。」いつもならUターンする道を駅前の方に行くので、不思議そうにする犬。何度も涙が出そうになるのをこらえて、歩きだす。駅前に着くと線の細い女の子が話しかけてきた。〔蟲さん?〕[ハッハッハ!]犬コロが尻尾をふる。「はい。」〔ありがとうございます。ラウおいで!〕[ハッハッハ!]尻尾をふり駆け寄る犬コロ。「ラウってのか…。」〔この子笑ってるみたいでしょ?だから笑うのラウ。あは。〕「いい名前ですね…。」

    2008-05-06 20:34:00
  • 189:

    僕は、抱き上げられた犬コロに「リードとその服は俺からの餞別だ。」と言った。
    「じゃあ。」足早に立ち去ろうとする僕を犬コロは飼い主の腕から飛び降りて追い掛けて来た。[ワンワンッ!]「…。」無視して歩く。[ワンワンッ!]立ち止まらない僕を一体どうした?と言った風に周りをぐるぐる回る。
    今まで押し殺していた感情が一気に溢れだし、僕はその場に泣き崩れた。

    2008-05-07 15:14:00
  • 190:

    「犬コロ。俺はお前を飼ってやれないんだ。」[…。]「俺は自分の事しか考えてない奴なんだ。俺と一緒にいてもろくな事ないぜ。」[…。]「見ろよ。お前には素敵な飼い主さんがいるじゃないか。」涙をサッと拭い、犬コロを抱き上げ飼い主に渡す。「今度こそお別れだ。元気でな。」犬コロの頭をポンと叩き、その場を後にする。〔また時々会いに来てあげて下さいね!〕そんな声が背後から聞こえて振り返る。今度はしっかりと抱かれた犬コロは、今までで1番の笑顔でいつまでもいつまでも、僕を見つめていた…。

    2008-05-07 15:49:00
  • 191:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 192:

    犬コロがいなくなった帰り道、独り歩く。マリの巣に着いた頃、聞き慣れないメール着信音がが鳴った。件名…0*0*********「ショートメール?」画面を見る。本文…[これも何かの縁かと思いますので、また連絡していいですか?]ラウの飼い主からだった。いいですよとアドレスを貼りつけメール送信。エレベーターに乗り込み、マリの巣の扉を開ける。
    「ただいまっ!」何もなかったかのように元気に振る舞う。「あれ?」マリの姿がない…。キッチンに行くと置き手紙があった。
    「なになに…?」[蟲へ。今日は辛かったね。私はあなたが望むならずっとここに住んでもらってもいいと心から思ってるよ。私がここにいたら、気を使うと思うから、今日は友達の家に泊まるから。たっぷり泣いたら?笑。マリ]「…。ありがとう。」マリの手紙を読んで無意識に感謝の言葉が出た。僕は自分の部屋に戻り、ベッドに腰を下ろした。

    2008-05-10 14:22:00
  • 193:

    「…。疲れた。」ラウがいなくなった部屋で僕は大の字になった。マリがここでずっといてもいいと言ったのに、何故ラウを飼わなかったのか自分に問う。表向きは前の飼い主に返した方がいいと思ったからだ。でも本当にそうか?僕はきっとこう考えたんだ。ラウがいたら、もしこの巣を出て行く時に面倒だ。置いてきぼりにする事はできないし、かといって次の主が決まらない間、ラウをどうするのか?銭湯にも泊まれない。野宿するか?犬の為に?巣の主が犬を嫌いだったら?また違う主を探す?僕は自分の弱点を知っていた。それは見切りの早さだ。

    2008-05-10 14:42:00
  • 194:

    どんな局面においても自分を守る事をまず第一に考える。慎重すぎるほどに。自分の今の生活を脅かす者は全て排除する。やってみなきゃわからないなんて事はしない。偉そうに女の子に説教なんてしながら、結局は自分が可愛いんだ。今まで寄生してきた飼い主にだってそうじゃないのか?自分の都合が悪くなったら、自分に害を及ぼすと考えれば、やってみなきゃわからない事に挑戦しなきゃならなくなれば…見切る…つまりは…逃げる…。
    僕は1つ確信していた。このままじゃ…。
    【ボクハ、イツカデキル、最愛ノヒトモ…必ズ…見棄テルト…。】

    2008-05-10 15:15:00
  • 195:

    僕は、たった1匹の小さな犬にそれを再認識させられた。
    心に…体に…染み付いたその習性はちょっとやそっとじゃとれない。ラウの写メを見ながら、それでもラウがいなくなって少しホッとしている自分に反吐が出た。
    あんなに泣いたりしたのはただのポーズか?いや違う、僕は犬1つ飼えない不甲斐ない自分に涙した?だとしたら何故今、ホッとしてる?よかったな。自分の居場所守れて…。
    僕は自分がもうわからなくなり、その夜はもう寝る事にした。

    2008-05-10 15:32:00
  • 196:

    ガチャン。
    玄関のドアの音で飛び起きる。『ただいま。』「おはよう。おかえり。そして昨日はありがとう。」『よー泣いた?笑。』「…。」『ま、ええわ。』「腹すいてる?」『いや。さっき食べてきた。』「そうか。」『蟲?今日暇?』「今日も糞も毎日暇。手のかかる犬はもうおらんし。」『デートせーへん?』「デート?」『笑。冗談。買い物付き合って?』「ええよ。仕事は?」『今日は休む。』「結構な頻度で休むな。」『ま、愛人探しやから。』「ほぅ。」『ほな用意してや。』「へいへい。」マリに促されシャワーを浴びて、着替える。
    【何を買うのかなっと】

    2008-05-13 09:16:00
  • 197:

    支度も終わり、2人で巣を出る。『出会ってから、初めてじゃない?出かけるの。』「せやな。」『もっと嬉しそうにしーや。』「…。」怪訝な顔で僕がマリを見るとマリは腕を組んできた。
    「おいおい。」『いいやん!さぁ覚悟しーや!連れ回すで!』「…。」タクシーを停め、乗り込んだ。「またタクシーかよ。たまには歩こうぜ。」『いいから。いいから。』何処に行くのかもわからないまま、車に揺られる事、15分。繁華街に出て来た。
    「すげーな。人多っ…。」『久しぶりちゃう?こんな街中くんの。』「…まぁな。しかし、人が…」『笑。さ、まず一軒め。行くでっ!』 
    【1軒め?】

    2008-05-13 09:37:00
  • 198:

    しばらく歩くとマリが急に曲がる『ここっ!』「うおっ!」『可愛いー。これ雑誌に載ってた!あ!これも可愛い!』「服かよ…。」いつも気だるそうなマリはイキイキとして洋服を選びだす。「やれやれ…。」『これめっちゃ可愛い!な?蟲?これとこれどっちが似合う?これはなここにリボンが何たらかんたら…(以下省略)』「…どっちも買えよ。」『…せやなっ!』「…。」服を2着購入。『次行こ!次。』「…次何買うん?」『靴♪』「靴?よーけあるやんけ。」『あれは去年の!』「え?去年のとか…新しい年になる毎に変えるん?」『当たり前やん。』「へぇー。水着感覚やな。」
    【俺なんか…ずっとこの靴…一張羅。】

    2008-05-13 09:52:00
  • 199:

    「まだ歩くん?」『さっきたまには歩こう言うたやん。』「…。」買い物となると、女の子は元気になるのか?と不思議に思う。『着いた。』「じゃ。俺はあっこで座っとく。」『はぁ?あかんで。蟲に選んでもらうねんから。』「…。店員がおるやん。」ぶつくさ愚痴を言いながらも巣の主に従う。『ほらほらこれ見て?こっちとどっちがいい?』「…だからどちらも買えと。」『あかん。選んで。』靴なんかはけりゃいいじゃねぇかとマリが持つ靴を凝視。
    「…こっち。」『へぇ?何で?』「マリはよく白い服着るから。足元はにぎやかな色がいいかと。それにこっちのが踵が低いし転んだりしないかなと。」『ん。ファッションセンスはひと昔前やけど、気づかいがええな。んなこれ。』 
    【ひと昔前?昭和初期やがな!】

    2008-05-14 01:27:00
  • 200:

    さて靴も購入したし帰るのかと嬉しく思ってたら、『ちょっと休憩する?』とマリ。「休憩?まだどっか行くん?」『後は化粧品とか…スカルプとか…(以下省略)』「…。」気が遠くなるが、前日、巣を空けてくれた恩があるので黙ってついてく。荷物は左手に2袋。『あっこでお茶しよか。』「うむ。」店内はひんやり涼しく、普段駅前までしか歩かない僕は、少し汗をかいていたので嬉しく思う。『何する?あたしカフェオレ。』「ならアイスコーヒー。」『甘いのは?』「いいの?なら季節のケーキ。」店員がクスッと笑う。『ほなそれ2つな。』店員につげるマリ。
    【店員は何故笑ったのだ?】

    2008-05-14 01:36:00
  • 201:

    お待たせしましたとの声で運ばれるケーキとコーヒー。ニコニコしながら店員が置くのを待つ。ちゃんと店員が立ち去ってから食べはじめる。「うまい!」『あんたほんま子供みたいやな。』「そうか?」『店員笑うてたやん。』「おう。おう。あれなんでやろな?」『あんたみたいなちょいイカツイ男が私に確認してから、ケーキ頼んだからちゃう。笑』「へぇ。イカツイか…。」『あんた背でかいし、ガタイいいやん。』「そか?ま、いーわ。」『あんたいつもそっち座るん?』「ん?おう。」『わざと?』「癖。」『癖?ホストの時の?』「ん。」『ちゃんと教えて。』
    【うるせーな。せっかくケーキ喰ってるのに】

    2008-05-14 01:57:00
  • 202:

    「一言で言うとレディファースト。そっちのが背もたれちゃんとしてるし、人に後ろ通られたりせんから落ち着くやろ。」『まぁ確かにな。』「終わり。」『短っ。そう言えばあんたって常に気にしてるよな私の行動。』「んなことないやろ。」『だって段差があるとこは必ず後ろ向いてあたし確認するし、車通りがある所並んで歩く時はあんたが必ず車道側歩いてる。』「へぇ。よく見てるな。」『全部癖?』「ま、そんな所。」『ふーん。あんたとおったら退屈せんな。』「早よケーキ食えよ。」『あ。そやな。』
    【ちっ。喰うのか。】

    2008-05-14 02:13:00
  • 203:

    しばし2人でまったりした後、化粧品を購入しに行く。『疲れた?』「普通。」『…。』少し歩くと綺麗なおねいさんがいる化粧品店に到着。「ここで待ってる。」少し離れた場所で言う。『何でなん?』「女の子しかいないから。」『変な子…。』首をかしげるマリ。「あー。しんど。」その場にしゃがみ、遠目にマリを観察。座って熱心に何かを聞いている。「…。化粧品なんて全部一緒ちゃうんかな?」ファンデーションやら口紅やらを出しているカウンター。観察を続けてるとマリが振り向きニコリと笑う。つられて俺もニヤニヤしてみる。
    手招きをするマリ。
    【???】

    2008-05-16 08:55:00
  • 204:

    仕方なく腰をあげ、マリの元へ。「何?」『なぁ、ファンデどっちがいいと思う?』「ん…。(そんなのまったくわかんねぇよ。)」野性の勘を頼るかと思ってたら、不意にカウンターの綺麗なおねいさんと目があう。「んー。」手を左側のファンデーションに向けようとするとおねいさんの眉間にシワがよりかける。「…。(えっ?こっちダメ?じゃあ右側?)」『どっちよ?』マリがせかす。「ちょっと待て。」右側のファンデーションに手を伸ばす。おねいさんニコリ。「…。(こっち?こっちなんだなっ!)じゃあこっち。」とフェイントで左を指す。  
    【ふふふのふ。】

    2008-05-16 09:14:00
  • 205:

    『ほなそれ。』かしこまりました。と奥に引っ込むおねいさん。無事購入し、店を出た所でマリに質問。「なぁなぁ。さっきの化粧品、どっちが高かった?」『えっ?左側。何で?』「いや。何でもない。(orz…)」敗北感を感じながら歩く。「次は?どこ行く?」『んー。スカルプやねんけど。ネイルしよっかなー。』「そうか。(違いがわかんねぇよ。)」『ネイルやったら蟲暇やろ?』「?(さっきからずっと暇じゃ。)」『1時間くらい待つけどいい?』 
    【地獄やな…】

    2008-05-16 09:27:00
  • 206:

    『蟲、待てる?』「へいへい…。」と不意に財布を取出し、万札を差し出すマリ。『はい。これでどっか行って時間潰して?』「…おいおい。そんなんあんま良くないで。俺はちゃんと給料もらってるし…。」『?』「金に物言わすなって言うとるねん。」『いらんの?なら行って来るわ。』「…。」首をかしげながら、ネイルサロンに入って行くマリを見て…僕は昔を思い出していた。

    2008-05-22 01:41:00
  • 207:

    【回想】
    『蟲っ!シャンパンもう1本!』僕が席に戻るなりアリサが言う。来店5回ほどの客だ。職業は美容師見習い。「おいおい。大丈夫かよ。」『大丈夫。まだお金あるから。』「あほ。そうやなくて、明日も仕事やろ?見習いやったらまだ周りに気使わなあかんし、仕事見とかなあかんやろ?酔って朝帰りしてできるような甘い仕事か?」『まだ酔ってないし。』アリサは口をとがらせる。「大体な、見習いの給料でそんな飲み方できるほどうちは安くないで。」『…。』「チェックするで。」『…うん。』ボーイに合図を送り、チェック。 
    『ごめん。』エレベーターでアリサがポツリ呟く。「何が?」『酔って調子乗ってもたから。』「美容師なるんが夢なんやろ?アリサ言うてたやん。将来店出したいってよ。そんなんで叶うか?」『…最近、うまくいってないねん。』「そらそやろ。夢やねんからそう簡単に上手い事いって叶う訳ないやんけ。」『わかってる…。』アリサはポロポロ泣き出した。
    【あちゃー。言い過ぎた?】

    2008-05-22 02:04:00
  • 208:

    気まずい空気が流れた後、『今日は仕事いかへん。』アリサが言った。「…。」僕は深いため息を吐く。「勝手にしろ。」エレベーターが階下につき、アリサを送り出し、無言でエレベーターのドアの閉ボタンを押す。 
    閉店業務を終わらし、メールを自分が持ってる客、一人一人に送る。「これでよし。あー。疲れた。」ソファに寝転ぶ。 
    [蟲さん?]「あい?」[あの…下でアリサさん寝てますけど…。]「ハァ?」[結構飲んでましたから。]「そか…。ありがとう。」舌打ちをしながら店を出る。 
    【やれやれ。】

    2008-05-30 18:39:00
  • 209:

    エレベーターを降りると情報通り、アリサが落ちてる。「おい。アリサ!アホかお前。風邪引くぞ。起きろ!」『スゥスゥ…。』「爆睡かよ。」強めに揺さ振ったりしてみたが、反応なし。「あー!もうせっかく仕事終わったのに!」うんともすんとも言わないアリサにほとほと困りはてる。「こいつの家知らんし、放置もな…。俺の家は誰にも知られたくないし…。ホテルしかないか…。」タクシーを停め、運ちゃんに手伝ってもらい、二人がかりでようやく席に乗せ発車。 
    【あー。厄日やな。】

    2008-05-30 18:45:00
  • 210:

    「あの運ちゃんさ、このへんのじゃなくて、なるべく遠めのホテル行って?」《ホテル?》「うん。何て言うんか、シティホテル?」《シティホテル?》「あー。めんどくさい。ラブホや。ラブホ。」《あ。はいはい。》運ちゃんがニヤリと笑う。後部座席でアリサを突いてみたり、軽く蹴ったりするも反応なし。しばらくするとなかなか綺麗なホテルに着いた。 
    降りがけに運ちゃんが手伝いますと言ったが断り、気合いでお姫様抱っこ。酔って寝てるから重いったらない。部屋のボタンを適当に押し部屋へ。 
    【何の筋トレやねんな。】

    2008-05-30 18:53:00
  • 211:

    部屋につくなり、ベッドにアリサをほり投げる。「あー。重た。」しかし起きないアリサ。「まったくええ気なもんやで。」服を着替えさせたかったが、面倒なので却下。久々に来たラブホの綺麗さに感動する。ひとしきり、施設案内や、テレビ等を見たらいつのまにか寝てしまっていた。
    『蟲。蟲?起きて?』アリサに起こされる。「ん…今何時?」『…てかごめん。』「かまへんけど。」『こういう所よく来る?』「来るかっ!」『そうなんや。』「他の客に見られてて、売り上げ落ちたら、頼むで。笑。」『えーっ。』「ちょ俺シャワー浴びるわ。」『えっ?エッチするん?』
    【するかっっ!】

    2008-05-30 19:00:00
  • 212:

    セットしたまま寝てしまったので気持ち悪いったらなくて、シャワーで念入りに頭を洗う。鼻歌まじりに体も洗い、シャワー室を後に。「おっ?ガウンなんかあるんや。へへ。」初めてみるガウンに袖を通しご満悦。部屋に戻るとアリサはベッドに寝ていた。「どーする?俺、もう家帰ろうと思うけど。」『えっ?』「アリサも帰るか?」『…。もうちょっと一緒におって?』「…。仕事あるから、後二時間くらいしかおれんで。」『わかった。』「なぁ。ラブホなんかおってもしゃーないから飯食いに行かん?」『いいけど…。』「シャワー浴びといでや。」
    無言でシャワーに行くアリサ。

    2008-05-30 19:28:00
  • 213:

    テレビを見たりしていると、アリサが出てきた。「行こか?」『うん。』「頭洗わへんかったん?」『普通洗わへんと思う。』「ふーん?」意味はわからなかったが、部屋を出る事に。アリサが財布を出す。「ええよ。店で金使ってるから外では出すわ。」『いい。』自動精算機にお金をいれるアリサ。「変な奴。」『…。』タクシーに乗り降りる時もアリサが財布を出す。「さっき払ったから次は…」『いいよ。私出す。』それは食事が終わった後にも続いた。
    「なぁ?アリサ、なんでそんなに何でもかんでもお前が金払うねん?」『ん?前の彼氏がそうやったから。』「ホスト?」『いや。何もしてない人。』「…へぇ。(ヒモか?でもアリサ、美容師やしな…)」『お金使ったら嬉しいんやろ?』「ん?」『蟲言ってたやん。お店でお金使ったら嬉しいって。』「…。」『前の彼氏も私が服買ってあげたり、ご飯ご馳走したり、お金渡したりしたらめっちゃ喜びよってん。男の人ってお金使ったら嬉しいんじゃないん?』

    2008-05-30 19:42:00
  • 214:

    僕はその言葉を聞いて凍り付いた。『お金なくなったら、いつも私ふられるから…。』「…そっか。」ようやく出せた言葉はそれだけだった。『蟲?またお店行っていい?私、お金いっぱい使うから!』満面の笑みで立ち去ろうとする僕にアリサが叫ぶ。僕は無意識にアリサのもとに駆け寄りアリサを抱き締めた。『嬉しい?』そう聞くアリサがとても哀れで涙が頬を伝った。『どーしたん?蟲。泣かんといて。蟲。』それ以来僕は、売り上げを上げるため金を使ってくれたら嬉しい何てくだらない営業トークはしなくなった。

    2008-05-30 20:03:00
  • 215:

    それからアリサを店に呼ぶ事はなくなった。アリサの歪んだ恋愛感情を少しでも治せたら何てセンチな気分になったからだ。また、それまで自分がやってきた強引な色恋営業で何人かはアリサのようになってしまった子もいないとは言い切れなかったせいもある。
    ある休みの日僕はアリサとデートする事にした。 
    財布にいつもよりたくさんお金を入れ、待ち合わせ場所に早めに向かった。

    2008-06-01 14:23:00
  • 216:

    ゆい

    更新楽しみにしてます(・ω・)/

    2008-06-06 15:55:00
  • 217:

    待ち合わせの噴水の広場に到着。どかりと腰をおろし、後ろポケットから携帯灰皿を取出し、煙草に火をつける。「ふいーっ。ちょい早かったか…。」しばらく人間観察なんかをしていたら、不意に肩を叩かれる。『蟲。おはよー。』「おっす。ほな行こか!」『何処行くん?』「水族館に決まってるやん。」『え?何で?』「ええから行くぞ!」アリサの手を取り、タクシーに乗り込む。「運ちゃん水族館まで行って。」運ちゃんは軽く頷いた。『何で水族館なん?』「嫌いけ?」『いや…。でもちっさい頃くらいしか行った覚えない。』「あっちゃー。そらあかんわ。」『は?何がよっ!』「水族館はめっちゃええで。俺なんか一人で行ったりするしな。」『マジで?危なっ。』「…。アホ。水族館の素晴らしさを今から思いしらせてやるわっ!」『ほんま蟲って子供みたいやな。』

    2008-06-06 19:25:00
  • 218:

    そんな話をしているうちに水族館に到着。「さっ!行くぞ!」『ちょっと待ってよ!』アリサを後ろから押しながら入場ゲートに。『なんぼ?』「アホ。何でアリサが払うねん。」『だって…。』「大体デートに誘ったのは俺やぞ?」『…。』大人券を二枚購入。 
    ひんやりとした薄暗い館内の正面には巨大な水槽。『うわぁ…。』「なっ?すげぇやろ?」自慢気にニヤリと笑う。しばらく眺めた後、順路に従い歩く。『広いよなぁ。』「気が済むまで見てたら、1日で終わらんよな。」『それはない。』 
    【…。夢がない奴め…】

    2008-06-06 19:37:00
  • 219:

    『深海魚コーナー?』「あぁ。海の奥底にいる奴等だ。」『へぇ。なんかキモいな…。』「まぁ。でも普通に生きてたら、出会う事ない奴等やで?水族館でしか会われへんねん。」『いい事言うやん。』「あ!せや長老に挨拶せな。」『長老?』深海魚コーナーを後にし、次の水槽へ。「おっ!いたいた。長老!俺!俺!」水槽をコンコンとノックする。『どれよ?長老って?』「来た来た♪」水槽の上の方からゆっくりと長老がこちらに泳いで来た。『長老って亀?』「亀とは失礼な海亀だっ。」『一緒やん。』「…。貴様どうやら、誕生日プレゼントには生き物図鑑が必要らしいな。」『笑。あほちゃう。』「長老。ちょっと回って来る。また後でな!」水槽にくちばしがコツンと当たる音がした。『言葉わかるんかな?』「さぁ。俺ぐらい頻繁に来てたら、覚えたりはしてるかもよ。」『そんなに来るん?』「月2回は来るな。」『年間パス買ったら?』
    【パス買ったら毎日来てまうわっ!ハゲッ!】

    2008-06-06 19:53:00
  • 220:

    館内アナウンスが流れる。「うわっ!しまった!アリサ!走るぞ!」『えっ?何よ?』頭から?のアリサを急かし猛ダッシュ。「よっしゃ!前の席空いてる!」人混みをかき分け、水かぶり席に着席。ワクワクしながら、おねいさんの登場を待つ。『は…走ったの久しぶり。』「シッ。始まる。」コミカルな音楽とともにイルカマスターねーちゃん登場。簡単な挨拶、イルカもキイキイ鳴いて挨拶。流れるようにイルカジャンプ。 
    『凄いなぁ!』「うむうむ。」しばらくショーは続き、ねーちゃんがイルカにキスして欲しい人を観客から探し出す。すかさずアリサに「アリサっ脇の袖ほつれてる。」と耳打ち。『何処?』と左脇を上げた瞬間、ねーちゃんにおもいっきり手を振り、こちらに気付かせる。したらばねーちゃん、〔はい!ではそこのお姉さん。〕と指名。「ナイス。笑」『えっ?私?ちが…』抵抗もむなしく、ステージに呼ばれるアリサ。
    【俺はなかなか当てないくせに…】

    2008-06-06 20:09:00
  • 221:

    ステージから明らかにガンを飛ばすアリサ。ニヤニヤしながら見てたら、握手をして水中でくるりと回らす。「やるもんだなぁ。」ガンを飛ばしてたアリサも自然と笑顔に。最後は頬にキスをしてもらいこちらに戻って来た。『もぅ。めっちゃ恥ずい。』「ええ体験できたやん。」『…うん。』アリサがはにかむ。「イルカ臭っ。笑」『マジで?イルカ臭いとか…』2人で大笑い。
    「なぁ?アリサ。ねーちゃんからもらった、イルカコインくれよ。」『ん?これ?』「うん。集めてるんだ。」『いや。』「何でやねん。」『私がショーに参加してもらったし…』「えっ?」『何でもない。とにかくあかんもんはあかん。』「ケチ。」
    【後、2枚でイルカの模型がもらえるのにっ!ギリギリ…】

    2008-06-06 20:20:00
  • 222:

    ぐるりと水族館を1周し終え、ベンチで休憩。『水族館っていいな。』「ほらな。水族館ってちびっこの時しか行ってない子多いねん。せやけど大人なってから来ても十分楽しいやろ?」『うん!あーお腹すいた。』「飯食うか?」『うんっ!』水族館内のレストランで飯を食べる事に。『何かさ、テレビとかでパンダのご飯食べれるとかあるやん?』「あるある。」『水族館はないんかなぁ?』「…お前は生魚や藻を食べるのかと…」『笑。そっか。』「注文決まった?」『んー。じゃあミックスフライ定食。』「重た。俺はハムサンドでいいや。」しばらく談笑しながらご飯を食べた。

    2008-06-06 20:27:00
  • 223:

    「さ、じゃ自由行動するか。」『へっ?自由行動て何?』「何かもっと見たい海の生きものおるやろ?」『笑。別に無いし。』「…。俺は長老のもとへ。」『あ!ちょう待ってよ!』すたこら長老の水槽へ。「お待たせ。」水槽を軽くコンコンと2回ノック。アリサは呆れて、水槽前に腰を下ろしている。のっそりとこちらに来る長老。水槽ごしの長老に小声で近況を報告。何度も水槽の前を行ったり来たりする長老。ひとしきり長老との水槽ごしの対話を楽しんだ後、「じゃ。また来るよ。」と一声かけてアリサのもとへ。
    『蟲ほんまに水族館好きやねんな…。』「おう。」『何でなん?』「さぁね…。」
    からかったように質問するアリサに僕は心の中でこう言った。
    【ニンゲンナンテメンドウダカラ…。】

    2008-06-11 19:55:00
  • 224:

    水族館を後にし、アリサと夕暮れの海岸沿いを歩く。 
    『蟲。今日はありがとう。』「全然いいよ。」『私、男の人とデートしてお金出さなかった事何かこれが初めて…。』「ははっ。そりゃないな。」『私…私な…例えば、いいなぁって思う人がいたら、何回か逢ううちにデートとかなるやん?そしたらさ、やっぱりご飯とか全部出してまうねん。』「へぇ。」『最初は相手もさ、気を使ってくれるねんけど、付き合いだしたら当たり前なって…それで…。』「出さないと機嫌悪くなったりするやろ?それから金を要求しだす。」『うん…。それでも…やっぱり好きやから出してまうねん。彼氏の機嫌がよくなるんならお金出すって思う…。』
    「そんなん恋愛じゃないやん。相手の顔色金で操作して、それで彼氏でいてくれたら満足?」『…。そんな恋愛しかできんから。』「そんな事繰り返しててもほんまの恋愛なんかできんのちゃうか?アリサならきっと金なんかチラつかさんでもええ男寄ってくる思うで。」『…。』「ま、俺からはそれくらいかな。」
    タクシーを停めアリサを乗り込ませる。「俺寄るとこあるから。」そう言ってアリサに一万円札を握らせた。『えっ?いいよ!』運転手に出せと合図をアゴで送る。 アリサに渡した一万円札には一言メッセージを書いておいた。
    【こんなんされて嬉しいか?】

    2008-06-11 20:14:00
  • 225:

    海岸沿いをしばらく歩くと携帯が鳴る。アリサからメールだった。件名…無題
    本文…お金もらうってあんまり気分のいいもんちゃうな。こんなんをされて喜ぶのが今までの私の彼氏やったんか…苦笑。蟲。ありがとう。
    携帯を閉じて独り静かに微笑み、自分に問う。人に偉そうに説教をたれれるほど自分は充実した恋愛をしているのか?そもそも本当の恋愛って?答えは出ないけれど、人にはそれぞれ愛の形ってものがあると思う。ひょっとしたら、アリサの元彼等の愛の形はお金だったのかもしれない…。
    ただ…僕は…擬似恋愛を生業としていた僕は…そんな愛の形を認めたくなかったんだ…。

    2008-06-12 00:39:00
  • 226:

    その後アリサは仕事で東京に行った。最後の日アリサの旅行カバンを押しながら、新幹線のホームへ。アリサが新幹線に乗り込みドアの前に立つ。『…淋しいな。』「せやな。せやけどええ経験なるんちゃうか?頑張って立派な美容師になれよっ!」『うん…。なぁ蟲?私…』けたたましい警笛が鳴るホーム。「はぁ?聞こえん。」『蟲!あんたが大好きやったっ!』ドアが閉まる直前とっさに僕は叫んだ。「俺もじゃ!ボケっ!」ドアの向こうでアリサが涙を流しながら手を振ってた。徐々に見えなくなる新幹線を僕はいつまでもいつまでも眺めていた。
    【回想終】

    2008-06-12 01:03:00
  • 227:

    ふと我に返り、マリを追い掛けた。「おいっ。」『うわっ!びっくりした。何よ?やっぱりお金いるん?』「あほ。ちゃうわ。」『なら、何よ?』「ネイル見てる。」『は?何で?』「何となく。」『意味わからん。』首をかしげるマリに強引についてく。
    ひんやりした店内に一緒に入場。《いらっしゃいま…》『おはょー。久しぶりっ。』綺麗なおねいちゃんと親しげに話すマリ。《あれ…。》『あ。あれが蟲。何かついて来てもてん。ま、おとなしいから気にせんといて?本でも渡しときゃいいから。』《笑。そう。》 
    【遺憾の意を表明。】

    2008-06-20 03:17:00
  • 228:

    ぺちゃくちゃお喋りが弾む未来のおばちゃん達…。僕はまったく暇だったので、マリの隣に移動してみた。『何よ?』「暇だから見とく。」『あんたでかいから邪魔やねん。』「ム…。」ふてくされてもとの席に戻ろうとすると、《こっち来たら?》と綺麗なおねいちゃん。「いいの?」《うん。こっちから入れるから。》『もぅ。アスカ!』《いいやん。笑》喜びいさんで、カウンターの中へ。「へぇ。何かキラキラのがたくさんあるんだな。」ニコニコしながらあちこちを観察。『さわったらあかんで!』「ちっ!うるせー。」《仲ええねんな。》『そんな事ないわ。まだ私はオープンやけど蟲はあんまりかな。』「…。」《そうなん?》『蟲はほんまの自分見せへんから。』《ふーん。》「…。(へぇ。)」 
    こんな短期間にそれを見抜くマリに少し感心した。

    2008-06-20 03:26:00
  • 229:

    《蟲君。またマリの所しんどくなったら家来てな?笑。》「えっ?はぁ。まあ。」『アスカぁー。あんたほんっまっに男好きやなぁ。』《笑。今彼氏おらんから飢えてるねん。笑。》『蟲はそんなんしてくれへんで?』《マジ?そーなんや?マリもしてへんの?》『うん。まったく。ご飯作って、掃除してみたいな?ほんま家政婦さんみたい。』《へぇー。男と女がひとつ屋根の下で何もないんや?そんなん何かショックちゃう?自分に魅力無いみたいやん?》『…!そんな風に考えた事なかったわ。蟲っ!そうなん?』《そんなん聞きなや。笑。蟲君困るやん。》
    まったくくだらない話題でよくそんなに盛り上がるなとあきれる。

    2008-06-20 03:38:00
  • 230:

    ネイルに使うキラキラを指でつついたり、壁に貼ろうとしてみたりしてみる。《蟲君可愛いなぁ。》『子供みたいやろ?』「…。」マリの指を見るとなかなか邪魔そうな花やら星やらがついている。「すげーな。」『やろ?アスカのしてくれるネイルが一番やわ。』《そんなん言うても安くならんで?笑。》『なーんや。笑』「ちなみにこれでいくら?」《んー。2万くらいかな。》「2万っ!?高っ。」『そうか?普通やろ。』「2万かぁ…。2万ねぇ。一本2千円する指…。」《笑。変な子。》あんなつけてても邪魔にしかならない物によく2万も払うなと感心してマリを見つめる。ほんまに人の価値観なんてそれぞれだなぁなんて考えていたら、アスカが《蟲君。ええジーパンはいとるなぁ。》「おっ!?わかる?」《それ高いやろ?》「うん。」ニヤニヤしながら答える。『うそ?そんなダサいのが?』
    【…人の価値観はそれぞれな訳で…】

    2008-06-20 19:34:00
  • 231:

    『高い言われたらそう見えるから不思議やな。あ。私ちょっとトイレ行くわ。』《はいはい。》マリがトイレに行った時、アスカが僕に走り書きで書いた連絡先を渡して来た。《マリには内緒な?絶対連絡して?》勢いに負けて無言で首を縦にふる。《約束な。》そう言うと、アスカはウィンクした。それと入れ違いにマリが戻って来る。《もう後5分くらいで終わりやから。》『うん。』2人の会話がまた弾みだす。
    【何故マリには内緒なんだろう?】

    2008-06-20 19:46:00
  • 232:

    しばらく二人のくだらない話に華が咲いた後、ようやく完成したようで、『蟲。行こ。』とマリが声をかけて来た。「ふむ。」会計をするマリ。店を出る時、アスカがちょいちょいと僕をつついてウィンクした。「…。」《ありがとう。》『またね。』マリとしばらく歩く。 『蟲?』「あん?」『アスカに番号教えた?』「いや?もろたけど。」思わず口がすべる。『やっぱり。かけたらあかんで。』「なんで?」『あいつと関わるとロクな事ない。』「へぇ。仲いいんじゃねーのかよ。」『プライベート挟めへんかったらな…。』「ふーん。ま、マリがそう言うならそうするわ。」番号の書いた紙をポッケから取出し破りすてる。2人に何があったのかは僕にはわからなかったけれど。
    その時、マリは小さな声で『ありがとう…。』と言った。
    「え?」『何もない。』「そっか。」
    雲ひとつ無い空の下僕はマリの荷物を肩に担ぎ直し、「次何処行く?」とマリに聞いた。

    2008-06-23 04:40:00
  • 233:

    マリの後をてくてく付いて行くと不意にマリが、『アイス食べる?』と聞いてきた。「どっちでもいい」と言うも思わず顔がにやける。『笑。食べよか。』アイス屋に立ち寄る事に。荷物を席に置き、カウンターへ。色々な種類のアイスに目を輝かせる。『どれ?』「ラムレーズンがいい。」『ふーん。ほな私はバニラ。』席まで移動する。『しかし歩いたなー。』「正気?まだ全然やんけ。」『ま、あんたは毎日買い出しとか歩いてるから慣れてるんやろな。』「ぬ…。」『足痛ぁ。』「貧弱な。」『なぁ?アスカ可愛いやろ?』「ん?あぁ。」『私とどっちが可愛い?』「ん?マリ。」と即答。『そっか。』マリが足をゆらゆら揺らす。機嫌のいい時の仕草だ。
    『アイスもう一個食べる?』「いやええわ。笑。」
    【わかりやすい奴め…】

    2008-06-23 04:55:00
  • 234:

    『昔さ、あいつともっと仲良かったんやけどな…。』「ふーん。」『あいつも風俗やってて、たまに飲みに行ったりしよってん。』「ほぅ。」『んでさ、あるBarのバーテン2人で好きになってん。』「…んで?」『最初は楽しくて、冗談半分に競ったりしとった。でもだんだん2人ともマジになってきてな…。』「うん。」『最後は抜け駆けしあいになって…。結局私は負けてん。』「…。」『私はあの子より幸せになったるねん。』「そっか。」
    アイスを食べ終わり、外に出る。『何か疲れた…。帰ろっか?』「もうええん?」『うん。足痛いし。』「そんな高いヒール履くからやん。」『だって…。』

    2008-06-23 05:17:00
  • 235:

    僕はその場にしゃがみ込む。「乗れよ。」『えっ?あほちゃう?恥ずかしいからええわ。』「いいから。足もっと痛くなるぞ。」『…。』しばらく躊躇したマリだったが、ようやく僕におぶさった。「荷物は何個か持ってな。」『うん。』マリを背中に街を歩く。『あんたやっぱ背高いな。てかめっちゃ見られてる。』「気にすんな。どーせもう二度と会う事ない通行人やんけ。」『笑。そんな考え方っていいな。』通行人の注目を集めながらタクシー乗り場へ。 
    「よし。到着や。」『お疲れぇ。さ、帰ろう。』「おう。」

    2008-06-23 05:27:00
  • 236:

    名無しさん

    まだですか?

    2008-07-08 22:06:00
  • 237:

    携帯を修理してました。更新遅れて申し訳ありません。

    2008-07-09 09:15:00
  • 238:

    巣に着くと、マリが、『あー。お酒飲みたい。』と言い出したので、「コンビニで買ってくる。」と巣から出ると何故かマリも後ろからついて来た。「足痛いんやから、おれよ。」『…いいねん。』「変な奴。」近くのコンビニを2人で目指す。マリが遅れ出したので振り返ると、やはり足が痛いのか、引きずるように歩いている。「やれやれ。マリ?乗るか?」『大丈夫。』マリにあわせゆっくり歩く。コンビニに到着。

    2008-07-09 09:22:00
  • 239:

    涼しい店内でマリが酒を物色してる間に、つまみを作る材料を冷蔵庫の中にある物を思い出し、少し購入。『蟲は?どれ飲む?』「…俺はいらん。」『え?何でよ?』「酒は一生分飲んだから(笑)。」『ちょっと付き合ってよ。』「…ん。」渋々、酒を物色。とソルティードッグをチョイス。『ソルティーか。』と何故かもう2本カゴに入れるマリ。カゴには自分の物とおぼしき酒が3本…。
    【あの…ちょっとやんな?】

    2008-07-09 09:28:00
  • 240:

    無事帰巣し、いざ酒盛り。つまみを何品か作る。キッチン横で、缶チューハイを片手に見守る。「やりづらいから座っときーな。」『器用やなー。あんた。』「…。」5品を作り運ぶ。皿を置くなり、手でマリがつまんで一言。『うま!』
    「箸で食べなさいよ。箸で!」『はいはい。蟲。彼女いらんの?』「何やねん急に?」『いや…。おらんのやろ?』「うん。もうええわ。面倒やし。」『ふぅん。』2人チビチビ酒を飲みながら、雑談。「マリは?彼氏。」『いらんいらん。愛人おるし、そんなん理解する彼氏おらんやろ?それに彼氏はお小遣いなんかくれんし。』そう言うとマリは淋しく微笑った。 
    【俺等は似た者同士…】

    2008-07-09 19:43:00
  • 241:

    「しかし酔うなぁ…。」『弱っ!笑。ほんまにホストやった?』「うるせ。」『笑。』つまみが少なくなったのでまた作る。チーズを韓国海苔で巻いたもの。カマボコにキュウリ。ありきたりな物を作ってると、突如、左手に痛みが「ん?」目をやると包丁でスッパリと切れていた。「はは。何年ぶりかに切ったなぁ。」何て呑気な事を思っていたら、酒のせいか、血がどんどん溢れて止まらない。「マズいな。」キッチンペーパーで止血するも、すぐに深紅に染まる。『どうしたん!』つまみを催促に来たマリに見つかる。「大したことねぇ。」『めっちゃ血が出てるやん。救急車!』「あほ!こんなんで呼んだら殺されるわ!」『でも!』「瞬間接着剤ある?」『…ない。あ!スカルプつけるのは?』「それでいい。」『待ってて。』マリが部屋に駆けていった。鮮血で染まるキッチンペーパーを見ながら、「綺麗やな。」何て思うくらいだから結構、酔ってたんだと思う。半泣きでマリが瞬間接着剤もどきを手渡す。「サンキュ。イテテ。」『えっ?ちょっと何してんの?』「接着。これでよし。」『大丈夫なん?』「血は止まるやろ。」『…。あんた無敵やな。』爆笑するマリ。

    2008-07-09 19:57:00
  • 242:

    名無しさん

    この主、催促されると書くんやなぁ

    2008-07-11 01:39:00
  • 243:

    名無しさん

    >>242ほな読みなや。いらん事書くな暇人。主はぼちぼち更新言うとるやん。

    2008-07-12 22:40:00
  • 244:

    名無しさん

    >>242
    ほんま暇な奴やな。わざわざ関西板から飛んで来て主批判して何が楽しいん?あんたみたいなんがおるから、関西板のいい小説とかも作者が嫌になって、途中でおわったりするねん。しょーもない事書き込むなよ。ボケ。

    2008-07-13 18:50:00
  • 245:

    名無しさん

    批判も中傷も言い合いもやめましょう?あんまり書くと蟲サンが書きづらくなっちゃいそうで…
    242サンも意見があるなら感想スレがあるのでそちらに書き込みしてみてはいかがですか??
    一読者が生意気言ってすみません。
    私ももうこちらへの書き込みは遠慮させて頂きますね。お邪魔しました。
    最後に、蟲サン、頑張ってくださいね。

    2008-07-14 01:18:00
  • 246:

    何とか流血もおさまり、また飲み直す。『蟲。ほんま大丈夫?』「カチンカチンに固まってるから大丈夫。しかし油断したわ。手切ったのなんか久々や。」笑顔で言う僕にマリは『変な子。』と言って微笑んだ。しばらくすると、缶のお酒もなくなり、宴もたけなわ。洗い物をしようと水場に行くとマリにどかされる。『ケガしとんやから、じっとしときーや。』「…はい。」長年こんな生活をしてきたからか、変な物で、飼い主に洗い物をさせてるのが落ち着かない…。そわそわするので、テーブルを拭いたり、テレビの下に落ちた物を拾おうとしてたら、マリが舌打ちをした。
    【はいはい。じっとする】

    2008-07-14 01:54:00
  • 247:

    洗い物を終え部屋に来たマリが不意に『蟲。あんたとおったら楽しいわ。』と言った。「そうか。」『でもな…。』「…うん?」『いつかおらんくなるって考えたら淋しい…。』「…。」『なぁ蟲。この仕事始めて、今まで一番長く続いたのどれくらい?』「…忘れちまった。」『そう…。』マリはいつもの淋しい笑顔で言った。『そろそろ寝る。今日はありがとう。おやすみ。』そう言ってマリは自分の部屋に帰って行った。僕も自分の部屋に帰り、布団に転び大の字になる。

    2008-07-21 02:52:00
  • 248:

    今まで寄生して来た、色々な飼い主を思い出してみる。「みんな元気かな…。」仕事柄、一方的に出て行くので今となっては、誰一人連絡すら取れない。そんな自分を淋しく思った。「俺には何も無い…。」もう口癖になってしまったいつもの言葉が独りきりの部屋に響く。「…仕方ねぇな。」深いため息を吐き出す。
    《コンコン…》
    「ん?」『まだ起きとる?』「あぁ。」『入ってええ?』「おう。どした?」『…寝られへん。』「笑。子供か。」『お邪魔します。』マリが部屋を見回しながら入室。

    2008-07-21 03:09:00
  • 249:

    『何もない部屋やな。』「そうか?こんなもんやろ。」マリが部屋をじろじろ見回す。『エロ本とかないん?』「ない。」『ふーん。しょうもな。』「…。」『蟲って性欲ないん?』「…あんまない。」『へぇ…。』「何やねん。変な空気作んなよ。」『…。』しばらく続く気まずい空気。
    「さて俺は寝るけど…?」『…今日一緒に寝る?』「…。寝たいんやろ?」『…うん。』「かまへんよ。せやけど狭くないか?」『大丈夫!』マリがニコニコしながら、布団に入る。 
    【まったくどいつもこいつも…】

    2008-07-22 18:12:00
  • 250:

    マリに背を向け寝ようとすると不意に後ろから、下半身をつかまれる…。『わっ!結構デカいなっ!』「コラコラ!盛るなよ。」呆れてマリの方を向く。
    『私魅力ない?』「ん?アスカに言われた事気にしとるんか?」『…ちがうけど。』「可愛いと思うで。」『なぁ蟲…。抱き締めて。』「…。それ以上はあかんで。」『うん…。』マリをそっと抱き寄せた。着痩せするのか、思ったより抱き心地がいい。『ありがとう。』「もう寝るで。」『うん。』ピッタリと僕にくっつき、マリはすぐに寝息をたて始めた。 
    【あの…胸が当たるんですけど…悶々…】

    2008-07-22 18:23:00
  • 251:

    次の日目を覚ますとマリが僕に馬乗りになっていた。「重たい。重たい。」『おはよう。』「ご飯作るわ。」『手のケガあるから今日はいいで。私する。』「えっ?できるん?」『…多分。』「…。」一抹の不安があったが、お言葉に甘えてみる。数分後―。
    『お待たせ。』マリが威勢よく持って来たのはそうめんらしきもの。
    「そうめんか。」これなら失敗もないだろうと内心安心してると。マリが『は?パスタやけど?』と一言。『えっとこれにつけて食べてな。』と手渡されたのはめんつゆ?か?取り敢えず食べてみようとトマトやらキュウリやらが入ったパスタを箸でつかむ。「いただき。」『どーぞー。』「ブッ!ゲホゲホ!」『大丈夫?慌てて食べるからやん!』「…。(めんつゆじゃない?てか酸っぱ!むせる。)」マリは頷き自画自賛しながら、食べている。「な…なかなか斬新なパスタやな…。」『やろ?』とニッコリ【いや…ほめてないから】

    2008-07-23 09:12:00
  • 252:

    むせながら完食。味はなれてくると結構美味だった。「ごちそうさま。」『うん。美味しかった?』「おう。もうちょいと酢を押さえめにしたら完璧かと。」ニコニコしながらマリは皿を洗いに行った。「マリ。今日仕事は?」『ちょっと間休み。』「へぇ。」『愛人から振り込みあったから。』「ふーん。」『蟲今日何するん?』「…。特に何も。」『そう言えば、蟲って私が仕事の時何しとん?』「ん?基本的にゴロゴロ。」『オッサンやな。』 
    【オッサンですが何か?】

    2008-07-23 09:24:00
  • 253:

    『じゃ、今日は蟲を観察やなっ。』マリがニヤリと笑う。「…(冗談じゃねぇ。)」ゴロゴロする僕をさも楽しそうに見つめるマリ。「…何よ?」『ん?見とるだけ。』「…。」『なぁ蟲、毎日こんなん?』「うん…。」『じゃあ私帰って来たら嬉しい?』「…普通。」『何よそれ。』マリが僕の上に乗っかる。「暑いねんから、くっつくな。」『エアコンかけたらいいやん。』「電気代かかるから嫌。」『あんたケチやなぁ。てかあんた電気代払う事ないやん。』「…だからかけないんだよ。」『ふーん。変なの。』マリが僕から降りる。『しかし暑い。シャワー浴びよ。』 
    【好機っ!】

    2008-08-08 18:28:00
  • 254:

    マリがシャワーに入るのを確認し、こっそり玄関から脱出。「まったく…。」あてなんかなかったけど、マリが面倒くさいので、取り敢えず歩く。コンビニに入り雑誌を立ち読み。携帯が鳴る。「はい。」『蟲どこ?』「コンビニ。」『はぁ?黙って行くなよ。』「…。」『帰りにアイス買って来て。』「…了解。」
    「まったく五月蝿ぇやつだ。」ため息をつき終話。すぐ帰るとまた面倒なので、駅前に向かい歩く。「おっ?あれ…」
    白い姿に赤いリード…

    2008-08-08 18:52:00
  • 255:

    「ラウか?」《ハッハッハッ!》僕の声に反応し、振り返るなり、飼い主の手を離れ走ってくる白き犬コロ様。「やっぱラウか!元気かよっ!」《ベロベロ!ハッハッ!》「おーそうか。そうか。」久しぶりの再開にめちゃくちゃ喜ぶ犬コロ。『こんにちは。』と飼い主が頭を下げる。「どーも。ブラブラしてたら、ラウみたいなのがいたんで声かけたら…」『笑。それで急に。』《ハッハッハッ。》「あ…まだお名前聞いてなかったような…。」『私ですか?ミノリと言います。』「そうですか。ラウ元気そうで。」『相変わらずです。笑。でもこんなに喜ぶの初めてかも…。』ラウが前足で立ち抱っこをねだる。 
    【可愛いなお前は】

    2008-08-08 19:00:00
  • 256:

    ラウを持ち上げる。ニヤリと笑う犬コロ。「覚えてるもんですね。」『えぇ。いつも散歩の時間にこの辺りだけ、ゆっくり歩いたり、キョロキョロしたりするんです。笑』「へぇ。」僕の腕の中で満足そうに笑う犬コロ。…とミノリさんが『あの…買い物すませて来ていいですか?』「どうぞどうぞ。ラウ散歩させますわ。」『すみません。』そう言うと足早にスーパーの方へ行った。
    「追いかけへんの?」《ハッハッハッ。》
    【あれ君の飼い主よ?】

    2008-08-19 18:34:00
  • 257:

    「さ…ラウ何か食うか?」《ジロッ…。ハッハッ。》「…。コンビニ行くか。」ラウを腕からおろし、コンビニに向かう。後ろからちゃんとついて来るラウに悪戯をしたくなったので実行少し早歩き→ラウも早足に。
    突然電柱に隠れる→ラウ驚いたように辺りを見回し地面の匂いをしきりに嗅ぐ。「バッ!」突然電柱から飛び出す。→ラウびくっとなるが、尻尾を振り、走ってきて手を甘噛み。 
    【楽しいなぁ。】

    2008-08-19 18:40:00
  • 258:

    バカな事をしてたら、コンビニに到着。ペット禁止のマークもないので、自然な感じでラウを抱えて入店。店員にバッチリ見られたが、特にお咎め無し。「なんや犬OKか。」《ハッハッハッ。》ラウに色々話しかけながら、食べ物を選ぶ二十代後半の危ないオッサン。結局ちくわと、カフェオレ、ミネラルウォーターをかごに投入。レジに並ぶと前に並んでる人達にさわられるラウ。あからさまに嫌がる。
    【愛想をふりまきなさい】

    2008-08-19 18:47:00
  • 259:

    やっと僕の番になり、からあげくんの辛くないのをオーダー。支払いをすませ、コンビニの前に座る。「よっこらしょ。ラウ食え。」からあげくんをちぎり与える。《クンクン。パク》「美味しい?ちくわも食えよ。」一人と一匹で宴会が始まる。町行く人々誰もがラウを見て笑顔になった。
    「お前はいい犬だな。みんなお前見て笑顔になる。幸せを呼ぶ犬とか適当に看板書いて商売でも始めるか…。」《ハッハッハッ。》おやつを食べおわり、ボケーとしてると、ミノリさんが帰って来た。 
    尻尾を振る犬コロ。

    2008-08-19 18:53:00
  • 260:

    『ありがとうございました。』「あ。どもども。からあげくんとか食べさしちゃいましたけど…。」『へぇ。私以外から貰った物あまり食べないのに…』「そうなんだ。」《ハッハッハッ。》「じゃ…また。」『はい…。』手をあげて立ち去ろうとすると《ワンワン!》『あ!コラ!』ミノリさんをぐいくい引っ張る犬コロ様。「ラウ。またな。」頭を撫でる。《ハッハッハッ。》悲しそうな顔のラウ。僕が行こうとすると付いてくる。ミノリさんが帰ろうとするとその場に足を踏ん張り動かない。2人ともほとほと困り果てる。 

    2008-08-19 19:48:00
  • 261:

    「家まで送りますわ。」『えっ?』「家まで行って、扉閉めたらラウもあきらめるでしょ?」『笑。このままじゃラチあかないですもんね。』「苦笑。」《ハッハッハッ。》と言う訳でミノリさんの家まで歩く事に意気揚々と歩く犬コロ様。「しかし可愛いですね。」『甘やかして育てたから、一度言いだすと聞かない頑固な所がありまして…』
    【耳が痛いですな…】

    2008-08-19 19:53:00
  • 262:

    『蟲さんはお仕事なにされてるんですか?』「ん…ええと…何て言いますか…。ま、プータローみたいなもんですよ。苦笑。」『…ごめんなさい…。』「あ…いやいや。」気まずい空気の中ミノリさんの巣に到着。エレベーターで三階まで上がる。『ありがとうございました。』「いえいえ。じゃ。」ラウが中に入ったのを確認。すかさず扉を閉める。中からラウの鳴き声が聞こえるも退散。 
    【またな…。】

    2008-08-19 19:59:00
  • 263:

    ゆか

    更新ありがとう?

    2008-08-20 00:58:00
  • 264:

    ミノリさんの巣を後にし、急いでコンビニでアイスを購入。駆け足でマリの巣へ。「ただいまっ!悪い悪い。」『遅いねん!何してたん?』「かくかくシカジカ…」『ふぅん…。』「…。」『…でラウのご主人は可愛いん?』「ん?普通。」『へぇ…。』アイスを僕の手からひったくり、マリがどかっとその場に座る。「…。」『何よ?あんたも早くアイス食べたらっ?』「おぅ…。」 
    【何怒ってるんだよ…】

    2008-08-30 13:50:00
  • 265:

    黙々とアイスを食べる。ここは僕の部屋なのに、不機嫌なマリが居座って、気まずい事この上なし…。 
    空気が嫌なので、「シャワーを浴びる」と言い残し退室。「まったく何だってんだ。」ぶつぶつ言いながらシャワーを浴びる。マリが部屋からいなくなってるのを祈りながら。 
    シャワーを浴びて、部屋に戻るとまだ居座るマリ嬢…横目でチラリと確認。パンツをはいて、座る。…とメール着信。「…(ウヒョ!ナイス。)」 
    【あ…ラウ主…】

    2008-08-30 13:55:00
  • 266:

    「お?」件名…先ほどはありがとう。本文…あれからラウずーっと玄関で顎をついて見張ってるんです。(笑)本当に蟲さんになついてますね。
    メールを読み思わずニヤリとする。すかさずマリが、『誰?』と聞いてきた。「…(五月蝿ぇなぁ。)客やわ。」『客?あんたまさか出て行くつもり?』マリが泣きそうな顔で寄ってくる。それを素早くかわしながら「いやいや。」とやんわり否定。すると何故かマリが泣き出す。
    【情緒不安定なのか?】

    2008-08-30 14:01:00
  • 267:

    「どうしてん?」『だって蟲出て行こうとしてる。』「何でやねん。出ていかんよ。まだ。」『まだ…』と言っていっそう泣き出すマリ嬢。面倒ったらない。
    「ごめん。ごめん。出て行かへんよ。」と言いながら頭をよしよし。よしよしの回数が増える度、鳴き声がだんだんひくひくに変わり。沈黙。「え…あの…寝やがりました…、まったく何なんだこいつは。」と呆れる。ラウ主にメールを返信。本文…まさに蓼喰う虫も好き好きですな。…と
    【虫?蟲?】

    2008-08-30 14:06:00
  • 268:

    寝てしまったマリが膝にいて身動き不能。仕方ないのでぼんやりと考え事…。

    2008-09-02 18:44:00
  • 269:

    【回想】
    僕がホストだった頃、同期の奴等はどんどん辞めてしまい、とうとう僕を残すのみだった。ある時先輩が僕に言った。『蟲やっけ?とうとうお前だけなってもたな…。同期の奴等が辞めたしわ寄せで雑用多いやろ?』僕は苦笑いしながら首を縦にふった。『なぁ蟲よ?お前は何で続けられるんや?』僕は「他にやる事がないからです。」と答えた。先輩はびっくりした顔をした後、大笑いした。

    2008-09-09 19:29:00
  • 270:

    『お前変な奴やなぁ?もっと新人らしくNo.1なるとかさ…ない訳?』「…。」『ま…いいか。頑張れよ。』そう言うと先輩は手をヒラヒラさせて向こうへ行った。

    2008-09-09 19:36:00
  • 271:

    「あの人名前なんやっけ?後でパネルで確認しておこう。」洗い物を終えて、トイレに行くついでにパネルを見る。「お?さっきの人No.1か。へぇ。」ぶつぶつ言いながら用を足していると、背後からまたさっきの声がした。『おう!蟲。しょんべん終わったら俺の席ヘルプ頼むわ!』「え?は…はい!」突然の事であたふたする僕を見てニヤリとしながら彼は消えて行った。
    「ヘルプかぁ…まいったな…。」

    2008-09-09 19:44:00
  • 272:

    手を洗い、さっきの彼がいた席に足を運ぶ。「失礼します。蟲です。」『おっ!来た来た。』《これが蟲君?おっきいなぁ。あんたと違って。笑》『は?シャンパンでも飲みたい?』《笑》『蟲。こいつマイコって名前やから。』「はい。わかりました。」『ほな頼むわ。』「…(えっ?ピン?)」そう言うと彼は忙しそうに他の席に行ってしまった…。何を話していいかわからなかったが、マイコさんから話題を振ってくれ何とか彼が戻って来るまで持ちこたえた。《おかえり。蟲君結構面白い。》『やろ?蟲。また洗い物しといでや』「はい。ご馳走様でした。」はじめてのピンでのヘルプだったので緊張してガブガブ飲んだせいか、ふらつく足をおさえながら、洗い場へ非難した。

    2008-09-09 19:52:00
  • 273:

    洗い物が終わり、パネルをまた確認しに行く。「聖夜さんか…ベタやな。」と独り言。
    しばらくすると店内が暗くなりラストソングがかかった。みんな結構飲んだようで酔って寝ている人がたくさんいた。 
    お客が帰った後ひとりずつソファーに運ぶ。グラスも山ほどあったが、全て洗い終え、ようやく寝れると思ったらまたあの声『蟲。この後暇か?』「…はい。」暇なんかじゃないが先輩なので取り敢えず優先。
    『俺の家こいや?』「え?は…はい。」『安心せー。俺ホモちゃうから。』
    【ホッ…。】

    2008-09-09 19:59:00
  • 274:

    タクシーに乗り込み少しすると聖夜さんが『ここや。』と行ってタクシーを降りた。「…(ほうほうなかなかすげえマンションだ。)」僕もタクシーを降り、いざ聖夜邸へ。「お邪魔します。」『おう。適当に座っといて。』と聖夜氏は何やら電話。意外に綺麗に片付いた部屋をキョロキョロするも、目ぼしいものは一切なし。 
    【退屈な部屋だな・・】

    2008-09-15 18:18:00
  • 275:

    『ま、楽にしーや。』聖夜さんはそう言うとネクタイをとりジャケットをソファに掘り投げた。
    「はい。(楽にできるかっ!あー眠い。)」『タバコ吸いや?』「あ。じゃ。」人にすすめられて吸うタバコほどまずいものはない…。プカリと煙を吐き出す。ピンポーン。『おっ!来た来た。』「?」
    駆け足で聖夜さんが玄関へ。

    2008-09-20 00:19:00
  • 276:

    ドアを足で開けながら聖夜さんが部屋に戻って来た。『腹減ったやろ?喰え。』目をやると出前とおもわれる寿司が…。
    「…いただきます。(朝から寿司かよ。こいつ成金丸出しやな。これで金稼ぎたいか?とか色々聞かれるパターンかな…。)」
    と心の中で思いながら寿司を食べる。『うまいか?』「はい。(寿司なんか奢りで食って後で恩着せられたらいややなぁ…。)」『遠慮すんなよ。』「ありがとうございます。」
    【チョビチョビ食べよ】

    2008-09-20 00:24:00
  • 277:

    食もあまり進まずご馳走。『ほな寝るか。あ。シャワー浴びたいなら浴びや?んで部屋はそこ開けたら客間やから。お疲れ。』手をヒラヒラさせて聖夜さんが出て行った。「…?何だこりゃ?何故呼ばれたんや?」完全に肩透かしを食らった。これから長々と自慢や、サクセスストーリーを強制で聞かされると思ってたのに…。ひねくれた考えの自分が急に恥ずかしくなり、せめてもと、食べた後を片付けた。

    2008-09-20 00:36:00
  • 278:

    「しかし変な奴だな。」独り言をいいながら、客間とやらに向かう。「…って、広っ!」客間の広さに仰天。聖夜さんがいかに財力があるのかを思い知りながら就寝…。

    2008-09-20 00:44:00
  • 279:

    その日の夜『おっす。』「おはようございます。」何やら鏡を見ながら入念にセットする聖夜氏。
    その様子をボーッと眺める。同性ながら見惚れてしまうくらい格好良い。
    『蟲。お前セットとかは?』「頭洗ったら終わりス。」『あほ。もっとプロ意識もてよ。』
    【何だよ。プロ意識って】

    2008-09-27 16:40:00
  • 280:

    『蟲。お前家で飲んだら、8百円くらいの焼酎。何でお客は1万でも買うと思う?』「さぁ?金持ちなんじゃないスか?」『笑。あんな。家で飲めばそりゃ安い。けど淋しいやろ?女の子やったら特に。』「はい。」『んで俺等が接客する訳。蟲、同じ金はらうなら、かわいい子と不細工どちらがいい?』「そりゃかわいい子。」『せやろ?家で飲めば8百円。ホストなら1万。9千2百円の差や。それを払っても損したって思わないように埋める。それが俺等の仕事やろ?』「へぇ。」『俺は身なりで7千。接客で2千2百円埋めてるつもりや。』「男前スもんね。じゃ自分は接客で9千2百円埋めるっス。」聖夜氏が手を頭につけてため息をつく。『…ま。ええわ』

    2008-09-27 16:49:00
  • 281:

    聖夜氏がタクシーを呼び無事出勤。今日も長い1日が始まる。
    その日は何かと聖夜氏のヘルプにつかされ少し酔う。終わりがけに初めて飲むドンペリにウキウキするも、激マズで幻滅。もうちょい甘いかと思ってた…。
    聖夜氏がラスソンを歌う。「…下手やな…。」まさに天は二物を与えず。ほくそ笑みながら閉店。今日の閉店業務を終えたら、休日だ。急いで片付けてるとまた聖夜氏『蟲。今日はどうするんや?』「え?どうするとは?」『家来るなら鍵渡すけど?』「…(うわー面倒くせ)」と思うも昨日の寿司があるので「じゃ。寄らせて頂きます。」と返答。『そか。はいよ。』とブルガリのキーケースを投げる聖夜氏。『適当に過ごしといて。俺今日営業あるから。』「?」
    【じゃ何で呼んだんだよ】

    2008-09-27 16:57:00
  • 282:

    「…どうしよ。」
    聖夜氏の家に何故休日に1人で行かないといけないのか…途方にくれる。
    でも鍵を預かった手前…「あーもう!意味わからん。」店のドアを乱暴に開け、聖夜氏の家に向かう事に。「あ…聖夜氏の家何処やっけ?」タクシーで行ったのでわからない…「聖夜さんに聞くか…でも営業言うてたからなぁ…」
    …とタイミングよく聖夜氏からメールがきた。件名…無題。本文…家わからんかったらここに電話しろよ。お疲れ。

    2008-09-29 23:50:00
  • 283:

    「…。何だこの一方的なメール…。」と思うも、メール欄に書いてある番号をクリック。プルルル… 
    『もしもし?』「!あ…。もしもし…。」『どちら様?』「え?あ!あの…」とっさに聖夜氏の名前がでる。「聖夜さんにここに電…」まで言いかけると、途中でさえぎられ、『あ!聖夜さんね。毎度。今日は何処に行けば?』「…あの?」『場所どちら?』強い口調の電話のオヤジに圧倒される。「場所?」と店の住所を途中まで言おうとすると『店ね!』と言われて一方的に終話…。
    【話最後まで聞けよorz】

    2008-10-07 09:04:00
  • 284:

    しばらくその場で待つと、けたたましいクラクションの音。「うるさっ!」イラりとして振り返ると真っ黒な車が。
    窓が開きモロにその筋の方が顔を出し一言。『聖夜は?』「営業に…」思わず本当の事を言ってしまう。(客でなくてよかった。汗。)『は?ほな電話くれた奴は?』とは運転手。すかさず事情を説明すると、豪快に笑いながら『乗んな。』と一言。 
    【あんたカッコいいな。】

    2008-10-07 09:10:00
  • 285:

    言われるがまま後部座席に乗り込む。『聖夜さんに鍵預かるたぁ、さては兄さん相当好かれてやがんな?』と運転手が問う。「…さぁ。」とモゴモゴしてると『いや聖夜さんは極度の人嫌いでね…うんたらかんたら』と聖夜氏を語り出す。
    いや、運ちゃんあんたの素性のがよっぽど気になる訳で…。
    勇気を出して聞いてみる。『あっし?あっしは聖夜さんに雇われてんでさ。もとは個人タクシーだったんですがね…。商売があがったりだった頃、聖夜さんに出会いやして…うんぬんかんぬん。』
    【お前いいキャラだな】

    2008-10-07 09:19:00
  • 286:

    とか言ってる間に到着。「ああそういやこんな場所だったな…。」『じゃ、お気をつけて。』「あのお金。」『ガハハあっしは月々頂いてるんで。』とは運ちゃん。『では。』とまたけたたましいクラクションを鳴らし去って行った…。 
    「あいついいな。」とニヤリ。携帯に登録しようとするも、名前を聞くのを忘れたので勝手に名付け親に。
    【風来の運転手なんてのはどうでしょう?】

    2008-10-07 09:29:00
  • 287:

    ニヤニヤしながら携帯に登録しようとするも風来の運転手は長い。何かないかと考えながらロビーを歩いていると…
    ドン! 
    『キャ!』と吹っ飛ぶ女子「あっ!すんません。」と手を差し出す。『イタタ…』「大丈夫スか?」『もう歩かれへん。このゴミ変わりに捨ててきて!』「はい…」
    【よそ見なんてするもんじゃねぇ…】

    2008-10-25 09:14:00
  • 288:

    運転手の名前をつけるのも女子との衝突ですっかり忘れ携帯をポッケに収納。ゴミ捨て場にゴミを投下し、気を取り直してロビーへ。エレベーターに乗り込もうとすると『おい!ホストっ!』とは先の女子。 
    「…何?」『何じゃないわよ。部屋までおんぶして。』「…。(なんじゃコイツ。)」頭の弱い女子もいるもんだ。と素無視。何やらわめく女子を放置し、エレベーターに乗り込む。ようやく到着した部屋で大きな溜め息をついた。

    2008-10-31 09:04:00
  • 289:

    「しかし、ここに来ても一人やし、何もする事ないな…。」
    しばらく着替えも忘れボーッと過ごす。
    「部屋も綺麗し、聖夜氏の部屋には鍵がかかってる…。」本当にやる事がないので客間を物色。しかし何もみつからなかった…。退屈さに飽きて、店でやらなければならないシャンパンコールのDVDを見る。けたたましい音量に心臓が飛び出すも見事にキャッチ。身振り手振りを真似しながら、悪戦苦闘。
    【こんなんできるかっ!】

    2008-11-07 15:39:00
  • 290:

    「あー疲れた。」小1時間ほど踊ったりしたら、お腹がすいた。 
    冷蔵庫を聖夜氏の生活ぶりからして期待覗くと…中には大量(いやむしろ大漁…)のビールやドンペリ様…
    【いつ飲むねん…orz】

    2008-11-07 15:44:00
  • 291:

    気を取り直し、出前メニューに目をやると、目が飛び出すほどの価格…
    「あの寿司高かったのね…。」仕方なく客間にあったちょっとSizeが小さいジャージを着装。一時流行ったチビTのようになるも、気にせず外出する事に。 
    財布と鍵を持ち、玄関へ。「コンビニ近くにあったやろか?」エレベーターを降りるとまたもや先程の少女…。反射的にエレベーターの扉をClose。 
    【いつまでおんねん。】

    2008-11-07 15:51:00
  • 292:

    「チッ。」エレベーターでまた上に上がり、もう一台のエレベーターを凝視。階のランプが1…2…と順に上がるのを見届ける。「えっ?同じ階?」こりゃヤバいと慌てて先程乗ってたエレベーターのボタンを連打。しかし下の階へ。 「うわっ!最悪や!」部屋にダッシュする。
    「あ!痛っ!」足がもつれ転倒…
    《ピンポーン》とエレベーターの機械的な音。万事休す……。
    『お前何やってんの?(笑)』

    2008-11-07 15:57:00
  • 293:

    「せ…聖夜氏…!」『お疲れ。何やねんお前突っ込み所満載やな(笑)てか氏て何や?氏て。』
    「いやいや…汗。」『そんな格好で何処行くんや?』「いや…ちょっと小腹がすきまして…。」『出前取れよ!』「…高いス。」『アホ。月の後払いや。』「…そうなんスか…。」『しかしそのジャージはないな(笑)恥ずかしいから早よ入れ。』
    言われるがまま部屋へ。

    2008-11-07 16:02:00
  • 294:

    聖夜氏はスーツを脱ぎ捨てる。それを華麗にキャッチし、ハンガーへ。『器用な奴やな(笑)寿司でええんか?』「…もうちょい安いので。」『アホか。せっかくやからええもん喰え。』「…。」
    聖夜氏が電話する。『もしもし…寿司を…』 
    『しばらくしたら来るわ。おやすみ。』
    「は…はい。お疲れ様です。」聖夜氏は手をいつものようにプラプラさせ聖夜氏の部屋に帰って行った。

    2008-11-07 16:07:00
  • 295:

    彼は何故、僕にこんなによくしてくれるのだろう?まったくわからないまま、しばらく聖夜氏の部屋のドアを眺めていた。
    「…。はっ!聖夜氏が寝てたら出前が来た時のチャイムで起こしてしまうかも!」と思い立ち、玄関のドアを半開きで待つ…
    【今の僕にはこんな些細な事しか出来ない…】そう思うと自分が情けなくなった…

    2008-11-07 16:14:00
  • 296:

    無事寿司も到着し、完食。また暇な時間が到来…。仕方ないので、残した寿司のシャリを何粒か数えてみたり、鮪の繊維質な部分が何本あるか数えてみたりする…。
    『怪しっ!(笑)』不意に後から聖夜氏の声。
    『何してんねん。お前変子やな…。』
    【あの…貴方気配まったくないんですけど…】

    2008-11-07 16:18:00
  • 297:

    「寝てたんじゃねーんスか?」照れ笑いしながら問う。『いや、手帳まとめてた。』「手帳?」『誰といつ、何処に遊びに行ったとか、どんな話したかとか、次の約束とかな。』「豆なんすね…。」『馬鹿なだけや。書いてな忘れる。忘れたらただでさえ信用してもらえんのに、今までやった事が水の泡やから。』
    「営業行ってるんスから金使ってもらわないと損ですもんね?」
    聖夜氏はフッと小さく笑い、僕に言った。『蟲お前はやられたらやり返す。取られたら取り返す。…か?』「そりゃあそうです。」と即答。

    2008-11-07 16:24:00
  • 298:

    聖夜氏はまたフッと笑って『じゃあ蟲、俺はお金を使ってもらう為営業に行ってるって思うか?』
    「…?そうじゃないんスか?」『違うよ。』「え?」聖夜氏は立ち上がり蚊の鳴くような小さな小さな声でこう言った。
    『サミシイカラ…』

    2008-11-07 16:27:00
  • 299:

    「えっ…?」聖夜氏はソファーに座り直し『何でもない…』と言った。でも僕は確かに聞いた。【サミシイ】って言葉を…
     
    サミシイ…?客にサミシイからって会って何とかなる?え?それって客ちゃうん?彼女?彼女おってホストできる?いやいや営業言うてはったから…。え?あんた1人1人の客みんな好きなん?大事なん? 
    【蟲ハ、コンランシマシタ…】

    2008-11-07 16:34:00
  • 300:

    しばらくの沈黙の後…。僕は思い切って自分の意見を言ってみた。「でも客なんか使い捨てじゃないんスか?」聖夜氏は悲しい顔で『…かもな。』と言った。「じゃあ、営業では金使って、店でドーンと倍返しのが効率よくねぇスか?」『じゃ蟲、お前に聞く…。それでその子と2度と会えなくてもいいんだな?たかだか何万くらいで。』
    「?そんなもんじゃないんスか?むしろ1万使って、ドンペリ卸してもらって5万なら4万もうけで万々歳じゃねースか!この街には女の子なんか腐るほどいるんスから(笑)」 
    聖夜氏は一層淋しそうな顔でこう言った。

    2008-11-07 16:42:00
  • 301:

    『そうか…。ならそのまま突っ走って、この仕事辞める時、自分の両手見てみろよ。』
    「両手?」
    『その時、何か掴めてたらいいな…。』
    「????」

    2008-11-07 16:45:00
  • 302:

    『俺の両手には何もない…。』聖夜氏は力なくそう言うと無言で部屋に戻っていった…。 
    僕はその時のその言葉が今も耳に残っている…。 
    【回想終】

    2008-11-07 16:48:00
  • 303:

    寝てしまったマリを膝にのせたまま、ふと自分の両手を見てみる。   
    今では口癖になってしまったその言葉を呟く。
    「俺の両手には何もない…」深いため息をつく。すると寝ていたはずのマリが『マリがおるやんか』と目を擦りながら言った。
    僕はクスリと笑いながら、【そうだな】と言った。

    2008-11-07 16:53:00
  • 304:

    「さ、ちょっと買い出しでもして来るか。」『待ちや。まだ話がある。』「ん?」『そんな辛気臭い言葉ばっかり言うてたら、いつまでもそんなんなるで。』「…。」『ちょっとした事で幸せ見つけたらええやん。』「…。」『毎日美味しいもの食べよう思ったら食べれる、毎日暖かい布団で寝れる。それでも蟲は両手に何もないん?』
    僕は無言で部屋を出た。玄関で靴をはいてると、背後にマリの声がした。 
    『まただんまりか。もう好きにし。今日はご飯いらんから!』
    僕は静かにドアを閉め、「アア。ソウスル…。」って言ったんだ…。

    2008-11-21 19:18:00
  • 305:

    行くあて何かなかったけれど、近所をフラフラ徘徊。コンビニで立ち読み何かした後、フラリとパチンコ屋に行きボケーとパチンコを打つ。
    色んな事を考えてる中パチンコが僕を馬鹿にしたようにジャンジャン出た。
    「くだらねぇな。」
    席を立ち、出玉を蹴っ飛ばし、退店した。

    2008-11-21 19:23:00
  • 306:

    外に出ると雨が降っていた。このままマリの目の前から消えてしまおうと考えていた。
    「俺の事なんかかまわないで、皆自分の事ばっかしてたらええのに。お節介な子ばっかや…。面倒くさい。」グチグチしているとメール着信。
    タイトル…ごめんな。本文…蟲ごめん。あたしみたいな自分の体売ってる汚い女に何も言われたくないよな…。

    2008-11-21 19:35:00
  • 307:

    僕は変に繕うメールはせず、「汚い仕事なのはお互い様。仕事頑張って。」とだけメールした。
    マリはどう思ったかわからないが、少なくとも僕がマリなら、そう言う言葉を待っているから。

    2008-11-21 19:38:00
  • 308:

    冷たい風に吹かれながら、吸いたくもない煙草に火をつける。「こんな事、もう辞めちまうか…。」ついつい独り事。
    いそいそと歩く人々と、まったく逆の道を歩きながら、ポツリとあった小さな小さな公園の冷たいベンチに腰をおろす。

    2008-12-01 05:30:00
  • 309:

    メール着信。タイトル…久々。本文…蟲、アドレスあの頃から、変わってないんやな。
    メールの送信者は、随分と前のホストの頃の客からだった。僕はホストの時使っていたアドレスをずっと変えていない。でもホストの頃に僕と関わった子はごく一部を除いて、同僚でさえも一切の返信をしない。

    2008-12-01 05:36:00
  • 310:

    いつものように流し読みして放置するはずのメールの最後にはこう書いてあった…。
    『蟲は元気でやってるん?私はもう疲れたわ。』
    「ん?もう疲れた?」急に胸騒ぎがした。携帯の電話帳を開き、アドレスを貼りつけ、番号を検索。「あー!イライラするこの糞携帯!急ぎや!はよ検索しやがれ!」

    2008-12-01 05:57:00
  • 311:

    電話帳にはリアと登録してあった。「リア?わからんけど取り敢えず電話や!」機械的なコール音が鳴る。 
    ―プルルル―
     
    「あかん!つながらん!」

    2008-12-01 06:01:00
  • 312:

    何度も何度も電話をかける。「つながれ!つながれ!」一体何回コール音を聞いただろう、不意に『も…もしもし?』と聞こえた。「リア!蟲や!お前どこおるねん!」『蟲…。電話くれたんや…。』と力ない声。「リア?おい?今何処や?」『ん…。家。』「大丈夫か?どないした?何かあったんやろ?」

    2008-12-01 06:06:00
  • 313:

    『もう疲れてもた…。』「あほっ!何にやねん!今から行くから住所言え!リア?聞こえるか?」
    『…いいねん。もう。』「おい!何がええねん?リア!住所言えって!」半狂乱で僕はまくしたてた。『…蟲…ありがとう…。』そう聞えて電話は切れた。

    2008-12-01 06:11:00
  • 314:

    混乱する頭で、ケイコに電話する。『もし?』「蟲や!」『わかってる。どないしたん?』「お前リアって知ってるか?」『リア?あーまた古い子やな。私が、新規連れてった子やんか(笑)リアがどないしたん?』「死によるかもしらん!」『ハァッ?何でよ?』「知らん!詳しくは後や!そいつの住所知ってるか?」『うん!』「救急車呼べ!」『わかった。』「お前家か?」『せやで!』「そっち向かうから!」『うん!また連絡して!』
    僕は駅前まで全力疾走してタクシーに乗り込んだ。

    2008-12-01 06:19:00
  • 315:

    「ごめん!料金倍払うから、めっちゃ飛ばして!」運転手は戸惑いながらも発車した。ケイコから着信『蟲?今救急車呼んだ。取り敢えず知り合いから連絡あって様子が変やからって。』「ありがとう。今タクシーで向かってるから。」
    『わかった。私リアの家行きよるから!』「うん。」僕の足は震えていた。

    2008-12-01 06:24:00
  • 316:

    ケイコが住む街に到着。運転手にお金を投げ、飛び降りる。ケイコに電話「今着いた。何処?近いんか?」『んと駅と逆にコンビニあるやろあれを真っ直ぐ下って突き当たり。』「わかった!」また全力疾走。不思議としんどくはなかった。リアの家に到着すると、パトカーと救急車が来ていて辺りは騒然としていた。

    2008-12-01 06:28:00
  • 317:

    『蟲!!』息を切らす僕を呼ぶ声。「ケイコっ!リアは?」『今から病院!蟲も一緒に行くで!』「おう!」救急車に2人で乗り込む。救急隊の人と会話を終えたケイコが僕の隣に座る。『何があったん?』「わからん。何か急にしらんアドレスからメール来て、何か文章が変やったから、胸騒ぎがして電話した。ほならもう疲れたって切れたんや。」『…そうなんや。』「てかリアって?」そう問うと同時にケイコの平手打ちが僕の頬を打った。『あんた最低やな…。』

    2008-12-05 18:42:00
  • 318:

    「…。」確かに最低だろう。死の間際に僕に連絡をくれるんだ。きっと僕に思い入れがある子なんだな…。黙ってうつむく。
    『あんたからしたらただの色恋やったんかもしらん。それでもリアはどう思ってたんやろな?あんたが、ホスト辞めたって、リアはあんたの事好きやって思うの辞めれるか?なぁ?蟲。あんたなら好きな子ができて、その子が急におらんくなったら、すぐ忘れるん?答えてや!』「…。」『黙らんといて!また黙って逃げるんか?』あまりの騒ぎに救急隊の人が止めに入る。《いい加減にしなさい!今搬送してるんですよ!》

    2008-12-05 18:57:00
  • 319:

    『あんたはな、ホストの時、色んな言い回しでお金稼いだんやろ?その言い回しに引っ掛かった子の末路1人でも見た事ある?』「…。」『リアだってあんたが、No.入りしたいなんか言うからあんたには言わず風俗行ったんやんか…。』
    「…。」『この子がどんな思いであんたにお金使ってたか何て考えた事ある?』「…。」
    【アア…ウルサイ…ウルサイ…ウルサイ…ウルサイ…ウルサイ…ウルサイウルサイウルサイウルサイ。】

    2008-12-05 19:05:00
  • 320:

    病院に着いた。
    僕は車から降り真っ直ぐ来た道を歩き出した。
    『ちょっと!蟲!あんた何処行くんよ!』
    その言葉に振り返りもせず大声で僕は叫んだ。

    2008-12-05 19:07:00
  • 321:

    「オマエラが…オマエラがイナイとコろダヨ!」
    ケイコが僕の肩を掴もうとしてた手を振り払った。 『…ッ!』
    僕はただ真っ直ぐ。来た道を真っ直ぐに歩いていった…。

    2008-12-05 19:10:00
  • 322:

    見た事もない景色をひたすら歩く。途中何度も何度も鳴る携帯をへし折り投げ捨てる。
    ケイコは僕の1番古い客だった。一緒に住んでた事だってある。あいつの口癖は『蟲。あんたのせいで私はこんな道進んでるんやから、責任とってや。』 
    口うるさく、お節介な女だった。たまに職場の友達を連れては冷やかしに僕の店に来てたものだった。ケイコは冷やかしのつもりが、ケイコが連れて来た枝(友達)は何故か僕を指名した。

    2008-12-05 19:16:00
  • 323:

    「その中の一人だろう…どうせ。」
    そんな事を思いながら、歩いて行くと、タクシーが止まっていた。 
    タクシーに乗りマリの巣へ向かう。

    2008-12-05 19:21:00
  • 324:

    途中スーパーで買い物をしている時に手の異常に気付く。左の手から真っ赤な血が流れていた。
    「ははん。携帯をへし折った時、破片が刺さったか…。」上着で手をふくが、一向に止まらない。
    レジの人もビックリしてたが、お構い無くと買い物をすませまたタクシーに乗り込む。
    マリの巣に着く頃には、上着に血がベッタリとついていた。

    2008-12-05 19:24:00
  • 325:

    「ふーん。かなり深い。イテテ。あ、これか?」破片を抜き取り、マキロンをふる。「あーいてぇ!」
    取り敢えず治療終了。ご飯を作りはじめたが、今日はマリが帰って来ない事に気付く。
    「まいったな…。」

    2008-12-05 19:27:00
  • 326:

    料理を止め、リアはどうなったか?ケイコは何故あんなに怒ったか?色々考える。
    答えはいつも一緒の『オレニハカンケイナイ…。』「ああそうだったな。」なんて独りで笑った。 
    『ダカラオマエのテには、ナンニモナインジャナイカ?』
    【ダロウナ…。】

    2008-12-05 19:32:00
  • 327:

    真っ暗な部屋で自問自答。『オマエハサビシイな。』「だな。」
    『マワリにはダレモイナクナル。』
    「知ってる。」
    『オマエがソウシテルンダゼ?』

    2008-12-05 19:35:00
  • 328:

    「かもな。」
    『マ、イイジャネェカ。カネさえアレバ。ヒトリでもヨ。』
    「それが出来たら苦労しない。金を稼ぐには、誰かと関わらないと稼げない。」『ホントウ?ホカニカセグホウホウだっテあるダろ?』
    「…楽したいからな。」

    2008-12-05 19:39:00
  • 329:

    『ヒヒひ。ウソツケ。オマエハ誰かのソバにイタイんダ!』
    「…。」
    『ダレカにヒツヨウとサレたインだろ?』

    2008-12-05 19:41:00
  • 330:

    「…。」
    『ナノニ、いざとナルとニンゲン関係がメンドウダ…ホットケ。オマエハ、タブんコワイんダロ?スキナ人がイナクナルのが。』
    「…。」
    『人とフカク関わって、ソノ人からヒツヨウとサレナクなるのがヨ!』

    2008-12-05 19:44:00
  • 331:

    『ダカラ、スキとイワレテもニげルんだ!イツカ要らないとイワレル事シッテルからヨ!』
    「…。」
    『オマエなんてダレも要らネェ。またニゲちまえよ!』
    「…うるせぇな。」

    2008-12-05 19:46:00
  • 332:

    もう1人の自分と散々話す。「できん。好きな奴に、何も考えず飛び込むなんてな。もう辛い目すんのはこりごりなんや。」
    『デモいつか、ソレをデキル子ヲ夢見テ、オンナヲ物色カ?ヒハは!イイミブンダな!ソンナやつイネェよ!オマエミタイな偏屈なヤツ、スキナのハ、オレくらいなモンダゼ!』
    「…だな。」

    2008-12-05 19:52:00
  • 333:

    頭がガンガンして、不意に眠くなる。服ぐらい着替えようと思ったが、どうせ誰もいない。
    そのまま眠る事にした。
    「ああ…疲れた…」

    2008-12-06 17:40:00
  • 334:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 335:

    「痛ぇ!」目を開けると青ざめた顔をしたマリがいた。「あぁ。おかえりなさい。」『おかえりじゃないわ!あんたどうしたんよ?』「ん?寝てた。」『違う!布団見てみ!』「お?すげーな…。」布団には血だまりができていた。
    『どうしたん?』「あぁ…手ケガした…。」『何があったん?』「いや…ちょっとイライラして携帯壊した。」『見せてみ?』「…。」マリに手を差し出す。『うわぁ。病院行こ!』「痛いから嫌。」『あほ!こんなん縫わな血止まらへんで!』「…ハァ。」『行くで!』
    マリに病院に連れて行かれる。

    2008-12-06 17:49:00
  • 336:

    タクシーの中
    『誰と喧嘩したん…』「ん。ケイコ」『ケイコ?誰よ?あんたが怒るなんて珍しい。』「めっちゃ昔の知り合い。」『そうなん…。』「…。」『もうケイコちゃんとは切れたん?』「…知らん。もう逢いたくない。」『そうか…。何で喧嘩したか知らんけど、蟲の事思って言うてくれた事かもしれへんな。』「…。」
    『ケイコちゃんは大事なん?』「…。」『蟲と長く知り合いなら、尚更大事にしなあかんかったんちゃう?』

    2008-12-06 17:53:00
  • 337:

    「うん…。」
    『…。蟲。大事な物は大切にせな。無くなってから後悔しても遅いねんで。』
    「うん…。」マリが僕の頭を抱いた。 
    悲しくて涙が頬をつたった。

    2008-12-06 18:02:00
  • 338:

    病院に到着。
    「行ってくる。」『ほな、私はタクシーで待ってるから。』「ん。」
    とことこと救急用の入り口から、入る。
    保険証なんてもちろんないからその旨を伝え、診察待ち。

    2008-12-12 01:53:00
  • 339:

    『はい、次の方。』
    しばらく待つと中から声が。無言で診察室へ。『はい。今晩は。』そこにはえらく歳をとったジジ医者が…「…。(大丈夫かよ。)」とは心の声。『ん…。あらあら手?切った?』「はい。」『どれどれ?』僕の手を眺めるジジ医者。
    『うーん。これは、縫わないといかんかもな…。』「…。そうですか。」『ちょっとチクチクするけどな。』「…はい。」 
    『じゃ始めるからの。』ヨボヨボ動いてたジジ医者の手が高速で動く。「!!!」痛いと思うよりも先に、終了。「…。(すげっ!)」『これで一応応急じゃからの。また、朝にでも何処か掛かり付けの医師に見てもらうがええ。』「ありがとうございました。」『うん。うん。』

    2008-12-12 02:00:00
  • 340:

    少し感動しながら、会計を待ち、会計をすませ、マリの待つタクシーへ向かう。『若いからと、無茶せんようにの…。』その声にハッとして、振り返るとジジ医者が自販機で飲み物を買っていた。「…。」無言で、深々と頭を下げた。

    2008-12-12 02:04:00
  • 341:

    「お待たせ。」タクシーに乗り込む。『どうやった?』「ちょっと縫った。」『…もう!アホやな。』
    マリの巣へ帰宅。
    部屋に付くなり、布団に転がる。『今日はゆっくり寝。』「ありがとう。」 
    マリの言葉に甘えて眠る事にした。

    2008-12-12 02:16:00
  • 342:

    暗闇で目を閉じるが寝つけない。耳をすませば、マリが誰かと電話している声がした。
    『…ちが…だから…』何やら楽しそうに、はしゃぐ声。でもあまり聞き取れない。僕の部屋の入り口までこっそり移動し、聞き耳を立てる。
    『うん。え?いやいやほんまに弟!え?無理無理。そんなんしたら弟に怒られるし(笑)』
    「弟?」

    2008-12-12 02:22:00
  • 343:

    『だから、うん。もう!好きやって!同棲は…したいけど…』
    「…。」
    『うん。仕事はもう辞める。約束。うん。おやすみ。愛してる。(笑)』
    「…。」

    2008-12-12 02:24:00
  • 344:

    電話を切ったらしいマリは風呂場に行った。僕はこっそり、マリの部屋に潜入。「ちょいと確認だけ…。」マリの携帯のリダイアルを確認。そこには、さっきまで電話してた人の番号と登録名が表示された。 
      
    【キョウスケさん】

    2008-12-12 02:28:00
  • 345:

    グループ名は、お客とか、パパとかではなく、彼氏だった。
    「何だよ。水臭ぇな。」僕はまたこっそり自分の部屋に戻る。
    「そっか…。じゃ、邪魔者は退散しますか…。」
    僕は息を殺しながら最低限の荷物をまとめた。

    2008-12-12 02:31:00
  • 346:

    マリが風呂場から出たのを確認。いつものように手紙を書く。
    【マリへ。長い間ありがとう。少し色々考えたくなったから、出て行くよ。幸せになりなよ。】
    それを玄関に置き、鍵はポストに入れた。

    2008-12-12 02:34:00
  • 347:

    音がしないよう、こっそりエレベーターまで歩き、下へ。「またあてもない巣探しの始まりか…。」そして僕は夜道を歩き出した。

    《大事な物は大切に。無くなってからその大切さに気付く事があるから…。無くしてから気付いても、もう遅いんだって…。マリ?僕はもういくつの大切な物を無くしてるんだろう?そして無くしていくんだろう?》
    2部屋め【マリの巣 終】

    2008-12-12 02:53:00
  • 348:

    名無しさん

    >> 20-128 【サヤカの巣】
    >>142-347【マリの巣】

    2008-12-17 02:50:00
  • 349:

    コンビニのATMで貯金を確認マリの巣で稼いだ金額が結構あった。「ふむ。当面大丈夫だな。」ほくそ笑みながら手持ちのお金を確認。「5万…。」いやはや金持ちになったな。 
    出て来たはいいが、ゲーム機を忘れた事、携帯がない事を思い出し、憂鬱に…。駅前でタクシーに乗り近くの漫画喫茶へと向かう。

    2009-01-30 14:15:00
  • 350:

    漫画喫茶に到着し、カップラーメンを買う。
    1人「美味い。美味い。」と言いながら完食。心配しなくても当分この生活は続くのだろうが… 
    隣のカップル?がなにやらイチャイチャしてるのを尻目に、ネットをチラチラ見て、本を読む。

    2009-01-30 14:18:00
  • 351:

    シャワーがあるのに驚愕。「ん!シャワー!無料?」そうか最近言われてるネット難民がいるのはこのせいだな。と顎に手をやり、「ふむ。」と納得するネット難民な蟲。
    「ま、取り敢えずシャワーを浴びるか。」
    店員に訪ね、びっくりするぐらい小さなタオルをもらい、いざ洗体。これまた、びっくりするぐらい狭いシャワー室で体をウオッシュ。
    【十分十分。】

    2009-01-30 14:25:00
  • 352:

    「ふうっ。」なかなか居心地の良い漫画喫茶。漫画を読みあさり、いつの間にか就寝。 
    次の日の朝、いや昼。家事をしなくていい解放感からか、爆睡してしまったようだ。
    「さて、どうするか…」とまた慣れない手つきでパソコンをいじる。
    「ん?オンラインゲーム?」

    2009-01-30 14:28:00
  • 353:

    「ほう!ほうほう。」なかなか楽しげなゲーム。「あっ!これ俺やってたのだ!」 
    【モンスターハンターフロンティア】
    「いいなぁ。これ。これやりてぇなぁ。」
    しかしどうすればできるのか、ちんぷんかんぷん。恥を忍んで、店員に聞く。余りに長い説明に飽きる。「お金払えばいいの?」の質問にあきれ顔の店員。

    2009-01-30 14:31:00
  • 354:

    「…。わからんからいいわ。」と匙を投げてみた。となると、やはりおしいのは、マリの家にある携帯ゲーム機PSP。時計を見ると、マリが出勤してるはずの時間。「ポストに鍵は…あるかなぁ?」取り敢えず、会計を済ませ、マリの巣に向かう。 
    【コソーリ。コソーリ。】

    2009-01-30 14:35:00
  • 355:

    マリの巣に到着。ポストをチェックすると鍵があった。「ミラクル!」意気揚々とエレベーターに乗り込む。すると、マリの部屋のドアに手提げ袋がかかっていた。「…?」 
    その袋には一通の手紙と僕の携帯ゲーム機。そしてお金…。

    2009-01-30 14:38:00
  • 356:

    手紙に目を通す。
    【蟲へ。】
    あんたの大事な携帯ゲーム機。忘れてる。言いたい事はたくさんある。だけど、あんたがそう決めたならそうしたらいい。お金は気にせず取っておいて。ちゃんと日割り計算してるから。まだ忘れた物あるなら、鍵そのままやから、入って取りや。

    2009-01-30 14:41:00
  • 357:

    あんたと過ごした事、私忘れへん。ありがとう。またいつでも帰っておいで。
            マリ
    僕はその手紙をポケットにしまい、コンビニに便箋とペンを買いに走った。ありきたりな言葉なんかで感謝の気持ちを表したくなんかなかったけど、僕は手紙を書いたんだ。

    2009-01-30 14:45:00
  • 358:

    たった4文字の短い手紙。 
      【恩に着る。】
            蟲。

    2009-01-30 14:49:00
  • 359:

    それをドアに挟んで、鍵をポストに入れた。
    男の癖に、駅までの道を泣きながら歩いた。
    社交辞令だっていいと思った。もう二度と帰らないけど、それでも僕には帰れる場所があるんだって思えた。
    「マリ本当にありがとう。」

    2009-01-30 14:53:00
  • 360:

    漫画喫茶に戻る前に、携帯を契約しようとショップを覗く。  
    『いらっしゃいませ。』「あの…携帯壊しちまって…」『はい。』「新しいのを…」『携帯の方、見せて頂いても?』「あ…壊した時投げ捨てて…」『…。』お姉ちゃんが目を見開く。『番号よろしいですか?』「…。」メモ用紙に書く。

    2009-01-30 14:58:00
  • 361:

    『番号そのままで?』「どっちでもいいです。」『…。じゃそのまま…』「はい。」パソコンをカタカタと言わせるお姉ちゃん。『機種は?』「特に決めてないんですが…。」『このタイプは?』「じゃそれで。」と即決。長い説明スタート。やれ1年割引だの、家族割だのと始まる。

    2009-01-30 15:01:00
  • 362:

    「取り敢えず、パケ・ホーダイと通話はあまりしません。」と言う。
    『かしこまりました。』とまたもパソコンをカタカタ。散々説明される事小一時間。うんざりしながらようやくできた携帯を手にとり、漫画喫茶に向かう。

    2009-01-30 15:03:00
  • 363:

    メール着てるかな?と期待しながら問い合わせるも、4件。メモリが消えているので、誰からかすらわからない。 
    1件目…タイトル無し。本文。二度と顔見せんといて! 
    「…。あ。ケイコか。」

    2009-01-30 15:06:00
  • 364:

    2件目…タイトル無し。本文…アホ。
    「…。またケイコ。」
    3件目…タイトル無し。本文…リア大丈夫やったから。
    「…。そうか」

    2009-01-30 15:08:00
  • 365:

    リアが無事との事で本当に良かったと安心する。 
    4件目…タイトル。援○交際成立!?本文…当サイトにご登録頂きありがとうございます。さて、早速ですがあなたに援○したい方が3人…以下省略。
    「俺、男な。」苦笑いしながら携帯を閉じる。結局連絡先がわかるのはケイコだけ…。肩を落して、漫画喫茶へ。

    2009-01-30 15:13:00
  • 366:

    漫画喫茶に缶詰めにも飽きたのでフラフラと探検。金があると気が大きくなりパチンコ屋に入る。
    「パチスロ。パチスロと。」久しぶりのパチンコ屋の喧騒。勝って浮かれる人と負けて苛々する人の気持ちが飽和している店内。
    【いざ勝負!】

    2009-02-12 02:32:00
  • 367:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    着席したのは、光ればボーナスなまさにシンプルイズベストなジャグラー様。
    「なにやら光りそうな予感・・・・・」わくわくしながらレバーを叩く。
    ・・・・・・も投資する事、1諭吉。「・・・・。」
    しかしうんともすんとも言わないジャグラー様。

    2009-02-21 03:28:00
  • 368:

    「もう光るよな?ねぇ?」とは心の声。しかし光らぬジャグラー様。
    「・・・・。勝負の世界は厳しいな。」
    「じゃ後5千円!これで光らないなら帰る。」
    あまりのジャグラー様の仕打ちにイライラし、心の中で宣言。ふと見るとジャグラー様の体には無数の根性焼きが・・・・。

    2009-02-21 03:37:00
  • 369:

    きっと負けてイライラした奴等にやられたんだろう。「酷い事する奴もいるんだな。」不憫に思い、お絞りを取りに行って、ゴシゴシする。「ちょっとはマシかよ?」とポンと叩く。
    ゲーム再開。
    「・・・。ラスト千円か。」隣に座った爺さんに気をとられ、ふと、ジャグラー様に目をやると
    【ピカリ】

    2009-02-21 03:45:00
  • 370:

    「えっ!」
    何の音もなくひっそりピンクに光るそのランプのあまりの綺麗さに、しばし目を奪われる。
    「はっ!いやしかし綺麗。さ、後はビックかバーか。」もちろんビックを期待して、左リール停止、右リールと挟み打ち。

    2009-02-21 03:50:00
  • 371:

    見事7がテンパイし、ビックボーナスとなった。
    ニコニコしながらボーナスを消化。レバーを叩いてリールを空回し、コーヒーを買いに行く。
    「よしよし。1回でも光って良かった。」鼻歌混じりに席に帰ると
    「!!?」

    2009-02-21 03:55:00
  • 372:

    「ひ・・・光ってる!」奇跡の1ゲーム連。
    「こんな事あるんだな。」周りの冷たい視線を受けながら、ボーナス終了。「ま、負けてるけど貴重な体験したし、流して止めるか・・・」
    【ガコッ!】
    「!」またも光るジャグラー様。一体何の大サービスなのか?

    2009-02-21 04:00:00
  • 373:

    ボーナス連打に挙動不審になりつつも、無事消化。それから止めようとするとピカリ。を繰り返し気が付けば、頭上には二箱のコインが。ジャグラー様に感謝し綺麗にお絞りで磨きあげ、一礼して退散。
    「投資1万5千円で、換金が4万か。結構勝てたな。」ルンルンで漫画喫茶へ。

    2009-02-23 04:31:00
  • 374:

    無事漫画喫茶に到着。飲み放題のジュースをニコニコしながら二つ部屋に持ち込む。「パチプロもいいな」なんて寝言を言いながら、いつの間にか就寝。
    目が覚めたのは夜中の2時頃。パソコンでパチスロのサイトを散々見る。
    「ほうほうなるほどベルが多いほうが…。」すっかりパチスロに詳しくなったつもりの蟲。「明日も勝ったな。こりゃ。」
    【捕らぬ狸の皮算用】

    2009-02-25 15:08:00
  • 375:

    今度はパチスロの雑誌を持ち込み、読者開始。
    「ほぇー。キン肉マンなんてあるのか。懐かしいなぁ。何々!ボーナス確率が100分の1切るの!めちゃくちゃ当たるのか!よし明日はこれを打つ!」と決める。早速設置されている店を検索。幸い近くにパチスロ店がたくさんあり、無事発見。「明日は大勝だっ!」
    【だから捕らぬ狸…ry】

    2009-02-25 15:19:00
  • 376:

    ホール開店まで待ちきれず、ウズウズしていると、パチスロの携帯ゲームを発見。「おっ!いいなこれ。」早速ダウンロード。プレイしてみる事。「…。これ勝てますか?」異様に少ない獲得枚数に愕然。
    改めて攻略サイトを見る。「マッスルタイム?ふーんなるへそ。目押し?テリーマンが青。キン肉マンが赤。ほう。」
    明け方まで続くお勉強。

    2009-02-25 15:28:00
  • 377:

    「うおっ!寝過ごした!」目が覚めると、すでに開店時間を過ぎている。
    慌てて、漫画喫茶を飛び出す。開店10分後に到着。「キン肉マン!キン肉マンあった!」
    何故か誰も座ってないキン肉マン。しかし着席。
    「朝イチは高確演出があるんだよな。確か。」一夜漬けの知識でペシペシボタンを叩き始める。

    2009-02-25 15:36:00
  • 378:

    「…。あのー。確率ってあてにならないもんですね。」あっさり諭吉さん1人が天に召される。
    「100分の1て100回に1回当たるんだよな?」
    ブツブツ言いはじめる。
    【マッスルターイム!】

    2009-02-25 15:51:00
  • 379:

    「はっ!」その声に目をやるといつの間にか着席していた女子が、マッスルタイムそれすなわちART(アシストリプレイタイムかな?コインを減らさずして、子役のナビもしてくれ、コインがモリモリ増える。)に入る。「ちきしょー。」とは心の声。
    「いいなぁ。」何て思いながらその女子を見ると、テリーマンが出ているのに、適当打ち。「えっ?あれは4つ目のリールに青絵柄を狙わないと。」
    【初心者か?俺もだが…】

    2009-02-25 15:57:00
  • 380:

    人ごとなのにハラハラしながら見る。【行くぞ!テリー!】「あ!4つ目リールに赤!」とは心の声。
    しかし適当打つ女子。「あーあ危ねぇなぁ。」ハラハラしまくる。
    【行くぞ!キン肉マン!】とスロットから音がした時、「もう見てられん!」と女子に近づく。

    2009-02-25 16:00:00
  • 381:

    「あの…。」『えっ?』「打ち方わかります?」『いや。全然(笑)』「…ですよね。」
    説明開始。「これね、左側に赤、青、黒の7があるじゃないですか?これが光ったら、その7を左リールに押すんですよ。」『へぇ。』「…。画面でもわかるんですが、赤のサンドバックが出たら、赤を狙って…」とプレイして教える。『あ、そうなん。』「で、ですね、このテリーマンが出たら、4つ目のリールに青のかたまりを目押ししないと、終わってしまうんですよ。」『何が?』「…。マッスルタイム。」『笑。』「…。」

    2009-02-25 16:06:00
  • 382:

    「で、キン肉マンがでたら同様に、4つ目のリールに、赤を目押し。」『テリーマンてどっち?』「…。青い人。」『あぁ!じゃ、赤いパンツの人が出たら、赤で、青いパンツの人が出たら、青ね?』「…。はい。」『てか私目押しできんし(笑)』
    【じゃ何でキン肉マン?】

    2009-02-25 16:09:00
  • 383:

    不憫に思い、「じゃ、僕変わりに打ちますよ。」と言ってみる。『いいん?』「あ、うん。どうせ出てないし。」お金をポッケにしまい、余ったメダルも女子の下皿にほりこむ。
    「さて、上手くできるかな(汗)。」と心の声。『ありがとう。』「いえいえ。」実戦での初マッスルタイム。
    【ドキドキ。】

    2009-02-25 16:14:00
  • 384:

    なかなか上手く消化できて安心する。しかし出玉スピードの早い事。あれよあれよと一箱と下皿にさらり。「てかこれは超人が負けない限り続くのか…。恐ろしいな。」キン肉マンのポテンシャルに驚愕。『何か飲む?』「あ、御構い無く。」と、テリーマンが阿修羅マンに敗北で負け。「あっ。終わりました。」『めちゃ出たやん。』「ねぇ。(笑)」『ありがとう。』「いえいえ。じゃ。」
    キン肉マンのポテンシャルを知る事もできたし、退店。あのワクワク感はいいなと、反芻。
    【明日もキン肉マン!】

    2009-02-25 16:19:00
  • 385:

    もうすっかり巣となった漫画喫茶に帰宅。
    パソコンを使い、キン肉マンを検索しまくる。「ふむ。ジェロニモが弱くて、テリーマンは…」
    カップラーメンをすすりながら1人ぶつくさ。有名掲示板のスレを発見。「ほうほう。」ついでにこの地区で、高設定の入ってそうなパチスロ店の情報も見る。【突如訪れたパチスロ熱】

    2009-02-27 03:18:00
  • 386:

    シャワーを浴びて漫画を読み就寝。「明日は早起きしなければ。」
    次の日
    「よし。そろそろ行くか。」昨日調べた評判のいい店を目指し歩き始める。掲示板によると抽選があり、その順番で入店できるとの事。キン肉マンは15台あるから、15番以内を引きたい。抽選は9時半。

    2009-02-27 03:23:00
  • 387:

    「9時半なら、10分前くらいでいいか。」小腹がすいたので、喫茶店に寄り道。ハムトーストとアイスコーヒーをオーダーし、新聞を取り着席。
    「抽選とかドキドキだな。」わくわくしながら新聞を読んでいると、向かいのテーブルから、話し声。

    2009-02-27 03:26:00
  • 388:

    『今日は並び厳しそうやなぁ。』[あぁ。イベントやからなぁ。]どうやら、奴等もパチ屋に行く様子。
    『最近出しよるからなぁ…』[ほんまどないしたんやろな。王者さん。]
    その店名を聞き、コーヒーを危うく吹きそうになる。【僕も行きますが何か?】

    2009-02-27 03:33:00
  • 389:

    「ゴホゴホ。行こうとしてる店かよ。」とは心の声
    『さ、行きますか!』[ほいほい。今日は何打つ?]『肉しかないやろ!』[好きやなぁ。笑。]『全15台中6が必ずあるんやから当たり前やんけ。』[まぁな。]二人組は退店。 
    「いい情報やったな。最高設定が入るとは。」とにやける。しかし時計を見るとまだ、9時前。
    【早くね?】

    2009-02-27 03:38:00
  • 390:

    新聞を読み終わり、ニュースなんかを見ても、まだ9時10分。…と先程の2人の会話を思い出す。 
    「今日はイベント…はっ!まさかめっちゃ並ぶんじゃ?」慌てて喫茶店を飛び出す。嫌な予感的中。平日だと言うのに軽く200はいる。「しまった…。」
    うなだれながら最後尾に並ぶ。

    2009-02-27 03:43:00
  • 391:

    『只今より抽選を始めます!』スピーカーをもった店員が言う。
    「おっ!福引きなんやな。」ガラガラを回し一喜一憂する声が聞こえる。15分くらいしてようやく僕の番に…。 
    【唸れ!剛腕!】

    2009-02-27 03:46:00
  • 392:

    出てきた玉には103…「…あらら。」103番目なんてキン肉マンに絶対座れない。諦めて昨日の店に行く事にした。 
    「ちぇ。」ため息まじりに歩き、昨日の店、777へ到着。すると不意に肩を叩かれる。

    2009-02-27 03:50:00
  • 393:

    『おーっす!昨日ありがとう。』振り向くと昨日の女子が。「あ。ども。」『今日は何打つん?』「え?あぁキン肉マンを。」『好きやなぁ。笑。』「まぁ。じゃ。」と入店しようとすると女子が回り込み通せんぼ。「…。」『ご飯行こうや!』「え…。」『昨日のお礼したいねん。』「あ…。いや。いいですよ。礼なんか。」『えーから!』と背中を押される。
    【パチスロが打ちたい…】

    2009-02-27 03:56:00
  • 394:

    無理矢理喫茶店に連れてかれる。「ご飯もう食べたのに…」心の声もむなしく、連行。『さて、何食べる?あの店よく行くん?あーお腹すいた。名前は?私はレイ。ハンバーグ美味しそう。あ、でも太るか?飲み物どうしよ?アイスティーしよかな。』
    座るなり、乱れ打たれる質問に動揺。『おとなしいな。』
    【喋る隙がねぇんだよ。】

    2009-03-25 09:28:00
  • 395:

    「んと、名前は蟲。注文はパフェでいいや。住んでるのは訳あって、漫画喫茶。あの店は今日で2回目。」ひとつずつ答えてみた。『へぇ。そうなんや。甘い物好き?』「うむ。」『朝ご飯がパフェとかウケる。』「…。(だからさっき食べたんだよ。)」
    『ジーッ』何故か見つめるレイ嬢。「…。」『誰かに似てるよな。』「…。」『昔、私とあった事ある?』「…ない。多分。」『そっか。』

    2009-03-25 09:33:00
  • 396:

    『朝からスロットって事は、プー?』「…うむ。」『そっか。』「レイちゃんは?」『笑。レイでいいよ。私?私は居酒屋で週4くらいで働いてる。』「ほう。」『でさ、たまにスロットする。』「ほう。」
    《お待たせしました。フルーツパフェです。》「うほ!はい。」『デカっ。見てるだけで胸焼けするわ。バナナ食べていい?』「いいけど。」
    『もーらい。てかさ、漫画喫茶住みって、ヤバくない?』

    2009-03-25 09:39:00
  • 397:

    「さぁ?ヤバくはないやろ。」『お風呂は?』「シャワーある。」『そうなんや。』「結構快適やで。」『いつから?』「ま、2週間くらいかな。」『マジで?』「不満としては、少し狭い。」『ああ…。デカいもんな。』「…。」
    『身長何センチ?』「ん?多分170くらいちゃうか?」『それはない!絶対185くらいあるやろ。』「そか?」『身長最後いつ測った?』「…。中学。」『笑。今何歳よ?』「…。三十路前だ。」『じゃあ絶対伸びてるやん。』
    【何だよこの会話…。】

    2009-03-25 09:44:00
  • 398:

    《お待たせしました。ハンバーグです。》『あ。来た来た!』「…。」『いただきまーす。』元気に食べはじめるレイ嬢。
    「…。(もういい時間だな。そろそろスロットに…。)」『この後どうする?』「ん?ああ。パチスロ。」『笑。好きやなぁ。あ!せや!蟲メールとか教えてや。』「…。ああ。いいよ。」『変なアドレス。笑。』「ほっとけ。」

    2009-03-25 09:51:00
  • 399:

    「なぁ?スロット行っていい?」『えーっ!』「ま、また連絡してくれよ。」とお金を置き退散。
    小走りに777に入店。「おっ?」何やらキン肉マンにイベント札が。「ふぅん。で空き台が少ないのか。」取り敢えず着席。ゲーム数は13。「13ゲームぐらいで何がわかるんだよ。」とプレイ開始。
    投資する事5千円。謎のゴングからマッスルタイム突入。

    2009-03-25 13:45:00
  • 400:

    「高確だったか?」ぶつぶつ言いながらマッスルタイムを消化。わずか33ゲームであっさりゴングで終了。「…。通常時にハマり、マッスルで即ボーナスは仕様か?」
    ふてくされながら、プレイする事数ゲームで黒7。「おし!勝ってくれよ。」これがあっさり勝利。高継続率を期待するもまたも単発。
    「何なんだよ。」コインが下皿にサラサラ。

    2009-03-25 13:50:00
  • 401:

    するとこの時くらいから、隣のウザガキがチラチラ僕の台を見る。「…。(何やねん。)」適当にだらだら打ってると下皿のサラサラコインが全て消滅。
    「…。」追加投資する事、5千円。
    これもなくなり、止めようか悩む。取り敢えず万札を両替に…と席を立とうとすると、僕が席取りの為に置いてる煙草に気付かず、ウザガキが台にすかさず煙草を入れようとする。 
    【ウザすぎだな。お前。】

    2009-03-25 13:57:00
  • 402:

    『あっ…。チッ。』とはウザガキ。万札を両替して席に戻ると睨んできた。
    ガンをつけたくらいで中学生じゃあるまいし、喧嘩する訳にはいかないが、その後もやたらこちらを見るウザガキ。 
    「…。(あーウザ。イライラするな。)」なんて思いながら、プレイしてると2千円めで、チャンスリプレイから、黒7。 
    「…。(黒か…。)」台をいきなり叩くウザガキ。流石に我慢の限界になるも、冷静にプレイ。

    2009-03-25 14:02:00
  • 403:

    【地獄の断頭台!!】
    「…。(ハイハイワロス。負けかよ。)」と画面を見るとキン肉マンが、まさかの…
    【火事場のクソ力ぁあ!】とキン肉マンドライバーで勝利。
    「マジかよ!」

    2009-03-25 14:04:00
  • 404:

    今度こそ高継続率を期待するも、またもや単発。
    この時、ようやく疑念が。ウザガキが天井でもないのに移動しようとした事、黒7が単発2連打。ベル、チェリーの合算確率の良さ。「…。(これって6か?)」などと考えてると、ウザガキがこちらを睨みツバを吐き歩いてく。
    「…。」

    2009-03-25 14:08:00
  • 405:

    「あれは流石に詰めたらなあかんな。」と席を立つ蟲。早足で後をつける。
    ―駐車場―
    半ヘルを首にかけ、原付にまたがろうとするウザガキを背後からいきなり、原付のハンドルに叩きつける。『!?』 
    【リアルマッスルタイム】

    2009-03-25 14:11:00
  • 406:

    原付ごと倒れて、『何やねん!』と慌てるウザガキに容赦なく顔面サッカーボールキック。そして馬乗りに。「何やねん?こっちのセリフや。何ガンつけとるんや?」
    『…。』黙るウザガキに、また顔面パンチ×3。流血するウザガキ。『…すいません。…すいません。』取り敢えず店内に連れて行きツバをふかせる。 
    再び表に出し、免許を出させる。「…。よし、これで文句あるなら、仲間でもなんでも連れて来いよ。その代わり、何人で袋にしようが、か・な・ら・ず・お前の家に行ってお礼に行くからな。」

    2009-03-25 14:17:00
  • 407:

    解放すると一目散に逃げるウザガキ。
    「これでよし。」また店内に戻りプレイ開始。するとリプレイからゴングにつながり、これが4連、次に引いた赤7が、ベットボタンで主題歌がかかり、6を確信した。「こりゃ、終日ブン回しだな!」
    【目指せ万枚!】

    2009-03-25 14:22:00
  • 408:

    蛍の光が流れる店内、頭上には二箱、後ろには大樽で二箱。履歴を見ると、8千枚はある。
    店員に止める事をつげ、ジェットカウンターに向かう。
    すると、枚数は9280枚「…。(あー。万枚はならずか。でも等価やから、18万!投資が1万と…)」

    2009-03-25 14:26:00
  • 409:

    大満足で、景品交換所へ。「うほ!働かずして大金ゲット!」漫画喫茶へスキップしながら、帰る。
    漫画喫茶にて、ウザガキを思い出し、やりすぎたなと後悔しながら就寝。

    2009-03-25 14:29:00
  • 410:

    次の日開店に間に合うくらいの時間に起床。漫画喫茶でパンを買い、コンビニにお金を預け、今日も変わらず777に向かう。昨日ちゃっかり会員メールに入ったので、向かう途中に777からメールが来た。
    ―お客様へ。―
    本日ジャグラーがバーゲンセール!ラブリー、ジャンキー、アイム。お好きな機種からえらんで大勝してください!
    【ほんまかいな。】

    2009-03-25 19:19:00
  • 411:

    少し前に777に着く。すると昨日とは違い、先客がちらほら。「ま、イベントでもない日にキン肉マンがある店だからな。」
    先頭には昨日のウザガキ。こりゃ謝罪にはちょうどいいと、近寄ると、仰天した顔で後退り。
    「昨日はすまんかった。」『…あ。いえ。自分もあんな事したんで。』と和解成立。缶コーヒーを手渡しながら「今日は何打つ?」と聞いてみる。すると耳打ちで、『イベントの3機種っス。兄貴は?』「兄貴?」
    【貴様はいつから弟なんたよ…。】

    2009-03-25 19:26:00
  • 412:

    「兄貴…苦笑。俺、蟲ってんだ。蟲って呼べよ。」『ウス!』「…あんた名前は?」『自分、ヨシトっす。』「…。へぇ。な、コロ助って呼んでいいか?」『へっ?何で?』「…。なんとなくだ。」『へ…へい。』コロ助命名の理由は頭の周りを刈り上げ、てっぺんだけ残し縛っているちょんまげスタイルだったからだ。『蟲さん昨日万枚いきました?』「いや…。9千枚。」『マジっすか!うらやましい。実は今日のジャグラーイベ、3機種のどれかのジャグラーが全6なんす。』「へぇ。」『自分は取り敢えずアイムに走ります。』「…。」
    【あんた先頭で何故走る?】

    2009-03-25 19:36:00
  • 413:

    「そか。じゃ後で。」と列の最後尾に並ぶ。『あーぁ!蟲さんっ!何やってんすか!一緒に入りゃいいのに!』「あほか。割り込みなんかしたらウザイやんけ。」『…。そっスか?』「そういう所直せ。笑。」『…。へっへぇ…。』
    年配の方が多い中、開店待ち。
    しばらくするとシャッターが開いた。

    2009-03-25 19:40:00
  • 414:

    開店と同時にダッシュするコロ助。僕はキン肉マンを見て、念のため昨日の台に座る。「念のため。念のため。」と打ち始めること数ゲーム。「…。おかしいな。」設定変更後の高確スタートがない。「…。据え置き?まさかな。」と言いながら、移動しようとした時、《火事場のクソ力ぁあ!》「おっ。」これが、めでたくボーナスにつながる。「ラッキーラッキー。」対戦相手は…。ジェロニモ。「ジェロニモか…。」

    2009-04-11 18:44:00
  • 415:

    《サンシャインアターック!》《ぐわぁー!》「…ですよね。」あっさり敗北。「据え置きな訳ねぇよな。」ぶつぶつ言いながら続行。「ん?」スタート音が遅れる「…チェリーか。」次ゲーム、いきなり金の扉が閉まる。「!!」めでたく黒7につながる。「こりゃ熱い。」とニヤニヤ。次ゲームタイトルコールが入る。「…熱い。」も敗北。もう少し様子見でもいいが、やめ。

    2009-04-11 18:51:00
  • 416:

    コロ助の様子を見にジャグラーの島へ。「どない?」『こりゃあっちの島かもしれないス。』「ん。ぽいな。あっちの島やけににぎやかやし。」『せっかく並んだのに。』「そんな日もあるさ。」ぐるりと島を見回り、休憩所へ。

    2009-04-11 18:55:00
  • 417:

    『おーっす!』背後からいきなり押される。「痛。」振り返るとレイ嬢が笑っていた。「またお前か。」『何よ?それ。』「…。」煙草に火をつけコーヒーを買う。『私、カフェオレ。』「…。(あつかましい奴だ。)」
    「はいよ。」コーヒーを投げる。『サンキュー!今日もキン肉マン?』「…ん。いやもう帰る。」『えっ?早くない?』「昨日の台が据え置きか見に来ただけやから。」『ふーん。じゃ暇?』
    【嫌な予感。】

    2009-04-11 19:04:00
  • 418:

    「…。まぁ。」『遊びに行く?』「…。」『嫌なん?』「ま、いいけど。」『決まり!ちょっと待っててコイン流すから。』「…。最悪。」ため息をつきながら、レイ嬢の後を歩くとジャグラーの島の優秀台。横には金の札が刺さっていた。「えっ!これ止めるん?」『うん。だって遊ぶやろ?』「…。もったいね。」『いいから。いいから。』「あ!ちょっと待って。」煙草を置く。『流しとくから。』隣のジャグラーの島へ。仏頂面のコロ助発見。「コロ助。ジャグラー打つ?」《もう打ってるス。》「笑。違うあっちの。金の札刺さってるのがある。」《マジスか?いいんすか?蟲さんは?》「いや。ヤボ用が…。」《マジスか!感謝ス!》大喜びのコロ助を誘導。

    2009-04-11 19:22:00
  • 419:

    「じゃ。頑張って。」《兄貴ありがとうございます!》手を振りレイ嬢を探す。『蟲!』「ああ。おった。」『知り合い?』「あ?おう。」『私あの人嫌い。』「なんで?」『いっつも私のやめた後当てるから。』「笑。そうなんや。」 
    777を退店。
    『何処行く?』「お前が誘ったんやからお前が決めろ。」『…じゃ。うち来る?』
    【一人暮らしなのか?】

    2009-04-11 19:27:00
  • 420:

    「一人暮らし?」『ううん。友達と住んでる。』「…。」『あ。女の子やで。』「…。そうか。」『ま、取り敢えず近いし、行こ。』「おう。」
    しばし歩く。『ここやで。』「へぇ。」オートロック付き5階建てのマンション。「家賃は?」『多分8万くらい。』「多分?」『もう一人の子が住んでる所に強引に住み着いたから(笑)あんま詳しく聞いてない。取り敢えず月4万払ってる。』「ふーん。」
    【もうちょい安そうな物件だな。】

    2009-04-25 19:21:00
  • 421:

    『ただいまぁ。さ、上がって!上がって!』「お邪魔します。」部屋に案内される。「スティッチだらけやな。」『うん。好きやねん。ちょっと飲み物出すわ。』「へいへい。」部屋の中をしげしげ観察。
    特に気を引くものはない。ベッドに寝転んでみた。

    2009-04-25 19:25:00
  • 422:

    《ただいま。》『あっ!おかえり。』《?誰か来とん?》『う…うん。』《彼氏?》『違う!違う!』《笑。怪しい。》『…。』
    そんなやり取りが聞こえドアが開く。『友達帰って来た。』「そう。帰ろか?」『何で?気にしんでいい。気にしんでいい。』「…。うむ。」
    『パチプロなん?』「いや。目押しできる程度。」『そうなんや。前、家ないって言うてたやん?』「あぁ…。」『仕事もしてないん?』「うん。今は。」『今は?』

    2009-04-25 19:42:00
  • 423:

    「…。えっと…かくかくしかじか。」僕がしてた事を順を追って、レイに話す。『へぇ…。何か凄い生き方やな。笑。』呆れるレイ。《レイ?テレビのリモコン知らん?》と突然ドアが開く。『えっ?知らん。』「あ…ども。」と一緒に住んでる人を見もせずに挨拶。…と《え!?蟲!》その聞き覚えのある声に驚き、顔をあげる。「ア…アスカ!」『えっ?えっ?知り合い?』《笑。あんた色んな所に出現するんやな!》「まぁ…。」頭をかく。 
    【やれやれ…。】

    2009-04-25 19:49:00
  • 424:

    《マリとは?別れたん?》「いや、別れるも何も、付き合ってないから。」《あ…そうか。そう言えば、あいつ最近、何か見慣れん男と見たな…。》「…。(うまくいってるのか。よかった。)」『ちょっと!ちょっと!説明してよ!』とレイが頬を膨らます。《あ。ごめんごめん。あたしの客におるマリって子の知り合いや。》『そうなん?』「うん。」『さっき話した仕事で?』「そそ。」《仕事?》 
    【レイ嬢説明して2回目も説明めんどいわ。】

    2009-04-25 19:54:00
  • 425:

    『…で、やから、やの。』《ふーん。今は?》「ん…。」『漫画喫茶暮らしやって!』レイが割って入る。《そうなんや。じゃここに住んだら?》「えーっ。」『住もうよ。』「でもなぁ…。」《マリには言わへんから。あいつ嫌いやし。笑。》「…。(お前もか。)」『決まり!』
    《お給料払うんやんな?》「うん。」『じゃあたしは、2万。』《ほな私も2万出そかな。》「2人で4万か…」《何よ。不服?マリは?なんぼ払ってたん?》「言えない。」《チッじゃ3万。》『じゃ…あたしも。』《あんたは居酒屋やねんから2万でいいやん!》『えーっ?たくさん払った方が蟲君独占できそうやん!』 
    【喧嘩勃発…】

    2009-04-25 20:07:00
  • 426:

    罵りあう2人。「あ…もう面倒臭いから、1人2万5千ずつの5万でいいやん。」『わかった!』《…。そうしよか。》
    こうして、たくさんの不安を残し、3つ目の巣が見つかった。

    2009-04-25 20:11:00
  • 427:

    三部屋め 
    【アスカとレイの部屋】

    2009-04-25 20:14:00
  • 428:

    『取り敢えず、寝る所は私の部屋な。』《は?意味わからん。》「あ…毎日日替わりか、2人が一緒に寝てくれたら助かる…。」《無理。》『無理。』見事にハモル2人。「…。じゃ日替わりで…。後、メアド教えて。ルール送るから。」
    頷く2人。
    しばらく3人で話し、アスカは部屋に戻って行った。『しかしびっくりよな。』「うん。本気で。」『明日からパチンコ行かれへんな。笑』「そうだな。」

    2009-04-25 20:18:00
  • 429:

    次の日の朝、アスカが仕事に行くらしいので、冷蔵庫を見て適当に朝食を作る。《手慣れたもんやな。》苦笑いをして、メイクするアスカの前に皿を出す。
    《やっぱ朝はパンがいいわ。いただきます。》『どうぞ。』携帯を見ながらアスカが言った。《お給料先渡そか?》『あ。いやいいよ。月末で。』《ん。食費は?》『…今って、月いくらかかってる?』《んー。外食多いからなぁ…。》『そうか。取り敢えず、月3万くらいあればいけると思う。』《そう。なら取り敢えず私立て替えるわ。レイ寝てるし。》『へい。』財布からお金を出し手渡してもらう。《ご馳走さま。美味しかった。行ってくる。》『うん。頑張ってな。』アスカは少し頷いて微笑み、出社して行った。

    2009-05-06 02:31:00
  • 430:

    アスカが食べ終えた食器を洗い、次は洗濯を始めようと部屋にカバンを取りに行く。レイ嬢はまだ寝てた。カバンをさぐると漫画喫茶暮らしで汚れた服が山ほどあったので、洗わせてもらう。『しかし服増えたな。洗えないから買ってばっかやったもんな。』鼻歌まじりに洗濯機を回す。
    窓を開けて空気の入れ換え。

    2009-05-06 02:39:00
  • 431:

    「しかし、家にいるのがもったいないくらいの天気だな。」5階から、下界を見下ろす。忙しそうに出勤する人々。
    もう何年になるだろう…。普通の仕事をしなくなって…。
    「…。」物思いにふけっていると、背後から声がした。
    『おはよー。何しとん?』「おーす。洗濯。」

    2009-05-29 20:47:00
  • 432:

    『そんなん私がするのに。』「仕事ですから。」『あ。そっか。』
    「今日バイト?」『うん。夕方からな。蟲パチンコ行かんの?』「うーん。今日はいい。掃除したいから。」『そうなんや。』「朝飯食べる?」『んー。いいわ。』「そか。」『私シャワーしてくる。』「ん。」
    ドタドタとレイ嬢は風呂場に行った。

    2009-05-29 20:51:00
  • 433:

    洗濯物を干し終わり、部屋掃除を始める。アスカはいないので、レイの部屋から。「?何これ?」テレビの台の下から、ゼンマイ仕掛けのロボを発見。
    手には何やら棒のような何かが。他にも無いか、テレビの下を調べる。「お?これか?」発見したパーツを組み立てると、ロボが棒にぶら下がった。
    「…。」ゼンマイを巻くとロボはその棒をまるで、猿のように渡り歩く。
    【おもしれぇ!】

    2009-07-20 20:59:00
  • 434:

    そのチープな動きに心を奪われ、掃除も忘れ、繰り返しゼンマイを巻く。
    「すげ!すげぇ!」何度も棒を往復するロボ。『何しとん?』その声に我にかえる。「は!い…いやこんなんあったから。」『ああ。ガチャガチャで出たやつや。』「へぇ。これ面白いな!」『そう?』気になるロボを机に置き、掃除再開…ふとレイを見ると下着で、涼んでいる…。
    「服着ろよ!」『え?あ!ごめんごめん。男の子おるの忘れてた。』Tシャツをレイに投げつける。

    2009-07-20 21:05:00
  • 435:

    気を取り直して掃除再開。レイの部屋は小物がやたら多い。レイに確認しながら、小物を整理する。「これは?いる?いらん?」『いらん。』そのほとんどが、いらんとの返答。
    【なら…何故買う?】
    そう言いたいのをこらえ、ゴミ袋にいらない物をどんどん捨てる。ホコリが立つので、窓を開けた。
    『それもいらん。』と指を差したのは、先程のロボ。「ならもらう。」『へ?そんなん好き?』「いや別に…。」『ふーん。(笑)』

    2009-07-20 21:10:00
  • 436:

    整理する事、小一時間、ようやくスッキリしてきた部屋。「服とかもいらんの捨てや?」『服は全部置いといて!』「…。こんなんも?」首がだるんだるんのTシャツを見せて問う。
    『…。それはいらん。』「他にもこんなん無いか?」『…ない。』「ならええけど。」ホコリのたまった窓の溝を拭いたり、テレビを拭いたらようやく終わりが見えて来た。
    『だいぶ綺麗!』「定期的に掃除したりせんの?」『たまに。たまーにな(笑)』レイはニッコリ笑ってみせた。

    2009-07-20 21:18:00
  • 437:

    クイックルワイパーで床を拭き掃除終わり。
    「よし。これでいいやろ」『ありがとう。めちゃ綺麗なった!』
    「お腹すいた?」『うん!』その返事を聞いてキッチンへ。ありあわせでパスタを作る。「嫌いなもんある?」『んー。ウナギ。あと、ブロッコリー。』「わかった。アスカは?」『あの子とご飯一緒にあんま食べへんからわからん。』「そか。お待たせ。」パスタをレイの前に置き、ベランダへ。

    2009-07-20 21:35:00
  • 438:

    「これならすぐ乾くな。」とニヤリ。たくさん干した自分の服をさわったりしてみる。
    『めっちゃ美味しい!』とレイの部屋から聞こえた声に更に機嫌を良くする。
    風にふかれながらタバコに火をつける。
    『ごちそーさま。』とレイがキッチンへ皿を置きに来た。『この後何するん?』との問いにベランダから、「買い出し!」と伝える。

    2009-07-20 21:39:00
  • 439:

    『私も行くわ!』とはレイ嬢。「…。(来なくてよろしい。)」とは心の声。1人でのんびりショッピングの夢は儚く消えた。
    『てか後バイトまで、2時間くらいか…。な、パチスロいかん?』「断る…。」『いいやん!1万だけ!』「断るっ!」『もー!』ブーたれるレイ嬢を華麗にスルーし、いざ買い物へ。今日の夕食は何にするか、考えながら歩く。
    『そこを右に曲がって、ちょっとしたら、777やねんけど…』「うるさいな(笑)行って来いよ!帰り覗くから。」『マジ?じゃ私行って来るな。』と嬉しそうにスキップしながらレイ嬢は行った。
    【下手の横好きとはこの事だな。】

    2009-07-20 21:48:00
  • 440:

    レイ嬢と別れ歩く事、数十分目当てのショッピングセンターに到着。
    「さてさて。」鮮魚売場や八百屋の食材を見て、今夜のレシピを考える。『はい!安い!安い!お兄さん海老こうてってー!』と威勢のいいおっさんの声。「海老か…。」『この特大海老、10匹で千円!これ半額に負けとくわ!お兄さんどない?』「半額!買う買う!」と即決したはいいが、僕は海老、蟹アレルギーで食べれない。
    「ま、いいか。今日は海老マヨだ。」八百屋で、パプリカ、水菜等を買い、買い物終了。

    2009-07-20 21:55:00
  • 441:

    しばらくうろちょろし、菓子パンを自分のお金で2つ3つ買い、購入した海老に氷をたくさん入れ、レイ嬢のいるパチンコ屋へ。
    「メールしとこ。」
    【件名】どう?買ってる?【本文】そっち向かいよるけど…。
    するとすぐレイ嬢から着信『今やめたら勝ってるかも』「ならやめ。」『わかったー。』そんな会話をして終和。

    2009-07-20 21:59:00
  • 442:

    777に着くとレイ嬢が手を振って走って来た。「お疲れ。」『電話の後、すぐボーナス引いた(笑)で1万勝ち!やるやろ?』「良かったやん。」『私このままバイト行くわな。』「うん。近い?」『微妙。』「送ろか?」『え?いいん?』「かまへんで。」『ありがとう。』と抱き付かれる。2人ブラブラしばらく歩いていたら、それっぽいビルに着く。『ありがとう。』「頑張ってな。」『うん。』レイ嬢は無事バイトに行った。

    2009-07-20 22:04:00
  • 443:

    …と着信。アスカ嬢だ。「忙しいな。」と電話に出る。『もしもし蟲?今何処?』「レイのバイト先の近く。」『は?何で?』「買い物ついでに送って行った。」『ふーん。ま、いいけど、私もう仕事終わるから。』「うん。迎えに行こか?」『歩きで?(笑)』「…。」『いやいいわ(笑)何か買って帰る?』「大丈夫。買い物したから。」『はい。じゃ後で。』

    2009-07-20 22:10:00
  • 444:

    海老に入れた氷が溶けて来たので少し急いで帰宅。家に着くなり、海老の背ワタをとったり、仕込みをしてから休憩。
    タイミング良くアスカ嬢が帰宅。『疲れた。』「お疲れ。」『ほんまあんな不細工がネイルして…』と始まる愚痴を聞きながら、夕飯を作る。『あ!今日マリ来たで!』「えっ!熱っ!」と動揺して、油をくらう。『うっそーん!(笑)』「アホ。」そんな事をしてる間に海老マヨ完成。
    『あんたほんまに器用やな』と感心するアスカ嬢。

    2009-07-20 22:17:00
  • 445:

    『いただきま…ん?あんたは?食べたん?』「ん。俺海老食べれん。」『は?なら別の物にしたら良かったやん。』「パンあるから。」『…。今までどうか知らんけど、ここでは私らと一緒に同じ物食べよ?』「うん。ありがとう。」僕は笑顔で答えた。でも僕は自分の作る料理を食べるのが好きじゃあない。それなりに、皆に好評だけど…
    アスカがご飯を食べてる間、レイにアスカが帰ったとメールしたり、テレビを見たりした。

    2009-07-21 02:08:00
  • 446:

    『ご馳走様。』アスカが席を立つ。「うん。」皿を片付ける僕に、アスカが『蟲。こんなん辛くない?』アスカの言いたい事はわかってたけど、「何が?」ととぼけた。『だって、女に顎で使われてさ、料理して、送り迎え、愚痴聞いたり…』延々に続くだろう言葉を遮るように僕は、はっきりと言った。
    「仕事だから…。」

    2009-07-21 02:17:00
  • 447:

    【仕事】わざと言う事で、僕と雇い主に壁を作る。僕は掃除も、料理も、あなたにふりまく笑顔でさえも【仕事】なんですよ。と言う壁。この壁を作っておく事で、色恋沙汰になる事が激減する。
    『そう…。』アスカは小さな声で、呟いて自分の部屋に戻って行った。「よしよし。」僕は先制攻撃をした気になって上機嫌で洗い物をしていた。

    2009-07-21 02:33:00
  • 448:

    鼻歌まじりに食器を洗ってると、アスカが『蟲!』と言いながら背後に。「おわっ!何やねん!」振り返って見ると、何故か下着姿で登場したアスカは、ブラとパンツを僕の目の前で脱ぎ捨て、『仕事やろ?洗っといて!』とベロを出して悪戯っぽく笑った。「何やねん。近頃の子は…。」ぶつぶつ言いながら、下着を回収。洗濯機に投げ込む。シャワーを浴びてるらしいアスカに「バスタオル置いとく」と一声かけると、ガラリとドアが開き、全裸のアスカが『ありがとう!』と言いまた笑った。
    【…セクハラですよね。】

    2009-07-21 02:42:00
  • 449:

    シャワーから出た後も、散々セクハラされ、飽きたのかパジャマを着たアスカは部屋に戻って行った。
    時計を見ると、もうすぐレイのバイトが終わる時間。「深夜は危ないから、11時までにすりゃいいのに…」と独り言。「迎えに行くか。」アスカに伝え、いざ出発。
    レイにメールする。

    2009-07-21 02:47:00
  • 450:

    【件名】もうすぐ終わる?【本文】今迎えに行きよるんやけど…。
    するとすぐ着信。『もし?迎えに来てくれよん?ありがとう。』「仕事中に携帯するな。」『暇やからいいねん。笑』「もう終わる?」『あ。店長?私もう上がりますね?』と電話口から聞こえる…。
    【店長ごめんなさい。】

    2009-07-21 02:52:00
  • 451:

    夜道をてくてく歩くと、自販機でしゃがむレイを発見。「お疲れ。」『おつ!バイバイ。』バイトの仲間と思われる子に軽く会釈をし、歩きだす。『蟲、車ないん?』「ない。あったら、部屋においてもらわなくていいやん。」『そらそうやな。笑』「飯食った?」『うん。まかないあるから。』「へぇ。いいな。」『蟲も働く?』
    【いやいや。掛け持ちなりますがな…。】

    2009-07-21 02:59:00
  • 452:

    他愛無いもない話をしながら歩くとすぐに家に着いた。
    「お風呂入る?」『シャワーするわ。』「シャワーは、疲れとれんで?」『いいねん。お風呂面倒くさい。』「そか。」エレベータから降り2人揃って「ただいま。」アスカはもう寝てしまったようだ。レイにバスタオルを渡し、レイの部屋へ。ノートにレシートを貼ったりして、パンを食べた。
    ふと、海老が残る事に気が付く。「まかないがあるとは…」慌てて、衣をつけ、海老フライにし、冷凍。
    「これでよし。尻尾ないけど…」

    2009-07-21 03:07:00
  • 453:

    シャワーから戻ったレイが髪を乾かしていた。『何してたん?』「いや。残り物を整理。」『ふーん。』しばらくバイトの話を聞いたりして、就寝。
    「長い1日だった…」

    2009-07-21 03:10:00
  • 454:

    目が覚めると、アスカがバタバタと用意をしていた。『おはよ。』「おす。朝飯は?」『あーっと時間ない。』「そか。パンくらいすぐできる。」パンを軽くトーストして、パンとキュウリを挟み、押し型で抜き取り、昨日買ったパン専用弁当箱(熊ちゃん型)に詰め込む。

    2009-07-21 11:56:00
  • 455:

    『蟲タクシー呼んで。』「あいよ。」
    急ぎで来てくれるよう電話した。
    『行って来る!』慌ただしく玄関を飛び出そうとするアスカに「アスカ!」と熊ちゃん型弁当箱を投げる。『?』「パン。タクシーで食べ。」『ありがとう。蟲!今日は私と寝るんやからな』そう言ってアスカはウィンクし出かけて行った。

    2009-07-21 11:59:00
  • 456:

    「やれやれ」と一息つき、型抜きしたパンのへたをつまむ。『アスカもう行ったぁ?』とレイが起きて来た。「今出かけたわ。」『そうなんや。んでうるさかったんや。まだ眠いから寝るわ。』とレイはあくびしながら部屋に帰って行った。アスカにメールする。

    2009-07-21 12:11:00
  • 457:

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  • 458:

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  • 460:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 461:

    名無しさん

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    2016-01-19 12:52:01
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